ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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ス「皆さん、おはこんばんちわ!!スバル・ナカジマです!!」

ティ「ティアナ・ランスターよ…ってスバル、何よその挨拶?」

ス「いや~、読者の皆さんがいつ読むか解らないから、挨拶どうしようと考えて…全部混ぜてみた!!」

ティ「はぁ~…アンタはまったく…」

ス「えへへ~♪」

ティ「褒めてないわよ」

ス「そういえば、今回から作者さんの別作品キャラが出るんだっけ?」

ティ「ええ、なんでも魔法とは違う力を持ってるそうよ」

ス「どんな人達なんだろうね?会うのが楽しみだな~♪」

ティ「なら、そろそろ本編を始めましょ?」

ス「うん!!…と、いうことで!!」

ス・ティ「「ゲームの力でこの世界を生きていく、リリカルなのはVivid編…始まります」」


刺激求める巨大Monster

一誠side

 

ミッドチルダの空港を出て4時間…俺達はカルナージと呼ばれる次元世界の空港に到着した。

 

「ふぅ……ようやく着いたか」

 

俺は船を降りたらすぐに体を動かす。すると、関節がゴキゴキと音を鳴らす。

 

やっぱジッとしてるのは性に合わないな…早く思いっきり体を動かしてぇぜ。

 

そして後から曜や月、パラド達も船から出てくる。

 

曜はヴィヴィオ達に俺達の世界について話していたけど、途中で顔が赤くなってたが大丈夫か?

 

月の奴はミッドチルダの空港で出会ったナカジマやランスター、ルシエなんかと話していたな……たぶん、ガールズトークかなんかだろ。

 

んで、パラドの奴は俺の隣に座ってたんだが……

 

「はぁ~…次元を越えるって言うから景色を楽しみにしてたのに、紫一色だけとか…シラケるなぁ…」

 

さっきから外の景色に対して、ずっと愚痴っていた…

 

「おい、少しは静かにしろ。さっきから同じ事をグチグチと…」

 

「だってよぉ!!」

 

「だっても何もねぇよ!!いい加減黙っとけ!!」

 

「兵藤さん、抑えて抑えて!?」

 

軽く注意しても反省しそうにないパラドにキレる俺だが、モンディアルによって止められる。けど、それで俺の怒りが収まるわけがない。

 

あの愚痴を4時間、隣でずっと呪詛みたいに聞かされる俺の身になれ!!煩くて全然寝れなかったんだぞ!?

 

「はいはい、イッセー君もグチグチ言わないの。ほら、なのはさんがそろそろ出発するって」

 

「チッ…!!わかったよ」

 

曜に急かされた俺は仕方なく怒りを収める。おいパラド、曜に感謝しとけよ?

 

「彼、あの子の言うことは聞くのね?」

 

「本人達は認めないけどボクから言わせれば、ほぼほぼ恋人みたいなものだね」

 

「「恋人じゃないッ!!」」

 

「あ、息ピッタリだ♪」

 

「でしょ♪」

 

そんな月とランスターの会話に、俺達は揃ってツッコんだが、ナカジマから見たら余計にそう見えてしまったようだ。

 

後で覚えてろよ月…!!お前のトラウマに俺の拳を刻み込んでやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからなのはの案内で、一行はホテル・アルピーノに到着。メガーヌとルーテシアに前日入りしていたノーヴェと、他にも2人の男性に出迎えられた。

 

「皆さん、ようこそいらっしゃいました」

 

「皆、久しぶり♪」

 

「ご無沙汰してます、メガーヌさん」

 

「ルールー、久しぶり!!」

 

「うん、ヴィヴィオ♪キャロは少しは背ぇ伸びた?」

 

「もちろん!!0.8㎜もね!!」

 

「…………それ、誤差じゃないの?」

 

「違うもん!!絶対伸びてるもん!!」

 

「いや、アタシは誤差だと思うわよ?」

 

「私も~」

 

「ごめんキャロ……僕もそう思ってた」

 

「ティアナさんとスバルさんにエリオ君までッ!?」

 

「コーチはどうして先に?」

 

「アタシはお嬢の作った施設の下調べだよ。何か特訓に使えないかとね」

 

顔馴染み組が挨拶している中で、なのはがメガーヌに一誠達を紹介する。

 

「それでメガーヌさん、この子達が連絡した次元漂流者達の子で…」

 

「渡辺 曜です」

 

「渡辺 月です!!」

 

「俺はパラドだ」

 

「…兵藤 一誠ッス」

 

「あらあら、私がここの責任者の【メガーヌ・アルピーノ】よ。こっちが娘のルーテシア」

 

「初めまして、ルーテシア・アルピーノです。よろしく♪」

 

そうやって紹介している中で、リオが男性達に話しかけけ、全員の視線が2人に向けられる。

 

「それで……お二人は誰なんですか?」

 

「私は【クレナイ・リョウ】といいます」

 

「俺は【リク・ナスターシャ】だ。ヨロシクな!」

 

背の高い男…リョウは落ち着きのある声で、リクは元気よく挨拶する。

 

「お二人はある探し物でこの世界を訪れていて…今はウチに下宿してるの」

 

「へぇ~…何を探してるんですか?」

 

「それはまだ内緒です。後で皆さんにも協力してもらえたらなと思ってはいますが…」

 

そう言ってリョウは口に人差し指を持っていく。

 

「リョウさんは食堂経営もやってて、料理がスッゴく上手よ。ここ最近は殆んどリョウさんのご飯ばっかり食べてるし」

 

「ホントッ!?」

 

ご飯の話に食いつくスバル。彼女の食事量にリョウ達が驚くのは……もうすぐである。

 

「それじゃ、荷物を置いたら遊ぶ組と訓練組に別れて動くよ。兵藤君達はどうする?」

 

「俺は当然、訓練組で」

 

「「「ええッ!?」」」

 

なのはの質問に真っ先に答える一誠に、スバル以外の元六課メンバーは驚きの声を上げる。なぜなら彼女達はなのはの訓練がどれだけキツいかを知っているからだ。

 

「止めときなさい!!アンタ、死にに行くようなものよ!?」

 

「そうですよ!!無茶はいけません!!体を大事にしてください!!」

 

「もう少し考えた方が…!!」

 

「ほぉ~?そこまで言われたら、余計にやってみたくなったぜ」

 

「「「うそ~ん…」」」

 

ティアナにエリオ、キャロは止めようとするが一誠には逆効果だったらしく、余計にやる気を漲らせる。

 

「…………3人には特別メニューが必要かな?」

 

「なのはさん、皆も悪気があった訳じゃないので手加減してあげてください…」

 

そして3人の言葉に、なのはが額に青筋を浮かべるがスバルが何とか宥めようとしていた。

 

「私は一誠君が暴走しないように見てるために、訓練組にします。参加はしませんけど…」

 

そして曜も、一誠の補佐の為に訓練組にすることにした。

 

「んじゃ、俺は遊び組!!」

 

「あ、ボクも!!」

 

逆にパラドと月は、遊び組を選んだ。

 

「それじゃ訓練組は、着替えて10分後にここに集合ね」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺は借り物のジャージに着替え、集合場所に行くと既にモンディアルが待っていた。

 

「あ、兵藤さん。早いですね」

 

「そうか?普通だろ」

 

俺より先に来てる奴に言われてもな……

 

それからモンディアルと話している間に全員揃い、訓練スペースに向かった先で見たものは…

 

「「おお…!!」」

 

とてつもなく広い広場に、トレーニング道具やアスレチック的な訓練施設が所狭しと並べられていた。他にも模擬戦用なのか障害物が置かれたバトルスペースなんかもあり、俺と曜は呆気に取られていた。

 

なんだこりゃ……そこらのスポーツセンターより、遥かに充実してやがるぞ…?

 

「うわ~、ルーちゃんまた増やしたんだ?」

 

「当然でしょ?私の建築スキルは止まる事を知らないわ!!ガリューも手伝ってくれたし」

 

「にゃはは♪これはやりがいがあるね。それじゃ、まずは肩慣らしに外周のランニングから始めようか。とりあえず……20周からね♪」

 

「「「え…?」」」

 

「ここを20周が肩慣らし…?」

 

そう楽しそうに言う高町さんだが、1周1㎞はありそうな広場を20周を肩慣らしと言うのに、曜は唖然とし俺は内心同意した。

 

何時もは町を何周も走ってるから、確かに肩慣らしだな。

 

「よーし、頑張るぞー!!」

 

「そんくらいなら、楽勝だな」

 

「「「いいッ!?」」」

 

「それじゃ……スタート!!」

 

俺達の反応を他所に、走り出す高町さんの後を俺とナカジマ、続けてランスターにモンディアルとルシエが追いかける。

 

そして1時間後……

 

「「ぜぇ…!!はぁ…!!ぜぇ…!!はぁ…!!」」

 

「はぁ…!!はぁ…!!」

 

20周が終わると、ランスターとルシエは地面に四肢を着いて息を切らし、モンディアルも立ってはいるが呼吸は荒い。そして俺とナカジマはというと……

 

「いや~、いい運動だった♪」

 

「なんだ、思ってたより短かったな」

 

全然余裕で立っていた。

 

これくらいなら、いつものトレーニングの方がまだ辛い方だ。

 

「スバルは…ともかく…!!なんで……彼も…余裕……なのよ…!!」

 

「す……スゴい…………デス」(ガクッ)

 

「普段から、どんな特訓をしてるんだろう…」

 

なんかランスター達から奇異の視線を向けられているが無視し、ナカジマからは何故か感心するような視線を向けられた。

 

「スゴいね~、初めてでなのはさんの訓練に耐えられるなんて」

 

「まぁ、自分なりにトレーニングしてましたから…」

 

「それってどんなの!?」

 

「ええっと…」

 

とりあえずナカジマに、俺が普段からやってるトレーニングメニューを教えると……

 

「……………………兵藤君って、本当に人間?中身が機械じゃなくて?」

 

「純粋種な人間だよ、コンチクショー」

 

やはり人外扱いされた…

 

何でだよッ!?人を2人ぶら下げて片足の親指だけでスクワット左右10000回とか、背中に3人乗せて片腕の親指だけで腕立て伏せ左右10000回とか、ルシファーの所にある重力制御室で100倍の重力の中で技の練習とか、100㎏の重りを両腕両足に着けて町内30周とか普通だろ!?俺がおかしいのか!?

 

「にしても、兵藤君の筋肉の付き方って……もしかして、格闘技とかやってるの?」

 

「いや、我流の喧嘩殺法っすけど?」

 

「へぇ~……ねぇねぇ、私と手合わせしてみない?私も格闘専門なんだけど、我流の人ってあまりいないからどんなのか気になって…」

 

そこで、ナカジマから面白い提案をされた。そして俺にそれを断る理由はない。

 

「当然、受けた勝負は買いますよ」

 

「それじゃ……なのはさーん!!ちょっとお話がー!!」

 

「んー?どうしたの?」

 

俺が受けると、ナカジマはすぐに行動に移した。高町さんも息絶え絶えなランスター達の姿を見て、3人の休憩と俺の指導方針を見る為に許可を出した。

 

そしてバトルスペースで俺とナカジマは両手にグローブを填め、腕には体力を示すカウンターを付けて向かい合う。

 

「全力でいくからね!!」

 

「寧ろ、手を抜いたらその場で潰してやるよ!!」

 

「それでは、兵藤一誠君VSスバル・ナカジマの模擬試合を始めます。ルールは腕にあるカウンターが0になったら負け、魔法の使用は禁止、時間は10分……それでは、始め!!」

 

高町さんの合図と同時に俺は全力で飛び出し、一気に距離を詰めて飛び膝蹴りを放つが、それはナカジマのクロスした両腕に防がれる。

 

「チッ!!」

 

「今度は……コッチだよ!!」

 

防がれた事に舌打ちする俺に、着地の隙を狙ったナカジマの拳が襲い掛かる。

 

だけどなぁ…!!

 

「そん程度ッ!!」

 

俺はそれを左腕で打ち払う。それによって着地のバランスを崩して倒れそうになるが、逆にそれを利用して回し蹴りを繰り出す。

 

「うわっと!?」

 

奇襲めいた攻撃だったが、ナカジマはそれをギリギリで回避して距離をとり、俺は蹴りの反動で体勢を立て直す。

 

「危なかった~…ちょっと無茶苦茶過ぎない?」

 

「それがどうしたってんだ!!」

 

「それなら…!!」

 

俺は再び駆け出し、ナカジマへと接近する。対してナカジマも俺へと向かってきた。

 

そこから始まるのは格闘戦の醍醐味である、超至近距離での攻撃の応酬だ。放たれる拳を受け流しては殴り返し、繰り出される蹴りを防いでは蹴り返す。それを1秒の間で何回も繰り返す。そんな気を抜けない攻防の中で、攻撃が決まらない事に俺は苛立ちを募らせる。

 

「このッ!!」

 

「え…うわッ!?」

 

ナカジマから突き出される拳を掴み、そこから背負い投げで投げ飛ばして、距離を作って息を整えた。

 

「ふぅ~……」

 

「よっと!!」

 

残念ながら華麗に着地されてダメージにはならなかったが、休息は充分取れた。

 

さぁて……こっからが本番だぜ?

 

「シッ!!」

 

俺は再び駆け出して、飛び膝蹴りを放つ……と見せかけて、曲げていた足を思い切り振り上げる。

 

「ッ!?この!!」

 

それは上半身を反らす事で避けられ、反撃しようとしてくるナカジマだったが、俺の攻撃はまだ終わってねぇ!!

 

「まだまだァッ!!」

 

「うひゃッ!?」

 

振り上げていた足を今度は思い切り振り下ろし、踵落としを繰り出す。これも避けられるが、足が地面に落ちた事で砂煙が舞い上がり、ナカジマの視界を一瞬奪う。この隙に俺はストラトスに放った寸頸を使うために、ナカジマの腹に手刀を突きつける。

 

(ここだッ!!)

 

「ガッ!?」

 

そして無防備な彼女に寸頸が決まる。だが、ここで予想外な事が起きた。

 

「くっ…!!ゼリャアッ!!」

 

「なッ!?ガハァッ!?」

 

確実に決めたにも関わらず、ナカジマは少し下がっただけで、すぐに反撃してきた。大抵は一撃で潰せる技を受けて、反撃してくる事への驚きと繰り出した直後による硬直で反応の遅れた俺は、ナカジマの拳をもろに喰らって吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

「イッセー君!?」

 

私はイッセー君とスバルさんの手合わせをティアナさん達と一緒に見ていて、吹き飛んでいくイッセー君を見て声を上げた。

 

これってマズイかもしれない!!イッセー君が燃え上がらなければいいけど…

 

「馬鹿スバル!!アンタ、全力で殴ったわね!!」

 

「わわッ!?だ、だいじょ…「ククク…アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」……へ?」

 

スバルさんが慌てて駆け寄ろうとした時、瓦礫の中からイッセー君の笑い声が聞こえてくる。

 

「え?……え?」

 

「アッハハハハハハハハハハ!!あ~…面白ぇ」

 

困惑するスバルさんを余所に、瓦礫から出てくるイッセー君。その顔は心底楽しそうに笑っていた。

 

「あちゃ~……やっぱり火が着いちゃったか…」

 

「ちょッ!?彼、どうしちゃったのよ!!」

 

「ちょっと、闘争心に火が着いちゃったみたいで…」

 

私がティアナさんに話している間に動き出したイッセー君は、ナカジマさんへと拳を繰り出そうとして…

 

「はい、時間だよ」

 

2人の間に入ってきたなのはさんのバリアで、それは防がれた。

 

「それにやる気を漲らせるのは良いけど、模擬戦ではやり過ぎだから…いい?」

 

「………………………………はぁ、了解ッスよ」

 

最初はそのままイッセー君がなのはさんに殴りかかるかと思っていたけど、そんな事はなくアッサリと終わりにした事に私は驚いていた。そして装備を外すイッセー君の元へ行き、理由を聞くことにした。

 

「ねぇ、なんであのまま続けなかったの?」

 

「あのままやってたら……俺は高町さんに潰されてたからだ」

 

「へ?」

 

彼からの答えは、私が困惑するのに充分なものだった。

 

あのなのはさんが?どう見ても優しそうなお母さんで、頼れる上司っぽいあの人が?

 

「ククク…!!ありゃ、トンデモねぇ奴だぞ。1度、全力で相手してもらいてぇぜ」

 

「まったくもぉ~…」

 

そして、なのはさんに怒られたにも関わらず、まったく反省してないイッセー君に呆れていたら…

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「あん?」

 

「な、なに!?」

 

私の耳に変な音が聞こえてきた。それはどんどん大きくなってきていて、聞こえてくる方向……空を見上げると、大きな火球が落ちてきていた。

 

「ありゃあ……隕石か?」

 

「すごく大きい……もしかして、地表に落ちるかな?」

 

全員でそれの行方を見守っていたら、大きな爆発音と共に隕石が4つに砕ける。そしてその破片全てが私達のいる場所から、おおよそ5㎞の範囲に落ちる。

 

「ッ!?皆、障壁展開!!衝撃波に備えて!!」

 

なのはさんの指示が飛び、私とイッセー君の前に来たなのはさんが全方位型のバリアを貼ってくれる。そのすぐ後、暴風と轟音が私達を襲う。

 

「キャア!?」

 

「く…!!」

 

風は障壁が防いでくれるも、轟音と地震は防げず怖くて声を上げちゃったけど、イッセー君が抱き締めるように守ってくれたから、そこまで恐怖はなかった。

 

そして風と地震も収まり、なのはさんは安全を確認しながら障壁を解除する。

 

「エリオとキャロは2人をロッジに送りつつ向こうの安全確認!!スバルとティアナは私と一緒にヴィヴィオ達のとこ…「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」ッ!?な、何ッ!?」

 

すぐになのはさんが安全確認の指示を出すけど、その途中で大きな獣の雄叫びが鼓膜を揺らした。そしてそれは……落ちた隕石の方から聞こえてきた。そして規則的な振動が足下から伝わってくる。まるで……巨大な生物が歩いているような……

 

そして私はこの感覚を知っている。以前、異世界のイッセー君が来たときにやって来た時、現れた存在と同じだったから…

 

「今の雄叫びは…!?」

 

「この振動……此方に近づいてきてます!!」

 

そして地震が一際大きくなった時、顔を覗かせたのは……4体の巨大な生物【怪獣】だった。

 

その怪獣には見覚えがあり、1体は海老と蟹を混ぜ合わせたような姿の【宇宙海獣 レイキュバス】、2体目は紺と赤の体に金のラインが入り、両腕は鋭い鎌で胸には水色の水晶体が3つある【宇宙戦闘獣 超コッヴ】、3体目が青い体に白い体毛が生え、オレンジの爪を煌めかせる【豪烈暴獣 ホロボロス】、そして4体目が赤と黒の体に頭や腕、尻尾から刃を生やした【最凶獣 ヘルベロス】だった。

 

「な、なんでウルトラ怪獣が此処に…!?」

 

「とにかく逃げるぞ!!」

 

「ひゃあッ!?」

 

パニックで動けなくなった私を、イッセー君がお姫様抱っこで抱えてその場から離れる。そのすぐ後、怪獣達が周囲に対して攻撃を始める。吐き出される炎や光弾が森や大地を焼き払い、爆風や炎の熱が私達を襲ってくる。

 

「エリオとキャロは2人を連れて脱出!!スバルとティアナはその護衛!!」

 

「なのはさんは!?」

 

「……何とかアレの進行方向を変えてみる」

 

そう言うと、彼女は魔法を使ったのかジャージから白い服装に変わって飛翔する……

 

「ウオオオオオオオオオオオオン!!!!」

 

「え!?はや……キャア!?」

 

が、彼女に気づいたホロボロスが巨体に似つかわしくない速さで彼女に近づき、その腕で吹き飛ばした。

 

「「なのはさんッ!!」」

 

その光景に叫ぶスバルさんとティアナさん。このままだと、地面に勢いよく叩きつけられ大怪我は免れないと思ったその時…

 

「ふっ…!!」

 

「よっ…!!」

 

2つの影が私達の横を通り過ぎ、なのはさんを抱えて着地した。

 

「あれは…!!」

 

なのはさんを受け止めた2人は……

 

「どうにか間に合いましたか…」

 

「さすがにギリギリだったけど…」

 

さっき紹介されたクレナイさんとナスターシャ君だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「え?あ、はい…」

 

「ここは俺達に任せて、早く避難を!!」

 

「それなら2人も…!!」

 

なのはを下ろした2人は前に立ち、リョウは左手に取っ手の付いたリング型のアイテム【オーブリング】を、リクは右手に赤と黒で彩られたスキャナー型のアイテム【ジードライザー】を握り締める。

 

「アレを倒すのは……私達の仕事ですから」

 

「え?」

 

「リク、いきますよ!!」

 

「ああ!!ジーっとしてても…ドーにもならねぇ!!」

 

そのリクの言葉で、リョウとリクが光に包まれる。その光の中でリョウは緑色の宇宙空間のような場所【インナースペース】で一枚のカードを手にする。そこには青と銀の体の巨人【ウルトラマンコスモス】が描かれており、そのカードをリングの中に翳す。

 

「コスモスさん!!」

 

『ウルトラマンコスモス』『ハァ!!』

 

するとカードが青い光の粒子となり、羽のエフェクトを纏いながらリョウの左後ろに飛んでいき、1つに集まって実体化する。そして次に取り出したカードは赤と銀のサイバーチックな姿に耳にはヘッドフォンみたいな丸い突起、胸にはXの形をしたカラータイマーを持つ戦士【ウルトラマンエックス】が描かれていて、それを読み込ませる。

 

「エックスさん!!」

 

『ウルトラマンエックス』『イーッ!!サーッ!!』

 

そのカードは金色の粒子となって、羽のエフェクトを纏いながらリョウの右後ろに集まって実体化する。

 

そして左手を胸元に持ってきた後、両手を右腰に素早く移動させ…

 

「優しさの力、お借りします!!」

 

そう決め台詞を口にして、左手を上に突き上げて持ち手のボタンを押すと、リング下部の装飾が左右に開き力を解放する。

 

『フュージョンアップ!!』

 

するとハープの奏でるメロディの中、コスモスが青・エックスが黄色のオーラを纏い、光に包まれているリョウと重なる。その光が散っていくと、そこには腕や脚が青く胴回りは赤と銀の近未来的な模様に水色に輝くO型のカラータイマー、頭には左右に赤い冠に額には青色に光る水晶体が付いた姿となる。

 

これがクレナイ・リョウのもう1つの姿。暴れまわる怪獣や侵略にやって来た宇宙人と戦う為の力。その名も…

 

『ウルトラマンオーブ・フルムーンザナディウム!!』

 

「ジュワッ!!」

 

ウルトラマンオーブである。

 

「私の名はオーブ…優しき光で、心を繋ぐ!!」

 

 

 

 

そしてリクは青いインナースペースで1つのカプセルを正面に突きだす。そこにはリョウの変身した別の姿、ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンが左手を上に掲げた姿で描かれている。

 

「融合!!」

 

そのカプセルを起動させると、先端から紫色の光が溢れリクの右隣で紫色の光球を左手を上に掲げたウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオンが実体化する。

 

『ジュヤアァァ!!』

 

そのカプセルを、左腰に付けられたアイテム【装填ナックル】の2つあるスロットの片方に装填する。

 

そして次に顔の左側に持ってきたのは、右手を突き上げ赤と銀の体に菱形のカラータイマー、そして額から後頭部にかけて赤いラインが入った顔が特徴の戦士【ウルトラマンメビウス】が描かれている。

 

「アイゴー!!」

 

それを起動すると白い光が溢れ、リクの左隣に白い光球を突き上げた右手に掲げたウルトラマンメビウスが実体化する。

 

『セヤァッ!!』

 

それを装填ナックルに入れると、右手のジードライザーを正面に翳してトリガーを引く。

 

「ヒアウィゴー!!」

 

腰からナックルを外し、その上からジードライザーでなぞってスキャンしていくと、DNAの二重螺旋状を模した発光部が紫と白に輝く。

 

『フュージョンライズ!!』

 

「掴むぜッ!!絆!!ハアァァァ…ハッ!!」

 

決め台詞からジードライザーを顔前に持っていった後、頭上に掲げてから一気に胸元に持っていきトリガーを引いた。すると発光部が緑色の光を放つ。

 

「ジィィィィィィィィィドッ!!!!」

 

『ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオン!!ウルトラマンメビウス!!』

 

ジードライザーがカプセル名を呼ぶと、リクの左右に再びオーブとメビウスが現れてリクと重なる。その時、一瞬だけリクの姿が父親であるウルトラマンベリアル・アーリースタイルと似た姿に変わった後、赤を基調に銀と紫の体に両腕や両足、肩や耳などに金色の装飾を纏い、左腕にはメビウスブレスに似た籠手を装着し、水色のつり目の顔のウルトラマンへと変わる。

 

これがリクの戦う姿。どんな困難や絶望にも勇気を持って立ち向かう戦士。その名も…

 

『ウルトラマンジード!!ブレイブチャレンジャー!!』

 

「ハァッ!!」

 

ウルトラマンジードである。

 

4体の怪獣を前に並び立つ2人の巨人に、一誠と曜は唖然とする。

 

「嘘……オーブにジード?」

 

「この世界にもいたのかよ…!!」

 

かつて別世界のオーブとジードを見た2人でも、別世界で再び会うとは思ってもいなかった。しかも、2人の姿はテレビで使われていたものではなく、ゲームでのみ使われている姿なのだ。

 

「ちょ…!!何が起きてるのよ!?」

 

「私に言われてもわかんないよ~!?」

 

「……カッコいい」(ボソッ)

 

「エリオ君が目をキラキラさせてる…」

 

「とりあえず此処は2人に任せて、私達は下がるよ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

「俺達も避難するぞ!!」

 

「うん!!」

 

スバル達も予想外の連続にパニック状態(約1名興奮状態)になるが、なのはの指示に素早く行動を開始。一誠も曜を抱えた状態で走り始める。流石の彼も、ライダーでは怪獣に勝てない事は理解していた。

 

「…………ッ!?アレは!?」

 

「え?……ッ!?」

 

急いでロッジのある方へ向かおうとした時、一誠と曜はあるものに気づいた。それは、新たに落ちて来ている隕石だった。しかも、その落下地点はパラドや月、ヴィヴィオ達が向かった場所だった。

 

「…………曜」

 

「うん……気をつけてね?」

 

一誠の言葉に全てを察した曜は、預かっていたガシャットとドライバーを一誠に渡す。

 

「必ず、全員で帰ってくるさ」

 

心配そうに自分を見る曜に、一誠は優しく答えスバルの傍に行き…

 

「悪いが、曜を頼む!!」

 

「えッ!?別にいいけど……ってちょっと!?」

 

彼女に曜を預けてから、腰にドライバーを装着して素早く方向を変え、一誠は隕石の方へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、カルナージにある洞窟の1つ……その中に人影があった。しかし、その人影は人間とは程遠い姿をしている。その人影の正体は【ガッツ星人】。かつてウルトラセブンを倒す寸前まで追い込んだ宇宙人で、その時のとは別個体である。そしてガッツ星人は顔に焦りを浮かべていた。

 

「クソッ!!しつこいウルトラマン共だ!!別次元まで追ってくるなんて…!!しかし、アレだけの怪獣を送れば時間は稼げるか……その間に、何としても研究を完成させなくては…!!」

 

そう言う彼の前にはピンク色の液体が入った大きな鍋が置かれ、その左右にはリョウの使うウルトラカードとリクの使うウルトラカプセルが何かの機械に繋がれて置かれている。

 

しかも、カードとカプセルには同じオレンジのつり目に黒と血色の体をしたウルトラマンが描かれていた。

 

「さあ、早く甦って俺に力を寄越せ……ウルトラマンベリアル!!!!」




いかがでしたか?

地味にまた1ヶ月かかってしまった……文才ほしぃ…

今回登場したリョウとリクについては、作者の作品【戦い歌う少女達と光の戦士】を読んでください(露骨な宣伝)

そして次回、あのウルトラマンが登場します!!


次回【我の名をShout!!】

「ご唱和ください、我の名を!!」

「ガ○アァァァァァァァァァァァッ!!!!」

「いや、違う!?違いますよ!!」


では、次回でお会いしましょう。

一般枠で選考から外れた虹ヶ丘メンバーの残りを出すかどうか

  • 良いぞ、やっちまえ!!
  • 選考から外れた奴等に用はねぇ!!

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