おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました 作:溶けない氷
君はっ!人類種の天敵なフレンズなんだね!すっごーい!
君もっ!人の言葉も解せぬ首輪付きのフレンズなんだね!すごーい!
解除されなかった実績
ヤーナムの新しい女王
幼年期を終えた月の狩人に与えられる称号、明けぬ夜のヤーナムがあなたのギルド拠点になります
もてなされる客人はその一端とはいえ宇宙悪夢の叡智の深淵に見える
それは天啓にも似て、だが到底理解できぬもの
可愛いほおずきヴィクトリアンメイド服仕様があなたのお家のメイドに追加されます ランランラーン(発狂)
可愛いメイドだぞ、脳汁垂らして喜べよ(啓蒙99
「ふむん、それで爺。その”やーなむ”とかいう街に対する情報収集は失敗したというわけだな?」
「面目ございません。何らかの結界かあるいは防御魔法が施されておるのか占術による遠隔視はことごとく失敗しております」
フールダーの弟子達、第3位階の魔法す使える人類最高峰のマジックキャスター達が王国に出現したと言われる未知の都市に対して遠隔視を行った。
結果は無残なものだった。
遠隔の魔法を行使した者は実行した直後に『フアァァァァsだfd』『ンぁぁぁsfsんs』
などという訳のわからない奇声を発して発狂し、最高級の精神回復ポーションを投与しても今尚発狂し続けたまま。
『これが・・これが深淵、おおおおぉ師よ。見える…見えますぞ…Ooh Majestic!」
と唯一かろうじて意味のある言葉を発した弟子は直後に脳みそを爆裂させて即死した。
大失敗だと言えるのか、或いは
(いや…大成功とも言えるのぅ)
発狂した弟子達は魔力が上昇し、信じ難いことに今よりも強力な魔法を行使するまでに成長した。
具体的にいうとゲームボーナス”ゴース、或いはゴスムの加護”である。
これはヤーナムでは不利な戦いを強いられる魔法職系への救済措置で、ヤーナムを認識しクエストを受注すると自動的に啓蒙が高まり魔法攻撃・ MPにブーストがかかるというものであったが
それが現実に反映されてしまったために弟子が発狂してしまったのだ。
Lv100程度ならドラゴンロードの霜降りステーキ程度のバフしかかからないくせに
発狂耐性が大幅に下がるということで非常に評判が悪い呪い系だったのも頷ける悪質な効果である。
やっぱ運営はクソだ。
無論、彼らにそんなことがわかるはずもなく強力な探知阻害魔法の一種とみなされていた。
「まぁいいだろう、これ以上無理をして人員を減らされても敵わんからな。
それよりもだ、ワーカーは全滅したんだな?」
「陛下、送り込んだ+A級ワーカーは一人も戻りません、。
全滅と推定されます」
お付きの騎士が報告しますが、もとより予想されたことです。
冒険者組合に蒼の薔薇が提出した”超危険遺跡!立ち入り禁止”という報告をわざわざ大金を出して再確認しましただけでは何とも間抜けです。
「それくらいはわかっている、だが中に超強力なモンスターがいますだけで成果無しでは冒険者組合の報告書と変わらんぞ?
全く、一体全体どういう理屈で巨大都市がポンと現れるんだ?
この世界は余が思っている以上に狂ってるらしいな」
「古代遺跡の中には人が近づけぬように強力な結界がかけられたものもあると聞きます。
現れたのではなく、結界が何らかの原因で切れて目視できるようになったと考えるのが妥当でしょう」
フールーダの予想は常識的に考えても桁違いの魔法の存在を前提に考えれば妥当だろう。
まさかゲームの世界から転移してきたなど、どんな狂った人間でも考えつかない。
「なるほどな、肉眼でも見えないほどの強力な探知阻害魔法が切れたのか。
だが、入っていった王国の冒険者チームはどうやって出てきた?
それが全く不明だ」
「それこそかの八欲王の空中都市の伝説のように十三英雄でもなければ出て行く事を許さぬのでしょう」
実際には動く者は何でも殺しにかかるので十三英雄でも1時間とは持たないだろう。
フールーダは勘違いをしているが、蒼が出てこられた原因はかの有名なマジックキャスターのイビルアイだと踏んでいる。
またも他人に魔法の深淵に触れる機会を先を越されたと内心では妬みを感じていた。
イビルアイは10歳そこそこ、大して魔法によって寿命を伸ばしているとはいえ自分自身が魔法使いとして現役でいられる時間は?
弟子たちと同じ場所に達するのに間違いなく彼らよりも時間がかかった。
自分が魔法の深淵の最も深いところにいるという自負はある。
そして自らを導く者がいないことに対する苛立ちも感じていた。
それだけに自分自らがヤーナムに行こうかとも考えたが、冒険者でない自分では予想される市街戦には向いていないと苛立ちは募るばかりだった。
「それにしても+A級ワーカーチームが使えなくなったのは痛いな、治安維持の騎士にはまた苦労をかけることになる…
だが…」
皇帝は報告書にある新しい王国のアダマンタイト級冒険者
”アンゲリカ・ブリューティヒ・ド・カインハースト”に関する報告書を指差した。
「南方から流れてきた難度100相当の大魔獣を使いこなすビーストテイマーだそうだ。
おまけに自信も相当な杖術の使い手だそうだ、テイマーらしく杖での護身とは顔同様に可愛らしいお嬢さんだ」
ジルの冗談に、騎士も苦笑いをする。
難度100の魔獣は確かに脅威だろう、恐らくは人類最強剣士のガゼフとも互角に近い戦いをするのかもしれない。
だが騎士からすれば戦術を理解しない魔獣は個としては脅威でも使い手を倒してしまえばいいという理屈もたつ。
魔術こそ最強の力だと信じているフールーダからすれば『フライ:飛行』からの『ファイヤーボール:火球』などで倒してしまえる。
いくら手強くとも人間の技と知恵には生半可な魔獣で対抗することはできないという自信があった。
「私は彼女を帝国に誘致しようと思う。
ガゼフは残念だったが、優秀な人材が野にはまだまだいることがわかって嬉しいぞ」
「別に構わんでしょう、それより”やーなむ”での調査は許可されるのですかな?」
「おい、爺。お前がいなくなったら誰が魔法省を運営するんだ?
心配するな、ワーカーならまだいくらでもいる。
それに王国を滅ぼしてからじっくり腰を据えて調査すればいいだろう?」
ジルクニフは王国を滅ぼすのはもはや確定している路線らしい。
…
「やれやれ、魔法の深淵を覗くのに必要とはいえ世俗に関わらんといかんのは気が乗らん」
フールーダは自室兼研究室にヤーナムの調査資料を持って来させたが、殆ど未知の魔法に関しては頼りにならなかった。
「せめて…儂にも師匠と呼べるお方がおればなぁ…」
自分では既に御伽噺の十三英雄を超えたという自負はある、だが彼らは八欲王の天空城からなにがしかのマジックアイテムを持ちけることを許され、自分はできない。
それが彼に嫉妬の念を掻き立てる、考えてもせんなきこととはいえ…
『Ooh!Majestic!You、Dreamer of Goth …or Gothm!(素晴らしい!ここにもゴース…あるいはゴスムを夢見る者が!)』
ゾッとするような狂気を孕んだ声が研究室の陰から聞こえる。
「な!何者!?」
ここは魔法省の中でも最重要な自室。
どんな者であろうと数々の防御魔法をすり抜けて気付かれずに入ることなど不可能!
陰から出てきたのは…奇怪な鳥の籠を被った奇妙な学生服(?)を着た中年の冴えない男だった。だがその目は明らかに狂気を宿している。
そして…
「な!?そんな馬鹿な!き…あなた…あなた様はどれだけの魔法を!?」
自らのタレントでわかってしまった、魔法使いとしての格が…違いすぎる。
このお方に比べれば自分の才能なぞ太陽を前にした蝋燭の灯り同然
今までの魔法の先駆者という自分の自負が崩れ去り、同時に喜びが湧き上がる。
『叡智を求める者、脳に瞳を望む者…祈れ、祈るのだ。
君はまだ思考の次元が低すぎるのか…』
すると謎の男はどこからともなく奇怪にして冒涜的な頭蓋骨を差し出してきた。
『このような安易な方法で啓蒙を得るのは薦められないが、まぁ初心者にはちょうどいいだろう。砕くのだ、そして真の啓蒙を授かる呼び水とするのだ』
凄まじい魔力を秘めた頭蓋骨!手にしただけでわかる、伝説級のマジックアイテム!
フールダーは躊躇うことなくマジックアイテム”狂人の智慧”を砕いた!
「お、おおおぉっさkぐさgんcvんb!見える!見えますぞ!これが啓蒙!これが思考の飛躍!
Oooooohhhhhhhhhhhhh!Majestic!(すごーい)」
これを機会に謎の籠の男をフールーダは師匠と仰ぐことになる。
ジルクニフは”魔法キチの爺がとうとう本物のキチになったか…”と胃を痛め髪がさらりと抜けたのを感じた。