おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました 作:溶けない氷
Lv100の軽装甲・高機動・高火力な軽戦士ビルド
外見は黒髪黒目の時計塔のマリア
悲しいことに所詮Lv100に過ぎずモノホンのマリア様とは
トキとアミバ並みの実力差がある
私は天才だ(ドヤぁ)
ヤーナムダンジョン
ブラボのオリジナルを更に凶悪化
狭い道が多いので人数が多いからと安心したプレーヤーを
奇襲
スクリプト湧き
罠だぁぁぁ!
上から襲ってくるぅぅぅ!
で次々と殺す
狭く、敵の攻撃力が高いのであまり多すぎると回避できず死にまくる
3、4人程度がちょうど良いよう調整
パーティーの合計レベルに応じてボスのステータスが増加する鬼畜仕様
原作同様ソロか、多くとも3人で挑むのがベストになる調整
24人で挑むと全ステータス6倍
マリア様の前にどっかのバードマンのアーチャーは一瞬で微塵切りになった。
『我々の業界ではご褒美です』byイエスロリノータッチ
「さくさく死んでいってね!」by運営(ゲス顔
聖職者の獣
序盤ではマップが狭いこともあって結構苦戦した
ラキュースの建てた作戦は単純であった。
蒼の薔薇が手に入れた火炎瓶やイビルアイの魔法による遠距離攻撃で獣の注意を引いた隙をついて背後からアンゲリカが常に付かず離れずの距離で切り刻んで確実に相手を倒すというもの。
「うん、いいと思うわよ。狙うなら頭を狙って、必ず回避優先を忘れないで」
アンゲリカもこの作戦は現状で狩人と薔薇という大幅に違う戦い方をする両者にとって最善だと判断する。
獣の膂力の前にはこのパーティーで前衛のガガーランですら間違いなく一撃で沈む。
他に至っては言うまでもない。
「それにしても遠くからぽいぽい投げるだけなんてな、これなら鎧でも脱ぐかぁ」
ガガーランは不満そうだ、神官職でサブタンクのラキュースは浮遊剣、ティアとティナはクナイに忍法、イビルアイはいうまでもなく魔法職。
この中で唯一効果的な遠距離攻撃手段を持っていないために前衛職の価値はほとんど無くなってしまった。
「いや、投げつけるのも立派な仕事だよ?
下手な魔法より頼りになる。ここの火炎瓶は特製だからね」
火炎瓶自体の歴史は古く、素焼きの壷にナフサや石灰を入れて投げるギリシア以来の古典的発明。
だが、ヤーナムではそれにガソリンと狩人の血と水銀を混ぜた獣相手に有効な投擲アイテムとしてショップでも販売されている。
ちなみにショップは使者達が獣狩りの夜でも休まず営業、ユグドラシル金貨も使えますとの事。
炎の魔法が使えない戦士職やアンデッド系のプレーヤーへの救済措置だ。
ちなみに、アンゲリカは銃を装備してもらえれば一番手っ取り早いとも思ったが彼らに使い慣れてない武器を装備してもらっても命中も期待できずどのみち獣相手に狩人でない彼らの血では大した効果はあるまいと思い、保留した。
「じゃ・・・・行くわよ、心の準備ができたら言って」
レバーに手をかけて門を開く準備をするアンゲリカ
「いつでもどうぞ。こちらも準備できました」
ここでじっとしていても、またあの群衆に追いつかれれば無事では済まない。
それならば目の前の対抗策を知っている女性に賭けるしかない。
蒼の薔薇の面々は武器を構えると、開きつつある門に警戒の目を向ける。
だが、予想とは違い門が開いても何も出てきはしなかった。
「油断しないで、奴を感じる・・・・・こっちが来るのを待ち受けてる」
そう言って狩人は杖と筒を構えながら油断なく門の中に入って言った。
ラキュースを始め一同が薄暗くなりつつある赤い夕日の射す門の向こう側に足を踏み入れると息をのむほど美しかったであろう光景が目に入った。
中央に備え付けられた噴水は彫刻も見事、美しく刈り揃えられた並木も生垣も
そこかしこに置かれた彫刻や街灯も実に見事なものだ。
だが、今やそこかしこに人と獣の死体が散らばり、逃げ出そうとした人々の荷物や馬車の残骸が散乱する様はひたすら陰惨で無残な光景でしかない。
王都の王宮の中庭以上に美しかった公園は今や獣の狩場になっていた。
「酷い・・・一体何でこんな事に」
思わず口に出すラキュースであったが次の瞬間に警告が響く
「散らばれ!来るぞ!」
次の瞬間、建物と建物の間から何か巨大な物が宙に飛び出したかと思うと
6人の目の前に降ってきた。
着地とともに轟音が響き、その恐ろしい形相が嫌でも目に映る。
”聖職者の獣”
Lv100相当でチュートリアルのボス。
攻撃力が高く、”チュートリアルボスなんて楽勝だろ”
と嘗めてかかったプレイヤーが多数殺された。
撃破できたのはナザリックではたっちさんであった。
『攻撃パターンが単純でしたからね、確実に避けて確実に当てれば誰でも時間はかかっても倒せます』
狩人がなぜこいつをそう呼ぶのかはわからない。
おおよそ、聖職者とは縁がなさそうな凶暴な面構え
「あ・・・ああぁ」
ここで立っているだけでもわかる、圧倒的な力の差にラキュースも絶望的な死のイメージしか浮かばない。
「馬鹿な・・・・・こんな・・・こんな化け物・・・どうしろというのだ・・」
長い年月を生きてきた、かの十三英雄ともともに戦い、魔神を滅ぼした。
それだからわかる、はっきりとわかってしまう。
格が・・・違う・・・
(難度は・・・馬鹿な!?200以上だと!?)
『グオォォォォ!』
獣が吠えるとチームはたちまちパニックに陥り賭けるが
ラキュースが辛うじて『ライオンズハート』をかけ落ち着かせる。
「心配しないで!あいつを切り刻むのは私の役目!
さぁ、狩の時間よ!」
パニックに陥りかけた薔薇を尻目に一瞬で獣との合間を詰めると・・・
「しゃあぁぁっぁぁ!」
気合い一戦とともに杖を鞭に変え渾身の一撃を振りかぶった。
あまりの速さと音速を軽々と超えた鞭の先端の鋭い一撃で獣の頭蓋に命中した時にイビルアイの所にまで爆音が響いた。
開幕からの凄まじい衝撃で獣もよろめき、膝を着く。
だが、獣のタフさは凄まじくほんの数秒で回復するはずだった。
数秒、あまりにも長すぎる時間だ。
「脳みそ・・貰ったぁ!」
傷口から右手を獣のそれに変化させて獣の頭蓋に突っ込む。
凄まじい激痛に獣が暴れるのも御構い無しに奥へ奥へと手をツッコミ触れたものすべてを破壊する。
内臓攻撃、獣狩りの狩人が実行可能なほぼ一撃必殺の特殊攻撃。
条件は難しいが、プレイヤーが喰らえばほぼ即死の必殺技。
獣狩りの狩人の職業を取る最大のメリットである。
更にこの一撃で全身に返り血を浴びたアンゲリカのHPが回復する。
スキル:リゲイン
要するにユグドラシルでは相手に接近攻撃を与えるとHPをある程度回復するという
シャルティアのスポイトランスのスキル版である。
もっとも、HP満タンでは意味がないが。
獣が頭痛の原因を取り除こうと巨大な左手を振るった時にはもう狩人は目にも留まらぬ早業で引き抜き回避していた。
公園のオベリスクが爪を食らってたやすく粉微塵になる。
「ちっ!流石に一撃じゃ死なないか」
バックステップでかわすと今度は背後に回ろうとするが、獣も最大の脅威の狩人から目を逸らす愚は犯さない。
だが、どこの世界に脳に直撃を受けて動き回れる怪物がいるというのか。
しばし呆然としていた蒼の薔薇であったがすぐに気を取り直す。
「みんな、援護して!」
ラキュースの指示のもと、各々散開し手持ちの武器や魔法で援護を始める。
浮遊剣、クナイに忍法『影縫い』といった行動阻害忍術。
水晶の散弾と火球、そして火炎瓶。
獣も狩人との戦いに集中すべきであったが、背中や側面からのチマチマと煩い攻撃に集中力が散漫になる。
一瞬、たったそれだけで次の痛みが右足に走った。
「余所見とは感心しないね」
肥大化した左手に対して右手はリーチが短い、そこを弱点と見た狩人は脚を狙って攻撃を始めた。右手の射程に捉えたと思った時にはもういない。
左手でなぎ払おうか捕まえようにも速すぎて捉えられない。
獣はイライラしていた。
一撃、たった一撃が当たればそれでほぼ事は済むはずなのだ。
そう思って、煩い小者を潰そうと目を転じた次の瞬間には今度は左足に激痛が走る。
・・・・・・
(しぶといな)
頭、左足、右足と確実に相手にダメージを与えつつあったアンゲリカであったが獣の頑強さは想定以上だった。
(ソロが長かったから、感覚が鈍ったかな)
ヤーナムではチームが大規模になると敵は強くなる。
感覚から言えば相手はもう2回目のダウンをとっていいはずだが、なかなか倒れてくれない。
あと少し、たった一回倒れさえすれば強化された内臓攻撃で今度は確実に仕留められるというのに・・・
・・・・・
一方でラキュースたちも焦っていた。
(こんな化け物相手に戦えるなんてね)
もっとも、戦っているのは殆どアンゲリカだけどと自嘲気味な考えが浮かぶ。
アンゲリカにしてみれば、注意を引いてくれる分大胆に攻められるのだからお互い様というだろうが。
ひたすら相手の射程外から遠距離攻撃を放つが、まるで効果があるようには見えない。
相手もそれをわかっているのかもっぱらアンゲリカの方を向いたまま、こちらには時折チラチラとしか目を向けない。
「これで・・・どうだぁぁぁぁ!」
そんな獣にイラついたのかイビルアイは魔力を最大限にまで強化した火球をぶつける。
”国堕とし”の異名をもつイビルアイの魔力量は桁違いで、まともに喰らえばこの世界の大抵のモンスターは跡形もなく蒸発するだろう。
「イビルアイ!避けて!」
だが、突然獣はアンゲリカの方を向いたままで飛び上がりそのままイビルアイの方に空中で体勢を捻って爪を向けて跳んできた。
ざっと見ても30m、それだけの距離を一瞬で詰めた。
そのままの勢いで火球を更に体を半回転させて回避、表皮が焦げるのも躊躇わずイビルアイに向かってきた。
目の前に迫る獣の爪を回避しようにも大型の魔法を打った後の硬直時間の関係で回避もままならない。
だが、そんな時突然旋風が巻き起こった。
「目移り?悪手だったね」
上から跳んできた、アンゲリカの杖が脳天ごと獣をイビルアイの目の前で串刺しにする。
「さよなら、堪らない狩りだったよ」
周囲に血を撒き散らすのも構わずに杖を押し込み、暴れる獣の脳天に押し込み続け
更に杖を変化させ傷口を開き、中の組織を徹底的に粉砕する。
そして・・・獣はついに生き絶えた。
「かくして獣は死に絶えたり、しかして狩が終わる事なし」
獣の血にまみれながら蒼の薔薇に微笑みかけるアンゲリカは美しく、そして・・・
「あ、ああ。危ないところをありがとう・・ごぜ・・ございました」
イビルアイは震えていた、獣に殺されそうになった恐怖ではなく目の前の女性が今は死んだ獣以上に恐ろしい獣に見えたから。
「どういたしまして」