ジンキ・エクステンドSins   作:オンドゥル大使

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第九章 破界の果実
♯プロローグ1


 青い土壌を血潮が塗りたくる。

 

 赤く染まった大地で一人、また一人と兵士が倒れていった。アサルトライフルを手に接近する敵兵へと怨嗟の言葉が浴びせられる。

 

 その言葉の皆まで聞かず、放たれた銃弾が一人の兵士の頭蓋を射抜いた。

 

 三々五々に兵士が散る中、塹壕から迷彩色にカラーリングされた《バーゴイル》が出撃する。

 

 レールガンが射出され、敵兵を押し出そうとした。兵士達の悲鳴が通信機を劈く。

 

『何だあれは! あんな人機、滅茶苦茶じゃないか!』

 

『こちらB班! 敵人機と遭遇! 応援を求む!』

 

『あれが……C連邦の……』

 

 直後、何かが潰れる音が通信網に焼け付いた。《バーゴイル》の操主二人が光通信で会話する。

 

「ひでぇもんだ。どうやらここが殿らしい」

 

『どこへ行っても、か。押されているな。巻き返せるか?』

 

「誰にもの言ってるんだ、よっ!」

 

 発振したプラズマソードを振り翳し、《バーゴイル》が前線の兵士達を蹴散らさんと機動する。おっとり刀の兵士達はすぐさま撤退していった。

 

 仲間の皮肉が飛ぶ。

 

『これ……自分達は撤退しても旨味があるって判断だよな。俺達が死に物狂いでここで戦端を開いたって無意味だって』

 

「それでも、やるっきゃないだろ。ここを陥落させられたらお終いだ。《バーゴイル》、行くぞ!」

 

 飛翔した《バーゴイル》のスラスターノズルには土くれが溜まっている。ほとんど塹壕での待ち伏せに使っていたせいだ。

 

 久方振りの飛行はがたついていたがさすがは旧ゾル国勢の機体。すぐに持ち直し、《バーゴイル》のシステムコンソールが安定機動をもたらした。途端――。

 

 一条の光線が戦場を奔り、青い空気を引き裂いていく。

 

《バーゴイル》の肩口を貫かれた。

 

 よろめいた《バーゴイル》へと青い戦場の向こうから死神がやってくる。

 

 赤く塗装された機体はX字の眼窩をぎらつかせた。

 

『トウジャだ! 全軍退避ーっ! あれと打ち合って勝てるのは……!』

 

「ああ。人機だけだ」

 

《バーゴイル》を安定稼動させ、先を行った仲間へと援護射撃する。ハンドレールガンの射程はせいぜい人機一体を相手取る程度。だが、邪魔な雑兵を蹴散らすくらいは造作もない。

 

『派手に行こうぜ! C連邦の……独裁の狗がァッ!』

 

 仲間の《バーゴイル》が後部に積載した重火器を《バーゴイル》に持たせた。ガトリングライフルが火を噴き、《スロウストウジャ弐式》の装甲を叩く。

 

 しかしただの純粋火器では《スロウストウジャ弐式》はびくともしない。

 

『やっぱりR兵装じゃなきゃ駄目か!』

 

 舌打ち混じりに仲間は《スロウストウジャ弐式》に向けて火線を張り続ける。それが分かっているからこその弾幕だ。

 

 こちらには塹壕の底に埋めておいた虎の子の高出力プレッシャーライフルがある。

 

《スロウストウジャ弐式》が接近してきた時こそ、その真価を発揮するだろう。仲間がダメ押しの弾幕で相手の視界を奪っているのはそのためだ。さしものトウジャタイプと言っても、火線を張り続ける相手の裏を掻いた行動には瞠目せざる得ないはず。

 

 ハンドレールガンで援護しつつ、《バーゴイル》にプレッシャーライフルを握らせようとした。

 

 その時、不意に中空から地上へと縫い止める雷撃が放たれる。緑色のリバウンド兵装の輝きは推し量るまでもなかった。

 

 手先でプレッシャーライフルが引火し、爆発の光に包まれていく。

 

 慌てて《バーゴイル》に飛翔機動を取らせ、誘爆から逃れた。

 

「トウジャ……! 新型の!」

 

 中空に佇むのはX字の眼窩は同じものの、紫色に塗装された機体であった。黄色く染まったアイカメラセンサーがこちらを睥睨する。

 

 後部に《スロウストウジャ弐式》よりも発達した推進機関を有していた。高機動型のスロウストウジャの発展型。その名前は――。

 

「《ゼノスロウストウジャ》……! 本国のアンヘル!」

 

《ゼノスロウストウジャ》と呼ばれた機体へと仲間が火線を張る。その猛攻を《ゼノスロウストウジャ》は腕を払って弾き返した。

 

 言葉通りの意味で。腕を振るっただけで弾丸の位相が変化し、銃撃がこちらへと反射してくる。

 

「連中、リバウンド装甲だ! 実体弾で応戦なんてするな!」

 

『分かってんよ! クソっ! じゃあ斬り合いで!』

 

 発振したプラズマソードと《ゼノスロウストウジャ》の腕が干渉波のスパークを散らせた。相手からしてみれば何でもない。ただ単に腕を振るうよりも下策の攻撃が放たれたのみ。

 

《ゼノスロウストウジャ》が《バーゴイル》の頭部を引っ掴む。仲間の《バーゴイル》がガトリングを引き絞るが、表層を叩いただけの銃撃は虚しく響くのみ。

 

『チッ、クショウ! 墜ちろよ!』

 

 ガトリングを捨てた《バーゴイル》が袖口に仕込んだ機雷へと起爆させようとしたところで、《ゼノスロウストウジャ》が頭部を握り潰した。まるで果実のように青い血潮が絞られていく。

 

 こちらには最早手立てはない。雄叫びを上げながら、《バーゴイル》のハンドレールガンで猪突する。

 

「このっ! よくも、俺達を! このコミューンをォッ!」

 

 ハンドレールガンの弾丸を相手が振るった片手でいなし、沈黙した《バーゴイル》を投げ捨てる。

 

 頭部を潰された《バーゴイル》が大写しになった直後、《ゼノスロウストウジャ》が片腕を薙ぎ払った。

 

 袖口より発振されたプレッシャーダガーが仲間の《バーゴイル》ごとこちらの血塊炉を引き裂く。

 

 血塊炉不全状態――貧血に陥った《バーゴイル》が撃墜されるのは予測された範疇であった。

 

 背筋より落下した二機の《バーゴイル》の重量に、操主は眩惑される。

 

 頭を振ってハンドレールガンを構えたが貧血状態から武器を撃てるはずもなし。

 

《ゼノスロウストウジャ》と《スロウストウジャ弐式》が自分達を取り囲む。

 

 彼らの標準装備であるプレッシャーライフルの照準警告が瞬時にコックピットで鳴り響いた。

 

 血反吐を吐きつつ、操主は両手を上げる。

 

「まだ……死にたく……」

 

 その言葉が紡がれる前に、四方八方からプレッシャーライフルの光条が《バーゴイル》二機を撃ち抜いた。灼熱が迸り、青く染まった大地を染め上げる。

 

 白い霧が上がったところで《ゼノスロウストウジャ》の操主が通信に吹き込んでいた。

 

『状況終了。このコミューンは完全に陥落した』

 

『元々、反政府派のただの悪足掻きでしょ。造作もないですよ』

 

『そうかな。案外、我々には健闘したほうかもしれない。世界の抑止力に抗うなど、無駄な事なのに』

 

『スロウストウジャ部隊に損害はありません。最小限の武力で最大限の貢献をする。我々アンヘルの理念が生きていますよ』

 

《ゼノスロウストウジャ》がプレッシャーダガーを発振した腕を掲げる。「A」へと交差する「X」が描かれたエンブレムが青い景色に映えた。

 

『アンヘルに歯向かうなど、ただの愚者だ』

 

『その愚者がこのコミューンの設計者なんでしょう? まったく、どれほど人命を無駄にしたか』

 

『捕虜と難民問題は本国の頭を抱えたお歴々の分類だ。我々、前線の兵士には関係のない事だ』

 

 その時、一人の女が塹壕より這い出てきた。

 

 高濃度ブルブラッドの中、女は子供を抱えている。何か呪詛の言葉を吐いているようであった。

 

『……どうします? 隊長』

 

『どうもこうもない』

 

《ゼノスロウストウジャ》がすっと片腕を向ける。見向きもせずに放たれたプレッシャーダガーの熱気が親子を消し炭にした。

 

『こうするように、本国からは仰せつかっている。殲滅戦だ』

 

『……御意に』

 

《ゼノスロウストウジャ》が戦場を舞い上がる。それに続いて《スロウストウジャ弐式》部隊が飛翔した。

 

 青く爛れた戦場を俯瞰し、《ゼノスロウストウジャ》のコックピットに収まる男はふんと鼻を鳴らす。

 

「ただただ、違っただけの話。運命の巡りが、な。それだけだ。シンプルでいいだろう? 弱者は地を這い蹲り、強者のみが舞い上がれる。紺碧の空は我々のものだ」

 

《ゼノスロウストウジャ》が両腕の袖口に備え付けられたプレッシャー装備の放射口を地上へと向ける。

 

 直後、土くれを舞い上がらせ、地表を幾度となく叩きつける雷撃が戦場を蹂躙する。

 

 まだ生きている兵士はいただろう。あるいはまだ守られている一般人も。

 

 しかし、これは殲滅戦。

 

 一匹も逃すな、というお達しだ。

 

 だから塵芥でさえも見過ごさない。たとえその命が虫けらの如しであろうとも、一匹も生き永らえさせてはいけない。

 

《スロウストウジャ弐式》から口笛が漏れ聞こえた。

 

『怖ぇえー。俺、本当にC連邦の側でよかったですわ。だってこんな風に……リバウンドプレッシャーの砲弾で撃ち抜かれるなんて想像もしたくないですもん』

 

「なに、瑣末な違いだよ」

 

《ゼノスロウストウジャ》の中で男は腕に巻いたリストバンドを目にしていた。

 

 バンドの先には焼け爛れたネックレスの欠片が括りつけられている。

 

「ほんの瑣末な……それこそ取るに足らない差だろう」

 

『《スロウストウジャ弐式》、全機帰投します』

 

 コックピットの中で投射画面が開き、本部からの打診を訴える。

 

『アンヘル第三小隊。損傷は軽微か?』

 

『損傷どころか、怪我一つ負っていませんよ』

 

 部下の軽口を無視して司令官は咳払いする。

 

『隊長機、そちらの判断は?』

 

 一拍だけ置いてから、男は応じていた。

 

「《バーゴイル》が二機、それだけです。高出力プレッシャー兵器を確認しました。恐らくは第三国……弱小コミューンから流れ着いた代物でしょう」

 

『よろしい。洗い出しを行う。シリアルナンバーを参照せよ』

 

「51B、73DF469」

 

 その番号が復誦され、自分専属のライブラリが開いた。

 

 ライブラリの中に同じ特徴を持つ兵器を発見する。

 

「これですね。高出力Rプレッシャーライフル。……驚いたな。旧ゾル国の正式採用機」

 

『《バーゴイル》が出てきた時点で推し量りでしょう?』

 

『判断を仰ぎたい。そのコミューンにまだ、対抗勢力は存在するか』

 

 司令官の問いかけに男は地平線を注視した。

 

 紺碧の大気が染める戦場には塵一つ残っていない。人機どころか、人間でさえも殺し尽くした虐殺の丘。

 

「……いえ、目視出来る範囲には」

 

『いいだろう。帰還したまえ。アンヘルの御許に』

 

「栄光あれ」

 

 復誦した自分に倣い、部下達も声にする。

 

『栄光あれ……。ねぇ、これってやっぱり宗教って奴じゃないですか?』

 

 ローカル通信の部下の苦言に男は笑みを刻んだ。

 

「そうでもないさ。信仰は生きているかもしれないが、宗教は死に絶えた。それに、我々が仰ぐべき天使は存在しない。我々こそが、天使なのだ」

 

『虐殺天使、なんて揶揄されちまってますけれど……』

 

「言わせておけ。連中は所詮、ネットの中でしか吼えられない弱者。そのしわ寄せがどこに行くのかの想像も出来てはいまい」

 

《ゼノスロウストウジャ》が帰還信号を空に放つ。

 

 青く染まった大気を引き裂いて、プレッシャーの赤黒い光が地表を照らし出した。

 

 忌むべき色の夜明け。

 

 戦場の終焉。

 

 ――また一つ、この惑星からコミューンが地図より消えた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廊下を折れたところで、リックベイは自分達とは違う制服の一団と遭遇する。

 

 赤い詰襟の制服。戦場を舞う死の天使と呼称される虐殺部隊。「A」を交差する「X」字が切り裂いているのはその正義の絶対性の表れであった。

 

「失礼。貴君らはアンヘルの」

 

「ええ。上級仕官です」

 

 自信たっぷりに言ってのけたのは痩せぎすの青年仕官であった。眼だけが煌々としている。人殺しの眼だ、とリックベイは警戒した。

 

「アンヘルの流儀、聞かせてもらっている。そちらの武勲は相当に昇るようだ」

 

「無論でしょう。我々特務部隊がいなければ、C連邦の今日の平和はあり得ませんから」

 

 先ほどからお喋りな部下に比して隊長と思しき上官はこちらを真っ直ぐに見据えるのみであった。

 

 屈強な体格の隊長へと、リックベイは視線を流す。

 

「貴君はどう思う? アンヘルの働きを」

 

「ちょっと! 銀狼だからと言って、我々に軽率に話しかけないでもらいたいですね! どこの世界の英雄譚だか知らないけれどさぁ!」

 

「失礼。わたしは彼と話している」

 

 侮辱されたと感じたのか、痩せぎすの仕官が歯噛みしたのが伝わった。

 

「……部下が失礼した」

 

「構わない。わたしこそ分を弁えない質問だったかな?」

 

「いえ、C連合の……いえ、旧C連合の銀狼と言えば、それは英雄の証。軽んじるわけもありますまい」

 

 言葉の上だけの賛美か、とリックベイは身を強張らせた。

 

 この上官、格上の相手に歯向かうような性質の悪い真似はしないが、使い手には違いないだろう。

 

 リックベイは素直に感嘆する。

 

「先の戦闘条件を見させてもらった。有意義なデータだ。これから先、連合勢力内でも参照したい」

 

「連邦の、って何度言わせれば……! もう古いんですよ、それ」

 

 痩せぎすの青年仕官を遮って隊長が口を開く。

 

「いえ。同じ国家の中で共有はされるべきです。リックベイ・サカグチ少佐。しかしそれは六年前の栄光ですよね? 今は違うはずです」

 

「……もっともなご意見だ。我々連合勢力はいわゆる旧時代の……お荷物と言われている」

 

「分かっていて話しかけているって認識でいいんですか? いくら階級の上では仕官だからって、今を保っているのはアンヘルのほうです」

 

「忠言痛み入る。だが、その今を形作ったのは我々だという事も、忘れないでいただきたい」

 

 それ以上の口論を隊長が遮った。

 

「肝に銘じておきましょう。我々はブリーフィングがありますので、この程度で」

 

「ああ。参考になった」

 

「こちらも。代わり映えしないようで」

 

 すれ違う間際にも言葉の応酬は止まらなかったが直截的な物言いはお互いに避けているのは当然だろう。

 

 同じ国家で仲違いしたところで旨味などない。

 

 歩み去っていくアンヘルの構成員の背中を見送ったリックベイはこちらへと駆け寄ってくる人影を発見していた。

 

 背が随分と低い。銀髪の少女はどう見てもアンヘルの赤い詰襟制服に「着られて」いた。

 

 青いカチューシャを留めている少女にリックベイは言葉をなくす。向こうも話しかけようとしては何度も失敗して口を噤んだ。

 

「失礼……。君もアンヘルの」

 

「ええ、えっと……ごめんなさいっ! キジマ中尉はああいう物言いがその……得意で……サカグチ少佐には失礼だったかな……なんて」

 

 おどおどした少女にリックベイは困惑していた。アンヘルの部隊員と同行しているという事は彼女もまた自分達――旧連合勢力とは対立しているはずだ。

 

「失礼などとは思っていない。君達アンヘルが今を切り拓いている事は立派な事実だ。誇りを持っていい」

 

 その言葉一つで少女の顔がぱあっと明るくなる。どうにもやり辛いな、とリックベイは頬を掻く。

 

「わたしのほうこそ、喧嘩腰であったかもしれない。大人気なかったとすればこちらだ」

 

「いえっ……! 少佐が大人気ないなんてそんな事……。そのっ……あたし、まだまだ操主としてはイマイチで……。よく少佐の作られたシミュレーターを練習相手にさせてもらっていますっ。だから、その……ふ、ファン、っていうか……っ」

 

 もじもじする少女にリックベイはどうにも掴みかねていた。これが獲物を一滴も残さずに喰らい尽くす猟犬部隊の一員だというのか。

 

 これではまるで――そう、まるで乙女だ。

 

「おい! コソコソしてるんじゃねぇぞ! ウスノロ!」

 

 先ほどの痩せぎすが声を張った。そのせいか、少女がうろたえる。

 

「はいっ! ただいまっ! ……お話したいんですけれど、あたしの……部隊長と連合の人は仲良くしないみたいで……」

 

「ああ、それはそうだろう。我々は旧陣営だと言われている。新進気鋭のアンヘル部隊員が何もうろたえる必要はない」

 

「でもっ……さっきは失礼でしたよね。謝ります」

 

 ぺこりと頭を下げた少女にリックベイはこちらこそと言いかけて痩せぎすの声に遮られた。

 

「おい! 早く来いって言ってんだろ!」

 

「ああっ、はい! ただいまぁっ……!」

 

 駆けていく少女の背中を呼び止めかけてリックベイにはそれほどの価値が自分にはないことを再認識する。

 

 アンヘルの部隊員。つまりは人殺しの尖兵だ。だが、あの少女はまるで違う。いや、そもそも少女と呼んでいいのかさえも不明。

 

 アンヘルに入っている以上は一定の「商品価値」を持っているはずであったが、まるでその気配は感じられなかった。

 

「……分からんものだな。いつの時代も組織は」

 

 こぼして、リックベイは召集をかけられていた上官の部屋へと書類を届けるべく、歩みを早めた。

 

 


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