このような駄文ですが、楽しんでいただけるよう頑張ります。
ちなみに、僕はFGOでは出るまで引く教に入信しています。でも聖杯はメディアさん(星3)に貢ぎました。
なんもかんもモーション変更と政治が悪い。
「ふむふむ、これが文珠か……いや、素晴らしいね。無色故の汎用性は。こういう発想は西洋じゃ中々に珍しい」
レオナルドちゃんと名乗った女性に連れられて、横島は空き室だという居住区の一室にいた。
ベッドに腰掛けたレオナルドは、早速横島に渡して貰った文珠を摘まみ、興味深く観察している。
「アシュタロス事件解決の中心にいた美神令子と、その助手にして自らもゴーストスイーパーである横島忠夫。映像こそ残ってはいないけど、あの巨大な、動く魔神像とでもいう代物を倒したのは君達だったんだろう?」
「いやぁ、まあそんな感じっすけど、俺なんか何の役にも立って無いすから」
「へぇ……謙遜なら随分上手いもんだ。これを生成出来る十代の人間が、果たして世界にどれだけいると思ってるんだい」
「いやいや、それだって上級の魔族なんかにゃ効き目薄いですし、所詮人間レベルの出力っすよー」
「おいおい、美神令子や数多の神魔族と関わっておいて、まさかこいつの本質を知らない訳じゃ……あー、ちなみに教えておくが、私の口は胸についちゃいないぞ、横島くん」
苦笑ですらも美しく、レオナルドはやんわりと横島を嗜めた。彼を知る女性陣なら、既に四、五発のコンビネーションブローが入っているような、胸の谷間ガン見に対してである。
(これは……あんま嫌がってない!? 美神さんに勝るとも劣らぬプロポーションに女神のような美貌……しかも向こうのクソタカビーに比べたら雲泥の差と言っていいノリの良さ……これは、いける? いけちゃうのか!? 横島忠夫の童貞は今日ここで失われてしまうというのかっ!?」
「漏れてる、漏れてるよ心の声が」
「はっ!? しまったぁ!!」
いかん、殴られる。思わず構えた横島の前で、レオナルドは可笑しそうにコロコロと笑った。
「全く、君は馬鹿正直な男の子だね。ここのスタッフは女性も多い。そんな目を向けては怯えてしまうから、気を付けてあげたまえ」
「ぼ……」
その反応が、余りにも新鮮過ぎて、
「ぼかぁもーっ!!」
懲りない男は、レオナルドに向かってダイブを敢行した。
「えいっ」
「ぶっ!?」
べち
まるで焼き増しのような光景がそこにあった。
「言っとくが、お触りは禁止だよ。至高の芸術に触れるにはそれ相応の代価と手順が必要なのさ」
レオナルドの手元にある文珠に、文字か浮かぶ。
【去】
「漢字ってやつは一文字にこもる意味が複数あるわけだけど……これで去勢出来るかどうか、実験されたくはないだろ?」
ニコニコと、それは何気無い日常の中にあるような話し方だった。
「まあ、そんな不確かなことしなくても、私に掛かれば君から科学的に性欲を消し去ることも容易いんだけどね」
「………………すんません」
ニコニコと、その笑顔のままに言葉の内容を実行に移しかねない迫力があった。
(あ、ある意味美神さんより怖えぇ)
こうしてレオナルドは、横島の中では美神に並び、『セクハラするときは覚悟を決める』リストに名を連ねる運びとなった。
………
……
…
「ヨコシマとか言う馬鹿はどこ行ったの!?」
管制室に、オルガマリーの怒声が響く。
落ち着きを取り戻した面々は、先に控えた重要ミッションに向けて最終チェックを進めていた。
その中で、既に自分の受け持った仕事を終わらせた者が、カルデア内のどこかに潜伏したと思しき横島の居場所を探していた。
「居住区から先に要るのは確かなのよね?」
問われたオペレーターは、頷きと共に返す。
「はい。雪崩が流入した居住区に、脱ぎ捨てられた防寒着が発見されました。恐らくは生きていると思われます」
「なら! さっさと見つけて抵抗できないようにして連れてきなさい! なめた真似して、絶対許さないんだから……」
親指の爪を噛みつつ、忌々しそうに呟くオルガマリーに、レフはなだめるように声をかける。
「しかし、彼は中々に大胆だったねマリー。遥か昔に袂を別ってから何百年も経つが、もはやゴーストスイーパーと我々魔術師は完全に別物と言っていいだろう。あまりこちらの考えに当てはめようとすれば、反って事態を悪化させてしまうかもしれない」
その言葉に、オルガマリーも幾らか落ち着きを取り戻したか、思いため息を一つ溢した。
「そうね……確かにそうだわ。全く、なんで今更になってこっちの世界に踏み込んで来たんだか……協会も協会だわ、ゴーストスイーパーをプロジェクトに加えるなんて、正気とは思えないわよ」
「それだけ、先のアシュタロス事件が与えた影響が大きかったということだろうね。あの悪魔は原典とは別の形で存在を得た、謂わばオルタナティブの一側面だったわけだが……かつて人類史で、あれほどの力を持つ大悪魔が人間の前に姿を見せたことなどなかった」
苦笑、そう表現して差し支えない笑みを浮かべて、レフは首を振った。
「加えて、それを撃退した存在が人類にいて、かつ我々のプロジェクトはそのような特記戦力こそ必要としていた……まあ、関係者一名の出向を以て落とし所とした君の手腕は誇るべきものだ。大丈夫、きっと全て上手くいくよ。自信を持つんだ、マリー」
「ええ、そうよ、そうですとも。こんな詰まらないことに何時までも関わっていられない」
オルガマリーは自身に言い聞かせるように呟くと、改めて周囲へと目を向けた。
「各員、レイシフトは予定通り定刻で執り行います! 侵入者はその後で捕獲します。自分の仕事に集中なさい!」
スタッフ達はそれを聞き、各々に返事を返すと自身の職務を全うすべく動き始めた。
「レイシフト開始まで、あと三十分。マスター候補生は指定のコフィンへ搭乗し、準備を整えてください」
オペレーターの言葉を聞いて、慌ただしい管制室で一人、笑みを浮かべる者がいた。
「ああ、楽しみだ。ようやく始まり、ようやく終わる」
レフ・ライノールがくつくつと、そう呟いた言葉を、耳に出来た者はその場には一人も居なかった。
横島と相性のいいサーヴァントって誰でしょうね?
個人的にはイシュタルか、カーミラ(老)だと思うんですが。
一応、最初に召喚するキャラは決まっています。