響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第12話

 学校は夏休みに入って早朝から夕方まで練習自体は長くなったのだがその練習も一瞬で過ぎ誰もが足りないと思っている。そんな中急に訪れた事態

 

 

 ー音楽室ー

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「う〜ん…今の所ユーフォも入れますか?」

 

「えっ」

 

「どこですか?」

 

 いきなりの指摘に驚く黄前さんと驚いた様子は全くない副部長

 

「162章節目ですコンバスとユニゾンで」

 

「黄前ちゃんいける?」

 

「は、はい!」

 

「久美子ちゃんここです」

 

 先生の話で黄前さんに楽譜を持ちながら駆け寄る川島さん

 

「あ、ありがとう」

 

「それとオーボエ」

 

「はい!」

 

「ここのところ音を少しズラせますか?」

 

「う〜ん…ちょっとやってみていいですか?」

 

「はい」

 

「みぞれはいつも通り吹いて」

 

「(コクッ)」

 

 先生に言われたのを実際にやってみる。イメージは先に吹いているみぞれを追いかけるイメージで…

 

 ♪〜

  ♪〜

 

『おー!』

 

「こんな感じですかね?」

 

「はい、これからそれでお願いします」

 

「わかりました。みぞれはつられたりしないか?」

 

「…大丈夫」

 

「ならOKだ」

 

 しかし今はすぐできたけど合奏の中だと難しそうだな。練習あるのみ!

 

 

 

 

 ーパート教室ー

 

「先輩方少し手伝ってもらっていいですか?みぞれも」

 

「もち!」

 

「うん!」

 

「(コクッ)」

 

「ありがとうございます!ここなんですけど…」

 

「あぁさっきのところ」

 

「途中から変わると難しくなるよね」

 

「はい…少しでも他の音と合わせたいです」

 

 合奏のとき完全に思い知った。他の音があると難しさが断然違う。頑張ろう!

 

 

 

 

 

 

 ー何日か後ー

 

 今日もこのクソ暑い音楽室の中練習三昧だ

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はいそこまで。前よりはよくなりましたがそれでもまだ求められる音にはなっていません。ここはあなた達次第です!」

 

 確かに以前よりは格段によくなった。しかし全国に行くにはまだまだってことだ

 

「トロンボーン、今出だしがズレたのは誰ですか?」

 

 その昇さんの言ったことに塚本くんが手を挙げる

 

「練習でできないことは本番では絶対にできません。そのつもりで取り組んでください」

 

「はい…」

 

 塚本くんは以前指摘されたところにまだ手こずっているらしい

 

「では158章節目から」

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はい、やめて。ユーフォ、162から1人ずつ聞かせてもらえますか?まず黄前さんから」

 

「あ、はい!」

 

 ♪〜

 

 ん〜、ちょっとぎこちないかな…

 

「はい、そこまで。黄前さんそこ難しいですか…?」

 

「…」

 

 大丈夫かな…

 

「本番までにできるようになりますか?」

 

「はい…」

 

「本番でできないということは全員に迷惑をかけるということですよ?」

 

 昇さん聞き方ひでぇ…

 

「もう一度聞きます。できますか?」

 

「…はい!できます!」

 

 おぉ、いいい返事!気持ちが篭ってるのがよくわかる

 

「…わかりました。ではその次から全員で」

 

 その後も練習は続く

 

 

 

 

 

 ー翌日ー

 

「コンクールまで残り10日です。各自自分の課題にしっかり取り組んでください」

 

『はい!』

 

 部長の一声で今日の練習も始まった

 

 

 

 

 

 

 

 ーパート教室ー

 

 ♪〜♪〜

 

「うん、大分よくなったんじゃない?」

 

「そうですか?」

 

「うん!なんか滑らかに入れてるし!」

 

 練習のおかげか先輩にはいい感じに聴こえたらしい

 

「みぞれはどうだ?なんか不快な感じにあるか?」

 

「…大丈夫。タイミングも合ってると思う」

 

「そうか」

 

 みぞれに言われてオレは張っていたの糸が切れたかのように椅子の背もたれに寄りかかる

 

「ふぅ」

 

「…はい」

 

「おう、サンキュ!」

 

 みぞれが水をくれた

 

「いけそう?」

 

「大丈夫だ!心配すんな!これでもお前のパートナーだぞ?」

 

「そうだね」

 

 オレがニカッと笑うとみぞれも笑顔を見せる

 

「今日のこの教室の温度高くない?」

 

「違う暑さが混じってるからね」

 

 横では先輩2人が訳のわかんない会話をしていた

 

 

 

 

 

 

 ー音楽室ー

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「テナー、バリトン、ユーフォ、ここ重要です」

 

『はい!』

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「7章節目からもう一度。ここのバリトンもっとクリアに」

 

『はい!』

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「スネアー(スネアドラム)はここにアクセント」

 

「はい!」

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「前にも言いましたよ。この曲はホルンがかっこいい曲です。わかってますか?」

 

 曲をやっては昇さんが止めて指摘。いつものことだがコンクールのこともあるため頻度が増してきた

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「トロンボーン塚本くん」

 

「はい!」

 

「今のを常に吹けるように」

 

「…」

 

 おぉ克服したか!でもいきなりのことで言葉なくしてやがる

 

「では次、158章節目から」

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はい、そこまで」

 

 ここで止まるのは何回目だろう

 

「トランペットはちゃんと音を区切って」

 

『はい!』

 

「ホルンはもっとください」

 

『はい!』

 

「そしてユーフォ、ここは田中さん1人でやってください」

 

 …マジか……

 

「田中さん、聞こえましたか?」

 

「…はい」

 

「ではもう一度、今の指示に気をつけて」

 

 黄前さん…ショックなのはわかるがここで腐っちゃダメだ!

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はい、オーボエ」

 

「はい」

 

 ヤベェ、なんかやらかしたかな…

 

「今のところ、その調子でお願いします」

 

「…はい!」

 

 よかったぁ〜〜〜〜〜

 

 黄前さんは大丈夫かな…

 




そして、次の曲が始まる

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