おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました   作:溶けない氷

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思ったこと、あれ?
ブラボよりダクソの方が人気?
まぁ3部作だし、キャラの自由度はダクソの方が高いしね
更に言えばPS4限定だしね、仕方ないね
そしていい加減冒険を始めろ


Hunt 15 大道芸

翌日、アンゲリカは無事に面接を終え今度は実技の運びとなった。

 

「いい?あなたは皆には魔獣使い『テイマー』っていうことで登録してあるから

シフを上手く使いこなせてるって証明して見せてね」

ラキュースが

「えー、私は杖使いなんだけど・・・弓兵いないしアーチャーとかどう?」

そう言って『シモンの弓剣』を取り出して装備する。

仕込み杖、落葉、シモンの弓剣 いずれもブラッドボーン世界においては技量寄りの軽戦士の武器でありいずれも接近して殴る近接武器なので正確にはアーチャー兼セイバーといったところか。

弓で獣に挑むなどと余人は笑えど、水銀の矢は確かに有効である。理屈はともかく

 

アンゲリカとしては蒼の薔薇がスカウト2・タンク1・ヒーラー1・キャスター一の構成で

ここに自分が入るのならアーチャー枠か、それとも無難に前衛のセイバーだと思っていた。

 

「弓兵・・・うーん確かにそれもありっちゃありだけど・・

でも、剣や弓だと実技どうするのって事になるのよ」

 

ラキュースが心配するのはアンゲリカがあまりにも実力を公衆の面前で発揮しすぎる事だった。

過ぎた力は良い結果を生まないと、アンゲリカは前日にイビルアイとも相談した。

 

「いいか、”ぷれいやぁ”の力は嫌な話だが国家間の力関係をも覆しかねないんだ」

 

アンゲリカとしてはたかが個人で引っくり返るほどこの世界の国家の力とは弱いのかとも思ったが思い直す

「確かにそうね、過ぎた力を持てば人は馬鹿をやろうとするわ

イビルアイが長年隠れてたのも、そのせい?」

 

アンゲリカはかつて行われた国家解体戦争について思い出した。

プレイヤーがオリジナルの0.01%の戦闘力しか持たないとしても、

中世レベルのこの世界では相対的に同様かそれ以上の脅威となってもおかしくない。

美味しい目を見たのは企業の幹部連中で、その他の人々にしてみれば奴隷制度の復活だが

そんな事すら歴史からは消され、大衆には知らされない。

企業が支配する以前の歴史が消されれば、それ以外の政体を考えることもできない。

 

「ああ、私はもう利用されるのも危険視されるのも御免だからな。

今あいつらと旅をしているのは約束もあるが・・・それ以上に楽しいからだ。

アンジェにも楽しい思い出を作って欲しいからな・・」

 

と、イビルアイは遠い目をしてあの英雄の一人を思い出す。

「アンジェにも会って欲しいよ、リグリットと言ってな。

私の古い顔なじみで、十三英雄の一人。シフと同じ”えぬぴぃしぃ”らしいんだが」

 

アンジェはNPCがこの世界で自我を持つことを確認した。

宿屋を出てシフと共に組合へ出立するとき、勢いよく立ち上がったシフがうっかり厩舎の天井を突き抜けてしまい倒壊させてしまったのを見て、シュンと反省していた。

ゲームの中では10m近いシフでも犬小屋に入るし、オブジェクトを損壊させても反応はない。

だが現実と化した今では、何をするにも責任を持たなければならない。

物を壊してしまったのなら弁償で済ませられる。

人を傷つけたり殺したりすれば、当たり前だがそれは立派に犯罪だ。

ゲームみたいに衛兵にちょっと罰金を払って済ませられる問題ではない。

というわけで壊した厩舎は金貨を払って弁償した。

 

「というわけでアンジェはテイマー!いい?魔獣使いよ!

これならシフがくるっと回ってワン!と吠えれば合格だと思う!

絶対に街中で血塗れ内臓ぶちまけアクションを披露しなくて済むわ!」

 

ラキュースが心配していたのはアンゲリカの実力を証明するために誰かの・あるいは何かをバラバラ血祭りにあげるのではという事らしい。

確かにパリィ狙いの戦士では地味だから、誰かと対戦する羽目になりかねないが、宿の庭でガガーランと手合わせをした時にそれはやめとけと言われた。

「アタシも相当な力自慢だけどよ、アンジェのそれは桁違いだぜ。

見ろよ、木刀をはたき落とされただけだってのにまだ手が痺れやがる」

 

「ごめん、手加減はしたんだけど」

 

「はは・・自信無くすなぁ・・・でもよ、私だからこれで済んだけどミスリルのやつじゃ試合になったら勢い余って腕を折っちまうんじゃねぇか?」

 

アンジェはガガーランに言われたことを思い出し、自分が剣士として登録するとなったら腕前を証明するためにミスリル級の剣士と木刀とはいえ試合をしなければならないだろう。

そうなれば、嫌でも圧倒的な速さと力を備えた自分の力は注目の的となる。

冒険者の噂の広がりは早く、彼女を引き抜こうという者は国の内外を問わず現れるだろう。

 

「・・・・ん、わかったじゃぁ魔獣使いとして登録する。シフ、みんなの前で一回りしてお座りでもしてあげて」

「わふ!」

 

どうにかアンゲリカを魔獣使いとして認めさせた、これなら彼女自身から目を外らせるだろう。

 

・・・・冒険者組合前の広場にはアンゲリカの噂を聞きつけて大勢の野次馬や冒険者が詰めかけていた。

そもそも娯楽の少ない世界であって、新入りのそれもとびきりの美人で更に強大な魔獣を使役する彼女の噂は町中にあっという間に広まり、その野次馬目当ての露天商も店を開いていた。

 

「ええ、こんな大群衆の中でするの?」

 

「す!すみません!なにぶんお連れの魔獣が大きすぎて中庭に入らないもので・・・」

受付嬢は平謝りに謝っている、それまでは貴族のお嬢様が酔狂で冒険者をやるのだろうと思っていたが、実際に巨獣を連れてくるとその恐ろしさに竦み上がってしまった。

実際にアンゲリカにしても血の匂いが微かに漂う狩人の衣装ではまずいだろうと、カインハーストの騎士の装束に着替えていたのもある。

確かにあの格好でこの美貌では冒険者というよりは馬で遠出する貴族にしか見えないだろう。

 

シフは大きすぎて中庭に入らなかったので冒険者組合前の大広場で彼女が扱えることを証明してくれという要望だった。

「仕方ないなぁ・・・」

 

アンゲリカはシフに跨り、街中の裏通りの狭い袋小路から広場に姿を現す。

群衆のあちこちから『おお!』『なんという・・・』と感嘆の声が聞こえ

『なんて美しいお方なのかしら』『あのご令嬢が魔獣使い?まるでお姫様じゃないかね』

『なんでも遠方の国から来なさった王族のお方だそうだ』『それで蒼の薔薇が・・・』

と勝手な噂で盛り上がっている。

男装の麗人ということで物見高いこの街の民衆が詰めかけているのだ。

のっしのっしとシフが歩いて行き、組合前で待っている組合長や都市長の前にやって来た。

あまりの重量感と威圧感の前に誰もが蒼白になっているが、気を失わないのは大した物だと

アンゲリカは感心した。

その前でシフはお座りをすると、さっと降り立って判定員の前に立つ。

 

「さて?これで私がミスリル級に相応しいとお認めいただけたであろうか?

これ以上となりますと模擬戦以外に思いつかないのですが?」

 

全員がそんなとんでもない!ミスリル級でも貴方様には不足ですと口々に言う。

こんな魔獣と模擬戦なんて命が幾つあっても足りないと誰もが逃げ出すだろう。

かくしてアンゲリカのミスリル級冒険者への登録はすったもんだの末に認められ、大急ぎでプレートに名前が彫られた。

シフには冒険者組合の看板を外して作られた銅のプレートが送られた。

小さいのは嫌だったらしい。


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