ISとHALOが混ざってしまった件について… 作:コレクトマン
今話で第1章は完結です。
千冬よ、異星人を侮るな。
銀の福音戦から無事に帰還を果たした星矢達。そこで出迎えていたのは清十郎と束博士、織斑先生たちであった。
「よかった〜みんな無事で〜♪」
「よっ!お疲れさん、お前たち。無事に作戦完了……っていきたところなんだが、何で星矢はさっきから小難しい顔をしているんだ?」
「父さん……いろんな意味で厄介なことが判明した。それと一夏のアーマーも福音の戦いで二次移行したからアップデートが必要だ」
「あー……そういうことか。分かった、こっちで手配しておく。それとお前たち、疲れたろう?今日はゆっくり休んでいいぞ」
「それは私のセリフだろうが………まぁいい。これだけは言っておく。よくやった、全員よく無事に帰ってきたな……」
その後は待機していた女子生徒たちから質問が殺到した。しかし、今回の事件は機密事項扱いにされ女子生徒たちに口外する訳にはいかなかった。そして僕は一夏自身に何があったのか詳しく聞き出した。一夏曰く、気を失っていた時にフォアランナーの魂であるヘミソフィアに会い、ヘミソフィアからエヴォルの目的はコンポーザーという最強の兵器を使い全人類をデータ化させ、決して破れることのない平和とフォアランナーの復活。それがエヴォルの真の目的であった。……まさかコンポーザーがこの世界にもあったなんてな。
「……エヴォルはどこかのアニメで見た人類を別の何かに変換させて保管させる計画みたいな事を考えていたとはな……。この場合はその保管法がデータ化バージョンとはな」
「あぁ……そのヘミソフィアから俺の遺伝子を操作してコンポーザーへの耐性を目覚めさせてくれたんだ」
「それはそれで有難い事かもしれないが一夏、お前絶対遺伝子を調べさせられるぞ?」
「……その時は星矢、言い訳を頼む」
流石の僕でも一夏に“お前なぁ……”と呆れる他なかった。
星矢Side out
一夏Side
星矢に俺が体験した事、エヴォルの目的を話し終えた後にラウラの見舞いに向かっていた。そしてラウラがいる個室に到着する。
「ラウラ、いるか?入るぞ」
一夏が個室に入るとラウラが複雑そうな顔をしていた。なぜそうなっているのか判らなかった一夏はラウラに聞き出してみる。
「ラウラ…どうしたんだ?そんな複雑そうな顔をして?」
「……織斑一夏……か……」
ラウラが一夏のこと兄様とは呼ばずフルネームで呼んだことに驚いたがそこではなく、ラウラが記憶を思い出しつつあることに気づいた。
「織斑……?まさかラウラ、お前記憶が…?」
「あぁ……あの銀の福音にやられた時にな………あくまで一部分ではあるが。お前のことやSPARTANを憎んでいたこと……そして私が、そのSPARTANに恐れていることも……」
「ラウラ……お前……」
一夏はラウラがPTSDを起こしてしまわないかと不安になった。……が、しかしその様な事ではなかった。
「……だが、記憶が失っていた間にできた新たな記憶を受け継いでしまった為か、私のいう人格が未だに判らないんだ。織斑一夏……いやっ一夏。もうしばらくの間だが、お前や篠ノ之のことを兄と姉と呼ばせてくれないか?」
「……俺はそれでも構わない。ラウラがそれで良いって言うならな」
記憶の一部を思い出したラウラは記憶が完全に戻るまでの間、一夏や箒のことを兄と姉として学園生活を過ごすこととなった。
その後に一夏は一旦外に出て夜風に当たって今までに起きた出来事を思い返していた。
(俺が銀の福音にやられた後、フォアランナーのヘミソフィアに会ってエヴォルの目的を知ったり、俺のミョルニル・アーマーも進化して、別のアーマーに変化したな。星矢が言うにあれはFotusというアーマーの種類だそうだったな。……一体何が起ころうとしているんだ?)
そう考えている最中に一夏の背後から近づく者がいた。
「い……一夏」
「箒……?どうしたんだここに来て?」
「……ラウラのことについて聞きに来たんだが、記憶が戻りつつあるのか?」
「完全とはいかないが一部を思い出した様だ。俺やSPARTANを憎んでいたこと、そしてトラウマとなったSPARTANに対する恐怖心を……」
一夏は気難しい気持ちで箒にラウラのことを答える。箒は話題を変えるべく一夏に語りかける。
「……お前が落とされた時には不安がいっぱいだった。あの時の様に一夏が死んでしまうのではないのかと……」
「そうだな……あの時は死にかけたが、こうしてちゃんと生きて戻って来た。本当に運が良かった………ただそれだけだ」
そう呟きながらも共に海を眺める一夏と箒であった。その光景を影からこっそり見ていた鈴やラウラが箒に嫉妬したのはまた別の話……
一夏Side out
束Side
一方の千冬と束はとある海岸沿いにて千冬は一夏たちの様子を観察していて、束はISコア・ネットワークを通して一夏の戦闘データを観察していた。
「紅椿の稼働率は絢爛舞踏を含めて42パーセントかぁ。箒ちゃんもだいぶ成長して安心したよ。はぁ〜〜……それにしてもいっくんには驚くなぁ?銀の福音の攻撃を受けた時に負傷した傷が回復していたなんてね?しかもいっくんの遺伝子が少し弄られた後があったけど、まさか操縦者の生体再生まで可能なんて。まるで───」
「───まるで“白騎士”のようだな。コアナンバー001───お前が心血を注いだ一番目の機体に…な」
「あっ。やあ、ちーちゃん」
束は千冬に声をかけられたことに気づいて返事をする。そして二人はある話題に移る。
「───それにしてもだ、一夏のIS……いやっ、ミョルニル・アーマーといったか。あれにあのコアが入れられていたとはな……」
「あのコアは本来なら倉持技研でいっくんの専用機として作られるはずだった“白式”を渡されるはずだったんだけどONI……主にシノっちが倉持技研を買収して以来、コアがいっくんのミョルニル・アーマーに組み込まれたんだけどね?」
「正直なところ、あの機械オタクのSPARTANは一体何がしたかったのかを聞いてみたら“中途半端にやり残したことにキレたから倉持技研を買収した。反省しているが後悔していない”…だそうだ」
「あはは……シノっちがやりそうなことだねぇ……(汗)」
一夏のミョルニル・アーマーに搭載されているコアにはかつて、束が心血を注いで作り出したISの一番目の機体“白騎士”のコアが使用されていることの話であった。その時に束が私にあることを聞き出す。
「………ねぇ、ちーちゃん。今の世界は楽しい?」
「そこそこ……といえば嘘になるな。正直なところ、不安なことが多数ある」
「そうなんだ。……どうして?」
束が不思議そうに千冬に問いかけ、千冬は束にその訳を答える。
「……束、私が第二回モンド・グロッソ決勝戦で試合を放棄して一夏を助け出しにいったことを覚えているな?」
「うん、今でも覚えているよ。いっくんがSPARTANとしての道を歩んでしまったあの日を……」
「あの時は一夏を助けようと必死だった。……しかし、現場につけば既に一夏はいなかった。……あの時の私は自分の無力差を呪った。私にとって大事なたった一人の家族を守れなかった。……だが、一夏はONIの医療技術力によって救われた。“人間であることを捨てることで”だがな……」
「ちーちゃん……」
束は千冬から溢れ出すような怒りと哀しみを肌を通して感じていた。一夏を救えなかった事への自身に対する怒り。そして一夏が生きていたもののSPARTANという人間ならざる超兵士として生きていたことに対する哀しみ。それらは千冬が体験したことを物語っている様に束は千冬の気持ちを感じ取れた。
「過ぎたことを悔やんでも仕方ない、と私はそう区別している。一夏とてもう子供じゃない。私も弟離れする日もいつか来るかもしれんな」
「ちーちゃん……。ちょっとカッコつけているところ、水を差すようでゴメン。ちーちゃん、家事や掃除とかは大丈夫?」
そう束に言われた千冬は一瞬だけ冷や汗をかいた。束が問いを掛けたことがどうやら図星であったようだ。
「……ダイジョウダ、モンダイナイ」
「ちょっちーちゃん、何かカトコトになっていない?」
「気のせいだ、束」
「え……でもちーちゃん、今絶対……」
「気・の・せ・い・だ。良いな?」
「アッハイ……」
千冬の気迫に圧倒された束はただ千冬の返答に答える他なかった。すると千冬は何かしらの視線を感じ取った。
「……束、お前は先に行け。お前でもわかるだろ?」
「…うん、ちーちゃん。この殺気の様な感じ……多分強いよ?気をつけて……」
「無論だ。……行けっ」
束は千冬の言う通りに先にその場から何か逃げる様に去った。親友である千冬の安否を祈りながら……
束Side out
千冬Side
束がこの場から去ったことを確認した頃にその視線の正体の主に問いかける。
「……さてっ、隠れている奴。そろそろ出てきたらどうだ?」
千冬がそういうと千冬が向いた方向に何かしらの光学迷彩で姿を隠していた人ならざる存在がいた。その者はいささか古く感じられるアーマーを着ていた。しかしそれが逆に何かしら強者としての凄みを感じられた。その正体は、コヴナントの大祭司直属兵士で第17代目アービター“リパ・モラム”であった。千冬もコヴナントについてのことは星矢の父、清十郎からあらかた聞いていた。今彼女の目の前にいるのがエリート(サンヘイリ)族、それも大祭司直属のエリート族の兵士“アービター”であることも。
「……私の存在に気づいていたか。となると、貴様があの───」
「あぁ、私が初代ブリュンヒルデだ。もっとも…この名は私自身忌み嫌っているがな……」
「ほう?自ら最強の称号を嫌うとな?」
「何……その最強の称号よりも大切なものがあるだけのことだ。それにしてもコヴナントの特殊部隊というのは随分暇なんだな?こんな惑星にやってくるとはな………大方、お前たちの目的は束の拉致であろう?」
「既に悟られていたか………だが、邪魔をするならば貴様とて容赦はせんぞ」
アービターは警告すると同時にアービター様に作られた専用のType-1 エナジーソードを二つプラズマ刃を展開する。
「随分と舐められたものだな。……だが、何も用意していないわけではない」
そういって千冬は着ていたスーツを脱ぎ捨てると、そこには専用のバトルスーツを身にまとった千冬の姿があった。そのスーツの腰側には直刀であろう剣が左右に三振りの計六振りの直刀を懸下していた。
「なるほどな……奪いたくば力尽くということか」
「そういうことだ………参る!」
その言葉を皮切りに千冬はアービターに急接近し、懸下している直刀を抜刀しアービターの胴に斬りつけるが、アービターのアーマーとシールドで直接ダメージを負わせることはできなかった。それでも千冬は冷静であった。
「……なるほどな。それなりにやれる様だな」
「どうした?かかってこい。お前の目の前にいるのは初代ブリュンヒルデだぞ?全身全霊を持って挑んでくるがいい……アービター」
「……よかろう、その安い挑発に乗ってやろう」
その瞬間アービターはステルスを起動させその姿を消す。千冬は姿を消したアービターに対して同様せず、目を閉じ、心を無にして無心となる。
(姿を消した……か。しかし、気配は分かりやすい)
そして千冬がアービターがいると思われる背後に直刀を振るう。するとその直刀は何かに引っかかったかの様に動きを止められていた。千冬は止まっている直刀を離し、後方へ飛んで下がる。そして千冬が放したのにもかかわらず、空中で浮いている直刀。その正体は、ステルスで背後から千冬を斬りかかろうとしたアービターであるが先に千冬に気づかれて千冬が振るう直刀を素手で受け止めたのだ。そしてアービターはその直刀を捨てて、今度は正面から千冬に斬りかかる。しかし千冬は直ぐに懸下している直刀を引き抜き、エナジーソードに弾き返す。
千冬が使用している直刀はONI社にオーダーメイドで作ってもらった特別製で二つの特性を持っている。その一つは対プラズマ・コーティングを施された刀身。しかし、アービターのエナジーソードは士官エリートに支給される普通のエナジーソードではなく、より攻撃力に特化する様に改造されたエナジーソードである。その結果、千冬の直刀に高熱を帯びて刃が欠けていた。
「なるほどな……その剣の攻撃力は厄介だな」
千冬は直ぐに懸下している予備の直刀を引き抜き、左手に持つ直刀をアービターに向けて投擲する。アービターは投擲された直刀を叩き落とすと同時に接近して着た千冬に蹴り飛ばされる。しかしアービターは蹴り飛ばされると同時に千冬の足を掴みアービターと共に吹き飛に、倒れこむ。そしてアービターは直ぐに体を起こし倒れこんでいる千冬の胴に拳を叩き込む。
「ぐっ……!?」
「こんなものか……なんとも軟弱な種族だな」
「ふっ……どうかな?」
「何?……ぐぉっ!」
その時に千冬はアービターに蹴りだし、僅かな隙を作り出した後にアービターとの距離を取る。
「ちぃっ……無駄なことを…!」
「それは私が決めることだ」
そういった瞬間に千冬がアービターに向かって走りだし、そしてアービターを飛び越えると同時にアービターは首に何かが縛られる感覚を感じた。この時に千冬の両の手にはワイヤーロープがあった。アービターを飛び越えた瞬間、アービターの首にワイヤーロープを巻きつけ、締め上げたのだ。
「ヌグゥッ!?」
「お前はISやSPARTANに搭載されているSEと強靭な肉体で戦っていた様だが、その様なものに頼っているから判断が遅れる」
「ヌグッ……ぅぉおおあああっ!!」
アービターは首に巻きついているワイヤーロープをエナジーソードで切断すると同時に千冬に斬りかかる。しかし千冬は冷静にアービターの動きを見切り軽々と躱す。
「……あの悪魔どもと同等の身体能力。なおさら見過ごせんな「大方、ISコアを作れるのは束だけだと知って焦っている様だな」っ!ぬぅぅん!」
煽っていることを知っていながらもアービターは千冬に斬りかかる。千冬は軽々と躱すが、アービターはそこに付け込んで再度千冬に斬りかかる。千冬は咄嗟に懸下している直刀を抜刀し、アービターのエナジーソードを防ぐ。その瞬間、千冬とアービターの間に爆発が起きて千冬はその爆風によって大きく吹き飛ばされる。その時にアービターは疑問に思った。
「今の手応えのなさといい、先ほどの爆発は…………ぬっ!」
アービターは改めて周辺を見渡してみると千冬と戦っている時に千冬が放棄した直刀が五本が突き刺さっていた。その内一本はアービターの目の前にあった。その時に千冬は呟いた。
「………木っ端微塵」
「なにっ!?……っ!?」
アービターは千冬の本当の狙いを気づいた時には遅かった。その瞬間突き刺さっていた直刀が一斉に発光した瞬間、爆発し、アービターを巻き込んだ。そしてアービターのところには一つの爆炎が上がっていた。これこそ直刀のもう一つの特性は音声入力による、もしくは一定以上のダメージを受けると爆破するというものである。
「……フッ」
千冬は立ち上がり、勝利を確信した。……しかし、そう思った矢先にその爆炎の中から腕が出てきて千冬の首元を掴む。
「なっ!?ぐっ……!」
「……少し侮っていた、まさか私をここまで追い込むとはな。……だが、詰めが甘かったな?」
そういってアービターはエナジーソードを展開し直して千冬にトドメを刺そうとした。
「せめてもの情けだ。その腐った目に私の顔を焼き付けて逝くがいい」
「誰が逝かせてくれと頼んだ?エリート風情が…」
「なにっ!?グォッ!」
突然アービターは千冬にトドメを刺そうとした瞬間に何者かに邪魔をされた。その邪魔をした人物は星矢が率いるSPARTAN混成部隊ウルフチーム所属、ウルフⅡの桂がアービターに一発ぶん殴ったのだ。
「ゲホッゲホッ!池上先生……か?」
「あぁ…束博士から織斑教頭を助けてと頼まれてな、直ぐに駆けつけた次第だ」
「このタイミングで悪魔が来るか。だが……『よい、アービター』っ!!」
この時アービターに一つの通信が入る。その通信相手は真実の預言者からであった。
『其方にはまだやるべき大義がある。ここは耐え忍ぶのだ』
「恐れながら大祭司殿、私めに生き恥を晒せとでも?でしたら、今目の前にいる悪魔を道連れにしても……!」
『ならん!其方は篠ノ之 束の捉える使命がある。それを蔑ろにする訳にもいかん!』
「……仰せの通りに」
アービターはステルスを起動させ、周囲に溶け込む様に姿を消してその場から離脱した。
「モーション・トラッカーに反応なし……どうやら引いた様だな」
「すまない、助かった。しかし…このまま逃してよかったのか?」
「問題ない。奴の目的は束を拉致することが目的だったらしいからな。それに、迎えも来たようだな」
桂がそう言うと千冬たちの後方から束を始めとするONI戦闘スタッフとSPARTANの星矢と一夏の姿があった。
千冬Side out
星矢Side
束博士が何やら冷静ではなかった様子を見せながら僕を見つけた瞬間、束博士が“せーくん!ちーちゃんを助けて!”と頼んで来たのだ。何やら時は一刻を争う様な事態に陥っていることを察した星矢は直ぐに通信で桂に繋いで千冬の救援を指示を出した後に一夏やONI戦闘スタッフも呼んで直ぐに千冬の救助に向かった。そして今現在は桂が織斑先生の救援に間に合って無事のようだった。
「千冬姉っ!大丈夫か!?」
「織斑先生だ、馬鹿者。……と言いたいところだが、なんとか無事だ」
「危うかったですよ。束博士が知らせてくれなければ織斑先生といえど、タダではすみませんでしたよ?」
「……そうだな。感謝するぞ、泉谷」
こうしてこの事件こと“銀の福音暴走事件”は星矢たちONIとIS学園の専用機持ちによって解決したのであった。
翌日………
臨海学校も最終日を迎えたのだが、今回の事件によって予定よりも早めに切り上げることになってそれぞれの女子生徒たちはバスに乗り込んでいた。そして星矢と一夏はアメリカからやって来た銀の福音の操縦者であるナターシャに銀の福音の待機状態を渡す。
「これが銀の福音の待機状態です。一応他に異常がないか精密検査してみたところ異常はありませんでした」
「ありがとう。報告から聞いてあるけど、エヴォルという者があの子を暴走させた張本人で間違い無いのね?」
「その件は確かなのですが、後のことは機密事項なのでお伝えすることができません」
「そう……でも、ありがとう。あの子の暴走を止めてくれて」
「いえっ……俺達はただ任務を………?」
するとナターシャは一夏に近づいた後に一夏の頰に軽くキスをした。
「えっと……今のは?」
「あの子を止めてくれたお礼。ありがとう、白いナイトさん。じゃあまたね、バーイ」
そう言ってナターシャは一夏と星矢に別れを告げた後に帰国用のONIの降下艇に乗り込んでここに後にする。
「……まぁ、とりあえず一件落着……か?」
「一応な……しかし一夏、お前の場合は箒達に狙われるんじゃ?」
「えっ……?あ………」
星矢は何かを察したように一夏に忠告すると一夏は箒達から溢れ出る嫉妬を感じ取った。
「一夏〜〜……!!」
「イ〜チ〜カ〜!」
「兄様……HANASIをしましょうか?」
「ちょ…ちょっと待て!幾ら何でも誤解だ、誤解っ!」
一夏がバックのスパルタ訓練によってSPARTANになってから女心を理解できたものの、女難に関しては相変わらずであった。……やれやれ、一夏の女難はいつまで続くんだろ?
星矢Side out
清十郎Side
一方の清十郎は星矢達に告げずに一足先にONI本社に帰って社長デスクで色々と書類やら始末書などの整理を行っていた。
「ふぃ〜っ……銀の福音も追加で正直て言って書類の処理が追いつかねえぞ。つーか、それを敵があえて読まないのが普通なんだよな〜……ハァ〜ッ、面倒くさい。“ppp…”……ん?」
清十郎はデスクに設置してある受話器から受信音を聞いて受話器を取ってその通話相手に話をする。
「ONI株式会社の本社です。どのようなご用件で?」
『相変わらずの仕事熱心ね?泉谷さん』
「…って、アンタか。そっちも相変わらずじゃないのか?スコールさんよ…?」
清十郎が話していた相手は、原作において亡国企業の女性幹部“スコール・ミューゼル”である。何故その亡国企業の女性幹部と話しているのかは今の星矢は知らない。
『あらっ、つれないわね?お互いに知り合った仲じゃないの?』
「それは昔の話だろ?今のお前にはオータムっていう奴がいるだろう?」
『確かにそうなんだけどね?けど……あの子は元気なのかを聞きたくてね』
「彼奴か?今も元気だよ。SPARTAN-Ⅱになって以降、家に新たに入った義理の妹とイギリスの代表候補生が彼奴に好意を抱いている様だしな。まぁ……息子の自慢話はまた今度ゆっくり話すとして、本題に戻ろう。そっちはどうなんだ?何か情報は得られたか?」
清十郎は話題を切り替えてスコールから本題の
『えぇ、その件については確認済みよ。やはりあなたの想像した通り私の部下のMはあの計画のスペアとして作られたようね』
「やはりな……事実上、存在していたんだな。
清十郎が言う織斑計画……別名、“プロジェクト・モザイカ”は、遺伝子操作によって意図的に“最高の人間”を造り出す計画。この計画によって作られた1000番目の試作体にして成功体が千冬であり、そのスペアとして作られたクローンがマドカ。一夏は千冬のデータから、より効率よく“生産”するために造られた個体である。
千冬が別の意味で人の手によって生まれたSPARTAN-Ⅱなのも頷けると同時に、一夏がその千冬のデータから造られた個体であることに驚いたが、その計画は二人の天才……いやっ、世間から見れば二人の天災の確認によってこの計画は放棄・凍結された。その天災は篠ノ之 束、キャサリン・ハルゼイの二人である。
『……それにしても、まさか織斑計画の最高の人間とは全く違う発想であるSPARTAN-Ⅱ計画は“最強の超兵士”。偶然にしても皮肉なことよね?』
「そう言ってやるな。SPARTAN-Ⅱの中には成功して生き残った奴や失敗して生き残った奴の一部にはハルゼイ博士を憎んでいる奴だっているんだぜ?」
『それもそうね。それじゃあ、要件は伝えたわ。また会う時はお互いに敵にならないことを祈るわ』
その言葉を皮切りにスコールとの通話が途切れた。清十郎は受話器を元あった場所に戻し、今後のことを考えるのであった。
「織斑計画か………星矢、これはかなり面倒なことが起こりそうだぞ?」
清十郎は地球にいる星矢に上の空で語るのであった。
清十郎Side out
エヴォルSide
その頃エヴォルはガーディアンにて銀の福音から得た大量の戦闘データと録画データを観覧していた。
〔やはり、IS如きでは彼らには敵わないか……だが、収穫は無かったわけではない〕
そう言ってエヴォルは背後を向くと、そこには織斑一夏とそっくりな人物が紫色の機械仕掛けの銃と歯車を模様した水色と白色の色違いの二つの奇妙なボトルを持っていた。
〔それに、なかなか目にかかれない異世界からの産物と人間……いやっ、人間ならざる者か。その力を我らの悲願のためにも使わせてもらうぞ〕
「……了解だ」
そして一夏似の人物はそのボトルを先ほど持っていた紫色の機械仕掛けの銃に白、水色の順番に差し込む。
【ギアエンジン!】【ギアリモコン!】【ファンキーマッチ!】
「……潤動!」
【フィーバー!】
引き金を引いた瞬間一夏似の人物の周りには濃い黒い霧が覆い、上空には白と水色の歯車が火花を散らしながらも展開して、一夏似の人物に覆っていた濃い黒い煙が晴れるとそこには人とは思えない黒い怪人になり、そして上空に展開していた歯車はその黒い怪人に装着される様に合体して、ここにこの世界では存在しない怪人が誕生してしまった。
【パーフェクト!】
〔さぁ…始めようか?我々の計画の第1段階を。ヘルブロス………いやっ、
エヴォルは新たに手に入れた異世界の産物をおもちゃをもらって嬉しがる子供の様な笑みを浮かべて星矢達が映るモニターに目を向けるのであった。
続く……。
星矢が帰還したと同時にラウラが記憶の一部が復活。
千冬はアービターと交戦し、救援に来た桂によって何とか撃退に成功する。
清十郎が亡国企業のスコールと何かしらの会話をしている。
エヴォルは異世界の住人をどうやってかこちらの世界に引っ張ってきた。
次回は、コラボ編です。