響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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誓いのフィナーレ10

 

 

優子達が片付けを終えても春樹とみぞれはずっと同じ状態だった

 

「あーイイ感じのとこ悪いんだけどいいかしら?」

 

「...」

 

「......すまん。なんだ?」

 

「ったく。順番にお風呂借りたいんだけど」

 

「それならもう準備できてるから全然構わないぞ。タオルとかも用意してある」

 

「助かるわ」

 

「みぞれー!一緒に入ろ!」

 

「のぞみ。でも...」

 

「気にしないから。みぞれが選んでいいよ」

 

「...二回入る」

 

「ふやけっちまうよ」

 

「...じゃあ、今日はのぞみと入るね」

 

「おう」

 

「やったー!みっぞれー!」

 

「ちょっと待った」

 

「なんでよ春樹ー」

 

「純一と卓也。悪いが先に入ってくれないか。1人ずつでいいから」

 

「あ?別にいいけどよ」

 

「えー!」

 

「駄々こねないののぞみ」

 

「だって~」

 

「せっかく春樹が気を遣ってくれてるのになんでわからないのよ」

 

「そういうことね。どっちから入るよ後藤」

 

「俺はどっちでも」

 

「なら俺から入るわ。一番風呂だぜ!」

 

「入浴剤は純一が決めていいぞ」

 

「やっりー!」

 

純一は早速着替えを持ってリビングを出た

 

「じゃあ悪いが卓也は手伝って。テーブル移動させる」

 

「わかった」

 

「戻ってくるときに布団持ってくるからみんなすまんがどんどん敷いていってくれ」

 

『はーい』

 

春樹と卓也はテーブルの両端を持ってリビングを出て客間として使っている和室に移動させた。そしてその部屋の押し入れから布団を出してリビングへ戻る。これを布団など含めて6往復はした

 

「疲れた~」

 

「そうだな」

 

「さすが卓也。チューバで鍛えてるだけあるな」

 

「まぁな」

 

「俺よりも莉子の方が力強かったりして」

 

「春樹くん。試してみる...?」

 

「モウシワケゴザイマセン」

 

莉子の笑顔を見て春樹の背筋はぶるぶるっとなった

 

「あがったぞー」

 

「おう。じゃあ卓也」

 

「あぁ。先にいただくな」

 

「おう」

 

戻って来た純一と交代するように卓也がリビングを出た

 

「春樹。お前ん家の風呂広いな!」

 

「そうか?」

 

「足伸ばしても全然余裕な湯舟初めてだぞ」

 

「そうなのか」

 

「お風呂そんな広いんだ。楽しみ!」

 

「シャンプーとかはみぞれの借りるといいよ。じゃあ純一、風呂上がりで悪いが手伝ってくれ」

 

「まだなんかあんのか?」

 

「内緒」

 

春樹は純一を連れて再びキッチンに入った

 

「私達はどうしよっか」

 

「こんな時は恋バナでしょ!」

 

「えー」

 

「だって合宿の時は疲れすぎてすぐ寝ちゃったし。こんな話する機会なんてないだろうし」

 

「じゃあ莉子からね」

 

「え、私!?」

 

「どうせ後藤の話でしょー」

 

「じゃあみぞれ」

 

「まだこの二人の惚気話聞く気なの!?」

 

卓也が風呂で春樹と純一もいなくなったため女子のみで恋の話に花を咲かせる

 

一方キッチンでは...

 

「純一はひたすら生クリーム混ぜといてくれ」

 

「今度はなに作るんだ?」

 

「秘密」

 

「なんだそりゃ。まぁ春樹の作るもんでまずいなんてことはないだろうけど」

 

「それはありがたいお言葉だな」

 

純一に生クリームを入れたボウルを私自分は鍋に入れた牛乳に上白糖を入れて弱火で溶かしながら別のボウルに卵黄を入れる

 

「どれくらい混ぜればいいんだ?」

 

「6分立ちぐらいまで」

 

「専門用語は止めてくれ」

 

「まぁとりあえず混ぜてて」

 

上白糖が溶けきった牛乳を卵黄の入ったボウルに入れてよくかき混ぜる。そしてザルで濾しながら再び鍋に戻して中火でとろみがつくまで混ぜる

 

「春樹。風呂ありがとう」

 

「おう卓也」

 

「なにか手伝うことはあるか?」

 

「あとはほとんど冷やすだけだから大丈夫。リビングでゆっくりしておいてくれ」

 

「わかった」

 

春樹がふとリビングに目をやるとのぞみとみぞれがいなくなっている。風呂に入ったのだろう

 

「春樹どうだ?」

 

「いい感じ。じゃあこっちのやつと混ぜ合わせるぞ」

 

とろみのついたものを氷水で冷やしていたところに生クリームを加えバニラエッセンスも数滴垂らし軽く混ぜる

 

「そんでこれをバットに移して冷蔵庫で30分ぐらい冷やす」

 

「なんとなく作ってるのわかったわ」

 

「さすがにわかるか。あとは30分後に冷凍庫に入れるだけ。サンキューな純一」

 

「これくらいどってことねぇよ」

 

春樹と純一は後片付けをしてからリビングに戻った

 

「ねぇ春樹くん。今度はなに作ったの〜?」

 

「風呂上がりのお楽しみだぞりえ」

 

「え〜。気になる〜」

 

「悪いもんじゃないから安心しろ」

 

「それはわかってるけど」

 

「トランプとUNOあるぞ」

 

「やるやるー!」

 

布団も敷き終わってすることもないので春樹は引き出しからトランプとUNO、花札を取り出した

 

トランプ参加者:優子、夏紀、みる、りえ、卓也、梨子

 

「ちょっと誰よ!?♢9止めてんの!」

 

「言うわけないじゃん」

 

「アンタね!」

 

「どうだかね。はい♤3」

 

「んー。私パスしよっかな」

 

「♧5」

 

「あ、ありがとう後藤くん!♧4!」

 

UNO参加者:美代子、友恵、純一、慧菜、しのぶ

 

「ドロ2をくらえ!」

 

「じゃあ私も」

 

「私もー」

 

「えー!?」

 

「ドンマイ慧菜ちゃん。私が仇を討つね」

 

「ドロ2が3枚だと!?」

 

花札参加者:春樹、澄子

 

「じゃあ萩のカスを置くぞ」

 

(春樹には鹿と蝶が揃ってる。今の萩で猪を揃えられるとまた点差広がっちゃう)

 

「今だした萩のカスはもらうわね」

 

「ふっ。かかったな澄子。それはフェイクだ」

 

「なっ!」

 

春樹は場にある桜のカスを桜の短冊で取った

 

「赤短完成」

 

「やられた!」

 

「あー!みんな楽しそう!」

 

それぞれのゲームを始めてまだ1ゲーム目でのぞみとみぞれが風呂から戻った。意外と早かった

 

「じゃあ次はもうあがってる私としのぶちゃんがお風呂いただくね〜」

 

「それがいいかも」

 

「あいよ」

 

トランプで一番にあがったりえとUNOで一番にあがったしのぶが次に風呂に向かった

 

「ハル」

 

「はいよ」

 

いつものようにドライヤーを持ってきて春樹に渡した

 

「春樹!もう1勝負!」

 

「みぞれの髪乾かし終わってからな」

 

花札の勝者は春樹。赤短と種札の多さで勝利となった

 

「澄子ー。よかったら花札教えてくれない?」

 

「友恵。興味あるの?」

 

「親戚のおばちゃん達がやってるの見たことあって。やってみたいなとは思ってたから」

 

「そうなんだ。じゃあやってみよ!覚えたらすぐできるようになるよ!」

 

「よろしくー」

 

「みぞれ熱くないか?」

 

「大丈夫」

 

本日みぞれのドライヤー2度目の春樹。日頃からやっているおかげで手際はいい

 

「もう!後藤のせいで私ビリじゃない!」

 

「これも作戦だ。許せ吉川」

 

「おっしゃこれで最後だ!」

 

「負けた〜!」

 

トランプでは優子、UNOでは美代子の負けで決まったようだ

 

「次大富豪やりたい!」

 

「お、大富豪なら俺もやるぜ!」

 

「じゃあ次UNOやる人おいでー」

 

「はーい」

 

その後も交代で風呂に入りながらみんなでカードゲームを楽しんだ

 

「春樹。あんた強すぎない...?」

 

「ふふふ。まだまだよの〜友恵さん」

 

「その顔ムカつく〜!」

 

「はっはっは」

 

「ハル。次は私」

 

「いいだろう。今日はまだ2勝2敗だからな。最後は勝たせてもらうぞみぞれ!」

 

「私も負けない」

 

春樹とみぞれは澄子と友恵には全勝しているものの互いには互角の勝負。二人とも燃えている

 

「ダウト!」

 

「ホントにいいの?」

 

「今度こそ絶対大丈夫!ダウトダウト!!」

 

「残念でしたー」

 

「またー!?」

 

「はいスキップ」

 

「おい中川。何枚スキップ持ってるんだ」

 

「教えるわけないじゃーん」

 

みんな楽しんでいるようだ

 

「春樹お風呂ありがと」

 

「本当に広いね」

 

「お眼鏡にかなって光栄だよ。じゃあ最後に俺も入ってくる」

 

「はーい」

 

全員風呂に入り終わったので最後に春樹がリビングを出て脱衣所に入った

 

「賑やかな一日になったな」

 

「ハル」

 

「うぉっ!?みぞれか。びっくりした...」

 

「ごめん」

 

「いいよ。どうした?」

 

「2人きりになりたかった」

 

「そっか」

 

春樹はドアの前でもじもじしているみぞれを抱き寄せた

 

「俺もみぞれと2人きりになりたかったよ」

 

「ハルも?」

 

「そりゃそうさ。でもみぞれが1人になることがほとんどなかったから」

 

「ごめん」

 

「謝ることはないよ。みぞれは人気者だから」

 

「そんなこと」

 

「みぞれ雰囲気変わったもんな。あんなに人見知りだったのに」

 

「今でも会うのが初めての人は苦手」

 

「それは知ってる」

 

抱き寄せられたみぞれも春樹の背中に手をまわす

 

「みぞれ」

 

「なに?」

 

「キスだけしていいか?」

 

「うん」

 

みぞれが目を瞑る。春樹が顔を近づける。唇を合わせる。みぞれの抱き着く力が強まる

 

「あーヤバいヤバい。風呂入るわ」

 

「どうしたの?」

 

「これだけじゃ我慢できなくなる」

 

「別にいいよ?」

 

「ダーメ。みんないるんだし」

 

「むぅ...」

 

「そんなカワイイ顔しないで。ね?」

 

「わかった。我慢する」

 

「ありがと」

 

「じゃあ...もう一回だけ...」

 

「仰せのままに」

 

周りにみんながいてもお互いに近くにいたい、触れ合いたい衝動は持っている。それはどれだけ時間が経っても消えないものだろう

 

「じゃあ今度こそ風呂入るな」

 

「うん。戻ってる」

 

春樹はみぞれが脱衣所から出てから服を脱いで風呂に入った

 

みぞれがリビングに戻ると全員テレビの前に集まっていた

 

「あ、みぞれ~」

 

「これなにかわかる?」

 

夏紀がみぞれに見せたのは「①」とだけ書かれたDVDだった

 

「これ、ハルが初めて楽器を触ったときの映像」

 

「なにそれめっちゃ気になる!流しちゃダメかな...?」

 

「大丈夫だと思う」

 

「本当!?」

 

「じゃあみぞれの許可も得たことだし、上映会と行きましょー!」

 

本人の了承もなしにDVDをデッキに入れて再生した

 

「うわ!春樹小っちゃー!」

 

「何歳ぐらいなんだろ」

 

「確か小学2年生のとき」

 

「へー。そんなころから」

 

「でも春樹くん持ってるのトランペットだね」

 

「そういえば春樹くん、いつだかトランペット吹いてたことなかった?」

 

「あー。確か高坂がねだったんじゃなかったか?」

 

「そんなことあったの?初耳なんですけど」

 

「あん時吉川先生に呼ばれてたからな。あいつラッパもめっちゃ上手かったぞ」

 

「うへー。みぞれさ、春樹の弱点とか知らないの?」

 

「お前はなんてこと聞いてんだ調」

 

風呂に入っていたはずの春樹がもうあがっていた

 

「は、早かったね...」

 

「さすがにシャワーで済ましたよ。それより調。俺の弱点とはどういうことだ?」

 

「い、いやー...あはは...」

 

「まったく。勝手に人の過去を見やがって」

 

「みぞれがいいって」

 

「ならよし」

 

「アンタって...」

 

春樹の手のひら返しっぷりに優子は頭を抱える

 

「ねぇ春樹くん。最初はトランペットだったんだね」

 

「親に連れられて行った教室だったし。なんで最初にラッパ手に取ったのかは覚えてねーや」

 

「いつオーボエ吹くようになったの?」

 

「この後出てくると思うけど小4ぐらいだったと思う」

 

「すごいね。なんでオーボエだったの?」

 

「音出すのも難しいって聞いたから。それに親から煽られた」

 

「どういうこと?」

 

「オーボエの音が出せないなんて春樹もまだまだね、って母親に言われた。それでムカついてめっちゃ頑張った」

 

「動機がそれってどうなんだよ...」

 

「いいんだよ別に」

 

春樹の言うように小学4年生でオーボエを握る映像が流れた。それまではいろんな楽器を触っては止めて触っては止めてを繰り返していた

 

「あれ?この子どっかで...」

 

「そいつは麗奈だ」

 

「えー!?」

 

①のディスクが終わって②をつけると小学6年生になった春樹を睨みつけている女の子が映っていた。それが北宇治の次期エースであろう高坂麗奈だった

 

「確かに。もう面影あるわ」

 

「なんで睨まれてんの?」

 

「スクールで俺の方が多くシールもらってたからかなー」

 

「シール?」

 

「演奏が上手い子に先生がシールくれてたんだよ。麗奈も相当貰ってたんだけどな」

 

「春樹の方が多かったから悔しい、と」

 

「多分な」

 

「なるほどね~。そんな昔からの仲なのね」

 

「まぁな。中学は別になっちゃったけどコンクールでよく顔合わせてた」

 

「あーあの子」

 

「忘れてたんかいみぞれ」

 

「ごめん」

 

みぞれと春樹は同じ中学。ならば絶対に会ってるはずだがみぞれの記憶にはなかったらしい

 

「あ、そだ」

 

「ハル?」

 

春樹はおもむろに立ち上がりキッチンから先程冷凍庫で冷やしていたものを取り出し小皿に分けた

 

「あぶねー。せっかく作ったのに忘れるとこだった」

 

「おいおい冗談はやめてくれよ」

 

「悪いな純一。さぁみんな。デザートをお食べ」

 

「アイス!!」

 

春樹が純一の手を借りながら作ったものは女子なら嫌いな者はいないであろうバニラアイスだった

 

「春樹くんいつの間に作ったの?」

 

「しのぶ達が風呂に入ってる間にな」

 

「すごいね」

 

「もっと時間があったらもう少しマシなもの出せたんだけどな」

 

「十分だよ。ありがとね」

 

デザートと言ってもそこまで量もないため全員ペロッと食べてしまった

 

「あーん。もうなくなっちゃった~」

 

「わがまま言わないのみる」

 

「は~い」

 

「時間も時間だしな。女子は結構気になるだろ?」

 

「それはまぁ...ね」

 

春樹に指摘されて自分のお腹を気にするみる

 

「あ、中学生の春樹くん」

 

「これ文化祭?」

 

「みぞれとのぞみもいる!」

 

「懐かしい!!ね、みぞれ!」

 

「うん」

 

「ここまで映像で残してくれる人いないよね」

 

「こういうイベント事には絶対に来る両親だから。特にみぞれにベタ惚れ」

 

「確かに。体育祭とかすごかったよね」

 

「応援は嬉しかったけど、少し恥ずかしかった...」

 

『頑張れー!!!』

 

『みぞれちゃーん!!かわいいわよー!!』

 

タイミング良く体育祭でみぞれを応援する春樹の両親の声が流れた

 

「さっきからみぞれちゃんしか出てこない...」

 

「これでまさかオレの家族が撮った映像なんてとても思えんな...」

 

「...」

 

春樹の両親の熱狂ぶりがみぞれには絶えられないのか珍しく春樹以外の前でも顔を赤くしている

 

「みんなそろそろ寝ないと」

 

「わっ!ホントだ!もうこんな時間」

 

「えー。まだいいんじゃない?」

 

「明日も朝練あるんだから」

 

「悪いが起こすから覚悟しろよ貴様ら」

 

「ちなみに、何時くらい...?」

 

「うーん。いつもの時間だと5時半とかじゃないか?」

 

「うぇっ!!?」

 

「みぞれなんかもっと早いぞ?」

 

「マジで...!?」

 

さすがに春樹やみぞれほど早起きをしている人はいないらしく、特にみると純一は絶望の顔をしている

 

「じゃあ女子はここを使ってくれ。卓也と純一は和室だ。布団はさっき敷いといたから」

 

「わかった」

 

「あいよ」

 

「みぞれはどうする?」

 

「私は」

 

「みぞれは私達とここで寝るんでしょ?」

 

「...」

 

のぞみがさも当然のように言うがみぞれは不安がっている

 

「悪いなのぞみ。最後くらいオレに譲ってくれ」

 

「ハル...」

 

「いいだろ?」

 

「うん。私もハルと一緒がいい」

 

「かぁ〜ダメかー」

 

「お熱いことで」

 

「くれぐれもみぞれに変なことするんじゃないわよ?」

 

「余計なお世話だわ。じゃあ全員布団に入れー」

 

気づけばもう22:00になろうとしていた。良いこは寝る時間なので全員を布団に入らせる

 

「じゃあ消すぞ。別に起きてても構わんが明日寝坊しても知らんからな。じゃあおやすみ」

 

「春樹」

 

「ん?」

 

電気を消した後春樹を呼び止めたのは優子だった

 

「今日は本当にありがとね」

 

「おう。今度は全国金賞の祝賀会をここでまたやろうぜ」

 

「えぇ」

 

「みぞれおやすみー」

 

「おやすみ」

 

「滝野と後藤も明日ちゃんと起きてよね」

 

「言われるまでもない」

 

「むしろお前らの方が心配だっての」

 

春樹とみぞれ、卓也と純一はリビングから出てその扉をそっと閉めた

 

「じゃあ二人ともおやすみ」

 

「あぁ」

 

「今日はマジでサンキューな。最高の思い出になった」

 

「ならよかったよ。だが最高の思い出は全国で更新しようぜ」

 

「そうだな!」

 

卓也と純一は和室へ。春樹とみぞれは階段を上がり春樹の部屋に入りそのままベッドに入った

 

「ふぁ〜。さすがに疲れたな」

 

「お疲れ様ハル」

 

「ありがと」

 

「今日、すごく楽しかった」

 

「そうだな。部活が忙しくてなんだかんだみんなで出かけるなんてことなかったもんな」

 

「うん。私、みんなと出会えてよかったと思う」

 

「それはオレもだ。このメンバーでホントによかった。だからこそ、次絶対金を獲る」

 

「うん」

 

「それに、全国の人達に一皮剥けたみぞれの音を聴いてほしい」

 

「ハル...」

 

みぞれはいつものように春樹に抱きつきながら春樹の顔を見上げた

 

「私も、いろんな人にハルの音を聴いてほしい」

 

「なら、明日からまた。二人でいい音、奏ようぜ」

 

「うん」

 

二人は新たな誓いを胸にしながらお互いに抱き合いながら眠りについた

 


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