ジンキ・エクステンドSins   作:オンドゥル大使

264 / 413
♯257 死闘、そして

「状況は!」

 

 ブリッジへと急行したニナイは通信の先で返答を聞いていた。

 

『芳しくありません。完全に頭を押さえられた形です。《ゴフェル》の現状では対艦防御も難しく……銃座もほとんど月面の戦闘でやられてしまっていて……』

 

 今の《ゴフェル》ではアンヘルを退ける事など出来ないか。歯噛みしたニナイは通信に吹き込んでいた。

 

「クルーの三分の一を月面に置いたのも痛かったわね……。敵影は?」

 

『待ってください……、一つ、二つ……、敵は二機! 照合結果出ました! イクシオンフレームです!』

 

 悲鳴のような声にニナイはやはりと確信を持った。この状況で仕掛けてくるのはアムニスをおいて他にない。

 

「ブリッジ、戦闘準備! モリビトは?」

 

「既に出撃カタパルトに入っていますが……」

 

 そこから先を遮ったのは《ゴフェル》へと向けられたリバウンドの散弾による攻撃であった。黄色い粒子が跳ね回り、ブリッジの眼前へと《イクシオンベータ》が迫る。

 

『もらった!』

 

 回線が開き、敵の鉤爪が発振した、その時であった。

 

 カタパルトをピンク色の光軸が撃ち抜く。高出力リバウンド兵装の輝きがブリッジの減殺フィルター越しでも焼き付いた。

 

《イクシオンベータ》が直下より放たれた砲撃にうろたえ、おっとり刀で後退する。

 

「か、甲板に穴が……! これは!」

 

『ゴメン、ニナイ。わざわざカタパルトから出てあげるような時間も惜しくってさ』

 

 融け落ちた格納デッキから《ナインライヴスピューパ》が上昇する。四枚羽根を広げたその後ろ姿にニナイは返していた。

 

「……勝てれば問題ないわ」

 

『それは結構な答えで! 行くわよ、《ナインライヴスピューパ》! 目標を撃滅する!』

 

 Rランチャーを構えた《ナインライヴス》が《イクシオンベータ》を相手取ろうとするが、敵機も相性くらいは頭に入っているのだろう。即座に後退した《イクシオンベータ》に代わり、もう一機のイクシオンフレームが前に出ていた。

 

「あれは……! 機体照合!」

 

「やっていますが! イクシオンフレームだという以外の決定的なデータが足りません!」

 

 新たなイクシオンフレームは棍棒を手にしていた。赤く照り輝くリバウンドの輝きを纏いつかせ、薄緑色の敵人機が《ナインライヴス》へと接近する。

 

『接近戦なんて! バインダー! Rハンドガン!』

 

 即座に甲殻の内側からハンドガンに持ち替えた《ナインライヴス》が応戦するが、敵は棍棒を携えたまま、瞬時に空間を飛び越えた。

 

 まさしく瞬間移動としか思えないほどの高速戦闘に桃がうろたえる。

 

『跳躍……?』

 

「今のは……ファントム?」

 

 しかし現状のファントムとはまるで異なる次元であった。雷撃さえも軌跡に刻んだファントムで敵機は《ナインライヴス》を翻弄する。

 

 虚しく空を穿った《ナインライヴス》の銃撃に敵人機が回り込んで棍棒を打ち払う。

 

 羽根で受け止めた《ナインライヴス》であったが、その衝撃は推し量るよりも強大であったらしい。《ナインライヴス》の巨躯が跳ね飛ばされる。

 

「桃!」

 

 叫んだニナイは真正面よりリバウンドの散弾を放出しようとしている《イクシオンベータ》を視野に入れていた。

 

 相手の狙いは《ゴフェル》の早期沈黙。

 

 そのためならばいちいち相手取る因縁も考えないというわけか。

 

 苦味を噛み締めた途端、カタパルト区画より出撃申請が受諾されていた。

 

『《モリビトイドラオルガノンカーディガン》! 敵イクシオンフレームを駆逐する!』

 

 Rトマホークを振り翳した《イドラオルガノン》の一撃を《イクシオンベータ》が受け止める。

 

『……また阻むというのか。モリビト』

 

『当然だろっ! ボクらは、この《ゴフェル》を守り通す!』

 

 干渉波のスパークが散る中、通信が繋がれていた。

 

「……サンゾウ? 何か」

 

『援護が必要ならば出す。現状どうか』

 

「それは……」

 

 ニナイは言葉を彷徨わせる。モリビト二機ではイクシオンフレーム相手に遅れを取る可能性も捨てきれない。

 

「もしもの時には、お願い出来ますか」

 

『承諾した。援護射撃で敵をかく乱する程度ならば』

 

「感謝します……」

 

《イドラオルガノン》が《イクシオンベータ》と鍔迫り合いを繰り広げる。Rトマホークを払ったところで相手の鉤爪が弾き返した。

 

「桃、林檎、蜜柑……どうか生き残って……」

 

 今は願うしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こいつ……纏わりついて……!』

 

 林檎の声音が通信網に焼きつく。桃は新たなイクシオンフレームと交戦していた。羽根のバインダーで敵の一撃をいなし、その懐へと銃撃を浴びせる――この必勝の構図がしかし、今は当てはまらない。

 

 敵は棍棒で攻撃したかと思うと、すぐにこちらの射線を読んで離脱し、その機体を決して一ところに留めなかった。

 

 あまりにも違う機動力に桃は舌打ちする。

 

「これ……ファントムだって言うの……」

 

『正しくは違うかな。ライジングファントム。通常、ファントムは機体の循環ケーブルに過負荷を発生させ、その戻りと機体の推進力を相乗させて生み出す代物。だけれど、この! 《イクシオンガンマ》は! それを最初から可能にする! ま、前に使っていた奴はこの性能を活かし切れずに墜とされたちゃったけれどね。あの両盾のモリビトに』

 

「両盾のモリビト……クロがあんた達と戦ったって言うの?」

 

 敵機は人がするようにおっと、と肩を竦めた。

 

『いけないいけない。あんまり口が過ぎると怒られちゃう』

 

「……言いなさい。クロはどこ?」

 

『教えると思った?』

 

「……でしょうね。《ナインライヴス》!」

 

《ナインライヴス》が脚部を前足に据え、両腕を後ろ足へと引き出す。四枚羽根のバインダーはそのまま機体後部を覆う尻尾と化した。

 

 獣型形態へと移行した《ナインライヴス》に敵が口笛を吹く。

 

『それで来るんだ? そっちのほうが速いの?』

 

「教える義理はない、のはこっちも同じよ!」

 

 四枚羽根がそれぞれ開く。刹那、高推進力が生み出され、獣型の《ナインライヴス》が滑るように敵へと猪突していた。《イクシオンガンマ》が棍棒を薙ぎ払う。

 

『頭、もーらいっ!』

 

「そんな容易いわけ!」

 

 操縦桿を引き込んだ瞬間、バインダー内部に格納されていた武装が火を噴いた。裏返った羽根の内側より爆発的な威力の火線が舞い散る。

 

《イクシオンガンマ》は直撃を免れようと上に逃げたがそれこそ愚の骨頂。

 

 背筋に装備したRランチャーの射線であった。

 

「もらった!」

 

『そのままセリフ、返させてもらうよ! 容易いわけ、ないじゃん!』

 

 雷撃のファントムが空間から《イクシオンガンマ》の姿を掻き消した。何もない中空をRランチャーが射抜く。

 

 甲板に降り立った《イクシオンガンマ》が振り返り様の一撃を見舞おうとした。桃は雄叫びを上げて《ナインライヴス》の四枚羽根に推進力を灯す。

 

 獣型の機体が横ロールをして敵の棍棒をすり抜けた。まさしく野性の獣がそうするかのように機敏に回避して見せたのである。

 

 その機動にはさすがの相手も虚を突かれたのか、《イクシオンガンマ》に隙が宿る。

 

 後退機動を取りつつ、《ナインライヴス》が人型へと可変する。その手にはRランチャーが握られていた。

 

「その首、もらった!」

 

 照準から砲撃まで一秒もない。それでも、敵人機は硬直した機体に火を通した。

 

『そんなもの! ライジング――ファントム!』

 

「Rランチャー! フルバースト!」

 

 四枚羽根が裏返り、内側に格納されていた武装が支持アームで敵へと向けられる。無数の銃口よりリバウンドの攻撃が《イクシオンガンマ》を破砕すべく放射された。

 

 敵の速度はしかし、それを上回る。瞬時に跳ね上がった敵機はそのまま急角度で加速度を得て棍棒を振りかぶった。

 

 必殺の間合い、と判じた桃は《ナインライヴス》の攻撃の反動を利用して後退させる。

 

 棍棒が甲板を打ち据え、装甲を捲れ上がらせた。

 

『ざーんねん、殺せたのに』

 

 敵は本気で取りに来ている、その感覚に桃はRスーツを纏った首筋が冷えたのを感じ取った。

 

「……驚いたわね。そんなに戦えたんだ。……あの男のお付きなだけかと思ったのに」

 

『案外、執行者クラスってのは馬鹿に出来ないでしょ? どう? 桃・リップバーン。モリビトの執行者としては負けた感じになった?』

 

「どう……かしらねっ!」

 

 Rランチャーの砲口を《イクシオンガンマ》へと向ける。ゴーグル越しのアイカメラがこちらを睨み、砲撃を軽業で回避してみせた。

 

『無ぅー理! 無理だから! 勝てないよ! そんなんじゃ!』

 

「……男におべっか振るだけの女かと思ったらっ!」

 

 照射のまま砲口を振るう。《イクシオンガンマ》が跳ね上がり、棍棒を突き上げた。

 

『墜ちちゃえっ!』

 

「やらせるわけ……ない!」

 

 半身で避けた《ナインライヴス》が四枚羽根の甲殻を翳し、そのまま敵の懐へと潜り込もうとした。その手には支持アームで譲り受けたRハンドガンがある。

 

 至近での射撃。しかしながら、敵は驚くべき機動力でその銃撃を無為に帰した。

 

「接近?」

 

 近接格闘の域に達した《イクシオンガンマ》が肩口から衝突する。接近警報がコックピットを赤く染めた。

 

『ぶつかってくるのは想定外? だったって、勝てないでしょ! モリビトォッ!』

 

「そう、ね……」

 

《ナインライヴス》がマニピュレーターを回転させ、敵の血塊炉付近へと腕を捩じ込んだ。確実に取った、と感じた距離。

 

 しかし、それでも相手は流れをこちらに預ける事はない。蹴飛ばされて初めて、桃は敵人機がそれほどまでの格闘戦術に秀でているのだと認識した。

 

「銃を、蹴るなんて……」

 

『お行儀よく戦場で戦えなんて習ったの? ブルブラッドキャリアでは!』

 

 棍棒が頭蓋を砕かんと迫る。桃は咄嗟にバインダーの内側から取り出した武装で頭上へと近づいた武装を弾いていた。

 

『……トンファー。面白いわね。時代錯誤だけれど』

 

「黙っていなさい……! 舌を噛み切る!」

 

 トンファーが内側から青く輝いた。その様に相手が驚愕の声を出す。

 

『トンファーの中に、まさか……』

 

「ご明察!」

 

 返す刀のトンファーの一打を敵は咄嗟の判断で後ずさる。トンファーの一撃が食い込んだ甲板から爆風が生じ、青い衝撃波が人機一体分のスペースを巻き込んだ。

 

《イクシオンガンマ》が棍棒を払う。

 

『……驚いた。小さい血塊炉を積んでいるのね。小型の血塊炉をブルブラッド重量子爆弾……ゴルゴダの技術を使って限定的ながら爆発による膨大な衝撃波を生み出せるように設計されている。それ、もろに食らったら純正血塊炉の人機は確実に動きを止められる』

 

 そこまで悟られれば二度はないだろう。《ナインライヴス》はトンファーを両手に構えつつ、四枚羽根のバインダーを後部に位置させる。

 

 一点に寄り集まったバインダーより放射熱がもたらされた。

 

「近づかないつもり?」

 

『そのほうがいいでしょ。近づいてくるのならば迎撃するけれど』

 

 敵機が棍棒に火を灯す。赤く煮え滾ったように燃える棍棒の攻撃性能は恐らく奇しくもこちらのトンファーと同じような性能であろう。

 

 触れるだけで衝撃波の嵐がお互いの人機を磨耗させる。

 

 ゆえにここから先は互いを削る心積もりで戦うしかない。

 

「……あんた、生きて帰れとは言われていないんだ?」

 

『ああ、その辺シビアでね。確かにお気に入りよ? でもね、代わりもいくらでもいるんだって』

 

「……寂しくないの」

 

『ぜーんぜん。だって、天使なのよ? 天使に悲しみなんて感情は必要? 我々は地上の人間達を見下ろし、囁きかけ、武器を与え、道を違えさせるために降りてきた、天使の一族!』

 

《イクシオンガンマ》が焼け爛れたように赤く映える棍棒を突き出す。あちら側とて必死の構え。その構えに、こちらとて負けていられない。

 

 ――勝利するのに、一瞬でも気を抜けるものか。

 

 桃はトンファーで狙う部位を探る。やるのならば、敵のコックピットを叩き据えて一発……と行きたいところだが、敵も白兵戦用。そう容易く至近距離に潜り込めるとは思わないほうがいいだろう。

 

 ならば、ここは敵の武装をさばきつつ一撃、そしてもう一撃と繋げる。それこそが最短距離。

 

 勝利への最短を脳裏に描いた桃は《ナインライヴス》へと布石を打っていた。

 

「言っておくけれど、勝つわよ」

 

『そう? ビビッているのはそっちに見えたけれど。《イクシオンガンマ》……ライジング――』

 

「そっちがその気なら、こっちもやるまで! 《ナインライヴスピューパ》!」

 

 声が相乗したのは同時。

 

「『ファントム!』」

 

 重なった声と共に人機が掻き消える。桃とてファントムを会得していないわけではない。

 

 ただ《ナインライヴス》で起用するのには加速度に頼るこの戦術、あまりにも下策なのだ。

 

 重量級の人機である《ナインライヴス》では軽量級人機の放つファントムの速度にはどうしたって追いつけない。

 

 だからこそ、この時、ウイングバインダーを後部に集中させていた。

 

 前に行く事のみを考えた加速。次いで追いついてくる重力。胃の腑を押し上げるGに二機の人機がもつれ合う。

 

 赤い灼熱を宿した敵機がこちらのトンファーと打ち合った。無論、一撃でも交わせば爆発力は発揮されるはずであったが、衝撃波の到達よりも速く、敵は回り込もうとする。

 

 ハッと気づいて瞬間的な攻撃を見舞った。ウイングバインダーでまずは一撃を受け、生じた隙を突いての必殺。

 

 頭で分かっていても実際に行動に移せるかは別だ。

 

 操縦桿も、機体制御も何もかも追いついてこない。ウイングバインダーが敵の放った一撃にたわむ。荷重装甲が音を立てて軋んだのを実感した桃は吼えていた。

 

 ウイングバインダーの甲殻が剥がれたのを見越しての一撃。突き上げた形のトンファーはしかし空を穿った。

 

 敵人機はそれさえも予期して後ずさっている。不格好に振りかぶった《ナインライヴス》は格好の的であった。

 

『もらった!』

 

《イクシオンガンマ》が姿勢を沈める。こちらには一手の遅れ。

 

 一枚のウイングバインダーが剥がれ、今にも防御皮膜は瓦解しそうである。その針の穴のような活路を逃すほどの愚者であるはずもなく。

 

 敵の人機が真っ直ぐにこちらに向かってくる。

 

 恐らくはその一撃でバインダーを叩き壊し、二撃で仕留めるつもりだろう。分かっていた。相手の手など、分かり切っている。

 

 この状況下で打つべき手段はそう多くはない。

 

 灼熱の一振りがバインダーを払い、打ち壊した。

 

 雷撃のファントムの加速度も借りたその一閃には全く迷いなどなかっただろう。一枚剥がせば、《ナインライヴス》は剥き出しも同然。

 

 そのはず――であった。

 

『高熱源?』

 

 気づかれた。桃はしかし、相手を破砕すべく細いワイヤーによる実行装置を引き抜く。

 

 宙に舞ったバインダーの内側に格納された、Rランチャー。その砲口からピンク色のエネルギー波が充填されていく。

 

 バインダーが壊される事は想定内。

 

 問題なのはこの手に相手がどの段階で気づくかどうかであった。敵の加速と破壊力を加味した作戦。

 

 敵は確実に今、こちらを倒しにかかっている。ならば、必殺の間合いは同時に、反撃の間合いへと転じるはず。

 

「……《ナインライヴスピューパ》のウイングバインダー一枚一枚には、サブ血塊炉が組み込まれている。純正の、血塊炉がね。そのお陰で、《ナインライヴス》はRランチャーの連射と、エネルギー効率の向上化を図れた。ゆえに、ウイングスラスター一枚でも、それは人機一機分に等しい」

 

 人機一機分の特攻。敵が悟った時にはもう遅い。

 

 後ずさろうとした敵機を《ナインライヴス》が真正面から組み付いた。

 

「逃がすわけ……ないでしょう」

 

『こんな! こんな事で! アムニスの序列五位なのよ? 渡良瀬だって!』

 

「知らないわよ、あんたが何位だって。モモ達は! 踏み越えるために戦ってきたんだから!」

 

 Rランチャーの砲身は寸分の狂いもなく、敵の人機を焼き尽くせる軌道にあった。

 

 そのためならば腕の一本や二本は犠牲にしても構わない。

 

 それほどの覚悟の一撃であったのに――。

 

『冗談じゃないわ! 心中なんて御免よ! 《イクシオンガンマ》!』

 

 敵が棍棒を投擲する。まさかの行動であった。近接武器を投げるなど。

 

 その軌道は中空のウイングスラスターへと命中し――、爆ぜた光の瀑布が敵の人機の半身を焼いた。

 

 悲鳴が接触回線を劈く。断末魔の声に桃は《ナインライヴス》のステータスが赤色光に染まっていくのを目にしていた。

 

「こんなところで……離すもんか……!」

 

『離せェッ!』

 

 バインダーの内側から支持アームを伸ばす。がっちりとくわえ込んだ《イクシオンガンマ》の機体が直後、震えた。

 

 圧縮空気で打ち出された敵の頭部コックピットが翼を得て空域から離れていく。

 

 融け落ちた《イクシオンガンマ》の機体が傾ぎ、Rランチャーの光芒の中に消えていった。

 

 桃は荒い息をつく。今の瞬間、死んでもおかしくはなかった。

 

 力を失ったウイングバインダーが甲板に落下する。半分の全天候周モニターが砂嵐に浸食された視界で、桃は《イクシオンベータ》と鍔迫り合いを繰り広げる《イドラオルガノン》を目にしていた。

 

「……お願い、林檎……蜜柑、生きて……」

 

 桃の意識はそこで闇に没した。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。