ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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千「え~、花丸ちゃんとルビィちゃんが何処かに行っちゃったので、今回は私こと高海 千歌と…」

曜「ヨーソロー!!な渡辺 曜でお送りします」

千「でも2人とも、どこ行っちゃったんだろ?」

曜「何かルビィちゃんが、裏切り者って叫んでたのはきこえたけど…何の事なんだろう?」

千「え、なにそれ怖っ」

曜「それと、今回の話は作者的にネタが多めなんだって」

千「ええ…作者が入れるネタってそんなに面白くないんだけど…」

曜「まぁ、面白いか面白くないかは読者に決めてもらおうよ」

千「そうだね。それじゃ…」

千・曜「「本編をどうぞッ!!」」


襲撃されるHigh School

「チミさぁ…?いい加減、諦めって言葉を理解してくんない?」

 

「しかもアポも無しに来るなんて…常識って知ってます?」

 

「僕としてはそのつもりはありませんし、常識も持っているつもりです」

 

ヴァーリ達が登校してから2時間後、リゼヴィムと明日那は会社に(無断転移で)やって来たディオドラに、辟易しながらも応対していた。

 

「ハァ……お前がなんて言おうと、アーシアちゃん自身が【うん】と言わない限り、オメェなんかにやらないって言ってんの。何回言えば解る?その耳は飾り?もぎ取ってやろうか?ん?」

 

「その程度の脅しで屈する僕じゃありませんよ?」

 

「とか言って…1度振られたからって、再度本人に告白する度胸のないヘタレのくせに…」

 

「ぐ…!!」

 

リゼヴィムの言葉にも毅然とした態度をとるディオドラだったが、明日那の呟きに少し怯む。

 

「ですが、僕の提案はそちらにとって悪くないものかと思いますよ?」

 

「何偉そうに言ってんのさ。アスタロト家が生涯に渡って幻夢コーポレーションのスポンサーになって、多額の支援を送るだっけ?嘗めてんのか?ウチはアンタらの支援なんざ無くても、立派に会社として維持できてるし、業績も毎年右肩上がりなんだよ。むしろ、支援が欲しいのはそっちなんじゃないの?」

 

「ハハッ、まさか…でしたら、僕と貴方のお孫さんとでレーティングゲームをしませんか?僕が勝ったら、アーシアさんを僕に渡すと言うのはどうです?」

 

「認める訳無いでしょ。とりあえず、仕事の邪魔だからさっさと帰ってちょうだい。明日那ちゃん、アーシアちゃんが清めた聖なる塩を撒いてやって」

 

「了解です」

 

「おっと、分かりました。今日はこれで引き下がります」

 

「そのまま、引きこもっててくんない?」

 

これ以上はとりつく島もないと思ったディオドラは転移用の魔法陣を展開し…

 

「ですが、アーシアは必ず僕のものになりますよ?必ずね…」

 

そう謎の言葉を残し、転移していった。

 

「…………社長」

 

「こりゃ、警戒を厳にした方が良さそうだね…明日那ちゃん、ちょっと今から出張に言ってもらえない?それと、直近の護衛としてゼノヴィアちゃんの駒王学園への転入手続きを」

 

「解りました。急ぎ手配します」

 

「お願いね」

 

明日那はリゼヴィムの頼みに頷くと、早足で社長室を出ていき、リゼヴィムは椅子の背もたれに深く寄りかかる。

 

「ニャロウ……一体何をやるつもりだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、彼方先輩には妹さんがいるんですね?」

 

「うん、遥ちゃんっていってね~?スッゴく可愛いんだから~♪」

 

場所は変わり、駒王学園では昼休み。彼方と合流した歩夢達は屋上に行く階段の前でしずく達を待っていると…

 

「すみません、お待たせしました」

 

下の階から、しずくが2人の少女を引き連れてやって来た。1人は先ほど自撮り画像を送ってきた【中須かすみ】、もう1人は黒髪のボブカットに左側には白い紐の髪飾りを結び、口からは八重歯を覗かせているキリッとした印象の少女だ。

 

「紹介しますね。こっちはさっき、スマホでやっていたから飛ばして…」

 

「ちょッ!?しず子!!飛ばすとか酷いッ!!」

 

「こちらはクラス委員長で風紀委員の三船 栞子さんです」

 

「スルーッ!?」

 

しずくの対応に抗議するかすみだが、その辺は自業自得ともいえるので、どうしようもないだろう。

 

「初めまして、【三船 栞子】といいます。よろしくお願いします、上原先輩に中川先輩」

 

「こっちこそよろしくね、栞子ちゃん」

 

「はい、ヨロシクです!!」

 

ペコリと綺麗なお辞儀をする彼女に歩夢と菜々も応え、彼方と愛と侑もしずくに自己紹介し(しずくは彼方と愛を見て一瞬、驚きで固まるがすぐ復活)、全員が揃ったので屋上への階段を登り始める。

 

「へぇ~、栞子ちゃんって日本舞踊を習ってるんだ?」

 

「はい。両親が躾に厳しく、礼儀作法の一環で…」

 

「他にも、何か習ってるんですか?」

 

「茶道と華道を。後は…………剣術を少々…」

 

「剣……ですか?」

 

「はい。昔出会ったとある人物にご教授していただき、それなりの腕を自負してるつもりです」

 

「と、本人は言ってるけど~…実はかなりの腕前なんだよ~?その御師匠様から、中伝を授かってるし~」

 

「「「おお~!!」」」

 

「いえ、師範に比べたら自分なんてッ!?」

 

「と、着きましたね」

 

「あれ?かすみんへの質問は…?」

 

「はいはい、また後でね」

 

そんな会話をしていた間に階段を昇りきり、菜々が屋上への扉を開けると、そのすぐ近くでヴァーリ達が場所取りをしていた。

 

「お、来たみたいだな」

 

「みんな~!!こっちこっち~!!」

 

千歌の手招きで歩夢達もそこへ合流する。

 

「お待たせしました~!!」

 

「いや、こっちも千歌が居眠りしていた説教で遅くなって、今さっき来たところだ」

 

「ちょっと~!!初対面の後輩の前で言わないでよ~!!先輩としての威厳が~!!」

 

「大丈夫、千歌ちゃんにそんなものは無いから」

 

「梨子ちゃんまでッ!?うえ~ん!!鞠莉ちゃ~ん!!」

 

「Oh~、よしよし♪」

 

「この時点で、威厳もへったくれも無いわね…」

 

「だね」

 

鞠莉へと泣きつく千歌の行動に呆れる善子と梨子。歩夢達もそれに苦笑いしつつ、お弁当を準備していたら…

 

「皆~、お待たせ~!!」

 

屋上に果南がやって来た。その後ろには曜にダイヤ、ルビィに花丸…そして一誠もいた。

 

「待ってたわよ、カナ~ン♪」

 

「ちょっと鞠莉?いきなり抱き着……フンッ!!」

 

「アウチッ!?」

 

千歌から離れて果南に抱き着く鞠莉。最初は果南も軽く嗜めるだけにとどめていたが、彼女の手がある部分に向かっているのを感じ、鞠莉の顎に見事なアッパーを叩き込んだ。モロに喰らった鞠莉は少し宙に浮いて地面に倒れる。

 

「どさくさ紛れに、人の胸を揉もうとすんなッ!!」

 

「な…Nice Upper…!!」

 

「綺麗なアッパーズラ…」

 

「うゆ…」

 

「全く貴女という人は…」

 

そんな鞠莉にため息を吐くダイヤだった。

 

「兵藤先輩と渡辺先輩はお久しぶりですね?」

 

「おう」

 

「うん、あの時以来だね」

 

栞子は異世界で出会った一誠達に挨拶していたが…

 

(まさか兵藤先輩とまたお昼をご一緒できるなんて…!!しずくさんには感謝しかありません!!今後とも、仲良くしていかないと…!!)

 

内心では、一誠と食事できる事に小躍りしていた。表情には一ミリも出してはいないが…

 

「ほらほら、お昼休みは有限なんだから早く食べましょう?」(パンパンッ)

 

このままでは収拾がつかないと思い、梨子は手を叩いてそれを終わらせ、それぞれが座ってお弁当や購買で買ったパンやおにぎりを食べ始める。

 

「しかし、テラハーキスから事前に連絡がなかったら、俺達も驚いてたぞ…」

 

「ですよね…私と菜々ちゃんも驚いて固まりましたし…」

 

そして会話に花を咲かせていたら…

 

「そういや、1年どもに聞きたいんだが……誰が俺を番長呼びし始めたか……知ってる奴はいるか?」

 

唐突に一誠が1年生達に話しかけた。どうやら、未だに番長呼びをした人物を探しているようだ。

 

「あ、それはかすみんですね」

 

そして命知らずなかすみが、犯人は自分だと自白した。

 

「ほう…?」

 

「だって、兵藤先輩の活躍は1年の間で有名ですから!!他校の不良を武力をもってねじ伏せていく姿は、まさしく番長じゃん!!って思って……どうです?気に入り…「なるほどな……テメェが犯人だったか…!!」あれ?何か嫌な予感が…」

 

自信満々に語るかすみに、一誠は怒りのオーラを発しながら立ち上がり…

 

「勝手に人を番長にしてんじゃねぇッ!!!!」

 

「うひゃあああああああああああッ!?」

 

かすみの頭を握ろうと手を伸ばす一誠。しかし、それはすんでのところでかすみに消えるようにして避けられる。

 

「あん?今のは…」

 

「あ、危なかった…!!」

 

一誠が視線を巡らせると、かすみが立っていた場所から10m程離れた場所に彼女は立っていた。

 

「なに……いまの?」

 

「全く見えなかったズラ…!!」

 

「なるほど……高速移動の類いか…」

 

「ふ、フフン!!かすみんの【縮地】に、先輩は追いつけますか!?」

 

奥の手を使って離脱できた事に安堵しつつ、一誠を煽るかすみ。しかし、その安堵は長く続かなかった…

 

「なら……試してみるか?」

 

「へ?」

 

怪しい笑みを浮かべた一誠に、首を傾げるかすみ。次の瞬間、一誠の姿がその場から()()()

 

「ッ!?ど、何処に……「ここだよ」(ガシッ)…え?イダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!?!?」

 

彼を探そうと視線をさ迷わせているかすみだが、後ろから聞こえた声に振り返る間も無く、いつの間にか背後に移動していた一誠は彼女の頭は掴み、万力のごとく全力で締め上げていく。

 

「な、なんで先輩が縮地をぉ~!?」

 

「今見て覚えた」

 

「なんですとぉッ!?」

 

そう、この男…かすみが使った縮地を見て、完全にモノにしていた。つまり、かすみは自ら敵に塩を送ってしまったのだ。

 

「あの子…善子ちゃんと同じ才能を持ってる気がする」

 

「ヨハネよ。てか、どういう意味よ梨子?私と同じ才能って……もしや、あやつも魔導の才に…!!」

 

「ううん、バラドルの才能」

 

「バラドルッ!?」

 

「しお子~!!彼方せんぱ~い!!だずげでぇ~!!」

 

アイアンクローの痛さに、泣きながら助けを請うかすみだが…

 

(さすがは兵藤先輩ッ!!私でさえ覚えるのに時間の掛かった縮地を、こうも簡単に使いこなしてしまうなんて…!!凄すぎです!!惚れなおしてしまいました!!)

 

栞子は一誠の凄さに心奪われており…

 

「どうかしら、マリーのKnee Pillowは?」

 

「気持……すやぴ~…」

 

「寝るの早ッ!?」

 

彼方は鞠莉の膝枕で、果南が驚く早さで寝てしまっていた。

 

「うう…!!侑ぜん"ぱ~い"!!」

 

そして、最後の頼みの綱であろう侑はというと……

 

「この状況は……中須ちゃん、俺を怒らせると泣かすぞ?中須だけに!!」

 

「「アッハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」」

 

愛のダジャレで歩夢と一緒に爆笑していて、全く聞こえていなかった。

 

「………………………………(パクパク)」

 

「どうやら、年貢の納め時のようだな…?」

 

「ヒィッ!?ご、ご勘弁を~ッ!!」

 

あまりの救いの無さに絶望したッ!!…というような表情のかすみに、トドメを刺すために一誠が握る手に力を入れていき、恐怖に震える目を瞑るかすみだが…

 

「~~~~~~~~~~!!………………ん?」

 

途中で痛みが消えるどころか、頭を掴んでいた手の感触すら無くなった事に不思議に思い目を開けると、視界にさっきまでいた人達……ヴァーリと梨子、千歌と鞠莉と善子とダイヤがいなくなっていたのだ。そして振り返ると、今まで背後にいた一誠もいなかった。

 

「あれ?番長先輩は…?それに他の人達も、何人かいないけど?」

 

「いたた…気持ちよく寝てたのに…あれ?もう授業始まっちゃった?」

 

頭に?を大量に浮かべるかすみに、鞠莉が消えたことで床に頭を打って起きる彼方。そんな時…

 

「いなくなった……というか、急に消えちゃったんですけどッ!?」

 

こうなった事に愛がテンパりながら話す。そりゃ、人がいきなりいなくなれば、誰だって焦る。だが、しずくにせつ菜、歩夢の3人はすぐに原因を理解した。

 

「今のドット状の光は…まさか!?」

 

「はい、間違いありません!!」

 

「ゲームエリアへの……強制転送!!」

 

―ドゴォン!!―

 

「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」

 

そこに大きな爆発音が、かのじょたちの鼓膜を震わせる。急いで音がした校庭を見ると、バグスターが10数体、その配下であるバグスター兵が大量に現れていて、その一部は既に校舎に侵入を始めており、更にそれらを指揮する悪魔らしき存在もいた。

 

「あれって…バグスターッ!?」

 

「でもルビィ達が知ってるのと、色が違うよ!?」

 

「じゃあ、クロノス側…!?」

 

「せつ菜ちゃんは3年生、しずくちゃんは1年生、私が2年生の階に行って迎撃するから、皆は早く避難を………ってあれ?」

 

歩夢が素早く指示を出していると、さっきまでいた栞子、彼方、かすみの3人までもいなくなっていた。

 

「栞子ちゃん達はッ!?」

 

「何か忘れ物したからって、教室に戻っていったよ?」

 

「「「のん気過ぎるッ!?」」」

 

3人は侑の言葉に、この緊急時に悠長な…と思わなくもないが、今は1分1秒が惜しい状況であり、自分達が早く助けに行けばいいと判断する。

 

「とりあえず、皆は避難しつつ誘導の方もお願いしてもいい?」

 

「任せて!!」

 

歩夢の頼みに果南が応えると、3人は屋上の入り口から校内へと駆けていった。

 

「でも、栞子ちゃん達…大丈夫かな?」

 

「大丈夫、大丈夫!!」

 

そして、先に消えた3人を心配するルビィだったが、侑はそれに笑顔で応える。

 

「何でそう言えるの?」

 

「あの3人の強さは……一味違うからだよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢side

 

「ハーちゃん!!アタッシュカリバーを!!」

 

『了解』

 

階段を駆け降りながら、私はハーちゃんに頼んで締まって貰ってたアタッシュカリバーを出してもらい、それを手に2年生の階に来ると…

 

「皆ッ!!大丈……ぶ…?」

 

目の前には人垣が出来ていて、その先では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ピピィィィィィィィィッ!?」」」」」

 

「これ以上、好き勝手にやらせてたまるか!!喰らえ、フ○イムブラスター!!」

 

慌てふためいているバグスター兵達と、光の勇者(仮)君が、ライターとスプレー缶を使った即席火炎放射機でバグスター兵を焼いていたり…

 

「これで宇宙の果てに運び去ってやろう!!吹き飛べ、レッキ○グバスター!!」

 

力の賢者(仮)君が、バスケットボールを殴り飛ばしてバグスター兵にぶつけていたり…

 

「これはピースマークじゃねえぞ?テメェらはあと2秒で終わりって意味だ!!行くぜ、鋭○光波手裏剣!!」

 

風の覇者(仮)君が、数学の先生が使う大きな正三角形の定規を持ってバグスター兵に突っ込んでいたり…

 

「超加速!!からの…ダブルスラ○シュ!!」

 

「ピッ!?ピー!!」

 

「ヤバ…!?」

 

「カバ○ムーブ!!」

 

「ピブッ!?」

 

「ナイスアシスト!!」

 

「えへへ~♪」

 

回避盾(仮)さんが、両手に折り畳み傘(収納状態)を握ってバグスター兵達を次々と叩いていき、反撃されそうになると防御極振り(仮)さんが、素早く間に入って防火用の鉄の扉を盾代わりにして防いでいたり…

 

約束された(エクス)……勝利の剣(カリバー)ァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

騎士王(仮)さんが、某聖剣の名前を叫びながら竹刀でバグスター兵の頭を全力で叩いていたり…

 

「私が皆を守る!!勇○パーンチ!!」

 

勇者部所属(仮)さんが、見事な構えから強烈なパンチを繰り出してバグスター兵のお腹に拳をめり込ませたりと、何故か生徒側が優勢な立場なの…そして何より一番の驚きが、戦ってるのが全員クラスメイトだった事です…

 

「なぁにこれぇ…」

 

『アユムのクラスメイトは、個性的な人が多いですね』

 

いや…これは個性的というより、善子ちゃんと同じ中二病的な気が……

 

この光景に唖然としていた私だけど、私の視界に廊下の奥から、こちらへ向かってくるカイデンとガットンが映った。

 

「いけない!!」『BLADE RIZE!!』

 

私はすぐさまアタッシュカリバーを展開して人垣を飛び越え、光の勇者(仮)君へと振るわれるカイデンの刀を受け止めた。

 

「くぅ…!!」

 

「ほう…ワシの動きについてこれるとは…!!」

 

「上原さんッ!!」

 

「皆は急いで避難してッ!!早くッ!!!!」

 

「ッ!?…分かった!!」

 

私の指示を聞いて、光の勇者(仮)君が避難誘導を始めてくれる。その間、私はカイデンを押し返して斬りかかるが防がれる。

 

「貴方達は、何が目的でこんな事を…!!」

 

「人探しを依頼されただけだ……探し出すのに手段は問わんともな!!やれ、ガットン殿!!」

 

「ピピ…了解」

 

「ッ!?やらせな「させんぞ!!」うぁッ!?」

 

そしてカイデンに気を回しすぎて、ガットンの事を忘れていた私は、ロケットパンチを放とうとするガットンを止めようとしたけど、カイデンに邪魔されて避難中の皆へと向けてロケットパンチが放たれる。

 

「マズイッ!?」

 

「ここは私が「下がっててください」ぬ…?」

 

光の勇者(仮)君がそれに気づき、力の賢者(仮)君がそれを受け止めようとしていたけど、その横から1人の女の子が飛び出してくる。その手に握っているのは【太刀】と呼ばれる片刃の剣だ。

 

「八葉一刀流・三ノ型…」

 

それを頭上へと掲げ、どうやってるのか解らないけど刀身に炎を纏わせ…

 

「【業炎撃】ッ!!!!」

 

―ガギィィィィィィィィィィィン!!!!―

 

一気に振り下ろして、ガットンのロケットパンチを叩き落とした。

 

「ピガッ!?」

 

「なんと…!!」

 

「うそ~ん…」

 

ガットンのロケットパンチは、最低でも数十tにもなるのに…それを生身で打ち落とすなんて…!!

 

「貴様……どうやってガットン殿の拳をッ!?」

 

同じように驚いていたカイデンに、その子(煙で姿が見えない)は剣を構え…

 

「答えは簡単です」

 

横に一閃して煙を斬り払った。そこにいたのは…

 

「拳の行き先を、生徒から床に変えただけです」

 

鋭い瞳でカイデン達を睨みつける…栞子ちゃんだった。

 

そっか!!いくら重くても真っ直ぐにしか進まないのなら、先端を下に向けさせるだけで標的は床に変わる!!……って、それでもかなりの力が必要だと思うけどぉッ!?

 

「警告します。これ以上、この学園に危害を加えるというのなら……こちらも武力をもって鎮圧させていただきます」

 

太刀を突きつけて宣言する栞子ちゃん。その体から発せられる威圧感は、歴戦の戦士を思わせる程に重いものだった。

 

「小娘風情が嘗めるなよ…!!我が弟子達なら、貴様なぞ!!」

 

「「「ピピーッ!!」」」

 

だけど、カイデン達がその程度で止まる訳はない。バグスター兵3体を栞子ちゃんへと向かわせた。

 

「一応、警告はしました。なのにそれを無視しますか…」

 

対する栞子ちゃんは全く慌てず、太刀を鞘に納め…

 

「なら……八葉一刀流の妙技、お見せします」

 

そして少し前屈みになり、抜刀術みたいな構えをしたら…

 

「八葉一刀流・四ノ型…【紅葉切り】」

 

彼女の姿がその場から消え、バグスター兵達の背後に剣を抜刀した状態で立っていた。

 

え…?今、何が…?

 

何が起きたのか解らない…それほどの速さだった。そして栞子ちゃんは某蟲柱のごとく剣をクルクルと回してから、太刀を鞘に納めた。

 

「振り向かないでください」

 

「ピ…?」(ズル…ゴトリ)

 

最後に栞子ちゃんの警告を聞かず、振り返ったバグスター兵達は、3人揃って首から上が地面に落ちて消滅した。

 

うわぁ…ちょっとしたホラー見ちゃったよぉ…

 

「人の忠告は聞くものですよ?」

 

「ぐぬぬ…よくも我が弟子をッ!!」

 

「今だッ!!」

 

「うおッ!?」

 

意識が栞子ちゃんに向いている隙に、カイデンのお腹を蹴って怯ませ、その間に距離を取って栞子ちゃんの隣に並んだ。

 

「大丈夫ですか、上原先輩?」

 

「うん。それにしても…栞子ちゃんって結構強かったんだね?」

 

「これも師範のお陰です」

 

「そっか…後は任せて。ここは私が…」『ZERO-ONE DRIVER!!』

 

「ここは引き受けます。先輩は下がって…」『聖剣ソードライバー!!』

 

「「…え?」」

 

私が腰にゼロワンドライバーを装着するのと同時に、栞子ちゃんの方から何かの音声がして、彼女を見たら剣を納めた鞘みたいなベルトを腰に装着していた。

 

「それって…もしかして!?」

 

「まさか、上原先輩も!?」

 

「何を話しているッ!!」

 

「センメツ……タオス…!!」

 

その事に驚いている私達に、カイデンとガットンが攻撃してくるけど揃って前転で回避する。

 

「だったら、一緒にやらない?」

 

「そうしましょう」

 

「それじゃ同時に!!」『JUMP!!』『AUTHORIZE』

 

「はい!!」『ブレイブドラゴン!!』『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…』

 

私はライジングホッパープログライズキーを起動させてドライバーに認証し、栞子ちゃんは手のひらサイズの本みたいなのを開いてからドライバーの右側のスロットにそれを装填した。

 

そして彼女の背後には巨大な本が、私の背後には天井を突き破って落ちてきたバッタちゃんが「ぐえッ!?」…ん?今、何か蛙が潰れたような声が…

 

「あの、先輩?……何かバッタの下敷きに…」

 

「え…?」

 

栞子ちゃんに言われて振り返ると、そこにはバッタちゃんに潰されているリボルがいた。更に幅が狭いためか、バッタちゃんは飛び回らず、その場でジャンプするだけ。そのせいでリボルは、バッタちゃんに何度も踏みつけられていく。そして10回目辺りで…

 

「我輩……こんな消え方、嫌だよぉ…!!」

 

そう、泣きそうな声で呟いて爆散した。

 

「「………………………………」」

 

それを私達は無表情で見ていた。

 

えっと……そうだ!!リボルは最初からいなかった事にしよう!!そうしよう!!

 

「先輩……今のは「栞子ちゃん、そこにはバッタちゃんしかいなかったでしょ?」え?でも今…「イナカッタデショ?」ア、ハイ…」

 

とりあえず私達は見なかった事にして、変身シークエンスを続ける。私は右手のプログライズキーを開きベルトに装填し、栞子ちゃんはベルトに刺さっている剣を勢いよく引き抜く。

 

「「変身ッ!!」」

 

『プログライズ!!』

 

『烈火抜刀!!』

 

そして私はゼロワンに、栞子ちゃんは右肩に赤いドラゴンの頭部みたいな鎧を着け、白と黒のボディスーツに頭に一本の剣が生えてる姿になった。

 

『跳び上がライズ!!ライジングホッパー!!』『A jump to the sky turns to a rider kick』

 

『ブ~レ~イ~ブドラゴ~ン!!』『烈火一冊!!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、深紅の剣が悪を貫く!!』

 

「な、なんだ貴様達はッ!?」

 

「私はゼロワン…仮面ライダーゼロワン!!」

 

「私は炎の剣士…仮面ライダーセイバー!!」

 

名乗った後に私はアタッシュカリバーを、栞子ちゃんはベルトから抜いた(何故か少し大きくなってる)剣を構える。

 

「まさか…他にも仮面ライダーがおったとは…!!だが、貴様らはここで終わりだ!!」

 

「それを決めるのは貴方じゃない!!」

 

「この戦いの結末を決めるのは…」

 

そして剣をカイデン達に突きつけ…

 

「「私達だッ!!!!」」

 

カイデン達へと駆け出した。




いかがでしたか?

はい、この回はただ私がやりたかったネタをぶっこんだだけです。唐突に神のお告げがきたので…

次回は飛ばされた一誠達から始まります。



次回【そのRIDERは敵か味方か?】

「私達の獲物を、横取りしないでもらえる?」



では次回で、お会いしましょう。

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