オーライ、問題は3つだ。
仕事、コラボイベ、羽根
こいつらが揃って僕から時間をね?
次はなるべく早くあげます、ごめんなさい、
リポート1.ハートに火をつけて
目が覚めると、そこは燃え盛る街中だった。
「夢……だった試しがないんだよなぁ、こういう場合」
横島は身を起こす。軽く動きを確かめるが、特に異常はない。荷物もあった。
「さっきの光、まるで美神さんの時間移動に巻き込まれたみたいだった……レイシフトってのは、そういうことなのか?」
そこかしこで上がる火の手は、しかし、横島にはどこか見慣れたものだった。
「……ただの炎じゃないよな……タマモの狐火にも似てっけど、もっとヤなもんな気がする」
とは言え、基本的に専門知識が足りていない横島に詳しい分析など出来るはずもない。
人気のない街へと足を踏み出した。
「ああ、夢であって欲しい。目が覚めたらまたあのオンボロアパートの汚い部屋で朝日を拝みたい」
既に及び腰の横島はそう呟く。
「藤丸やマシュちゃんも巻き込まれてたりするのか? さすがにわかんねえことだらけで頭破裂しそう……」
泣きが入りつつも足が止まらないのは、それまでの人生経験の賜物か。予想外の出来事がさも当然のように起こる職場に、この時ばかりは感謝する横島であった。
「藤丸ー、マシュちゃーん、どこだー?」
とりあえずとダメ元で行った呼び掛けに、
ガシャリ
と、反応があった。
「お?」
ガシャリ
それは何処かで見たことのある光景だった。
ガシャリ、ガシャリ
さらに言えば、何度も出くわしてきた状況でもあった。
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ‼
大量の、明らかに敵意を持つ、武器を持った骸骨の群れである。
「………………え゙!?」
有り体に言えば、つまりは危機的なシチュエーションというヤツだ。
「どこの人外魔境だここはぁぁぁぁっ!!」
恥も外聞もなく涙を飛ばし鼻水を噴出しながら走り出した横島と、骸骨達の追いかけっこが幕を開けた。
………
……
…
朽ち掛けた鉄塔の上に、その射手はいた。
崩壊した街の大半を視界に収め得るロケーションにおいて、射手は一人考えに更ける。
それは、自身がつい先程矢を射掛けるも仕留められなかった、盾を持つ少女。
「察するにサーヴァントであることは間違いなかろうが……あれはこの聖杯戦争に呼ばれた者ではないな」
ふむ、と射手はアゴに手をあて思案する。
「イレギュラーか? であればこちらの事情とは切り離された存在……そうか、ついに来たということか、セイバー」
大盾を持ったサーヴァントは、こちらの先制射を防ぐと、すぐに入り組んだ路地へと身を隠してしまった。
思えばあの時、無理をしてでも周囲ごと吹き飛ばす心算で追撃を行うべきだったか。
射手は手短に反芻と後悔を終えると、
「まあいい」
と一言でそれを打ち捨てた。
元より早いか遅いかの問題でしかない。
この街に降り立った以上、時間切れなどという結末は自分も彼女も許さないであろう。
ならば最後の一騎になるまで殺し合い続けるまで。
それは正しく履行される聖杯戦争の一幕に過ぎない。
「さて、あとはマスターと、生き残りのキャスター……ん?」
再び街並みへ視線を向けた射手は、
「………………………………なんでさ」
呆然とした様子で声を漏らしていた。
視線の先に、アンデッドの群れに追われる青年の姿が映っている。
みっともなく泣きわめき、驚異的な反射速度で背後からの攻撃を躱し、走り続けるバンダナの青年が。
「くっくっくっ、そうか」
射手の口許が、殺意と共に綻ぶ。
「よもや、そして
射手が狙いをつける前に、青年は商店街の裏路地へと消えた。
いや、そもそも射手は殺意こそ抱きつつも、その手に持った弓を動かすことはついになかったのである。
まるでそれが、
「良いだろう……その得意な生き汚さで以て、幕を引いて見せろ道化師め」
青年が消えた方を寸分違わず睨み付けながら、
「だがその前に、今度こそ俺の矢で殺してやる」
灼熱が微塵も尽きることのない炎上都市へと向けて。
「……ヨコシマ!」
黒い弓兵は、そう吠えた。
黒い弓兵……一体何者ミヤなんだ。
メルトリリスの腹筋について語り合える同僚がいる僕は、とても恵まれていると思いました。
次はもっと長くなる予定です。