この素晴らしい世界に魔王候補を!   作:モチモチ感
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第12話 この洞窟に一時の再開を!

暗い空間に蝋燭の火の光が怪しげに揺らめいていた。
白のチョークで描かれた魔法陣の中心で1人の少女は虚空に浮かぶ人物の映像と会話をしていた。

「どうじゃ?計画は順調に進んでおるかのう?」
「はい、例の物の所有者と位置を特定しました」

その映像には黒のローブに桃色の巻き髪と非常に特徴的であり歳をいた口調だが幼い容姿をした少女が映し出されていた。

「明日の午前に出発します。ご用意を」
「あぁ分かった」

蝋燭の火が消えると同時に魔法陣から放つ映像が消える。
少女は1人、暗い部屋で思う。









これで良いのか…?と。



「なんでよー!!!」

受付からアクアの衝撃を受けたかのような悲鳴で冒険者達の朝が始まった。
この光景も今では日常の一部となっている。

「…報酬の30万エリスが…檻の修繕費で差し引かれて2万エリスに…」

アクアが浄化のクエストでトラウマを植え付けられた日の翌朝、報酬を受け取りにギルドを訪れたが檻の状態がかなり酷かった様だ。
これでは宿屋代を含めても1日ともたない。
やはり知力と運のステータスが低いのが関係しているのであろうか。
後先考えないお金の使い方に努力しても報われない体質はもはや才能なのではないだろうか。

「よっしゃ!良さそうなクエストをまわしてもらったぞ!」

このパーティ唯一の男であり私を認めてくれた人、春日アラタはこんな状況を予知したのかまた新たなクエストを受諾してきたようだ。

「今日はリーガ洞窟に行くぞ」
「嫌です」

即答したのはめぐみんだ。
当初は衝突もあったが信頼出来る仲間だ。

「そんな場所では爆裂魔法を撃てないではないですか」
「すまないが今日は我慢してくれ」

ぷくっと頬を膨らませそっぽを向く。
こんな姿を見る限りまだまだ幼いなとつい思ってしまう。

「何ですかエルカ。人の顔を見てニヤニヤと」

おっと顔に出してしまっていた様だ。

「それと今日は臨時で1人このパーティに入ることになった」

今まで何処にいたのか突如隣に白髪の頬に傷のある活発そうな少女が立っていた。

「私はクリス、盗賊だよ。ごめんね〜みんなを驚かせようと潜伏スキルを使ってたんだ」
「クリス!久しぶりじゃないか!」

反応したのはダクネスだった。

「お知り合いなんですか?」
「あぁ、初めて出来た私の友人だ。最近は忙しいらしくてな。ろくに会っていなかったんだ」

1人増えるのか…
いや、大丈夫だろう。

「それじゃ明るいうちにとっとと終わらせようか」



「今回のクエストは昔盗賊に盗まれたペンダントを探してほしいってやつだ」

どうやら討伐メインのクエストではないらしく、洞窟内の魔物を倒しつつ進んでいくというのが今日の予定だ。
これならきっと…

「この中はアンデッドも多いらしいからな。俺とアクア、クリスとエルカの4人で進んでいく。狭いから魔法の扱いは避けた方がいいんだと。ダクネスはアークウィザード2人を守ってやってくれ。」

「よし、任された」

「ねぇめぐみんにダクネスさん!私トランプと人生ゲームとオセロとチェスと将棋を持ってきたの!…何して遊ぶ?」

「だからそんなに大きいリュックを背負っていたのですか?私は爆裂魔法の詠唱を考えているので1人で遊んでて下さい」

しゅんと落ち込み、涙目になるゆんゆんにダクネスが慌てて遊び相手になった。

「それじゃあ行ってみよう!」
「「「おー!!!」」」

クリスの掛け声と共に洞窟の中へと4人は入っていった。



洞窟に入って30分、今は順調に進んでいる。
クリスの潜伏スキルは対象に触れているその人にも効果があるのだと言う。
これのおかげで魔物と遭遇しても気付かれずに倒すことができる。
ただ妙にアンデッドが多い気もするけど…

「『ターン・アンデッド』ー!!」

アクアの魔法で次々と浄化されていっているお陰で苦にはならない。
これならレベル上げも順調に出来るだろう。

「ここは…」

一行は大広間に出た。
何も無い空間ではあるがどこか洞窟とは違う空気の流れを感じることが出来る。

「ちょっと、ここって行き止まりじゃない?」

アクアの言う通り入口以外に続く道がどこにも無い。

「多分、どこかにスイッチが隠されているんだよ」

私はここで仮説を立てる。
ここは元は盗賊の住処であり、宝物を隠すために扉自体を隠したのではないかと。
みんなはそれに頷き、壁や床を物色し始める。

「ソラ、イリヤ。何かあるか?」
「何も無いぞー」
「どうやら魔術を利用した仕掛けではないようです」

アラタは今1人の様だ。
これなら…

「ねぇアラタ…」
「?なんだよ」










「ごめんね」





ガタンッ!!





「「えっ!?」」

アクアとクリスが驚いたのはアラタとエルカのいる場所の床が突然穴が空いたからである。

「うおぉぉぉ!」

アラタと共に叫びながら奈落へ落ちていきながら私は思った。




後悔は…もう無いと…





「んっ…くっ…」

俺は…あぁ落ちたのか…
やべぇ身体が動かない…
血もたくさん出てる…


朦朧とした意識で見た光景はそれは有り得ないはずの景色。











「聖…?」

あの時、学園で戦った時の姿の春日聖がそこには居た。

「いきなり会って何ですけど…





さようなら」

ーー黒い魔法陣から雷撃がアラタ目掛けて放たれた。



前半から中盤はエルカ目線でのストーリーです。
次回への布石という事で…