響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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誓いのフィナーレ2

吹部最初の目標は毎年恒例のサンライズフェスティバルとなり、演奏はもちろん各々自分自身のレベルアップに努めていた

 

♪〜

 

♪〜♪〜♪〜

♪〜♪〜♪〜

♪〜♪〜♪〜

 

「はい」

 

「平石さん」

 

「はい!」

 

「今、何を考えて吹いていましたか?」

 

「えっと...」

 

「ただ漫然と吹いているだけではいけません。息遣い、音の形、周囲の空気、それらを感じて一つのフレーズとして音楽を作ることを意識しましょう」

 

『はい!』

 

「ハーモニーも同じです。今自分が何の役割を担っているのか。それを意識してください」

 

やっべーそんなこと一回も考えたことなかったー。演奏のときなんて周りの音は意識しなくても入ってくるし頭ん中はみぞれのことばっかだしなー。んで最初の演奏はまぁこんなもんかってな感じで終わった。続いてはパート練

 

 

 

そして一週間、二週間...一ヶ月が経過したある日オレは友恵のお願いで一年生の音出しの場に付き合っていた

 

♪〜♪〜♪〜

 

指揮者である久美子が演奏を止めるとばらつきはあるものの経験者がほとんどのためきちんと止まった

 

「出したいと思ったタイミングで自分の出したい音が出ているか、音の粒が揃っているか、音の形を意識してください」

 

『はい!』

 

「久美子がこんなになって。成長したんだね〜」

 

「どこから目線ですか...」

 

「はいはい。副部長から何かある?」

 

「そうだな〜。同じパートの三人には前に聞いたけどみんなにも聞いておく。自分達の演奏をどう思う?十分にできてる?これでも大丈夫そう?自分はまだまだ?はい求」

 

オレはコントラバス担当で最近緑に弟子入りしたと噂の月永求(つきながもとむ)を指名した

 

「緑先輩には到底及ばないですが、演奏はできているのではないでしょうか」

 

「じゃあなんで久美子から注意を受けた?」

 

「それは...」

 

「できてねぇからだよ。いいか?この中でこの一ヶ月だけでもみんな成長している。個人差はあるけどな。さやか、心子」

 

「「はい!」」

 

オレはトランペット担当の滝野(たきの)さやかとパーカッション担当の東浦心子(ひがしうらもとこ)に向かって声を投げる

 

「お前ら上手くなったな。さやかは友恵に、心子は万紗子に昼だったり練習以外でも教わってるとこをよく見るよ」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「梨々花、える、駿河はそんな目で見るな。お前らも上手くなってる。なんたって毎日オレとみぞれが見てるんだからな」

 

不安そうな目でこっちをみていた同じパートの三人にそう声をかけるとパーッと花開くように笑顔になった

 

「だがまだ足りねぇぞ。ということは他の一年はもっと足りねぇってことだ。いくら経験者だからといって向上心のねぇやつはどんどん抜かされていく。それも忘れるなよ?」

 

『はい!』

 

このときオレは返事をしなかった者が二人ほどいたのをたまたま見てしまった。しかもどちらも低音ときた

 

そしてサンライズフェスティバルのオーディションも終わり本格的に行進も織り交ぜた練習が始まった。サンライズフェスティバルは屋外で行われるため、必然的に木管担当やコンバス担当は演奏の周りのカラーガードやチアリーダーの役割を担うのだ。というわけで今年はみぞれのチアリーダー姿が見られる!!!!

 

「部長!大丈夫!?」

 

「ほっとくしかないんじゃない?追いかけてるのは去年のドラムメジャーなんだから」

 

「まぁあいつならやってのけるだろ」

 

「あら、春希が優子に向かってそんなこと言うの珍しい」

 

「オレはお前の方が心配だぞ夏紀。大丈夫なんだろうな」

 

「...うん、なんとかする」

 

グラウンドの半分を借りて練習している一角では部長がドラムメジャーのバトン練習を行なっていた。さっきから落としてばっかだけど

 

オレは今回カラーガードを担当することとなった。しかし同時に全部署のサポートも担っている。行進など全員で合わせるときは手助けをしている。今はその手助けの時間だ。カラーガードのフリに関しては緑にお願いしている

 

ートランペット組ー

 

「卓と玉里ー、歩幅とか前後左右の間隔気にしてラッパ下がってるから気をつけてな」

 

「「はい!」」

 

「純一は上級生なんだからもっと周りを見てやれよ」

 

「ぐっ、面目ない...」

 

ートロンボーン組ー

 

「修一、お前以外女子なんだからお前が歩幅合わせないでどうすんの」

 

「はい!」

 

「あと隊列の一番前がお前らなんだからここスピード合わないと後ろ総崩れだかんな」

 

『はい!』

 

さて、そろそろオレも自分の練習せねばな

 

「美代子ー、卓也ー、ヘルプ必要なら呼んでくれ」

 

「ありがとう!」

 

「わかった」

 

オレ個人の練習。団体での練習。各部署のサポート。うん、オレ頑張った!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして本番、サンライズフェスティバル当日。天気は晴れ。そしてなんと言っても...

 

「み、みぞれー!!!」

 

「ちょっ、ハル...」

 

「可愛いぞみぞれー!!!」

 

「恥ずかしい...」

 

今日のチアリーダ姿のみぞれも天使である

 

「先輩意外に身体付きいいですね」

 

「おいこら、意外にとはどういう意味だ」

 

「だってチューバの後藤先輩とかならともかく春希先輩は〜」

 

「よーし梨々花いい度胸だ。明日からの練習覚えておけよ?」

 

「ひっ!」

 

「そこで笑ったお前達もだー!!!」

 

全員パート練前に筋トレの刑だ!とオレらなりの緊張解きをしていると新しくチューバ担当になった一年生の鈴木美玲(すずきみれい)が楽器も持たずに走り去っていくのを久美子とユーフォニアム担当で一年の久石奏(ひさいしかなで)が追いかけてった。何事かと思いはしたもののすぐ戻ってきたので解決したのだろう

 

そして北宇治の番がやってきた。ゲート付近に整列しドラムメジャーであるリボンの合図とともに行進が始まった。内容的にはまぁ大きな失敗もなかったし周りのお客さんからの反応も悪くはなかったので及第点ではあったと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

サンフェスが終わったのも束の間、今日からはコンクールに向けた指導が始まる

 

「今年の課題曲は”マーチ スカイブルードリーム”。自由曲は”リズと青い鳥”です。高難度ですがみなさんの目標を達成するのにふさわしい曲だと私は考えています。オーディションはテスト前に二日かけて行います。審査は一人ずつとなりますのでそのつもりでいてください。コンクールメンバーの上限は五十五名ですが、出場するに達していないメンバーが多かった場合にはその人数を下回りる可能性も十分にあります。慢心せずに練習に取り組んでください」

 

『はい!』

 

その後少し音合わせをしてからパート練に移った

 

「はぁ〜今回もオーボエソロあるじゃんかー」

 

「うん」

 

「ま、今回はみぞれが吹くのがいいのかもな」

 

「なんで?」

 

「今回のソロフルートとのデュエットじゃん。調や他の子には悪いけどフルートのソロは希美だろ」

 

「うん」

 

「でもオレあいつと音合わせる自信ないんだよなー。というか絶対合わない気がする」

 

「そんなこと...」

 

「まぁそんな気がするってだけだし、やってみんことにはわからんけどな」

 

「うん...」

 

そこに一年生三人がやってきたので練習を始めた

 

「とりあえずこっからここまでやってみよう。三人は何も気にせず吹いてみて。みぞれはいつもより音抑えめで他の人の音をよく聴きながら頼む」

 

「わかった」

 

「んじゃ」

 

オレはいつも朝みぞれとやってるときみたいに足で床を叩きつつ吹き出しのタイミングを取った

 

♪〜♪〜♪〜

 

「ふむ、やっぱり三人とも基本はちゃんとできてるからこれからは音の強弱をもっと意識してみよう。多分全体練習のときに滝先生からその都度指示があると思うからメモ忘れないようにな」

 

「「「はい」」」

 

「みぞれはなんかある?」

 

「ちょっとズレてたかな」

 

「まぁ最初だしな。でも修正できるなら早いに越したことはないか。まずはオレら三人とファゴット二人はそれぞれのパートでお互いに音のズレが出ないよう心がけようか」

 

「「わかりました」」

 

「お二人に合わせるの、自信ないです〜」

 

「んなの最初から自信ありますって言える人の方が少ないわ」

 

梨々花には悪いがコンクールにはえると駿河の力が必要だ。もちろん梨々花へのサポートを怠るわけではないが

 

そして帰り道、オレとみぞれは途中にある公園のベンチに寄り道した

 

「なぁみぞれ」

 

「なに?」

 

「今日進路志望の紙渡されたじゃん?」

 

「うん」

 

「みぞれはもう進進路決まってるのか?」

 

「決めてない。ハルは?」

 

「一応大学進学はするつもり。でも何系に行くかはまだ」

 

「そうなんだ」

 

「候補はあるんだけどね。そこは先生と家族と要相談だな。みぞれは何かやりたいことないのか?」

 

「別に。ハルと一緒にいられるならそれでいい」

 

「...」

 

みぞれのその言葉はすげぇ嬉しい。嬉しいんだけども...

 

「なぁみぞれ。オレはお前がホントにやりたいことを見つけてそれをやるための進路を目指してほしい」

 

「でも、私は...」

 

「オレもできることならみぞれと一緒にいたい。今のとこ大学卒業したらちゃんとみぞれのご家族に挨拶する気でいるし」

 

オレの言葉にみぞれは驚いたのか目を見開いた。そしてすぐ俯き照れている

 

「でもオレにもやりたいことがある。みぞれにも絶対あるはずだ」

 

「私にも...」

 

「別にみぞれがやりたいことをやっててオレが消えるわけじゃない。オレだってみぞれにいなくなってほしくないしな。ちょっと考えてみないか?」

 

「うん」

 

「うっし、んじゃ帰ろ」

 

進路か。もうそんな時期にもなっちまったんだな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪〜♪〜♪〜

♪〜♪〜♪〜

♪〜♪〜♪〜

 

「はい。今日の練習はここまでにします。今日は課題曲を中心にやりましたが、明日はリズの方を中心に行います。そのつもりで準備をお願いします」

 

『はい!』

 

「部長から何かありますか?」

 

「はい。この前決めた通り今年の北宇治の目標は全国大会で金を取ることです。今度オーディションがあるけど選ばれたメンバーもそうでないメンバーもチームの一員であることに変わりはないから。みんなで支え合って最強の北宇治を作っていこう!」

 

『はい!』

 

「私からは以上です。副部長からは何かありますか?」

 

「私からは特に」

 

「わかった。春希は?」

 

「んじゃちょっとだけ。一年生には今友恵と黄前さんが面倒見てくれてるけど別に二人だけに頼る必要はないからな。楽器の質問ならむしろ同じパートの先輩を頼ってもいい。それと二、三年生もお互いに頼れ。先生にでもいい。技術面なら滝先生が教えてくれるし根性論やら勉強に関してなら松本先生が教えてくれる」

 

オレが先生方の方を向くと黙って頷いてくれた

 

「それから部長と副部長!お前らも自分だけで抱え込みすぎないように!オレも色々みんなに頼らせてもらうからな。以上でづす!」

 

「はい、ありがとうございます。それでは解散しましょう」

 

『ありがとうございました!』

 

「ふぅ〜」

 

「お疲れ様」

 

「おう。上級生ってのも大変だな」

 

「お疲れ様です〜」

 

「おぉ梨々花。お疲れさん」

 

「お疲れ様」

 

「先輩方、今度ファゴットの子達とダブルリードの会やるんですけど」

 

「ダブルリードの会?なんじゃそりゃ」

 

「いえ、ただ部活終わりにお茶するだけなんですけど。先輩方もどうですか?折角五人しかいないダブルリードですし」

 

「おーいいじゃないか。みぞれは?」

 

「ハルが行くなら」

 

「みーぞれ。折角かわいい後輩ちゃんが誘ってくれるんだ。みぞれ自身が行きたいかで決めな?」

 

「...」

 

みぞれは俯いて考える。後ろではえると駿河が手を合わせて必死に祈っていた

 

「行こう、かな...」

 

「おっしゃ決まり」

 

「本当ですか!?」

 

「あぁ、行くときまた誘ってくれ」

 

「わかりました!約束ですよー?」

 

「あいよ」

 

梨々花はファゴットの二人の元に戻っていき三人でハイタッチをしていた。そんなに行きたかったとは先輩冥利に尽きるってもんですな〜

 

「じゃ帰りますか」

 

「その前に理科室行ってもいい?」

 

「おう。なんか用事か?」

 

「フグに餌あげに」

 

「へぇ〜。んなのいたんだ」

 

理科室に着くと奥の窓際に水槽があってちっちゃなフグが何匹か泳いでいた

 

「いつも来てたのか?」

 

「たまに」

 

「だよな。じゃなきゃオレが知らないわけねぇな」

 

「うん」

 

「鎧塚さん、堺くん」

 

「あれ、新山先生」

 

入り口に立っていたのは新山先生だった

 

「お久しぶりね」

 

「なんでここわかったんですか?」

 

「剣崎さんがここだって教えてくれたの」

 

「そうですか」

 

「コンクールの曲素敵な曲に決まったわね。この曲ではフルートとオーボエがリズと青い鳥を表していると言われているわ。第三楽章の掛け合いはきっとリズと少女の別れ」

 

「そうみたいですね〜」

 

「...私には青い鳥を逃してやったリズの気持ちがわかりません」

 

「そう...」

 

オレも初耳だ

 

「そうだ!今日は二人にお話があって来たの。二人は進路は決まってる?」

 

「大学に進学するつもりですけど、具体的にはまだ」

 

「わたしはまったく...」

 

「そう。ならちょうどよかった。二人とも音大に興味はあるかしら」

 

新山先生はオレらにそう尋ねて持っていたパンフレットを渡してきた

 

「もしこれを見て興味が湧いたら教えてね」

 

「わかりました」

 

「それじゃ」

 

新山先生は別に進学を勧めるわけでもなくパンフレットだけ渡して教室を出て行った。オレらもパラパラと中を見るだけで教室を出た

 

「みぞれ、春希」

 

渡り廊下を歩いていると前から希美が声をかけてきた

 

「何してたの?」

 

「フグに餌あげてた」

 

「へぇ〜。ハマってるの?フグ」

 

「うん、かわいい」

 

「今度私も行っていい?」

 

「うん、希美も一緒に」

 

「それ何?」

 

「パンフレット」

 

「それはわかるよ。見てもいい?」

 

「うん」

 

「これ音大のパンフレットじゃん!あれ、みぞれって音大受けるの?春希も」

 

「新山先生がくれた。興味ある?って」

 

「ふーん」

 

「希美?」

 

「私も、ここ受けようかな...」

 

「それなら勉強頑張らないとな〜。ちゃんとは見てないけど新山先生が勧めてくれるってことはそれなりの大学だと思うけど〜」

 

「うへ〜、春希のそのドヤ顔ムカつく〜」

 

いやー勉強できてよかったわー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ...」

 

「何このスケジュールの組み方。あんた一人で無理しすぎ」

 

「大きなお世話なんですけど」

 

「君はあすか先輩じゃないんだよ?」

 

「わかってるわよそんなこと」

 

今は昼休み。部長と副部長、みぞれと希美が音楽室に集まっていた

 

「どれどれー?うわっなんじゃこりゃ。お前スケジュール管理ヘタクソすぎんか?」

 

「うっさい」

 

「ペンと消しゴム借りるぞー?」

 

「あ、ちょっ!もうー。そうだ希美、部費は?」

 

「塚本と滝川と、滝野がまだ」

 

「即取り立て取り立て」

 

「私がー?春希おねがーい」

 

「ふざけんな、お前会計係だろが」

 

「えー」

 

「ほいリボン。少し調整した。あとここは模試な」

 

「あ、そういえば。部活に専念したいのに」

 

「私と同じ志望校なんてあなたかわいいとこあるわよねー」

 

「は?そこんとこだけマジ最悪なんですけど」

 

「大学行っても、ずっと友達だよ」

 

「うーわ何これ鳥肌。大学被ったの死ぬほご偶然なんですから」

 

「でも意外だったわ。てっきり香織先輩追っかけるのかと思ってたのに」

 

「クッ!できることならそうしたかったわよ!」

 

「成績が追いつかなかったのよねー」

 

「あんたはもう!」

 

「みぞれと春希、音大受けるんだよ」

 

「そうなんだ、凄いじゃん!」

 

「ね!」

 

「まだ決めたわけじゃないけど」

 

「てか今言う必要あるか?てかお前も受けるって言ってただろが」

 

「希美、音大受けるんだ」

 

「ん〜まぁね。確定じゃないけど...」

 

「もうすぐあがた祭りだね〜」

 

「そうだった。ヤバい、時間全然足りない...」

 

「あんたは一回部活から頭離しな」

 

「みぞれー、一緒に行こうよ。あがた祭り」

 

「え...」

 

「もう予定あった?」

 

みぞれは黙ってオレの方を向いた

 

「そっか。今年も春希と行くんだよね。優子と夏紀は空いてるよね?」

 

「うんオッケー行く。部長は?」

 

「行くけど」

 

みぞれが少し悲しそうな顔をしていたのに気づいた

 

「それ、オレらもついてっていいか?」

 

「え、別にいいけど。いいの?」

 

「ま、高校最後だしな。それに別にお前らがいようとみぞれとイチャイチャできるし」

 

「うわ〜、それこっちが滅入りそうなんですけど」

 

「そんときはわたあめかりんご飴奢ってやるよ」

 

「なんで甘いものなのさ。普通辛いものでしょ」

 

「へいへい。いいか?みぞれ」

 

「うん!」

 

ホントは...ホントは今年もみぞれと二人で回りたかったよチクショー!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あがた祭りの日は午前中は雨が降ってたけど幸いにも夜は止んでくれた。前に約束したように五人で行きました

 

「さて、ここら辺でいいでしょ」

 

「ん?何がだ?」

 

「ここで私達とは別行動。後の半分はお二人でどうぞ」

 

「え、でも」

 

「これはみぞれが提案してきたことなんだよ?ね、みぞれ」

 

「うん」

 

「そうなのか」

 

「ってなわけでまた明日ね二人とも」

 

屋台を半分ぐらい回ったところでオレとみぞれ、リボン夏紀希美の二手に分かれた

 

「ホントによかったのか?みぞれ」

 

「うん。みんなとも来たかったけど去年約束したみたいにハルと一緒に回りたいのもあったから」

 

「そっか。ありがとな」

 

「私こそありがとう。気を使ってくれたの知ってる。行こっ」

 

みぞれが手を引いてくれた。おかげで今年の思い出が一つ心に刻まれた


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