おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました   作:溶けない氷

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主人公
アンゲリカ・ブリューティヒ・ド・カインハースト
今は滅びたカインハーストの血族の遠い子孫らしい?
時計塔のマリアと髪が黒い以外は瓜二つ
彼女の先祖は顔立ちからもわかるように時計塔のマリアが産み落とした子じゃないかな?
時計塔のマリアは月の魔物を孕む前に何者かと子を成した
カインハーストを特徴付ける穢れた血の銀髪でなく
黒髪なのは人間である事を特徴付ける
以上のことからただの人間との間に生まれた子?
黒髪は東方から来たというカインハーストの人間の騎士に多かった
王族の傍系と仕える従者との間の子であれば忌子であった?
個人的にはマリアとゲールマン(壮年)との間の子供が先祖だったり
そういうことにしよう
ゲールマンはなぜ月の魔物に従うのか?
月の魔物は愛した人の子だから?
月の魔物はゲールマンになぜ狩人を獣の夜に呼び込ませ続けたのか

ここまで考えると、月の魔物(マリアの子)を殺したのが月の香りのする狩人(マリアの子孫)
そしてアンゲリカは上位者が失い求めた赤子の完成形・・・
なのだが、人間形態のまま狩人であり続けるのは獣の血の濃さゆえか
あるいは自我が物凄く強かったか
青ざめた血を求めたが、結局は赤い血の流れる人間であり続けた
こんな考察も面白いね
ビルゲンワースが人造上位者を製造する実験の過程で実験台となったのがあの実験棟の哀れな住人達?
マリアが崇められるのは、彼らの理想の完成形である月の魔物を産み落とした聖母だから?
老いた赤子を崇めるのは、ゴースが死んで蘇る漁村の住民にとっての救世主?なんていうかキリスト教とクトゥルフがごっちゃになってるな
おそらくはゴースが流れ着いた漁村の住民を冒涜的に実験台にしたのだろう
オドンの囁きによってマリアは子を成した
その忌子が月の魔物である
冒涜的な実験の後遺症か、血の聖女の特徴を遺す女性がヤーナムには多い
ヤーナム住民で擬似血族になるか実験した人の子孫?
閉ざされた街ゆえ血が濃くなって血の聖女の遺伝子的特徴が出た?
ヤーナムで上位者にならないか実験する、住民に上位者の血を流し込む
獣の病が大流行、隠蔽、その度に狩人を放り込む
ステージのラスボスにもなりうるメルゴーの乳母が守る赤子を殺させるため
月の魔物にとって疎ましい他の上位者の赤子を殺させるため
月の魔物は上位者としてより純粋な赤子を求め自ら上位者の上へと行こうとしていた?
月の魔物はマリアより生まれた人の子のため、より純粋な赤子の肉体によってより上位のオドンに近い上位者へと自らを昇華させようとしていた?
それをぶち壊したのがアンゲリカ
ヘソによって自ら上位者の赤子になった彼女は、しかし上位者を否定した
結局のところ、人の世をこねまわし利用し赤子を得ようとした上位者は自らを上位者と気取ってみても人と同じエゴに縛られた存在でしかなかった。
上位者も人もお互いを利用しようとした点は同じだった。
どちらも同じく人の世に獣の血の病をもたらした点では同罪
ならば存在すべきではない
アンゲリカは上位者でありながら上位者の性を否定する。

灰血病とは?灰色の血、上位者実験の副作用?
カインハーストの穢れた血と関係があるのか?

ゴースが流れ着く
人々から悩みや苦痛を取り除き、漁村の民が崇める
ビルゲンワースが注目し、ゴースを切り刻んで冒涜
住民で人体実験
カインハースト出の学徒が血を持ち帰る
更にヤーナムの民を使って人体実験 灰血病が蔓延
例えればヘソの緒をまとめて打ち込むような乱暴な実験?
灰血病は啓蒙に耐えられず上位者のなりそこないになる
隠蔽のため灰血病の治療と称して 血の医療を導入
今度は啓蒙低くなり 獣になる?
どちらも原因は人造上位者製造実験の失敗?
輸血袋は上位者の血を獣の血で薄めたのか?
原液の星の娘の血を薄めたのが輸血袋?

最初の狩人、ゲールマン ルードウィク ローレンスなどによる獣狩りが始まる
その目的はより上位者に近づいた人間を選別する医療協会による大規模な実験だった?
時計塔のマリア、ゲールマン 非人道的な実験に耐えられずも獣の病は既にこの時点で誰にもどうしようもなくなっていた。
マリア、実験棟にて獣の病を根本的に廃絶する治療を模索
その方法は人の中から獣の血を廃絶すること?
この時にマリアはオドンによって孕んだ
だが実験は成功せず、これ以上の蔓延を防ぐために実験棟そのものを悪夢の中に封鎖
ゴースの遺子はオドンが人間の肉体から上位者を作るマリアの実験とは逆に
ゴースの肉体から人間もどきを作ろうとした上位者の出来損ないだった
だがゴースは封じられ、上位者への道は絶たれた
後に訪れたマリアとゲールマンの遠い子孫であるアンゲリカによってマリア・ルードウィク・ローレンスは死んでなお囚われていた悪夢から解放される
ゴースとその遺子も海に還り、狩人の悪夢は終わった。

ウィレーム先生は血によるインチキ近道を良しとせず、人間自体の思索の発達によって上位者と伍する道を理想とした。

フロムは想像する楽しさもある。

今回は幻魔サキュロントさんに死んでもらいます
多重残像
本物そっくりの虚像を作り出す
メルゴーの乳母、結晶の古老、法王サリヴァーンといった超絶の業と比べれば児戯と呼ぶのもおこがましい。



Hunt 19 ケダモノ狩りの午後

「あらー迷っちゃった?イビルアイもいないし・・・どーしよ」

アンゲリカは王都見学をしていたらいつのまにか迷っていた。

店の売り物や町並みをうろうろしながら気の向くままにうろうろしていたらいつの間にやらイビルアイとも逸れてしまったようだ。

原因としてはアンゲリカが興味本位のまま歩いていたらいつのまにか屋根の上に登っていたりそのまま路地に降り立ったりと3次元、所構わずフリーラン状態だったのもあるのだが。

「ま、いいか。上に登って大っきいホテルの方向に歩いて行けばいいのよ」

そう思いながら、後で後でと置いておいたらいつの間にやら、薄汚れた狭い路地に入り込んでしまったようだ。

路地の状態から行ってこういう所は治安が良くないと相場が決まっている。

「君子、危うきに近寄らず・・・さっさと離れますか」

と、漫然と大通りの方へ進もうとしたところ大きな建物からどさっと麻袋が放り出された。

窓もなく、鉄の扉が開け離れていてなんとなしにヤーナムの陰鬱な倉庫街の建物を思い出させた。

 

(ゴミ出しかしら?)

アンゲリカはその麻袋に興味を持った、道端に死体が転がっていたら漁るのはフロム世界の人間の常識である。

それが腐った病気持ちの内臓でも、カビでも目玉でも女王の肉片でもホイホイポケットに入れちゃうのが狩人というものだ。

頭おかしい。

アンゲリカは麻袋にはいい思い出はない、ヤハグルの人攫いのそれを思い出させるからだ。

扉の外からは誰の姿も見えない、ゴミ出ししたらもう後は関係ないと言うのだろうか?

麻袋はわずかにもぞもぞと動いていたので粗末な麻袋に注意して近づいて裂け目を開いて見る。

不注意だろう、どこの宝箱だろうとまずは最大火力で殴るべきだと言うのに。

ホッとしたことに中身はミミックの新種でなく人間だった。

おそらくは半裸の女性だろう、やせ細り、殴打によって無数の痣が全身にあり顔は膨らみどんな面立ちだったのかも不明だ。

アンゲリカがどのような感想を抱いたかは不明だったが、

華やかな王都でゆったりした気分のいい夢を見ていたら

突然腐臭のするローランにワープさせられた気分だろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おい!何見てやがる!」

扉の奥から出てきた粗野な男が彼女に声をかける。

アンゲリカはその男を見る、どう見ても人間で獣ではないのだろう。

アンゲリカは酷く滑稽な気分になる

(人は獣であり、獣はまた人なのだ・・・だと言うのに・・ああ、どこもかしこも獣だらけだ・・・)

実に醜悪な面構えだ、これならギルバートの方がああなってもまだ人間らしい。

「何見てるって言ってるんだ!さっさと失せやがれ」

すると打ち捨てられた女性の枯れ木のような指が僅に動き、彼女の帽子がなんの弾みか落ちる。

アンゲリカの美貌を目撃した男の顔が好色な色に染まった。

「おい姉ちゃん・・・」

小走りにアンゲリカに駆け寄ろうとし、腕を伸ばそうとした途端、男は気づく。

肩から先を見ると、そこには美女を触ろうとした腕が彼女に逆に捕まっていたのだ。

「お!おい、何するんだ!離しやがれ!」

「ねぇ・・・これ・・あなたがやったの?」

彼女の氷のように美しい囁きに聞き惚れるが、腕は相変わらず全力で振り払おうとしても岩に埋まったかのように動かない。

「・・・・そう、まぁいいわ。どうせ気まぐれだし」

そう言って、アンゲリカは男の腕に軽く力を込めた。

普通の人間がマッチ棒を折るような力加減だが、男の腕はそれだけで軽く握りつぶされた。

ボキッ!ではなくグシャッ!という不気味な音が響き

ついで男の絶叫が通りに響き渡る。

「あぎゃぁぁぁっぁ!いてぇぇぇぁ」

悲鳴を聞きつけて建物の中からまた男が二人駆けつけ、腕を潰された男と美女を見つけわかったように顔を見合わせにやけた笑みを浮かべる。

 

「おいおい姉ちゃん、えらい事してくれたのぅ」

「そいつの治療代と稼ぎの賠償、機会損失で日に100金貨は損しちまうんだぜ。こいつは治るまで弁償してもらわんとなぁ」

二人の頭にはいつものこういう当たり屋的な考えが浮かんでいた。

今回の男の演技は口から泡を吹き、痙攣しているように見えて実に迫真の演技だ。

これなら彼女に言いがかりの借金を負わせて娼館に沈めてやる。

ついでに自分達もおこぼれに預かれるだろうとゲスな獣欲を滾らせる。

 

「どこもかしこも、獣ばかりだ・・・」

アンゲリカが冷酷な目で男たちを見ていることに気がつかない。

「あん?安心しなよ、きっちり体で払えるからy」

男がその先を言うことは永久になかった、

鞭へと変形したアンゲリカの杖が二人の男の頭蓋を綺麗に鼻から上へと真横に切り落とした。

「ひっ・・・ひっ・・」

目の前で繰り広げられた一瞬の殺戮を目にした腕折られた男が恐怖で痛みも忘れて後ずさる。

「貴様らも既にそうだったんだな・・・なら躊躇いはしない」

天使のごとく美しい麗人が杖を振りかぶる、それが男の人生最後の光景だった。

「ああ、そうだ。獣狩りじゃぁない、ケダモノ狩りだ。

ただの気まぐれ、ただの手慰みの暇つぶし。

嬉しいじゃぁないか、こんなエンタテイメントまで用意してくれるなんて

普通の街もなかなか捨てたもんじゃない」

 

・・・・・・

「サッ!サキュロントさん!大変です、助けてください!」

 

店の従業員が突然部屋に飛び込んでくると、男は嬲っていた女性の力加減を間違えて首を折ってしまったところだった。

首を折られて無事でいられるはずもなく、女性は惨めな一生から解放された。

 

「おいおい、いきなりノックもせずに入ってくるなよ。

おかげで・・・あーあ、またやっちまった。でも俺のせいじゃないからな」

 

首を折られた女をゴミのようにぽいと投げ捨てる

 

「わ、わかってます!でもそれどころじゃないんです!力を貸してください!」

 

「ったく、客に問題を押し付けるなよ。今度は何だ?」

 

客のサキュロントは王国を荒らす『八本指』の荒事専門『六腕』の一員。

表の世界で言えばアダマンタイト級冒険者にも匹敵する裏世界の伝説とも言える男だった。

性癖に問題があり、行為の度に相手を壊してしまうためそう言う獣欲を満たせるこういう店の常連でもある。

 

「とんでもなく強い貴族の女が暴れるんです!お代もいりませんし、金も倍払いますんで締めちまってください!」

 

「やれやれ、休日出勤とはね。ま、報酬もあるし腹ごなしの運動といくか」

 

そう言って着替え、余裕たっぷりに店のロビーに出ると

そこは血の海だった。

「こいつぁ・・・」

頭蓋骨を綺麗に切断されたもの、内臓が飛び出て中身が床一面に散らばった者、

脊髄を引っこ抜かれて逆さ吊りにされた者・・・

ロビーには血臭と死臭が充満している。

並みの人間なら光景を見ただけで吐きそうだ。

誰一人まともな死に方をしていない

ブラボ式な殺され方の一覧表の1ページくらいなら埋められるかもしれない

摘発される恐れが殆どない『八本指』の店とは言え、こういう店に付き物の強面の用心棒は皆殺しにされたらしくロビーはシンと静まりかえり、死体から垂れる血のポタポタという音だけが響いている。

 

そんな中で、一人優雅にロビーのソファに腰掛け紅茶のカップを片手に待っていた女がいた。

サキュロントは彼女の輝くような美貌に目をとめると

「こりゃ何とも別嬪さんだ。で、何してるんだい?」

すると女はカップを優雅な手つきでソーサーに置きテーブルに置く。

片手で杖をくるくると回すとこう答えた

「暇つぶし」

サキュロントはふうんと、考え込んだ。

目の前の小娘は最近、麻薬関係を叩いて回っている連中の仲間か?

いや、考えすぎか?

「ひまつぶし・・暇つぶしね・・・だがそれにしちゃやりすぎだ。

“幻魔”のサキュロント様が教えてやるぜ、格の違いってやつをよ・・」

相手がどの程度かはわからないが、それなりのゴロツキを皆殺しにした手腕はある。

そう言うなり前までの慢心を捨て、油断無く構える。

最初から全力を出した動きについてこれたやつはいない。

 

「多重残像!」

魔法の発動とともにサキュロントの姿が6つに増える。

それを呆れたような目で見ていたアンゲリカ。

「くっくっくっ、驚いているようだな。5体は俺の幻術で作り出した虚像。

どれが本物かわかるまい

さぁ、六腕で最も洗練された俺の殺しの腕前に怯えるがいい」

アンゲリカは身動きもしないのを、恐怖ですくんだと勘違いして続ける

「心配するな、殺しはしない。お前ほどの上玉なら客を取らせればすぐに建て替えることだって簡単だろうs」

その瞬間、サキュロントはバランスが崩れ地面に倒れ臥す。

「う!な、何が・・・いデェェェェェェ!俺の!俺の足がぁぁぁぁ!」

したことは簡単、目の前のバカがベラベラとくっちゃべっている間に

椅子から立つ、歩く、仕込み杖を振るう、戻る、座るをしただけだ。

ナメクジのように両足を切り飛ばされて這いずり回る目の前の男に合わせて虚像も這いずり回る。

「本当に・・・本当にくだらないお遊びね。ここまで失望したのは生まれて初めて・・・」

メルゴーの乳母、結晶の古老、法王サリヴァーン

いずれも実体を持った虚像を生み出す事すら易々と行う強敵だった。

幻魔?これで?玄米の間違いだろう。

「さぁさ、六腕とかならそれで終わりじゃないでしょ?

まだ足がちぎれただけでしょ?

かかってきなさい!!

使い魔達を出せ!

体を変化させろ!!

剣を拾って反撃しろ!

さあ狩りはこれからよ!!

お楽しみはこれからよ!!

ハリー!ハリーハリー!ハリーハリーハリー!」

鬼気迫る表情で中々難しい事を平然と要求する。

だがブラッドボーン世界では道端でありふれた事です。

「う、うわぁぁぁぁ!た、助けてくれぇぇぇ!」

 

だが、こいつは彼女の暇つぶしには応えられなかった。

それを見て彼女の顔に心底からの失望が浮かぶ。

「はぁぁぁぁぁ、本当に・・・本当にくだらない、つまらない奴」

そう言うなり彼女は懐から赤い鐘を取り出し鳴らす

チリリリリンと不吉な赤い音が鳴ると、ロビーのそしてサキュロント自身の血が集まり一箇所で形を作る。

『召喚:ブラッドボーン ハウンド』

血を媒介にして召喚されるどす黒い犬。

偵察、側面攻撃に使われるLv30程度の雑魚モンスターだがこの程度なら十分だ。

「お前は犬の糞のような奴だ・・・犬の糞になってしまえ」

心底呆れたアンゲリカが犬に掃除をしろと命令する。

 

「ギャぁぁぁぁ!」

自分と殺された者達の血から生まれた犬に生きたまま齧られるサキュロント。彼は不運だった、強者を自負しながらアンゲリカを一瞬たりとて楽しませられなかったのだから。

「やれやれ、興が冷めた・・・ケーキでも買って帰るか」

 

そして大騒ぎになる前に離れようとしたが少し遅かった。

建物を出るとそこには大勢の野次馬とへっぴり腰の衛兵達がいた。

従業員が通報したらしい。

「ああ、面倒だ。実に面倒極まりない」

やっぱり最初の三人とロビーの何人かを勢いのまま街灯に串刺しにしたのがいけなかったか。

 

 


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