響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第2話

 ー音楽室ー

 

 オレは音楽室の前で止まる

 

「どうしたの?」

 

「みぞれは先入ってな」

 

「ハルは?」

 

「後から行くよ。今入ったらいろいろごった返しそうだし」

 

「わかった」

 

 みぞれは音楽室に入って行った

 

 

 

 

 ー10分後ー

 

「堺くん、まだ入っていなかったんですか?」

 

「はい、自己紹介とかしなくちゃなんで…先生と入った方が効率がいいかなと思いまして」

 

「なるほど。では、行きましょうか」

 

 そう言って音楽室のドアをスライドさせて中に入る滝先生について行く

 

 オレが入った瞬間案の定ざわざわしだした。あの人誰かなっていうやつはおそらく1年生だろう。他は言葉は発しないが驚いた表情をしている。みぞれとクラスメイト以外だが…

 

「では皆さん。始める前に新しい入部者を紹介します」

 

 それでオレにバトンタッチ

 

「どうも皆さん、1年生の方々は初めまして。2年の堺 春希です。訳あって今まで休んでいましたが、今日から部活に復帰します。よろしくお願いします。」

 

 パチパチパチパチ

 

(ありゃ?あれって…)

 

「では始めましょうか。堺くんはどうしますか?」

 

「あ、最初見てていいですか?」

 

「わかりました。これ楽譜です」

 

「ありがとうございます」

 

 オレは今から演奏する楽譜を受け取り後ろの打楽器の横に立つ。後ろに移動するときみぞれに『ガンバレ!』と口パクしておいた。みぞれも頷いてたから伝わったと思う

 

 

 滝先生が指揮台に上がる。するとみんなの顔つきが変わる

 

(ほぉ)

 

 そして演奏が始まった

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

 正直に言うと、めちゃくちゃ驚いた。あれだけグダッてた吹奏楽部が合奏してる

 そんな気持ちの中、滝先生は1パート1パート指摘していった。その指摘もすごく的確だ。さすが昇さん

 

 そして、

 

「最後に鎧塚さん」

 

「はい」

 

 みぞれが吹いているのはオーボエという楽器でオレもそうなんだけど人数少ないから今はみぞれが1人。よってこれまで楽器名で呼ばれてたのにオーボエだけみぞれの名前が呼ばれた

 

「今日の音、すごくよかったですよ。何かあったんですか?」

 

「…いえ、ありがとうございます」

 

「そうですか。今後もその調子でお願いします」

 

「はい」

 

 滝先生が…褒めた?しかもみぞれを…?何これ…オレが褒められた訳じゃないのに超嬉しい!!

 そんなことを考えているとオレの一番近くでやっているパーカッション(打楽器)の田邊 名来(たなべ ならい)先輩、通称ナックル先輩が

 

『よかったな』

 

 上級生と同級生はオレとみぞれの仲を知っている。だから小声でそう言ってくれた

 

『はい!』

 

 オレは満面の笑みで答える。もちろん小声で

 

「では次は堺くんも入ってください。あなたならできるでしょう」

 

「わかりました」

 

 オレは音楽室の隣の用具室からオーボエを持ってくる。自分の持ってくるんだったな…

 そして音楽室に戻ると、

 

「………くんのお祖父様が私の音楽の先生でしたので、その関係で堺くんとは知り合いです」

 

 先生がオレと知り合いだってことを話していた

 

「先生、話したんですか」

 

「聞かれたので」

 

「まぁいいですけど」

 

 そう言ってオレはみぞれの隣に立つ

 

「椅子ないんで立ったままでいいですか?」

 

「堺くんが構わないなら、構いませんよ」

 

「ありがとうございます」

 

 そしてオレを見上げているみぞれに小声で

 

『いい音奏でような』

 

「(コクッ)」

 

 頷いた。やっぱみぞれが隣にいるとテンション上がるな!!!

 

「皆さんいいですね?」

 

『はい!』

 

「鳥塚さん、お願いします」

 

 ♪〜

 

 鳥塚さんのクラリネットの音に合わせた全員でのチューニングが始まった。これだけで去年と比べられないくらい上手くなってることがわかる

 

「では、始めましょう……3、4!」

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

 あぁこれだ。これが合奏だ!

 




そして、次の曲が始まる

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