ジンキ・エクステンドSins   作:オンドゥル大使

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なかがき

 

なかがき

 

 拙作、『ジンキ・エクステンドSins』をここまで読んでくださりありがとうございます。

 ♯エピローグの通り、ファーストシーズンは終了しました。

 ひいては三週間のお休みをいただき、セカンドシーズンに突入するわけですが、ここで一旦、幕間としてのなかがきを挟ませてもらいます。どうかご容赦を。

 さて、そもそも何故今さら……いやもっと乱暴な言い方をするのならば何故「ジンキ」シリーズの二次創作をここまでしようと思ったのか。それに関して語らせてもらいます。

 前作を知っている方はどれくらいいるでしょうか。『ジンキ・エクステンド 翠聖の翼』で大正時代を舞台に「ジンキ・エクステンド」のいわば前日譚を描かせていただきました。

 しかしやはりと言いますか、大正時代では時代考証に無理があったのと、何よりも「対人機戦」を全くと言っていいほど描けなかったのがやはり不満点として残っていました。

 鋼鉄同士がぶつかり合うメカバトルをほとんどやれなかったのはやはり後悔としてあり、ちょうど公式である綱島士郎先生がチャンピオンREDにて『人狼機ウィンヴルガ』を開始され「ジンキ」シリーズの新たなる可能性を見た時、やはり強く感じたのです。

「これを徹底的にやってみたい」と。

 そう思ったらつらつらと出てきたのです。シルヴァリンクをはじめとする人機の設定とSF考証(と言えるほどのものではないと思っていますが)が。

 モリビトが対惑星の切り札として徴用され、宇宙よりの報復作戦が実行される――という流れはもう見れば分かるといいますか『ガンダム』ですね、どう考えても。

 しかもほとんどWと00みたいなものです。

 ですがこれを「ジンキ」シリーズで出来ることに意義があるのではないかと感じ、書き始めれば出るわ出るわの新設定に新解釈。

 書いてみて正直久しぶりに「楽しい!」という感覚でした。

 ジンキSinsのことを考えているのが一番に楽しく、また綱島先生のウィンヴルガもどんどんと新設定や新展開が出てきて本当に楽しかったんです。

 だからなのか分かりませんがこの作品、ほとんど読者さんの受けは悪かったです。

 もう作者が完全に自給自足で楽しんでいる領域と言いますか、「読者の事考えていないかもな……」というのはどこか頭としてあって、それに関しては申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 自分だけ楽しい、というのはやっぱりよくないのかな、とは思いつつも「じゃあ自分が楽しめなければ誰が最初に楽しむんだ?」という命題が突きつけられていて、何が悪いのだろう……、ひょっとしてこの展開は伝わりにくいんじゃないかな、という部分に関してはセカンドシーズンでもっと分かりやすく噛み砕こうと思っています。

 ですがやっていてこれほどに楽しく、また充足感が得られた作品もありませんでした。

 そもそも「ジンキ」シリーズと出会ったのは中学生の頃。

 まだ新聞の番組欄がアニメかバラエティなのか分からない頃に偶然、深夜に録画したアニメがありました。

 それが『ジンキ・エクステンド』です。

 正直、衝撃を受けました。

 当時、確かエウレカセブンやファフナー、アクエリオンというオリジナルロボットの流れはあったものの、それは何というか言い方を悪くすれば「それって地方民は楽しめないですよね」という感じでした。(エウレカは映りましたけれど)

 その地方民がよく分からない深夜二時頃の時間に、よく分からないまま録画できたよく分からないロボットアニメ……。

 第一話のキリビトザイ対モリビト二号のアバンでなんというか……頭の中身が割れたかと思うほどの衝撃を受け、そして本屋に行くとその原作本を見て二度衝撃。

「ほとんどアニメとそん色ないカラーイラストじゃないか!」と。

 当時、ロボット漫画というのは今ほど間口が広くはなく、さらに言えば描ける人も限られていて、その中でオリジナルロボット! なおかつ人物もびっくりするほど上手い! となればハマったのは必定でした。

 その後もジンキシリーズを買い続け、今『人狼機ウィンヴルガ』を愛読しております。

 そんなファンとしての関わりあいの中でどこかで「ジンキを自分なりに動かしてみたい」という欲求があったのでしょう。

 ちょうど、と言いますか別件でロボットものに関われる機会があり、その上一応は小説を書いて報酬をいただけるようになったので、この機会に恩返しと言いますか、これまで自分を育んでくれたジャンルに、自分なりのアンサーをぶつけてみたいと思ったのです。

 それがジンキSinsを書く土台でした。

 正直、オリジナリティがないとか、使い回しみたいな設定とか言われかねないな、という懸念はありましたが一応は軸として「罪」を置き、その罪に対して人間はどう関われるのだろう、どう償っていけるのだろう、というのがメインテーマではありました。

 鉄菜達ブルブラッドキャリアの側で見るか、惑星の側で見るかは読者様次第です。

 ただファーストシーズンではとりあえずどちらの視点からも楽しめるようにした結果、ちょっととっちらかったかもしれない、という感じはありました。

 続いてメカニックの部門ですが……もうどう足掻いても本家「ジンキ」には敵わない程度の貧弱なイメージ力ですので分かりにくいメカ設定だったり、ぱっとしないデザインだったりだとか思われていたかもしれません。

 その点に関しては本当にすいませんでした。私の完全な力不足です。

 あとは完全に作者の都合であれなのですが「プラネットシェル」という固有名詞や「地球ではなく惑星」とする意味など一応は伏線……のつもりです。

 ナナツーやらバーゴイルやらモリビト、キリビト、トウジャやらを本家よりお借りしての作品であったのでもうほとんど自分の考えたと呼べないものかもしれませんが、そこは二次創作として生温かい眼で見てください……。

 さてセカンドシーズンですが、今のところ四割程度は書けています。なのでそこまで投稿速度で困らせる事はないかと。

 生き残った人々はあの後どうなったのか。鉄菜やブルブラッドキャリアは世界を本当に変えられたのか。全ては『ジンキ・エクステンドSins』セカンドシーズンにて。

 あとは名称の発想方法に関して、今作独自のものがあったのでその補足だけ。

「ブルブラッドキャリア」という名前に関して。とりあえずこれまでの色んなロボット漫画やアニメに出てくる名前との混合だけは避けたいということを前提に考えていましたので、「これ!」というのが出たら即採用と思っていた時にこれが割とすとんと出てきて助かりました。

 血塊炉――ブルブラッドエンジンが青い血を象徴するものであることと、キャリア=感染体などを意味するので極大解釈をして「青い血の者達」というような意味となっております。

 青い血と言えば自分の中では『ラーゼフォン』の感覚が強いので本質的に「別種」、「分かり合えない存在」という暗喩も含んでいます。

 C連合、ゾル国、ブルーガーデンに関して。「コミューン」という共同体をすぐに出す事は決まったのでそのコミューンを統括する連合体は出るだろうと、C連合が一番に決まりました。一番大きい国家なので汎用性の高い機体を使っているだろうということでナナツーのイメージがすぐに定着しました。

 二番目がゾル国。綱島先生の作品にザコ敵として「ゾール」というのがいたような気がしたのでそれにあやかってゾル国。色んな先行作品と出来るだけ被らないような名称という点でもグッドだったので即採用。確かゾールを使っていたのがキョムだったのでそのままバーゴイル。

 最後にブルーガーデンですが、この作品の特性上、絶対に強化人間的なものと+独裁国家は存在すると考えたので余り物の考え方ですが、青い霧に包まれた秘境のイメージでつけました。ロンド系列にしたのはこれも余り物の考え方ですね。

 血続に関してもファーストシーズンではほとんどさわりだけの扱いだったのでセカンドシーズンでは掘り下げたいと思います。

 続いてモリビトの名前ですが、実はシルヴァリンク、一発で決まりました。鋼鉄の絆、という開発コードと一緒にすんなりと。剣を持っている近接戦闘機でなおかつ主人公の人機なのも何故か一瞬で確定したのです。不思議なめぐり合わせですがこの時点で既に主人公の名前で「クロハ」というものがありました。

 原作の名付け法則で行くと「色+植物」という感じなので「黒」、しかしそのままだとひねりがないので鉄から前半だけ拝借して「鉄」。普通ならば「葉」ですが、「鉄」に「葉」はグーグルで調べると「ブリキ」と読むらしくこれはまずいな、ということで植物系列のネーミングで「菜」、と来て「鉄菜」が出来上がりました。これまた不思議な巡り会わせで、下の名前のノヴァリスですが、調べてみるとこれは外国の作家でその作中になんとこの作品で一番に意義があったであろう「青い花」が出てくるのです。

 多分何かの検索中に偶然目にしたものを結びつけたのでしょうが運命を感じました。

 続いて彩芽ですが、これはポケモンのほうで使った名前をそのまま使って「彩芽」と。実はよく使っているのに自分では自覚のない「サギサカ」という苗字にしました。これもすんなりと決まりました。

 鉄菜と同時期に決めたのが桃で、前の二人が植物なのでもうそのまま果実の名前でいいじゃないか、ということで簡単に決まりました。ただ、彼女の乗機である「ノエルカルテット」に関しては最後の最後、本当に書き始めるまで悩んでいました。

 安直過ぎないか? と思ったので。

 当初より三機のモリビトを出すのならばタイトルの「Sins」にちなんでいるのが面白いと思っていたのでまずはシルヴァリンクの「S」。これは当て嵌めたつもりもなく勝手に決まったので次はインペルベインの「I」。これに苦戦した記憶があります。

 インペルで検索すると……まぁ出るわ出るわ某海賊漫画のインペルダウン。しかも英語の記事さえもこの使い方を参照しているほどのあれでしたので、インペルの原語を調べてみるとどうやら「(奈落へと)落とす」的な意味のようでしたので、ベイン(破滅)と合わせて、これも極大解釈をして「破滅への引き金」になりました。

 そして最後の「S」であるところのモリビトシン。実はこれ、出すつもりは全くなかったんですが、「成功した三機だけだと物足りないし欠陥品があってもいいな」と思ったので急遽追加。

 結果論ですが「Sins」には意味がつきました。

 ちなみに「N」は本当に悩み抜いての「ノエルカルテット」でした。もう読んで字の如く「福音の四重奏」。こいつだけ意味適当じゃね? と思われたら仕方ありません。カルテット……重奏のイメージから合体する大型人機にして少しでもギミックを足そうとはしたんですけれど……。

 色々と苦しいところの多い作品だったと思いますが、セカンドシーズンも読んでいただけたら幸いです。

 あとは綱島先生の描くジンキシリーズを毎月楽しみにしているだけの、ただの読者ですので、本当にジンキにご多幸のあることを願って筆を置かせていただきます。

 ではセカンドシーズンでまた。

 

2018年3月19日 オンドゥル大使より

 


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