この素晴らしい世界に魔王候補を!   作:モチモチ感
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気づけばUAが1万を超えてました。
みなさんこの作品を見て頂きありがとうございます。


第13話 この魔王候補に別れを!

無慈悲に放たれた黒雷は驚くほど真っ直ぐにアラタ目掛けて放たれた。
叫ぶ暇もなく、ただ見る事しか出来なかった。
衝撃と共に爆音が鳴り響き、砂煙が舞い上がる。
しかしその攻撃はアラタに当たることなく…

「…おや?何故あなたが?」

驚きながらも冷静さを欠かさない聖の目の前には、刀を構え相手を見据えるエルカだった。
どうやらあの魔術を打ち消したようだ。

「私達は神器の回収しか命じられていない筈だよ」

「ですが、私達の目的の一つは魔王の討伐です」

2人の間に異様に冷たい殺意が渦巻く。

「…ちょっといいか?」

どうしても言いたい事がアラタにはあった。
それは自分にとって最も重要な事。





「俺血の流しすぎで死にそうなんだけど」






何とかイリアに止血をしてもらい、ようやく話に入ることができる。

「つまり聖とエルカは知り合いだったのか?」

「この方はリベル学園の生徒です。そして福音探求会(イシュ・カリオテ)の一員でもあります」

それならルーグに変装していたのも知り合いだったからこそできるものだったのか。

「残念ながらルーグさんは今ビブリア学園に拘束中の為、代わりに私達でここへ出向くことになったのですが…」

学園長が偽物だと見抜いたのもこれで納得出来る。

「何故あの様な真似を?」

つまりアラタへの攻撃を代わりに防いだ理由を知りたいのだろう。

「この人は私を仲間として初めて認めてくれたんだよ。殺し屋としてただ依頼通りにこなす。そんな灰色な日常は、そんなのは…もう…」

エルカは涙ぐみながら吐き出すように感情をさらけ出す。
白い肌に1滴の涙の道筋が出来る。

「私は仲間を助けたい。その為なら…」

刀を聖に向け、臨戦態勢へと入る。
するとため息を吐きながらやれやれといった表情で、

「まったくアラタさんは次々と女の子を口説いていくんですから、末恐ろしいです」

何故俺が貶されるんだ?

「分かりました。ひとまずここは貴方に免じてアラタさんを殺すのは辞めにしましょう。…その代わり私と一緒に元の世界に戻りましょう」

「断ったら?」

「ここで戦います。全力を持って」

トリニティに達している聖と戦う。
それはエルカとアラタにとっては決して無事では済まされないだろう。
トリニティセブンのみんなと力を合わせて勝つことが出来た相手に挑むのは得策とは言えない。

「アラタが助かるのなら…私は行く」

おそらく魔力で作り出していたであろう刀が光の粉のように消える。
それを見た聖は自分とエルカの床に魔法陣を出現させる。

「ま、待て!2人とも!」

「また、お別れですねアラタさん」

「楽しかったよアラタ。それこそ少ない時間だったけど…」

立ち上がろうにも足に力が入らず、そのままもつれ込み倒れてしまう。

「俺はまだ、お前のこと何も」

知らないんだ。
この言葉をいう前に2人の姿は無くなっていた。



目を覚ますと知らない天井がそこにはあった。
身体を起こすと布団に少しの重みを感じた。

「すこー…」

アクアがベッドを机代わりして寝ていて、ソファにはめぐみん、ダクネスが眠っていた。

「あっ、やっと気づいた」

扉を開けて入って来たのはクリスだった。
彼女の話を聞くと、どうやらここはギルドの医務室らしい。
気を失っていたアラタを引き上げ、ここまで担いで来たのだという。
クエストについては何故かポケットに盗品が入っていた為、一応クリアしたようだ。

「それじゃこいつらは俺が目を覚ますまでずっとここにいたのか」

「うん。…でも奇跡的に生きてるのにはその2つの本のお陰じゃないかな。その2つは君が寝ている間、治癒力を高めていたみたいだね」

この2人にも何かと世話になっているな。
後でみんなには何か奢ってやろう。

「それじゃ私は別の仕事があるからここで。お大事にね」

「あぁ、ありがとうな」















「あれ?クリスにイリアとソラのこと話したっけか?」