響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第15話

 ー音楽室ー

 

「よろしくお願いします」

 

『よろしくお願いします』

 

「よろしくお願いします」

 

 練習が始まる前の挨拶を終えいざ練習が始まる。と思いきや…

 

「ではさっそく今日の合奏を始めていきますが、今日はその前に1人紹介したい人がいます」

 

 紹介したい人?

 

 ガラガラ

「失礼します!」

 

 入口のドアが開いてでかでかと声を発しながら男の人が入って来た

 

「彼はこの学校のOBでパーカッションのプロです。夏休みの間、指導してもらうことになりました」

 

「プロ!?」

 

「マジで!」

 

 パーカッションの方から驚きと歓喜の声があがる

 

橋本 真博(はしもと まさひろ)といいます。どうぞよろしく!あだなははしもっちゃん。こう見えても滝くんとは大学からの同期です。滝くんのことで知りたいことがあったらどんどん聞きに来てね!」

 

 

 

 シーン…

 

 

 

「あれ、反応薄いなー」

 

「余計なことは言わなくていいですよ」

 

「滝くんモテるでしょう?女子からキャーキャー言われてるんじゃないの?」

 

「はい、吹奏楽部員“以外”の女子から…」

 

 あははは!こんなスパルタが知られたらどうなるんだろう!

 

「あはは!吹部女子からは人気ないかー!ごめんなー!滝くんが口悪いのは昔からでね…イタッ!」

 

「余計なことは言わなくていいですと言いましたよ…!」

 

 \あははははは!!!/

 

 橋本さんと昇さんのやりとりにみんなは笑い出す

 そして橋本さんは黄前さんの前に行き…

 

「起きてるー?」

 

「…あ、はい!」

 

「新任のコーチなのに興味なし?落ち込むなー!」

 

「すみません!」

 

「はいパーカス!最初からビシビシいくよー!」

 

『はい!』

 

 パーカスは気合い入るなー

 黄前さんはどうしたんだ?なにかあったのかな…?

 

「おもしろそうな人だな」

 

「…そうだね」

 

 みぞれはそれだけ言うと楽譜に目を落とす。今日もみぞれは平常運転だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー3日後ー

 

 今日も朝練にみぞれと来て少ししたら意外なことにリボンが1人で来た。いつもは中世古先輩と来るのに

 

「よぉリボン。今日は1人なんだな」

 

「うん、ちょっと2人に話があって」

 

「…話?」

 

「聞いてない?」

 

「なにが?」

 

「…?」

 

「そっか、どうしよう…」

 

 いったいなんなんだ。そう思っていると…

 

 ガラガラ

 

「あれ2人とも早いんだね」

 

「おはようございます」

 

「はよーござまーす」

 

「おはようさん」

 

 麗奈と黄前さんが登校してきた

 

 挨拶しただけで何の会話もしない状況でみぞれが口を開く

 

「…優子」

 

「ん?」

 

「…仲悪いの?その2人と」

 

「えっ!」

 

「えっ!」

 

「…」

 

「ほえ?」

 

 みぞれの発言にビックリするリボンと黄前さん。麗奈の表情は変わらない

 

 また沈黙…

 

「え、えーと…」

 

「ふっ、そうなんですか?先輩」

 

「さぁ、どうなんだろうね?後輩」

 

「ふふふ…」

 

「ははは…」

 

「お前ら意味深すぎだろ」

 

「いやー、仲いいって言うか悪いって言うか…普通って言うか、そう普通!先輩と後輩って感じです!多分」

 

「…ふ〜ん」

 

 いやいや、お前が聞いたのにその返しは酷いんじゃない?みぞれさん

 

「じゃあ私達は外で練習して来ます!行こう…」

 

 そう言って退出していく2人

 

「あれだけいろいろあったのにホント、みぞれって部内の人間関係のこと疎いよね…」

 

「…だって興味ない」

 

 オレは!?

 

「でもまぁそこがみぞれのいいところなんだけどさ」

 

「…私にはハルがいるから」

 

「みぞれ…」

 

 ヤベッ!泣きそう!←ホントバカ

 

「さっきの話、のぞみのことなんだけど…」

 

「っ!」

 

「…」

 

 チッ!嫌な名前聞いた

 

「…のぞみ」

 

「うん。のぞみがね、部活に戻りたいって話してきたらしいの…」

 

「そう…」

 

「ありえねぇ」

 

 オレはそう口に出してしまった…クソッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー全体練習ー

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はい、初めのトランペットの入り方が気になります。パーではなく初めからパーンと出してください」

 

『はい!』

 

「それとフォルテッシモ(意味:最も強く)の音が汚くなっています。あくまで大きく美しくです」

 

『はい!』

 

 オレは朝のことが頭が離れないまま演奏に臨んでしまった

 

「おーいナックル!パーカスは1発目のロール大分正確になったのわかる?最初にパッと聞いた感じはあってたけど、なんか雑だったから」

 

「はい!滝先生から何度も指摘されてたんですけどやっと掴めたような気がします」

 

「でしょでしょ!?僕のこともっと尊敬してくれていいから!」

 

 \あははは/

 

「他には何かありますか?」

 

「そうだね…全体的にちょっと大人しい印象がある。普段のみんながそのまま演奏に出てる感じだね。もう少しでお互い図々しくなった方がいい。気になったことがあったらどんどん言い合ってみるとかね。わかった?」

 

『はい!』

 

「あとオーボエはレベル高いねー!僕もビックリしたよ!」

 

「ありがとうございます」

 

「(ペコッ)」

 

 今のオレにはそんなことより考えてしまうことがあった

 

「では今のところからもう一度」

 

『はい!』

 

 

 

 

 

 

 練習も終わり残って練習しようとしていると…

 

 ♪〜

 

 あの忌まわしいフルートの音が響いてきた

 

「みぞれ!」

 

「…うっ」

 

 みぞれは苦しみがってしまう。そこへ…

 

「鎧塚先輩…?春希先輩も…」

 

「黄前さん…」

 

「大丈夫ですか…?」

 

「…気にしないで」

 

「…本人がこう言ってるから大丈夫だ。ありがとな」

 

 みぞれは立ち上がり階段を降りようとする。オレはそれを支える。すると…

 

 ♪〜

 

 クソッ!

 

「この音…」

 

 なんなんだよ!

 

「…この音嫌い」

 

「え?」

 

「黄前さんは気にしないでいい」

 

「は、はい」

 

 オレはみぞれを支えながら階段を降りる。そして中庭のベンチに座らせる

 

「ちょっと待ってろ。カバン取ってくる。今日はもう帰るぞ」

 

「…うん。ありがと」

 

 オレはみぞれの分の荷物も持ってきてみぞれに付き添いながら帰った

 

 




そして、次の曲が始まる

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