響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第25話

 ー翌日ー

 

 昨日はなんとか寝れました。みぞれが横で寝てるって考えると目が冴えちゃったので羊を数えてたら寝れたみたいです。そして朝、みぞれの寝顔を見ることができました。素晴らしく可愛かった!!そして一緒に朝食を食べ、一緒に登校してきました。いっつも一緒に登校してるからみぞれがうちに泊まったなんて誰も思わないでしょう

 

 そして朝練の前、オレ達や低音パートのメンツは揃って黄前さんの押しかけた。

 

「どうでした!?」

 

「どうって…?」

 

「あすか先輩のことだよ〜」

 

「あ、はい…元気そうは元気そうでしたけど、部活に戻ってくかっていうとあまり…」

 

「そっか〜…あんなに成績いいのに、お母さん何が不満なんだろう…」

 

「そうですよ!先輩はちゃんと勉強と部活を両立しているのに、それを邪魔するなんて緑は嫌です!」

 

「どうどう…」

 

「でも、将来的なことを考えたらこのまま部活を辞めて勉強に専念する方がためになるって考え方もあるけどな」

 

「それはそうだけど…」

 

「それは親が決めることじゃないと思うがなぁ」

 

「でも、やっぱり緑はあすか先輩と部活やりたいです!」

 

「だよね」

 

 川島さんの主張に同意した夏紀が川島さんの頭を撫でる

 

「香織先輩!今日の帰り少し時間ありますか?」

 

「どうしたの?」

 

「少し教えて欲しいところがあって」

 

 またリボンか。ホントに中世古先輩にべったりだな

 

「あ、香織先輩だ。ちょっと話してくる。香織せんぱーい!」

 

「あ、おはよう」

 

「ちょっと!邪魔しないでよ!何よ」

 

「香織先輩に話があるの」

 

 犬猿の仲も健在だな

 

 

 

 

 

 

 ー放課後ー

 

 今日も部活は早く終わりいつもならまだ楽器を持っている時間に帰っている

 

「夕飯の材料買って帰るか」

 

「うん」

 

「今日はどうする?」

 

「今日は私も作る」

 

「オッケー、じゃあ無難に肉じゃが?」

 

「いいよ」

 

「決まりだ」

 

 夕飯は肉じゃがになりその材料を買って帰宅した

 

 

 

 

 帰宅してそれぞれ部屋着に着替えて料理開始

 

「みぞれは普段こういうのやるのか?」

 

「まぁ、たまに」

 

「そっか」

 

「ハルは」

 

「まぁ、たまに」

 

「そう」

 

「…」

 

「…」

 

「ふふっ」

 

「ははっ」

 

 みぞれと全くおんなじ返しをしてしまって思わず2人同時に笑ってしまった

 

 それから2人で夕飯を食べ、風呂にも入り、少し勉強して昨日と同じように2人一緒に寝た

 

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

 オレは昼休みに飲み物を買いに行っていたらその声は聞こえてきた

 

「コンクールに出てください」

 

 黄前さん?それと副部長

 裏っての人が来ないようなところに2人がいたがどうも入っていく雰囲気ではなかったのでドアに隠れるようにして聞き耳をたてる

 

「要件はそれだけ?」

 

「はい」

 

「なら答えはノー。理由は部活にとって私が出ない方がいいから」

 

「そんなことないです…」

 

「どうして?練習も来ない、本番にも出るかわからない人なんて迷惑以外の何者でもない。私だったら絶対嫌だな〜」

 

「先輩には、事情があります…」

 

「事情ある子なんて他にいっぱいいるよ?しかも私は、のぞみの復帰に反対しちゃったしね〜。それが自分のときは例外ですなんて言えると思う?」

 

「でも、みんな言ってます。あすか先輩がいいって」

 

「みんな?みんなって誰…?」

 

「それは…」

 

「だいたい、そのみんなが本性を言ってる保証がどこにあるの?」

 

「…保証?」

 

「あすか先輩が出た方がいい、あすか先輩と吹きたい。そりゃあみんなそう言うよ。だってそう言っとけば誰も傷つかない、誰にも悪く言われないもん」

 

「だからって、全員がそう思ってるとは限らないじゃないですか…!少なくとも低音パートのみんなや夏紀先輩は絶対あすか先輩に出て欲しいって思ってます!」

 

「どうしてそう言い切れるの?」

 

「言い切れます!」

 

「…ふふっ、黄前ちゃんがそんなこと言うなんてね〜」

 

「ダメですか…?」

 

「ダメじゃないけど…黄前ちゃんそんなこと言えるほどその人達のこと知ってるのかな〜って思って」

 

 は?

 

「みぞれちゃんとのぞみちゃんのときも黄前ちゃん、結局最後は見守るだけだった。境界線引いて踏み込むことは絶対にしなかった。気になって近づくくせに傷つくのも傷つけるのも怖くてなーなーにして安全な場所から見守る。そんな人間に相手が本音を見せてくれてると思う?」

 

 それを聞いて黄前さんは黙ってしまう

 

「なんだ、珍しく威勢がいいと思ったらもう電池切れ?私がこのままフェードアウトするのがベストなの…心配しなくてもみんなすぐ私のことなんか忘れるよ…一致団結して本番に向かう。それが終わったらどっちみち3年は引退なんだから」

 

「後輩苛めて楽しいですか?副部長」

 

 オレは限界がきて2人の空間に割って入った

 

「春希」

 

「春希先輩…」

 

「はぁ…後輩苛めて何が楽しいんだか」

 

「苛めてないよ。本当のことを話しただけだよ」

 

「じゃあ副部長、ベストって何ですか?あなたにとってその答えがベストでも黄前さん達にとってのベストは違うんじゃないですかね?」

 

「…」

 

 副部長は笑顔から一変、オレを睨むように見てくる

 

「それに黄前さんにあーだこーだ言ってましたけど、あなたはどうなんですか?ずっと中立を守ってどっちにも付かず我が道を行ってとうとう勝手に部を辞める。親が決めたから仕方ない?その中にあんたの気持ちは入ってるんすかね?」

 

「言ってるでしょ、私が私自身で辞めるって決めたの」

 

「大人ぶるんじゃねぇよ」

 

「っ!」

 

 オレの口調が突然変わったのに2人は驚いた顔になる

 

「黄前さんは部のやつらのことを何もわかってない?それはあんただろ。部のみんながあんたを必要としてないわけねぇだろ。あんたをすぐ忘れるわけねぇ。そんなこともわからないあんたに黄前さんがどーのこーの言われる筋合いはねぇはずだ。なのに自分は大人だから全部わかってますってか?自分は特別だから?冗談じゃねぇ。あんたもただの高校生だ」

 

 そして次の言葉を発しようとしたが、黄前さんの顔を見たらさっきの驚いた顔ではなくちゃんと覚悟が決まったような顔をしていたのでオレはここで終えることにした

 

「そこんところよく考えて黄前さんの話を聞いてやってください。黄前さん、後は任せるよ」

 

「はい!」

 

 オレは後のことを黄前さんに任せて自分の教室に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

 ♪〜

 

 オレは朝練の時間、いつも通りみぞれと音を合わせている

 

「じゃあ、頑張ってね」

 

「えっ?」

 

 夏紀?どこ行くんだ?

 

「始まりますよ?」

 

「ん?あれ、もしかして聞いてないの?あすか先輩も意地悪だな〜」

 

 副部長?

 

 すると

 

 ガラガラ

「ごめん、遅れた」

 

 入ってきたのは副部長だった

 

「田中先輩!?」

 

「あすか先輩!」

 

 副部長のいきなりの登場に室内がざわめく

 

「みぞれ知ってたか?」

 

「うん、夏紀に聞いた」

 

「なんでオレに言わなかったの!?」

 

「…」

 

 こいつ確信犯か!?

 

「夏紀、ごめん」

 

「謝らないでくださいよ。私、あすか先輩のこと待ってたんですから」

 

 夏紀と入れ替わりに副部長が元の位置に座る

 

 とりあえずよかったのかな

 




そして、次の曲が始まる

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