おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました 作:溶けない氷
今日もドッタンバッタン大冒涜!
姿形も獣人屠殺 だから(血臭に)魅かれちゃうの!
チリンチリンと鐘が響きます、狩人を呼ぶ鐘が響きます。
お前の愛が欲しいと鐘が響きます、ああでもここに愛はありません
子供達が笑います、愛はなくても、恋い焦がれましょう!
「こっちこっち、うん匂い立つ。匂ってきたって
ここまで近づくと私にもはっきりと感じられるね」
蒼乃薔薇はシフがクンクンと匂いを嗅いで血が点々と続く森の中を抜けると、その、向こうはカッツェ平原が広がっています。
蒼乃薔薇の一行は歩いていますが、その足並みは
『ダイジョーブ、ダイジョーブ。幽愚怒羅死流(ユグドラシル)フレンズはみんな友達ダヨー』
そう言いながら銃に装填し、杖を磨き軽く振って切れ味を確認しました。
戦闘に入ったら殺しまくりましょう。
『でも、挨拶がわりにラキュース達をちょっとバラして犯すくらいはするかもしれないから油断しないで』
「全く安心できる言い方じゃないわよそれ!?」
アンジェの恋人のラキュースが玉のような悲鳴をあげます。
ラキュースは怖がらせたり厨二患者が好きそうな話をすると挿れた指を締め付けるので今や必須のテクニックです。
「なぁ、ぷれいやぁとは強大な力を持った存在なのは認める。
だが何故だ?何故、彼らは
(みんなが求めてるのは、ほのぼのメルヘンだから!こんなジュラシックパークじゃないから)
ヤーナムパークからT-REXやヴェロキラプトルよりやばい連中がどうやら少しづつこの世界に逃げ出しているようです。
ちなみに良好な関係を築くことは最初から諦めたほうがいい。
願いを叶えるとか巨万の富とかフロム的に考えると、間違いなく飛んで火に入る夏の虫だzo
ちなみにニグンは
「イーヒヒッッひひひ、くけけけけあははははっは!
自分は、自分はなんと愚かで矮小だったのかぁ・・・神だと!?
あんな矮小な連中を神と崇めていた自分の愚かさと無知蒙昧が今はただただ滑稽。
ああ、本当の神!我らが崇めるべき上位者であらせられるゴース・・・あるいはゴスムよぉ。
哀れな我らに瞳を与え給え・・・かの白痴の蜘蛛ロマにそうしたように・・・』
すごーい!ニグンおにーさん”も”脳に瞳を求めるフレンズなんだね!
ニグンはカッツェ平原をふらふらと啓蒙が上がった状態でうろついています。
ちょっと前まで両手両足がミンチ状態だったとは思えない元気さで、群がるアンデッドをかたっぱしから素手で叩き潰し今に頭がキノコになりそうなくらい賢くなりました。
すごーい!ニグンおにーさんは賢いねー!
『いーひっひひひひひ!ひゃーああははははっは!』
そもまま狂ったニグンはカッツェ平原を駆け抜けてどこへなりと行ってしまいました。
一方、ニグンに血液を注射したブラドーはうずたかい骨の丘の上で彼女を待っていました。
彼にとってはもうニグンもどうでもいい事、生きようが死のうが狂おうが獣になろうが知ったことではありません。
『・・・来たか・・・遅いじゃないか』
襲いかかって来たスケルトンを5,600体ほど砕いて作った丘の上から降りると
霧の向こう側からシフにまたがったアンジェと蒼の薔薇の一行が現れました。
ブラドーを一目見た、イビルアイは彼を目にするなり目を見開きガタガタと震えます。
(な!?馬鹿な馬鹿な!そんなことがあり得るのか!?アンジェと・・・互角だと!?)
一行の中では最もレベルが高いイビルアイは即座に悟りました。
アンジェは彼に敬意を表してシフを下がらせて会釈します。
彼もまた、医療教会の罪を償うために悪夢に死してなお囚われたのですから。
ブラドーもまた獣狩りの狩人の一人だと、メタ的にいうとLv100の近接ガチビルドです。
『こんばんは、いい夜ね。ねぇ、あなたはブラドーね?
姿似じゃない、私が4度狩って悪夢の中で確かに死んだと思ったけど?』
『こんばんは、月の香りのする狩人の”一人”。
夢の中で私を殺しきった狩人は多い。そして君も永遠に続く獣狩りの夜の中で確かに私が殺し殺された中にいた。
だから・・・・』
「「夢でまた会おう」」
そういうなりブラドーは槌を構えて突進し、アンジェも杖を構え銃を撃ちながら突進しました。
銃弾が脳天に当たるのもかまわずに突撃したブラドーが槌を振りかぶるが、アンジェが一歩下がってギリギリで回避。
ギリギリでしか避けられない、半歩多ければ返す刀でバッサリやられていたでしょう。
アンジェの意匠を凝らした服のレースが引き裂かれますが、それだけに留めたのが達人の領域の所以です。
そしてブラドーが返す刀を振り上げる前に杖で喉元を狙い、確実に殺せる攻撃を繰り出すが
ブラドーは逆に勢いよく突っ込んで腹で攻撃が出来上がる前に受け止める。
当然のように杖とは名ばかりの剣に腹が食い込むがそれで十分。
槌を今度は至近で振り上げるが、アンジェも一瞬の攻防の先を読み銃で彼の攻撃の起点の腕を撃ち逸らす。
それでもふり上がった槌の威力は凄まじく、アンジェの左腕に直撃した槌の威力もあって一撃で腕をズタズタのゴミ切れのようにしてしまった。
ラキュースが思わず悲鳴をあげるが、当の本人は気にした様子もない。
アンゲリカは左腕を損傷し、ブラドーは内臓破裂。
両者、痛み分けのように見えるが確実にブラドーが有利だ、痛みがないなら戦闘能力に直接響く腕は痛い。
あまりにも一瞬の攻防に蒼の薔薇は遠巻きに見守ることしかできない。
なぜなら、あの戦いに自分たちが割って入っても足をひっぱるだけ。
それが今の一瞬ではっきり分かるほどの超高速での展開だった。
だが、案ずるには及ばない。
狩人の決闘が長引くことはない、なぜなら大抵は一撃でケリがつくからだ。
「銃でのパリィを警戒して、あえて撃たせるなんて性格悪くなったんじゃない?」
「それはお互い様だろう、分かった上で撃ってるんだろ?」
お互い睨み合う二人、左手をなくしたぶんアンゲリカが不利なように見えるがこの程度の怪我は
内臓攻撃で治る。
攻防一体の大技である内臓攻撃を決めればこの程度は一瞬でひっくり返るのだ。
加えて、槌は大ぶりゆえ攻撃力と引き換えに躱されれば回り込むのも容易。
『ふむん・・・・実に不本意な結果ではあるが、どうやら邪魔が入ったようだ』
すると突然上空から名状しがたき物が降って来てアンゲリカとブラドーは瞬時に100mは飛び退くと同時に”それ”は降って来た。
巨大な幽霊船の残骸・・そう、カッツェ平原に出没すると言われる伝説のアンデッドだ。
だがその表面は元々ボロボロだったのが切り裂かれたかのようにズタズタとなり中の幽霊船長の姿も見えない。
すると、飛びのいていつのまにか姿の見えないブラドーの声が霧の奥深くから響いて来た。
『どうやら新米君は獣に落ちたようだな・・・・興が冷めた
まぁ、いい。
せっかく悪夢の続きを見ているんだ、今日の所は君と挨拶できただけで良しとしよう。
まだ物見遊山も済んでいないしな』
そう残して急激に彼の気配が引いていく。
蒼の薔薇一同は慌ててアンゲリカに駆け寄るが彼女は真っ青だ。
『アンジェ!?大丈夫!?』
ラキュースが抱え込むが、返事がない。
「強い・・・あいつ・・・強くなってる・・」
アンゲリカは薄れいく意識の中で狩人が体感したかつてよりも遥かに強くなったと感じた。