響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

23 / 44
第23話

 

「みぞれ…」

 

「…?」

 

「さっきはごめんな」

 

 コンサートの片付けをしながらオレはみぞれに演奏前のことを謝った

 

「…大丈夫」

 

「…でも」

 

「じゃあ約束。これからは演奏する前は必ずしてほしい」

 

「…あぁ、わかった!約束だ!!」

 

 みぞれは笑顔を見せて片付けに戻った

 

 こうして駅ビルコンサートは終わった

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

 コンサートが前日にあったからって次の日が休みになることはなく今日も練習だ

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

 メトロノームに合わせてみんなの音を合わせる

 

「はい、次13番」

 

 部長が一度止めて次にいこうとすると…

 

 ガラガラ

「田中 あすか、帰還しました!」

 

 副部長が勢いよく入ってきた

 

「何が帰還よ!」

 

 副部長は駅ビルコンサートが終わり、コンクールが迫っても練習に来ることはほとんどなかった

 

「みんな心配してたんだよ!?」

 

「既読スルーやめてください」

 

「何度も言ってるでしょう?迷惑はかけないから」

 

「ですけど…」

 

 みんなが心配してることを本当にわかっているのかと疑うぐらい副部長の調子は全く変わらない

 

「はーい、みんな座って」

 

 まぁ、もう副部長がいなくてもみんなの調子が大きく下がることはなくなった

 

 

 

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

 しかし副部長はまた部活に来なくなった

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はい、ありがとう」

 

 今日は橋本先生が来てくれている

 

「えーと、そうだなー……はぁ…正直に言わせてもらうと、なんか辛気臭い。学校が始まって練習時間が減っているのに夏休みの音を維持できているのはスゴいと思う。けどみんなあの頃より硬い!音がごちゃごちゃで聴いててキツい」

 

『はい』

 

「もしかして全国だから緊張してる?みんな全然面白くなさそうだよ?滝くんみたいに怖い顔して…」

 

 いやいや、全国なのに緊張しない方がムリですよ…

 

「私は怖い顔なんてしませんよ」

 

「これだから自覚のない人は困るな〜。いろんな学校の子に言ってるけど、実はコンクールがあんまり好きじゃない。一生懸命やってるなら金でも銀でもいいって思ってる。まぁ耳にたこかもしれないけど、音を楽しむと書いて音楽。金だの銀だの意識して縮こまって固くてジメジメした演奏してたら意味がない!明るく!楽しく!朗らかに!はい、復唱!」

 

『明るく…』

 

「はきっと明るく!」

 

『明るく!楽しく!朗らかに!』

 

「はい、じゃあ気になったところを順番に言っていくと、まずユーフォ」

 

「は、はい」

 

「全然音聞こえてなかったけど?本当に吹いてた?」

 

「…吹いてました」

 

「1人だからかもしれないけど音小さいな〜。いつもの上手い先輩は?ほら、あの赤いメガネの」

 

「あすか先輩は…その……」

 

「今日は欠席です」

 

「この大事な時期に!?まぁいいや。とにかく!もっとちゃんと鳴らさないと!」

 

「はい、クシュン!」

 

「大丈夫?」

 

「あい、ずみません…」

 

 完全に鼻声じゃん。風邪ひいたかな…オレも気をつけないと

 

 

 

 

 

 

 

 ー放課後ー

 

 部活に時間かけるのは当然であるが、オレらの本分は勉強である。それを思い出させる中間試験が迫ってきている…そ・こ・で!

 

「一緒に勉強しようぜ!みぞれ!」

 

「うん、いいけど」

 

「え〜、たまにはみぞれ貸してよ〜」

 

「のぞみ。まぁみぞれがお前とって言うなら強制はしない」

 

 オレがみぞれとの勉強会の申し込みをしていると横からのぞみが入ってきた

 

「…」

 

「みぞれ?」

 

 みぞれは少し悩んでいるようだ

 

「…仕方ねぇ、今回はのぞみとやんな」

 

「ハル」

 

「別に負けたわけじゃねぇからな。まぁたまには友達付き合いも必要ってことだ」

 

「…うん」

 

 みぞれは申し訳なさそうにこっちを見てくる。オレはそんな顔をしているみぞれの髪の毛をグシャグシャにするぐらいの強さで頭を撫でる

 

「そんな顔すんなよ。どうせのぞみがみぞれに教えることなんて1つもねぇんだから」

 

「なっ!ひっど〜い!」

 

「ホントのことだろ。みぞれにしっかり教わることだな」

 

「ぶー」

 

 頰を膨らませたってみぞれの方が何百倍も可愛いわ!←勉強とは違う意味の大バカ

 

「ははは、じゃあ帰るわ」

 

「じゃあ私も」

 

「大丈夫なのか?」

 

「うん」

 

「そっか、じゃあな」

 

「また明日」

 

「バイバイみぞれ〜!春希は知らな〜い!!」

 

「子供かよ…」

 

「ふふっ」

 

 子供みたいなのぞみをあとにオレはみぞれと一緒に帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

「あれ、今日黄前さんは?」

 

 朝から黄前さんが来ないので川島さんに聞いてみた

 

「あ〜、今日は学校お休みしますって連絡きました。ね?」

 

「うん…」

 

「やっぱり風邪だったんだね」

 

「ですね」

 

「やっぱりって?」

 

「昨日早退したんだよ」

 

「…知らなかった」

 

「無理もないですよ〜。パート練のときでしたから」

 

「川島さんはいい子だね〜。夏紀もこれぐらい素直だったらな〜」

 

「聞こえてるからね」

 

「ありゃ、これは失敗」

 

 その後聞いたが、今日は副部長も黄前さんも欠席だからユーフォが誰もいなくなってしまい、急遽合奏には夏紀が入ることになったらしい

 

「夏紀は風邪引かなそうだよなぁ」

 

「何で?」

 

「だって、何とかは風邪引かないって言うじゃん?」

 

「それは私がバカってこと?」

 

「いやいや、滅相もない。オレは何とかしか言ってないじゃん」

 

「それムカつく」

 

 \ははははは/

 

 オレと夏紀の漫才が意外に受けたところで先生が来て練習が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

「おっ、来たな」

 

「もう大丈夫なの?」

 

「はい!」

 

 今日は黄前さんが風邪から復活した

 

 しかし、それと同時に重大な発表が昇さんからされた

 

「1つ皆さんにお話があります。田中さんが今週末までに部活を続けていく確証が得られなかった場合…全国大会の本番は、中川さんに出てもらうことにします」

 

 その言葉にみんなは衝撃を受けた

 

 副部長…

 




そして、次の曲が始まる

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。