響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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アンサンブル観てきました。みぞれが可愛かった。
黄前部長頑張れ〜!


誓いのフィナーレ8

 

 

買い出しを終えた四人は重い物を主に春樹と卓也が持ち、軽めの紙コップなどはみぞれや莉子が持っている。そんな彼らが春樹の家に戻ると友恵と慧菜、それとりえが今にもチャイムのボタンを押そうとしているところだった

 

「あ、春樹くん達!」

 

「早いな三人とも」

 

「えへへ。楽しみで待てなかったよ!」

 

「私も。なんか他の人の家ってワクワクするよね」

 

「わかる~」

 

「莉子達もう来てたんだね」

 

「うん。春樹くんとみぞれちゃんが買い出しするって聞いて2人じゃ大変だと思って」

 

「そうだったんだ。言ってくれれば手伝ったのに」

 

「卓也手伝ってくれるって聞いたしいいかなって。それよりなによ、その大荷物」

 

女性は荷物が多くなりがちとよく聞くが、それにしても友恵も慧菜もりえも旅行かというほどの荷物を持っている

 

「え、お泊りセットだけど」

 

「は?」

 

「え?」

 

泊まりと聞いて春樹はきょとん顔をする

 

「もしかして聞いてない?」

 

「初耳なんだが。みぞれ何か聞いた?」

 

「知らない」

 

「えー。優子なにやってんのよ」

 

友恵はすぐさま優子からのメールを春樹に見せた

 

「はーん。さては最初から泊まり気だったなこのやろう」

 

「ごめんね春樹。てっきり春樹から許可が出てるものだとばっかり」

 

「悪いのはこいつであって友恵が謝ることないだろ」

 

「じゃあみんなでお泊りはなしだね...」

 

「残念だけど仕方ないよね...」

 

「なんでだ慧菜、りえ。オレはダメとは言ってないぞ?」

 

「「え?」」

 

残念がるりえと慧菜に春樹は意外な返答をした

 

「確かに聞かされてなかったが元々夕飯は作るつもりでいたし。慧菜やりえ一人だけとかだったらさすがに断ってたけどみんないるなら大丈夫だぞ」

 

「そうなの!?」

 

「おうよ。みぞれも喜ぶし。な?」

 

「うん」

 

「よかったー!」

 

「ありがと春樹くん!」

 

「ありがとねー。みぞれも」

 

「どういたしまして」

 

「そういえば卓也達は?荷物持ってなかっただろ」

 

「実はみぞれちゃんに入れてもらったときに中に置かせてもらってて」

 

「みぞれ...」

 

「ごめんなさい」

 

「怒ってないよ」

 

莉子も卓也も最初から知ってたらしい。みぞれは家主である春樹になんの断りもなく荷入れをしてたことにシュンとして落ち込むが、すかさず春樹がフォローした

 

「まぁさすがに女子大所帯の中でオレ一人はきついし。卓也がいてくれるだけで一安心だ」

 

「先に言わなくてすまない」

 

「いいって。さて、中に案内しよう」

 

一緒に夕飯で終わるかと思っていたら泊まりまでとなると、春樹はまだまだ楽しくなりそうと心躍らせた

 

「うわー!玄関から広ーい!」

 

「そうか?」

 

「うん!ウチとは大違い!」

 

「ねね!探検していい!?」

 

「別にいいが。そこまで広くないぞ?」

 

「やった!行こっ慧菜!」

 

「うん!」

 

荷物そのままにしてりえと慧菜が廊下を進んでいってしまった

 

「テンション高いなーりえ」

 

「いきなり騒がしくてごめんね春樹」

 

「大丈夫大丈夫。ホントにつまんない家だから」

 

「そうなの?そうは見えないんだけど。みぞれなにか教えてよ」

 

「本棚の裏に隠し通路がある」

 

「なにそれ!?」

 

「嘘」

 

「えー...」

 

「変な冗談止めなよみぞれ」

 

「驚くかなって」

 

「みぞれってこんな冗談言う子だったっけ...」

 

「ノリはいいぞ。な?」

 

みぞれは真顔のままでピースしている

 

「なぁ春樹。まだ玄関なんだが」

 

「おーすまん」

 

卓也に言われてまだ玄関だったことを思い出した。リビングに案内して買ってきた食材を片付ける

 

「莉子と卓也ありがとな。ゆっくりしててくれ」

 

「いいの?」

 

「買い出しだけでもめっちゃ助かったわ」

 

「ありがとー。お言葉に甘えさせてもらうね」

 

「卓也もサンキューな」

 

「あぁ」

 

食材の片付けを終えて春樹は卓也と莉子の手伝いに感謝しつつキッチンに入った

 

「私はなにか手伝うよ」

 

「大丈夫。友恵はこれから頼らせてもらうから」

 

「どういうこと?」

 

「調や澄子と一緒に暴走するであろうえるとかのぞみのストッパー役」

 

「あー...が、頑張る...」

 

「頼むわ」

 

友恵達がリビングでまったりするのを見つつ春樹は夕飯の準備に取り掛かろうとエプロンを装着した

 

「ハル」

 

「どしたみぞれ」

 

「手伝う」

 

「いいよ。オレよりも友恵達頼む。他人の家でそのうち手持無沙汰になるだろうから相手してやって」

 

「でもハル一人じゃ大変でしょ?」

 

「餃子のタネ作ったらみんなにやってもらうからそこまでじゃないよ」

 

「本当?」

 

「ホントホント。その気遣いだけで嬉しいよ。ありがと」

 

感謝の意味も込めてみぞれの頬を撫でると嬉しそうに若干みぞれの顔が緩んだ

 

「じゃあ向こうは頼んだ」

 

「うん。なにかあったら呼んで?」

 

「おう」

 

みぞれはリビングに戻り春樹は餃子のタネを作るべくニラやらキャベツやらを細かく切ってひき肉と混ぜ合わせる。量が量だけにボールはものすごく重い

 

餃子のタネ作りを20分程で終わらせるとチャイムが鳴った。春樹はみぞれに出迎えを頼むと調、澄子、美代子、それと純一が入ってきた

 

「お邪魔しまーす」

 

「邪魔すんなら帰って~」

 

「あいよ~...ってなんでよ」

 

「おー。やるな調」

 

「甘く見ないことね春樹」

 

「二人ともなにやってんの?」

 

「重いんだから早く入れって!!!」

 

女子三人はお菓子類を、純一が飲み物を一人で持ってきたのか。だからこのメンツか

 

「お疲れ純一。飲み物こっちに持ってきてくれ」

 

「また持たせる気か!?」

 

「冗談冗談」

 

よほど疲れたのか「勘弁してくれ...」と滝野は大の字で寝転がった

 

「お疲れ」

 

「腕がパンパンだ」

 

「ラッパで鍛えてるからいいじゃんか」

 

「重さが段違いだわ!」

 

「だろうな。ゆっくり休んでな」

 

「言われなくとも~」

 

春樹は純一が持ってきてくれた飲み物をを冷蔵庫に入れた。量が量なだけに全部入るか心配だったがなんとか入った

 

「ねぇ春樹くん」

 

「どした美代子」

 

「もしかして料理一人でやってるの?」

 

「そうだが?」

 

「えー!大変じゃない!?」

 

「そうでもないぞ?でも少しゆっくりしたら頼もうと思ってるんだ」

 

「なにかすることあるの?」

 

「これ」

 

美代子にさっき作った餃子のタネと買ってきた餃子の皮を美代子にみせた

 

「みんなで包んでくれ」

 

「この具は?」

 

「さっき作った」

 

「す、すごいね...春樹くんも量も...」

 

「タネだけなら簡単にできるからな。後はみんなに任せた」

 

「わかった。頑張ってきれいに作るよ!」

 

「頼んだ」

 

「オッケー!みんなー!」

 

美代子はみんなを呼んで餃子作りを始めた。それを確認した春樹は油淋鶏とエビチリ用のタレ作りを開始した

 

「春樹ー。皮包むようの水くれない?」

 

「あ、悪い」

 

タネと皮だけ渡して皮をくっつける用の水を渡し忘れていたのを調に指摘されてボールに水を入れる

 

「もらうぞ」

 

「すまんな卓也」

 

「これくらい別にいい」

 

「かたじけない。ときに卓也。今日の夜はどうするんだ?」

 

「なにがだ?」

 

「莉子と一種に寝る部屋を用意するか?」

 

「なっ!?」

 

慌てふためく卓也はうっかり渡した水入りボールを落としそうになった

 

「あっぶねー」

 

「す、すまん...」

 

「そんな驚くと思わなくてな。莉子ー」

 

「はーい」

 

「ちょっといいか?」

 

卓也一人では判断に困りそうだったので莉子を呼んだ

 

「どうしたの?」

 

「卓也に聞いたんだが、今夜莉子と卓也二人で寝る部屋を用意するか?」

 

「えー!!!?」

 

「どうしたの莉子!!」

 

「なんかあった!!?」

 

「だだだ大丈夫!大丈夫だよ!」

 

「どうなの春樹!」

 

「大丈夫だ。ケチャップの付いたオレの手を血だと思って驚かせちゃっただけだ」

 

「なーんだ」

 

「びっくりしたー」

 

「驚かせないでよー」

 

なんとか誤魔化せたようだ。餃子組は包むのを再開した

 

「ちょっと春樹くん!」

 

「いや、オレのせい?」

 

「春樹くんのせいだよ!なんてこと聞くの!?」

 

「せっかくだし二人きりの方がいいのかなって」

 

「そ、それは...」

 

「俺達はまだ学生だ」

 

「オレとみぞれはいつも一緒に寝てるぞ」

 

「二人とは違うよー...」

 

「まぁみんないる中でいきなり二人でってのは厳しいか。ごめんな二人とも」

 

「ううん。気を遣わせちゃってごめんね」

 

「すまん」

 

「いいって。じゃあ餃子は頼んだ」

 

「うん」

 

「あぁ」

 

すると探検をしていたりえと慧菜が戻って来た。なんとしのぶもいる

 

「ただいま~」

 

「あれ、りえ達もいたんだね」

 

「探検してた!」

 

「そうなの?」

 

「あれ?しのぶどうやって入ったんだ?」

 

「2階からちょうど見えたから私が玄関開けちゃった」

 

「お邪魔してるよ〜」

 

「そっか。ならいいや。三人とも手洗ったら餃子包む手伝いを頼む」

 

「すごっ!楽しそう!」

 

「すぐ手伝うね」

 

「洗面所ってどこかな?」

 

「みぞれ頼むー」

 

「こっち」

 

みぞれが3人を連れて洗面所へ向かった

 

「餃子って作るの初めてかも」

 

「そうなんだ。家族で作ったりしなかったの?」

 

「私はなかったかな。中華屋さんに食べに行くとこじゃないと餃子なんて食べないし」

 

「私は小さいころお母さんとよく作ったよ」

 

「だから美代子こんな包むの上手いんだ。澄子も初めてにしては上手いよ」

 

「調ちゃんは具がパンパン」

 

「言わないでよー」

 

「お待たせ~」

 

「おー来た来た。まだまだ作らないといけないからよろしく」

 

「はーい!」

 

「ちょっと滝野!そろそろ手伝んなさいよ!」

 

「えー」

 

飲み物を持って来た純一は来てからずっと休んでいたが、流石に声がかかった

 

「なー純一。2組の森さんだっけ?あの子中華料理が好物らしいぞ。餃子作れること知ったら見る目変わるかもなー?」

 

「マジ!?あの森ちゃん!?」

 

「そうそう。今度それとなく伝えてやっから」

 

「おっしゃ任せろー!!!」

 

最近純一がカワイイと思ってる子を餌にすると急にやる気になった

 

「あんた...」

 

「これだから男って...」

 

若干名の女子が純一の言動に少し引き気味だ

 

「春樹」

 

「卓也?どうした?」

 

「俺に餃子を包む才能はなかったみたいだ」

 

「なるほどね。ならこっち手伝ってくれよ」

 

「それは構わないが、包丁を持ったことなんて家庭科の授業でしかないぞ」

 

「大丈夫。やってもらうのはタレとかの混ぜる系だから」

 

「そうか」

 

「そんじゃエプロン持ってくるからちょっと待っててくれ」

 

「悪いな」

 

「構わんよ」

 

俺はキッチンを抜けて2階にある自分の部屋に向かった

 

「ハル」

 

「どした?」

 

「優子達ももうすぐ着くって」

 

「了解。意外にみんな早かったな」

 

「うん」

 

2階に上がろうと階段を上るのだがなぜかみぞれも付いてきた

 

「エプロン持ってくるだけだぞ?」

 

「知ってるよ?」

 

「うん...?」

 

じゃあなぜ...?という春樹の疑問に対してキョトンとしてる顔のみぞれ

 

「それにしてもこれだけの人数入るって。ウチって広かったんだな」

 

「今気づいたの?」

 

「え。みぞれ気づいてた?」

 

「まぁ。最初に来た時驚いたから」

 

「驚いてたのか...」

 

みぞれが最初に来たのってまだ付き合いたてだったため、今とは違い表情から読み取ることは難しかった

 

「えっと。エプロンエプロン~。ってみぞれさーん。無言で人のベッドに倒れないの」

 

「ハルの匂い」

 

「そりゃあな。っていうか結構な頻度で一緒に寝てるだろ」

 

春樹がエプロンを探してる間にみぞれはベッドに横たわっていた

 

「私の匂いはしない」

 

「自分では自分の匂いってわからないらしいぞ」

 

「そうなんだ」

 

「こらこら、俺の枕を抱えるな」

 

「ハルもいる?」

 

「それはみぞれの。差し出さなくていいから」

 

「んー」

 

「ほーら。もう戻るよ」

 

みんないてみぞれも相当テンションが上がっているようだ。そこにチャイムが鳴り残りの優子達が到着したのだろう

 

「着いたみたいだな」

 

「うん」

 

「出迎え行くぞー」

 

「うん」

 

部屋を出て階段を下り玄関を開ける。思った通りリボン、夏紀、のぞみ、みるの四人がいた

 

「やっほー春樹」

 

「早かった?」

 

「いんや。逆に夏紀達が最後だ」

 

「マジ!?ホントだ!靴いっぱい!」

 

「私達も相当早いと思ったんだけどなー」

 

「ま、家の遠さ順だろうな。さぁ入った入った。全員で夕飯の準備だ」

 

春樹とみぞれは来た四人を引き連れてリビングに戻り、春樹はキッチンに戻った

 

「卓也お待たせ。ほいこれ」

 

「悪いな」

 

「いいって。じゃあさっそく混ぜ混ぜタイムといこう。でもその前に肉切っちまうな」

 

卓也にエプロンを渡した春樹は酢豚用の豚ロースを切ってボールに入れ片栗粉を加えた

 

「よく混ぜてくれ」

 

「これはなんの意味があるんだ?」

 

「肉が柔らかくなるしタレと絡みやすくなる」

 

「なるほどな」

 

「コショウ入り塩をくらえ~」

 

春樹は調理の説明をしつつ卓也が混ぜ合わせているボールに塩コショウをまぶす

 

「これぐらいでいいか?」

 

「いいじゃんいいじゃん。じゃあ一回手洗って次こっち」

 

「エビか?」

 

「エビチリ用のな。さっきみたいに混ぜ混ぜしてくれ」

 

「わかった」

 

春樹が野菜を切ったりして卓也に下ごしらえやタレ作りをやってもらう。クッキングはまだまだ続くようだ


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