響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第10話

 ー翌日ー

 

 オレは教室の担任との二者面談があったため遅れて部活に向かっていた

 音楽室の前に来ると…

 

「先生?」

 

 昇さんが出てきた。練習はまだ始まってなかったのか?

 

「堺くん。今日はパート練習にしましたのでよろしくお願いします」

 

「え、あ、はい」

 

「それでは…」

 

 音楽室に入っても昨日のことが原因で重い空気のままだった

 

 

 

 

 

 ーパート教室ー

 

「先輩方、すいませんでした」

 

 オレは教室に着くとすぐに先輩2人に頭を下げる

 

「え!?何が!?」

 

「ちょっと、頭上げて!」

 

「重い空気を作ってしまったのオレなんで…」

 

「ち、違うよ!春希くんのせいじゃないよ!」

 

「そうだよ!みんなちょっと混乱してるだけだよ!」

 

 ホントに先輩がこの2人でよかった

 

「ありがとうございます!」

 

 そしてオレ達は音楽室に集まるように言われた

 

 

 

 

 

 ー音楽室ー

 

「はい、もう少しで先生がいらっしゃると思います。その前に大事な話があります」

 

 部長が前に出てそう告げる

 

「最近先生について根も葉もない噂をよく聞きます。そのせいで集中力が切れてる…コンクール前なのにこれじゃあ金はおろか銀だってあやしいと私は思ってます。一部の生徒と知り合いだったからといってオーディションに不正があったことにはなりません。それでも不満があるならこそこそ裏で話さずここで手を挙げてください。私が先生に伝えます。オーディションに不満がある人…」

 

 リボンを含めて何人かの人達が手を挙げる

 

 ガラガラ

 

「先生!」

 

 タイミング悪くそこに昇さんがやってきた

 

「今日はまた随分と静かですね。何ですかこの手は?」

 

「オーディションに不満がある人です」

 

「優子ちゃん!」

 

 先生の質問に直球で答えるリボン。それに声をかける中世古先輩

 

「なるほど。今日は最初にお知らせがあります。来週ホールを借りて練習することは皆さんに伝えていますよね?」

 

 昇さんは歩きながら話す

 

「そこで時間をとって希望者には再オーディションをしようと考えています」

 

 その知らせに室内がざわつく

 

「オーディションの結果に不満がある人やもう一度やり直して欲しい人はここで挙手してください。来週全員の前で演奏をし全員の挙手によって決めます。全員で聴いて決定する。これなら異論はないでしょう。いいですね?」

 

 昇さんは教室内を見渡し全員の顔を確認する

 

「では聞きます。再オーディションを希望する人」

 

 そこである人は立ち上がり挙手をして言い放つ

 

「ソロパートのオーディションもう一度やらせてください」

 

「香織…」

 

 中世古先輩…

 

「わかりました。では今ソロパートに決定している高坂さんと2人で、どちらがふさわしいか再オーディションします」

 

 

 

 しばしの沈黙…

 

 

 

「あのー先生」

 

「はい、何でしょう喜多村さん」

 

 その沈黙を破ったのは来南先輩だった

 

「オーボエのソロはどうなったんですか?」

 

「あぁそうでしたね。伝えるのが遅れてしまいましたが、ソロは“お二人”にお願いしようと思います」

 

「…はい?」

 

 みんなはその意味がよくわかっていないようだ。オレでもビックリしてる。まさか相談しようとしていたことがいきなり起きるんだからな

 

「どういうことですか?」

 

「ソロは2人ではできないですよ?」

 

「言い方が悪かったですね。お二人には各大会で1人ずつソロをやってもらおうと思います」

 

『えー!』

 

 本日2度目の衝撃

 

「正直言うと今回のオーディションで一番悩んだのがこのオーボエのソロでした。堺くんも鎧塚さんもとても素晴らしい演奏でどうにも選びことができませんでした。これは副顧問の松本先生も同意見です」

 

 オレはこの結果に満足している。だが逆に異議を申す奴もいるだろう…

 

「待ってください!」

 

 勢いよく立ち上がったのは優子だ

 

「ならトランペットもそうしてくれればいいじゃないですか!」

 

「先程私は言いました。“どうしても選べなかった”と…トランペットの場合は私と松本先生のお二人が高坂さんとその時は選びました」

 

「でも!」

 

 どうしても引き下がれない優子。無理もない…

 

「…わかりました。ではこうしましょう。堺くん、鎧塚さん。」

 

「はい」

 

「…はい」

 

「あなた達にも来週ホールで演奏してもらいます。そしてみんなにも聴いてもらいましょう」

 

 なんとオレらもホールで1人ずつやることになった

 

「…みぞれはいいか?」

 

「…うん」

 

「じゃあ大丈夫です」

 

「ありがとうございます。これでいいですか?吉川さん?」

 

「…はい」

 

 それ以上は何も言わず席に座った優子

 

「先生」

 

「はい、堺くん」

 

「自分から少しいいですか?」

 

「…はい、構いませんよ」

 

「ありがとうございます」

 

 オレはお礼を言って前に出る

 

「皆さん、先日は身を弁えない行動をしてしまい、また部の雰囲気を壊してしまいすみませんでした!」

 

 オレはその言葉と共に頭を下げる

 

「特に麗奈と優子にはキツい態度を取ってしまった。ホントにすまなかった!」

 

 1度顔をあげ再び頭を下げる

 

 

 

 またもや沈黙…

 

 

 

 しかしその沈黙を破ったのは意外や意外、優子だった

 

「だー!あんたに謝られても鳥肌立つだけなのよ!だからもういいわよ!!」

 

「ホントか?」

 

「しつこいわね!もういいって言ってるでしょ!!」

 

「…ありがとう」

 

「先輩、私ももう気にしていません。それに決着は来週つくので」

 

「麗奈…ありがとう」

 

 2人とも、ホントにありがとう

 

「春希が謝るなんて、どういう風の吹きまわし〜?」

 

「副部長その顔やめてください。みぞれに怒られました…」

 

 オレは昨日のことを思い出し肩を落とす

 

「なんだー!最後は惚気かこのやろー!!」

 

「ナックル先輩うるさいです。なら早く彼女作ればいいじゃないですか?なぁ後藤?」

 

「なんだとー!!」

 

「そこでオレにふるなよ…」

 

 \ははははははは!!!/

 

 ナックル先輩は怒りながらツッコミ、いきなりふられた2年生でチューバの後藤 卓也(ごとう たくや)は困った表情に。こいつが長瀬と付き合ってるのはもうみんな知っている

 

「はいはーい、そこまで。春希くんもそのことはみんな気にしてないからここで終わりね」

 

「部長、ありがとうございます」

 

 オレは部長にそう言って自分の席に戻る。この部活に人達はみんないい人だ

 

「いてっ!」

 

「…バカ///」

 

 席に戻ると赤くなってるみぞれがわき腹にパンチしてきた。照れてる

 




そして、継の曲が始まる

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