響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第7話

 ー翌日ー

 

 今日は久々に青空を見た気がする

 

 授業も終わりみんなが音楽室に集まる。あ、ちゃんと約束のプリンはみぞれにあげましたよ?昨日の夜に牛乳足んなくて焦った!マジ焦った!!まぁ喜んでもらえたからよかった

 

 さて、今日は部長は…来てるみたいだな

 

「みんな、昨日は休んでしまってすみませんでした。体調も戻ったので今日からまた頑張ります」

 

 パチパチパチパチ

 じゃあこれを機にいっちょ盛り上げますか(ニヤり)

 

「ちょっと拍手するところじゃないって!」

 

「やっぱりそこに立つのは副部長より部長の方がいいですね」

 

「おっと春希、それはどういう意味だい?お姉さんに話してみ」

 

「何ってそのままの意味じゃないですか。だからこれからは皆勤賞で頼みますよ?」

 

「こらこら、理由になってないぞ?」

 

「はいはいあすかそこまで。春希くんもありがとう」

 

 部長の顔に少しだが笑顔が戻ったか…大丈夫そうかな

 

「じゃあチューニングb (べー)

 

 ♪〜

 

 これまでのようにチューニングが始まった。うん、いい感じ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーもう何日?ー

 

 今日は朝から学校がざわついていた。それは音楽室も例外ではなかった

 

「香織先輩!」

 

「ん?」

 

 またリボン

 

「あの、もしよかったらあがた祭り…」

 

「ごめん!あすかと晴香と一緒に行こうって言ってて…」

 

「えー!」

 

「邪魔だってさー」

 

「うっさい!」

 

 リボン撃沈。ドンマイ…中世古先輩も最後まで聞いてあげてくださいよ。夏紀は余計な一言を…ホント犬猿の仲だな

 

「へぇ、(みどり)ちゃん妹さんと行くんだ」

 

「はい!毎年そうなんです」

 

「へぇ、仲良いんだね!」

 

 どこもかしこも祭りの話題ばっかだな

 

「祭りか…ん?」

 

 オレはふいに袖を掴まれた

 

「みぞれ?」

 

「…」

 

 みぞれは黙ったままだ

 

「遅れてすみません。すぐ始めましょう」

 

 そこへ昇さんが入ってきた

 

『後ででいいか?』ボソッ

 

「(コクッ)」

 

 みぞれがなんの用だったのかは後で聞くとしてとりあえず練習に集中しよう

 

 

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

 パンパン

「皆さん言ったはずですよ?この部分は何を表現しているんですか?田中さん」

 

「はい!地球を離れただ1人遠い星に旅立つ、その旅路を祝福するように月が舞っている場面です!」

 

 何故か劇のように振り付けを入れて説明した副部長。なんであんなノリノリなんだ?

 

「ちなみに作曲者は子供の頃から1人で夜空を見るのが大好きで…」

 

「そこまでで結構ですよ」

 

 昇さんナイス!副部長長いよ!後のやついらなかっただろ!笑われてるし…

 

「今の田中さんの舞はなかなかのものでした。あのように自由奔放に恥ずかげもなくここの音は軽やかに勇ましく!わかりますね?」

 

『はい!』

 

 昇さん、それは褒めてるんですか?

 

「みぞれは大丈夫か?」

 

「大丈夫」

 

「ならいい」

 

 みぞれは別に問題ないみたいだ

 

「では次、ベルリンBの頭、クラリネットからいきましょう」

 

『はい!』

 

 その後もいつも通りの時間が過ぎて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー帰り道ー

 

「で、どうした?」

 

「…」

 

 さっきのことを聞いてみるがまた黙ってしまった

 

「…たい」

 

「ふぁ?」

 

「…ハルと一緒に、お祭り…行きたい」

 

 俯きながら話しているがおそらく恥ずかしいんだろう

 

「じゃあ行くか!」

 

「…うん」

 

 みぞれからこうやって誘ってくれるのはホントに嬉しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー祭りの日ー

 

 オレとみぞれは駅で待ち合わせしている。みぞれが浴衣着てくるって言ってたからオレも浴衣を着てきた。久々すぎて着方忘れてた

 

 オレが着いたのは集合の15分前だ。少し早かったかと思っていたら駅のホームからオレの待ち人が降りて着た

 

「ごめん、待った?」

 

「大丈夫大丈夫。オレも今来たとこ」

 

「…ホントに?」

 

「マジだよ!なんでそこ疑うんだよ」

 

 なんか定番の会話で始まったな

 

「それ似合ってるな。可愛いぞみぞれ」

 

「っ!…ありがと///」

 

「じゃあ行くか」

 

「うん」

 

 オレはみぞれの手を握り歩き出す

 

「みんな来てるだろうから会うかもな」

 

「…恥ずかしい///」

 

「似合ってるから大丈夫だよ」

 

「…///」

 

 ありゃ、黙っちゃった。相当勇気出して来たんだな。可愛いかよ!

 

「何食べる?」

 

「ハルが行きたいところでいい」

 

「そっか。腹は減ってるか?」

 

「少し食べて来たから、今はそんなに」

 

「了解だ」

 

 オレはそう確認して歩き出す。目的地は…

 

「ほれ」

 

「りんご飴」

 

「嫌いだったか?」

 

「ううん」

 

「ならよかった」

 

 ここの屋台のはそんなに大きくないから選んだ

 

 そのまま歩いていると見知った顔の人達に出会した

 

「おや〜?おやおや〜?」

 

「げっ」

 

「げっとはひどいんじゃない?」

 

「ならその顔やめてくださいよ副部長」

 

 それは部長、副部長、中世古先輩の3年生組だった

 

「あすかがごめんね」

 

「こんばんわ」

 

「どうもっす」

 

「(ペコリ)」

 

「2人はデートかい?」

 

「見ての通りですよ」

 

「そうかそうか」

 

「あすか、邪魔しちゃいけないから行くよ」

 

「ごめんね。楽しんでね」

 

 そう言って部長と中世古先輩が気を利かせてくれて行ったしまった

 

「みぞれ大丈夫か?」

 

「…ちょっと疲れた」

 

「じゃあ座るとこ行くか」

 

「うん」

 

 オレ達は屋台の通りから抜けて公園のベンチに腰掛けた

 

「ほれ」

 

「ありがと」

 

 オレはみぞれにお茶を渡す

 

「やっぱみぞれといると楽しいな」

 

「私もハルといると楽しい」

 

「また来ような」

 

「うん。約束」

 

「おう!約束だ!」

 

 オレとみぞれはその後も祭りをまわり、いろんな知り合いと会ったがすげー楽しかった

 




そして、次の曲が始まる

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