おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました 作:溶けない氷
ボイポス・カタストロフ連射やめろ
モモンガが薬草を取り、漆黒の剣がテンプレ通り皆殺しにされたラ・エンテルに帰ってくると
大騒ぎになっていた。
具体的にいうと墓地の周りの住人や番兵がかたっぱしからヤハグルの如く冒涜的な彫像として床や壁と一体化し
狂った住民が『見よ!蒼ざめた空だ!』などと訳のわからないたわごとを繰り返しながら熱心に交信のポーズを取っていたかと思うと突然脳汁を垂らし発狂して襲いかかってきた。
「ふんっ!なんだ?随分騒がしいが新手のイベントか?」
グレートソードを振るって襲いかかってきたニョロニョロ頭を叩き潰す。
衛兵はとっくに死ぬか悍ましい生き物になってしまった。
市民の目からはナメクジが飛び出すわ、脳髄から蛇がこんにちはなど皆楽しそうな異形になった。
更に馬車から死体の集合体が飛び出したり馬や豚が目玉お化けになるなど、普通すぎて見飽きた光景になってプレイヤーならむしろ心和むホッとする光景が広がっていた。
ついでにアメンドーズがあちこちにいたが背景同然なので気にしないでほしい。
ひどいことだ。頭の震えがとまらない
チリィン、チリィンと不吉な鐘の音がそこかしこから不吉な女の手によって鳴らされると
別次元で冒涜の限りを尽くしていた悍ましい不死人達と狩人達が召喚される。
「な!これはいかん!ナーベラル、直ちにナザリックに帰還する!」
するとそれを見計らったかのように町のあちこちにずっと遠くにいるのにぼやけずにはっきりとした存在として感じられる赤い悪霊達が現れた。
遠い存在は普通はぼんやりとしか見えないが、なぜか悪霊達ははっきりと見える。
更にその存在達は次々と手近なお互いを殺しながら墓地の方へと向かってきた。
プレイヤーと呼ばれていたもの達の単なるアバターに過ぎない、
ただの空っぽの時間制限NPCだが戦闘力だけは階層守護者級だ。
『死ねぇ!死んでソウルを寄越せ!』
『遺志を寄越せ!全部だ!全部!』
(ええぇ!?なんでこの連中まずお互いを殺しあってるの)
普通は異世界召喚された日本人なら俺tueeeハーレムを築くが、悪霊の不屍人あるいは狩人として異世界に召喚された物は理性のない闇霊として当然のようにお互いをまず憎み合い、戦えるものを殺し、おまけに動く者も皆殺しにするようになる。
ゲームシステム上の仕様なのでどうしようもない。
ちなみに魔術師系も含めて全員カンストソロ接近戦闘ガチビルドなので制限時間いっぱいに暴れられると王国が滅びる。
理性も何もかも全てが闘争本能に全振りした結果が彼らなのだから。
モモンガとナーベラルは転移の魔法でさっさとナザリックの安全地帯へと転移し逃れた。
この日、ラ・エンテルは動くもの尽く皆殺しにされるか悍ましい怪異へと変貌、後に王国のバルブロ王子が出兵したところ五千人の兵士が一人残らず死ぬか、もっと悪いことに人ならざるものへと変貌した。
そしてクレマンティーヌは帰ってきたアルフレートに襲いかかったら
「痛いじゃないですかぁぁぁぁっぁ!血が出たでしょぉぉぉ!(ダメージ0.01)嫉妬!?嫉妬なんですかぁぁぁぁっぁぁ!?」
すっといってドスのつもりがグシャァ!といってメキャぁにされネチャネチャにされてしまいましたとさ、チャンチャン
「この阿婆擦れがあ!貴様にはその内側のピンク色の粘膜さらけ出した姿がお似合いだ!あーははははっははははは!」
やっぱりこの人たちみんな頭おかしい。
ラ・エンテルはほぼ隠し町ヤハグルと化して滅んだ、めでたしめでたし。
一方、帰還したモモンガはナザリっくの自室で思考を纏めていた。
(うーむ、危なかったな。あれは噂に聞く儀式イベントの赤い月…
かつて参加したフロムちほーで週1で発生する強敵召喚イベントか…
例のカンストプレイヤーといい、やはりこの世界にはユグドラシルの要素が流れ込んでいるようだな…)
モモンガはこれまでに起こったイベントの事などを考えた上でナザリックの今後の行く末を考えた…
そしておもむろに立ち上がり、参謀とも言えるデミウルゴスを呼び出した」
「デミウルゴス、私の考えがようやくにして纏まった。
何か思う事あれば
「いや、そうではない。自身の目で直接見て確認し、考えた上での今後のこの世界での我々の行動指針を決めたのだ…が、お前の意見も聞きたくてこうやって来てもらったわけだ」
「は、モモンガ様のご指針とあれば我ら異論などあるはずも御座いません」
「うむ…だが事はナザリックの将来に関する重大事…
我らナザリックは一時的に世界から一歩離れた位置に立つという事だ。
既に報告にあると思うが、外の世界にはユグドラシルの形跡が多々見られた。
我ら異形種のギルドであるナザリックと彼らとの摩擦を避けるためにワンクッション置くことにした。
例のカルネ村を覚えているな?
あの村のエンリ・エモットなる娘を冒険者として雇い、ナザリックのいわばフロント企業とする」
「フロント企業でございますか?」
「彼女との話はついている。つまり人間との無用な摩擦によってプレイヤーに介入の口実を与え不必要な消耗を抑えるという役割だ」
モモンガは現地住民のエンリを前に出す事でナザリックの存在を隠し、予想されるプレイヤーによるギルドレイドを避ける計画を大まかに話した。
ナザリックにしてみれば死んでもデメリットが低い不死人などと殺しあって貴重な財貨や人員を消耗するなど愚の骨頂である。
「これよりナザリックは対外的には秘密裏に情報を集め、内にあっては長期的に戦力を充実させる!」
さすがは至高のお方モモンガ様ですとデミウルゴスは賞賛一方だった。
モモンガが三日三晩考え続け、机の上で計画書をあーでもない、こーでもないと大量に書きなぐった成果である。
エンリちゃん、やっぱり覇王ルート