ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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栞「皆さん始めまして、三船栞子といいます」(ぺこり)

か「固いッ!!固いよ、しお子~!!ここは、皆のアイドル・かすみんで~す♪みたいにやらないと!!」

栞「ですが、初めて会う人達も多いのですから挨拶はキチンとしないと…」

彼「すやぴ~…」

か「ってか、彼方先輩は起きてくださいよッ!?」

彼「うみゅ~…2人に任せたよ~……すや~…」

栞「こうなったら梃子でも起きませんね…」

か「まあいいや、とりあえず前回のあらすじを…」

栞「あ、もう時間みたいです」

か「うそッ!?え、え~と…!!あ、ゲー…」

彼「ゲームの力でこの世界を生きていく~、始まるよ~……すやぴ~…」

2人「「寝言ッ!?」」


3人のSwordsman

ヴィヴィオ達を人質にしようとしたバロッサ星人達だったが、それは突如現れた迷子(?)の剣士達によって阻まれ、お互いに睨み合う。

 

「よぉ~お嬢さん方?俺達にこんな事したらどうなるか…解ってんだろうな?」

 

「はい、貴方達が私達に倒される……という事です」

 

「そうそう、俺達じゃ敵わないからズタボロにやられて……って違うわ!?」

 

「うっわ~…今時ノリツッコミとか…しかもかすみん的にはメッチャつまらないんですけど?」

 

そんなバロッサ星人を冷たく見るかすみに、バロッサ星人はキレる。

 

「うっせぇ!!もう許さねぇ…!!お前ら3人ともぶっ殺してやる!!」

 

「それは~…彼方ちゃん達も同じだよ~?」

 

彼方の言葉に合わせて、3人の纏う雰囲気が変わる。まるで、歴戦の戦士のごとき圧を放ちながら、左手に黒い鞘に収まった剣型のアイテムを持ち、それを腰に押し当てると、ベルトが伸びて装着された。

 

「小さい子に恐怖を与えた罪……その身で償ってもらいます」

 

『『『聖剣ソードライバー!!』』』

 

「ベルトになった!?」

 

「ということは、もしかして…!!」

 

剣がベルトになった事に驚く月に、それでなにかを察した曜。

 

そして次に左手に掌サイズの本のようなアイテム【ワンダーライドブック】を取り出す。栞子は炎を吐く竜が描かれた赤い本で、彼方は吠えるライオンが描かれた青い本、かすみは金色のランプが描かれたライドブックだ。そのカバーを右手で開く。

 

『ブレイブドラゴン!!』『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…』

 

『ライオン戦記!!』『この青き鬣が新たに記す、気高き王者の戦いの歴史…』

 

『ランプ・ド・アランジーナ!!』『とある異国の地に、古より伝わる不思議な力を持つランプがあった…』

 

「なんだぁ?」

 

その音声が流れ終わると、3人はカバーを閉じて栞子はドライバーの右、彼方は中央、かすみは左のスロットに装填する。

 

すると3人の空間が変化する。背後には巨大なライドブックが現れ、栞子は燃え盛る、彼方は水に浮かぶ、かすみは電撃が走る沢山の本を詰め込んだ本棚に囲まれたものに…

 

その中で3人は剣の柄を掴み、ドライバーから一気に引き抜き、それに合わせてドライバーのライドブックも開く。

 

『烈火抜刀!!』

 

『流水抜刀!!』

 

『黄雷抜刀!!』

 

「「「変身!!」」」

 

同時に背後の巨大ライドブックも開き、栞子はそこから出てきた赤い竜を纏いながらバツ字に、彼方は青い獅子を纏いながら横一閃に、かすみは金色のランプの精を纏いながら縦一閃に剣を振るって斬撃を飛ばし、自身の姿を変える。

 

栞子は右腕が赤く右肩に竜の頭部を模したアーマーが着き、中央部は白で左側は黒に赤いラインがある左右非対称な姿に額には一本の剣が生えたようなアンテナがあり、先程飛ばした斬撃が戻ってきて顔に当たると、それが複眼を持つ戦士【仮面ライダーセイバー】へと変わる。

 

『ブ~レ~イ~ブドラゴ~ン!!』『烈火一冊!!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、深紅の剣が悪を貫く!!』

 

彼方は青いラインが入った黒い両腕に足の内側は銀色のボディスーツ、胸には青いライオンを象ったアーマーを纏い、額にはセイバーと同じ剣型のアンテナに飛んできた水の斬撃が戻ってくると、少しV字になった青い複眼の戦士【仮面ライダーブレイズ】となる。

 

『ライオン戦記~!!』『流水一冊!!百獣の王と水勢剣流水が交わる時、紺碧の剣が牙を向く!!』

 

最後にかすみは胴体がグレーで白に金のラインが入った右腕のボディスーツに、左肩には金色のランプのような肩アーマーに金色の片マントを羽織り、額はセイバー・ブレイズと同じで、飛ばした斬撃が戻ってくると、目の位置から旋毛辺りをグルッと囲むリング状の複眼となる戦士【仮面ライダーエスパーダ】となった。

 

『ランプ・ド・アランジ~ナ~!!』『黄雷一冊!!ランプの精と雷鳴剣黄雷が交わる時、稲妻の剣が光り輝く!!』

 

「やっぱり…………仮面ライダー…!!」

 

「な、何なんだ!!お前達はッ!?」

 

「【八葉一刀流・中伝】三船 栞子…仮面ライダーセイバー」

『火炎剣烈火!!』

 

「【水柱】近江 彼方…仮面ライダーブレイズ」

『水勢剣流水!!』

 

「えッ!?え、え~と…そ、【ソードスキルマスター】!!中須 かすみ…仮面ライダーエスパーダ!!」

『雷鳴剣黄雷!!』

 

3人が名乗り(1人は完全に即興だが…)、セイバーがバロッサ星人に、ブレイズがマグマ星人に、エスパーダがババルゥ星人へと自身が相手と決めた者に剣先を向ける。

 

「かめんらいだぁー?何だか知らねぇが…そっちもやる気みてぇだな?だったら手加減なんかしねぇ……ド派手に行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」

 

「いざ、参ります!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かすみside

 

はぁ~い♪可愛いアイドル剣士を目指してる、中須かすみことかすみんでぇ~す♪ワタシは金色の体をした鬼仮面こと…………え~っと、バッカデー星人?と戦っていますよ。

 

「バッカデー星人じゃない!!ババルゥ星人だッ!!!!」

 

「え~…人の心の声にツッコむとか…キッモ」

 

何コイツ?かすみんの心を盗み見るとか、プライバシーの侵害じゃないですか。コレ案件ですよね?犯罪ですよ ね?もしもしポリスメンしますよ?

 

「というかお前!!少しは真面目にやれ!!」

 

そんな風にふざけながらも、私は相手の振るうさすまたとトゲ付鉄球が1つになった武器の攻撃を、余裕をもって回避している。

 

「だって、しお子の攻撃より遅くて雑だし、彼方先輩の攻撃よりも読みやすくて雑だし、かすみんの攻撃よりも醜くて雑だし…」

 

「雑雑言い過ぎだろッ!?」

 

「言いたくもなりますよ~……だって」

 

「は?……アギャッ!?」

 

かすみんの口撃に怒りMAXになってるのか、振りが大きくなったところで、私もソードスキル風剣技を振るう。左から右へ水平に、そして素早く切り返して右から左の水平斬りへと繋げる片手剣2連撃スキル技【ホリゾンタル・アーク】を繰り出し、それは武器を振り上げて無防備なバッカデー星人の腹を切り裂いて火花が散らせた。

 

「こ~んなに隙が丸出しなんですよ?余裕にもなっちゃいます……てッ!!」

 

「アガッ!?」

 

更に追撃で単発式ソードスキルのスラントを決めて吹き飛ばしてから、黄雷をドライバーに納刀してトリガーを引き…

 

『必殺読破!!』『黄雷抜刀!!アランジーナ一冊斬り!!』

 

そして再び抜刀して、トドメを刺しに行きましょう♪

 

「そんな貴方にかすみんの華麗な剣技…見せてあげますよ!!」

 

右手の黄雷を握りしめ、最初に放つのは高速の5連続突きからの斬り下ろし、そこから再度斬り上げて最後に全力の上段振り降ろしの8連続ソードスキル【ハウリング・オクターブ】を喰らわせる。

 

「ウガァッ!?」

 

そして振り終わったところで、黄雷を左手に握り直して水平斬りからの斬り上げ、最後に突きを放つ重3連続スキル【サベージ・フルクラム】を当て、再び黄雷を右手に戻して4連水平斬りの【ホリゾンタル・スクエア】へと繋げる。

 

「グハッ!?な、何が……起き…て…?」

 

「これで終わりです……ヤアッ!!」

 

最後にまた左手に持ち直して、重突進型のソードスキル【ヴォーパル・ストライク】を落雷のごとき速さで放って、バッカデー星人の体を突き飛ばす。

 

これがかすみんの今、繰り出せる最高の16連撃!!

 

「貴方の物語は……これで終わりですよ!!」

 

『サンダー!!』

 

「ウギャアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

目の前で起こる爆発に、私は背を向け…

 

「勝利の……ブイ!!」

 

それをバックにポーズを決めた。

 

爆発を背後にポーズを決めるかすみん……最っ高にカッコ可愛いです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

彼方side

 

「このッ!!このッ!!このォォォォォッ!!」

 

「ほい…はい…そいや~」

 

彼方さんはマグマ星人を相手にしていて、今は右腕に装備されてるサーベルを流水で難なく受け流してるよ~。

 

「くそッ!!なんだコイツ…?当たっているのにまるで手応えがない…!!」

 

「それはそうだよ~、水を斬るのは至難の技だからね~」

 

どんなに強く振るわれた剣でも、水のように上手く受け流せばダメージはないし、相手の疲労も蓄積するからね~。それに、先輩である彼方さんが負けてたら示しがつかないし~。

 

「ほいっと~」

 

「うおッ!?こんの…!!」

 

そして次の攻撃を後ろへと受け流しながら距離を取り、突きを放とうとするマグマ星人に私はヒュウゥゥゥゥゥゥ…と独特の呼吸で酸素を一気に吸い込み、右腕を後ろに引いて流水の剣先を相手のサーベルへと向け…

 

「全集中~、水の呼吸・漆の型…」

 

「この野郎ッ!!」

 

そしてマグマ星人のサーベルの先を中心に水面のに浮かぶ波紋を幻視し、その中心を狙うようにして最速の突きを繰り出す。

 

「雫波紋突き~」

 

―ガキィィィィィィン!!―

 

「ヌガッ!?」

 

互いの剣先がぶつかり合うが、ライダーの力に全集中で更に強化した身体能力から放つ突きに、マグマ星人のサーベルが砕け吹き飛ばされた。

 

「お、俺様のサーベルが!?」

 

「それじゃあ、そろそろ終わりにしようかな~?」

 

『必殺読破!!』『流水抜刀!!ライオン一冊斬り!!』

 

流水をドライバーの納刀してトリガーを引いて、再度抜刀し肺に酸素を取り込む。

 

「全集中~、水の呼吸・肆の型…」

 

「剣が無くても、人間くらい素手で…!!」

 

武器を失くしたマグマ星人が素手で向かってくるけど……それは悪手だよ~?

 

水を流水に纏わせ、私は淀みない動作で剣を振るい、マグマ星人の両腕と首を斬り落とした。

 

「が…!?」

 

「打ち潮~」

 

『ウォーター!!』

 

バラバラになったマグマ星人は、その場に倒れて爆散する。

 

「あふ…疲れたし、後でお昼寝しよ~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子side

 

「ハッ!!」

 

「ドリャア!!」

 

―キィィィィィィィィィン!!―

 

私の烈火とバロッサ星人の持つ刀がぶつかり、火花が散り、そのままつばぜり合う。

 

「中々の業物を持っていますね…」

 

「そりゃそうさ、俺様は兄弟の中でも特に剣に眼がなくてな……これは宇宙剣豪ザムシャーが持っていた【星斬丸】っつー最高の剣だ」

 

「なるほど、通りで…」

 

その会話の最中に私は後ろに下がり、すぐさま高速移動歩法【縮地】を使ってバロッサ星人の懐に飛び込んで剣を振るう…

 

「貴方のような素人が使っても、折れないわけです」

 

「おおっと!!」

 

けど、それを察知したのかすぐに下がって避けられる。

 

「残念だったな。その程度の速度じゃ、俺には止まって見えるぜ?」

 

「…………」

 

「今度はこっちから行くぞ!!ファイナルブレイク!!」

 

そして反撃開始とばかりに斬撃を飛ばしてくる。でも、私から見れば遅すぎるの一言。

 

「セイッ!!」

 

―バキィン!!―

 

烈火を振るい、その斬撃を斬り落とす。

 

どうやら、剣士としてはそこまで強くないみたいですね。動きもほぼ理解しましたし…終わらせましょう。

 

「ほぉ…中々やるじゃねぇか?」

 

「それはどうも。そして…貴方はもう終わりです」

 

私は腰を少し落とし、烈火を左腰の【必冊ホルダー】にセットし、トリガーを引く。

 

『烈火居合!!』

 

そこから再度、縮地でバロッサ星人の懐に飛び込む。もちろん、先程の()()()()()()()ではなく、最大速度で…

 

「……………………は?」

 

「八葉一刀流・七ノ型…」

 

いきなり目の前に現れた私に驚き、動きを止めているバロッサ星人に私は剣を勢いよく抜き放ち、その体を切り裂く。

 

これが師範から伝授された七つの型の1つで、私と師範の最も得意とする型。その名も…

 

「【無想覇斬】!!」

 

『読後一閃!!』

 

「うぎゃああああああああああああッ!?痛い…痛い…!!痛いィィィィィィィィィ…!!!!」

 

最初の一撃を喰らわせながらすれ違い、烈火を軽く振るった直後、無数の斬撃がバロッサ星人を襲う。剣を落とし体から大量の火花を散らし苦しむバロッサ星人にトドメを刺すべく、私は烈火をドライバーに納刀し、トリガーを引く。

 

『必殺読破!!』

 

「無明を断ち斬る、光輝の一刀…」

 

『烈火抜刀!!ドラゴン一冊斬り!!』

 

「参ります!!」

 

そして烈火を抜刀、刀身に炎を纏わせバロッサ星人へと斬り込む。

 

「この…!!むざむざやられっか!!」

 

「せいッ!!」

 

対するバロッサ星人は新たな武器…確かテレビで見たギャラクトロンMKーⅡの使う片手斧とガピヤ星人のサーベルでしたか?それで反撃しようとしますが、片手斧を振るう前に烈火の突きで手から弾き飛ばす。

 

「うおッ!?だったら…!!」

 

「ハッ!!」

 

次にサーベルを使おうとしますが、これも烈火で根本から斬り落とす。

 

「はあッ!?嘘だろ!?」

 

「やあッ!!」

 

「うがッ!?」

 

次に下からの斬り上げで防御を崩したら、そのまま上段に構え…

 

「ハアァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

裂帛の気合いから右から左下への袈裟斬り、左から右上への逆袈裟、右から左への水平斬り、左から右下への袈裟斬り、右から左上への逆袈裟と五芒星を描くように流れる動作で剣を振るい、最後の一太刀でバロッサ星人の背後へとすり抜ける。

 

「うぎゃああああああああああああ……あ、あれ?斬れてな~い?」

 

背後でバロッサ星人が髭剃りのCMの名言を呟くのを聞きつつ、私は某蟲柱のごとく剣をクルクルと回す。

 

今使った技は、かつて師範の故郷が内戦に陥った時に、仲間の人達と解決に向けて尽力していた頃に編み出したのを私なりに改良したもの。師範は技名に無明を照らす太陽を表したが、私にそこまでの技量も自信もまだない。だからこそ、私はすべてを照らす太陽ではなく、無明に道標のごとく光る星になる事を選んだ。それが今の私の奥義…

 

「終ノ太刀・(きらめき)!!」

 

『ファイヤー!!』

 

「ッ!?ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

技名を口にし、剣をドライバーに納刀した瞬間バロッサ星人が星型に切り裂かれて爆散する。

 

「やはり、師範の背中はまだ遠いですね…」

 

変身を解除し、ブレイブドラゴンのライドブックを握りしめながら自分の未熟さを痛感する。

 

「ですが……必ず、貴方の全てを継承してみせます」

 

それでも、いつかその強さを受け継いでみせると、自分の胸に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曜side

 

宇宙人達を倒し終えた3人は、折れた剣を拾って私達の所に戻って来て無事を確認してハイタッチを交わした。

 

「2人とも、ご無事で何よりです」

 

「かすみんに掛かれば、このくらい楽勝ですよ~♪」

 

「相手が油断してたのもあるけどね~」

 

「それで……貴方達は?」

 

「それはですね……………………おろ?もしや【番長先輩の恋人】の渡辺先輩ですか?」

 

「ファッ!?」

 

私の問いにかすみと名乗った子が答えようとしたけど、私を見て少しの驚きと共に、とんでもない発言をしてきて顔が真っ赤になる。

 

「わ、わわわわわ私とイッセー君はそそそそそんな関係じゃ…!?」

 

どーいう事ッ!?1年生の間だと私とイッセー君は公認になってるの!?

 

「うわ~……動揺丸わかりの完全自白ですよ、この先輩…」

 

「こら、先輩をからかうものじゃありません」(ペチッ)

 

「てへ♪」

 

私をからかうかすみちゃんを、栞子と名乗った子が諌めて説明を引き継いでくれる。

 

「私達は日本のとある山で剣の修行をしていたのですが…ある日、目の前にひび割れた空間が現れて、それがいきなり割れると吸い込まれ、気がつけばこの世界にいたんです」

 

「それって…私達と同じ…」

 

「それからは~、持ってた山籠りの道具でキャンプしながら、脱出の方法か人を探してたんだよね~」

 

「そこでようやく先輩達を見つけて、しお子が状況的にピンチって判断して介入したって感じですね」

 

「そうだったんだ……」

 

話を聞いて彼女達の境遇に同情するが、ここで会えたのは幸運かもしれない。なのはさん達の魔法が使えない今、戦力が増えるのは心強い。

 

「私達も帰る方法を探してもらってて…良かったら、一緒に行動しない?」

 

「助かります。食料も手持ちが限界で、そろそろ現地調達にしようかと思っていたので…それなら私達も一緒に…」

 

「お~~~~~い、みんなぁ~~~~~~~~!!」

 

栞子から同意を得られそうな時、そこに新たな声が響く。全員が声の方を向くと、黒に毛先が緑のグラデーションが入った髪をツインテールにした、私と同じくらいの年齢の女の子が走ってきていた。

 

「あッ!!侑せんぱ~~~~い!!」

 

それを見たかすみちゃんが手を振る。

 

もしかして、さっき話してた先輩の人なのかな?やっと追いついてきたんだ…

 

そう思っていたら、その子は何故か走るのを止め、顔にお面……確かキュアハートだったっけ?……を着けると、何かを握りしめて猛然と走り出してきた。

 

え?何でお面!?しかも何握りしめてるの…!?

 

「あ、あれ…?なんかかすみん、ヤバみを感じるんだけど…」

 

「たぶん、それが原因かな~?」

 

そう言って彼方さんが指差す先には、かすみちゃんの折れた刀があった。しかもかすみちゃんは、その手で彼女を招いていたから、目に入ったんだろうなぁ…

 

そのまま突っ込んでくる先輩さん……そして近づいた事で、手に持っているものがハッキリわかった……あれ、出刃包丁だ………って包丁!?

 

「死ぃねえええええええええええええええッ!!!!」

 

「うひゃあああああああああああああああッ!?」

 

突っ込んでくる彼女をスレスレで回避するかすみちゃん…でも、恐怖はまだ終わらないみたい…

 

「ゆ…侑先輩…?」

 

「折ったな…?私の作った剣を……また折ったなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

「ご、ごごごごごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!」

 

「待てゴルァッ!!人が一振り作るのにどれだか時間と資源と情熱と愛情とトキメキ込めてるかわかってんのかァ!!それをポキポキポキポキ折りやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!私の剣はポッキーでもプリッツでもトッポでもねぇんだぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!代わりにお前の骨をポキポキしてやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?」

 

お面の下で号泣しつつ、罵詈雑言を吐きながら包丁を振り回してかすみちゃんを追いかける先輩さん。すごく怖いです…

 

「しお子~!!彼方先輩~!!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

そして仲間の2人に助けを求めたけど…

 

「「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」」

 

お手々のシワとシワを、合わせて合掌していた…

 

「薄情者おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

「チェストオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

そんな光景に私達は呆然として、もう少しでかすみちゃんが包丁の有効範囲に入りそうになる瞬間…

 

ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!

 

「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

 

大きな爆発音が木霊した。

 

「な…なにッ!?」

 

「あッ!!彼処よッ!!」

 

ティアナさんが指差す方向に目を向けると、大きな黒煙が上がっていた。

 

「彼処って……リョウさん達が戦ってる場所ね…」

 

「何があったんだろう…?」

 

「きっと、ギルバリスを倒したんですよ!!」

 

「行ってみよう!!」

 

駆け出すスバルさんを先頭に、私達(かすみちゃんと先輩さんは放っておく)はその爆心地へと向かう。そこで見たのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グ……うぁ…!?」

 

「アッハッハッハッハ!!無様だな、ウルトラマンどもよ!!」

 

辺り一面に散らばるギルバリスや白いのからギャラクトロンと思われる破片に、カラータイマーを鳴らし倒れているウルトラマン達、そして上空でこちらを見て笑っているガッツ星人と無言で佇んでいるベリアル・アトロシアスだった。

 

「うそ……でしょ…?ウルトラマンが4人もいて…?」

 

その光景にルーテシアちゃんが、か細く呟く。

 

「どうやら、試運転は上々のようだな。残すは客へのデモンストレーションのみ………それなら、お誂え向きな奴らがいるな?」

 

ガッツ星人はそう言うと、ウルトラマン達を指差す。

 

「よく聞け、ウルトラマン共!!今回はベリアルの試運転だから見逃してやる!!しかし、明日の正午!!再び俺達は此処で破壊活動を始める!!止めたければ、全力で来るがいい!!」

 

そしてそう言うと、ガッツ星人達はあるものをオーブとジードに投げ渡した。

 

「ついでに、コイツも返しておいてやる。もういらんからな」

 

「これは……ベリアルさんのカード!?」

 

「ベリアルカプセルまで…」

 

そしてガッツ星人達がその場を去ろうとする…

 

「待ってくれ!!父さん!!」

 

けど、そこにジードがベリアルへ呼びかけた。

 

「何で、貴方程の人がガッツ星人なんかに…」

 

「フン、呼びかけても無駄だ。このベリアルに感情なんてものは無い」

 

「なッ!?」

 

「テメェ…どこまで死者を冒涜するつもりだ!!」

 

「何を言う!!ベリアル程の強大な力……捨てる方が勿体ないだろう?」

 

「それはお前の我が儘でしかないッ!!」

 

「何とでも言えッ!!とにかく、明日の正午を楽しみにしておくんだな!!」

 

そう言い残してガッツ星人とベリアルは消え、ウルトラマン達もゼロを残して人間の姿へと戻った。

 

「一誠君ッ!!皆!!」

 

私はすぐに一誠君の元へと駆け寄っていき、仰向けに倒れてたのを抱き起こす。

 

「しっかりして!!ねぇッ!!」

 

「ぐ…!!曜……か…?」

 

「良かったぁ…!!」

 

少し怪我してるけど、無事に目を覚ましてくれた事に安堵する。

 

「さすがはベリアル……中々に強かったぜ…」

 

「とりあえず、怪我の手当てしないと!!」

 

「頼む…」

 

よほど疲れているのか、足元が覚束ない一誠君に肩を貸して皆の所へ戻りつつ、明日は最大の戦いになる予感が私の胸を過った…




いかがでしたか?

リク「ウルトラマンベリアル…俺の父さん……力に固執し、たくさんの悪事を働いてきた悪のウルトラマン……そのクローンだろうと、あの人は俺にとってはたった一人の血の繋がった家族なんだ。だからこそ、今度は解り合いたい!!仲間として!!親子として!!だから皆、頼む!!俺に力を貸してくれ!!」


次回【MINDを取り戻せ】


リク「ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!!」






栞「ここで令和こそこそ噂話を……私とかすみさんは彼方先輩から全集中・常中を、かすみさんと彼方先輩は私から縮地を学んで会得しているので、剣さえあれば上級悪魔や中級のバグスター程度なら互角以上に戦えます」

か「いや、だからって全集中やりながら縮地って……最初は一回で肺が破裂しそうだったんですけど…?」

彼「それが今や、何回も連発出来るんだからね~。よく頑張りました~」(かすみの頭ワシャワシャ)

か「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?折角整えたかすみんの髪型がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

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