やはり俺がカフェの店長なのはまちがっている。   作:ステツイ

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第4話「土日は甘さ控えめに。」

 

 

 

 

 

 

 

「フニャァ〜」

 

 

 

 

 

「何、猫みたいな欠伸してるんですか。しっかりしてくださいよ?」

 

 

 

 

 

「わぁーってる。14時だっけ?面接」

 

 

 

 

 

「はい。14時に来るって言ってましたね。店長も早く身だしなみ整えてください。」

 

 

 

 

 

「まだもうちょい休んでる」

 

 

 

 

 

「はぁ...了解です」

 

 

 

 

 

土曜日ってさぁ!遅寝遅起きでも怒られなくていいよね!...いや、言い訳をするなら昨日新作のデザートを作ってたら夜中だったんだよ。なら応接室で寝とこうって。どうせ土日ここ来るからね。小町には友達のところに泊まるって言ったから大丈夫だって(フラグ)つーか眠い...寝よ。

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

「店長〜?」ガチャ

 

 

 

 

 

「zzz...」

 

 

 

 

 

「...」イライラ

 

 

 

 

 

「zzz...」

 

 

 

 

 

「オイコラ!起きやがれ!」クワッ!

 

 

 

 

 

「ビクッ!なんだよ、大きい声出して...」

 

 

 

 

 

「ワッタイムイズイットナウ?」

 

 

 

 

 

「発音ェ...ってもう13時30分じゃん。やばいやばい。」ガサゴソ

 

 

 

 

 

「早く着替えろよ...?」ワナワナ

 

 

 

 

 

「わかってるわかってる。相手はどんな子?」

 

 

 

 

 

「自分で確かめやがれ!」バタン

 

 

 

 

 

なんか当たりきつくね?何?俺寝てちゃダメなの?つら〜い。まぁいいか。早く着替えて準備♩準備♩

 

 

 

 

 

よし。これでオーケー。後は眼鏡をかけたら完璧♩後はコーヒーでも飲みながら待ちますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

「ん〜?」

 

 

 

 

 

「ガチャ 失礼します。面接の子、来ましたよ。」

 

 

 

 

 

「おう通してくれ。」

 

 

 

 

 

「了解です」ガチャン

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

 

「し、失礼しまーす。」カクカク

 

 

 

 

 

なーんかみたことあるショトカだなぁー。てかクラスで毎日見てるなー。めっちゃ緊張してるなー。やだなー。最近ここでの顔見知り遭遇率ヤバくない?もうやだ帰りたい。

 

 

 

 

 

「どうぞ、おかけになってください。」

 

 

 

 

 

「はい。失礼します」スッ

 

 

 

 

 

えーと。なんだっけ。とりあえず。緊張解すのか。そーだそーだ。んーと。そうなれば

 

 

 

 

 

「上着預かるよ」

 

 

 

 

 

「あ、ありがとうございます」スッ

 

 

 

 

 

もう!なんでこんな他人行儀なの!いや、他人か。むしろ嫌われてるか。でも俺ってわかってないのかぁ。おしとやかになったコイツって案外...って!何考えてんだ俺?

 

 

 

 

 

「んで?面接だっけ?」

 

 

 

 

 

「とりあえず自己紹介お願いできる?」

 

 

 

 

 

「えっと。相模南、17歳、高校生です。」カチコチ

 

 

 

 

 

何こいつ滅茶苦茶緊張してんじゃんw可愛すぎかw....ハッ!俺は一体何を考えていた?てかそういうことじゃない。こいつ緊張しすぎて俺の自己紹介とほぼ同じじゃねぇか。しゃーねぇー。

 

 

 

 

 

「そうか。俺は店長。緊張しなくていいぞ?相模さん。」

 

 

 

 

 

「あ、はい!」カクカク

 

 

 

 

 

知ってた。面接の時に緊張するなって言われた途端に落ち着き気味だったのがまた再発する感じ。わかるわかる。やっぱ緊張解さないとな。

 

 

 

 

 

「コーヒー飲んで落ち着くか。今持って来るから待っててね」

 

 

 

 

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

ガチャン

 

 

 

 

 

ふ〜。キツイ。正直言って採用したくないけどあのアマの知り合いならしゃーないよなぁ。てかコーヒーの種類聞いてねぇや。まぁいっか適当なので。

 

 

 

 

 

「あった。あった。これ淹れちゃうか。」ガサゴソ

 

 

 

 

 

「あれ〜?店長それって?」

 

 

 

 

 

「ん。あぁそうだ。あのじじいのお気に入りだ。そして俺のお気に入りでもある。」

 

 

 

 

 

「南のこと気に入ったんですか?」

 

 

 

 

 

「いーや。違う。緊張し過ぎてろくに話せそうにないからな。こいつの出番よ。」

 

 

 

 

 

「私も飲みたいんですけど?」

 

 

 

 

 

「...一応裏メニューだから客として来たら飲ませてやるよ。」

 

 

 

 

 

「とりあえず俺は行くからな。」

 

 

 

 

 

「はーい。(あら、いつもの捻デレさんだわ。やっぱり南ちゃんの事お気に入りなんじゃない。)」

 

 

 

 

 

一方その頃相模

 

 

 

 

 

「うぅ〜緊張する〜(やっぱり言われた通りイケメンじゃん!///緊張し過ぎてろくに話せてないのは店長がイケメン過ぎるのが悪い!///ウチは悪くない!でも雰囲気からわかるけど優しそうだなぁ〜しかもお給料がいいなんて最高の職場じゃん!ウチ頑張れ!)」

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

 

「お待たせ。ほら、これ飲んで。」コト

 

 

 

 

 

「はい。ありがとうございます。」ゴクッ

 

 

 

 

 

(何これ?凄く美味しい!なんか滑らかな口当たりに甘い香り。心が落ち着いてなんかウチの緊張がほぐれたかも!)

 

 

 

 

 

「どう?落ち着いたかな?それ、メニューには無いんだよね」

 

 

 

 

 

「え?こんなに美味しいのに?!」

 

 

 

 

 

「それね。前代の店長が開発した奴でね。僕も作るのに時間がかかっちゃうんだ。だから特別」

 

 

 

 

 

「あ、ありがとうございます///」

 

 

 

 

 

「それでね。面接なんだけど。一応採用だから、連絡先といつから入れるか教えてくれる?」

 

 

 

 

 

「は、はい!ありがとうございます!こちら連絡先になります!それと次は火曜日の放課後から大丈夫です!」

 

 

 

 

 

「ん。そっかそれじゃ、それ飲んだら帰って大丈夫だよ」

 

 

 

 

 

「はい。ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

「それとそんな堅苦しい感じじゃなくていいよ。一応うちの従業員になったからね」

 

 

 

 

 

「あ、はい!」

 

 

 

 

 

よし。これで一件落着だな。んで相模は火曜日に来ると。じゃあ今日は用事も終わったし帰るか...

 

 

 

 

 

グイッ!

 

 

 

 

 

「ちょ!首しまってる!苦しいって!」ジタバタ

 

 

 

 

 

「店長、何ちゃっかり帰ろうとしてるんですか?今日の当番店長ですよ?」

 

 

 

 

 

あ、忘れてた。

 

 

 

 

 

「忘れてたとか言い始めたら南ちゃんに正体ばらすから」

 

 

 

 

 

くそ!やっぱり相模を採用するのはダメだったか!

 

 

 

 

 

「はぁ...わかった。ちょっと早いけど帰ってもいいぞ。」

 

 

 

 

 

「何を企んでるんですか?」

 

 

 

 

 

「何も企んでねぇよ。ただの気まぐれだ。」

 

 

 

 

 

「そうですか...あ!昨日の新作のスイーツが食べたいです!」

 

 

 

 

 

「ん〜?待ってろ、今度食わせるから。まだ出来てねぇんだよ。」

 

 

 

 

 

「本当店長のスイーツにかける熱情ってどこから出てるんだか...」

 

 

 

 

 

「もちろんこ「小町さんですよね」言わせろよ」

 

 

 

 

 

「でも怪しまれるからって食べさないなんて相当なヘタレですよね。」

 

 

 

 

 

「うっせ。今度ここに連れて来て食わせるからいいもん!」

 

 

 

 

 

「でもメニューに載ってるスイーツの殆どが店長作ってるんで誰が作るんですか?」

 

 

 

 

 

「なんだと...?!いや、作り置きしとくから大丈夫じゃん」

 

 

 

 

 

「うーむ。やはり一筋縄ではいかないか。」

 

 

 

 

 

「え?俺に何を求めてんの?」

 

 

 

 

 

「あ、お先上がります」ガチャ

 

 

 

 

 

「逃げやがったな!」ダム!

 

 

 

 

 

だって俺の料理スキルが小町を越していたとか小町が知ったらがっかりされちゃうじゃん。怖いじゃん。小町に呆れられたら俺死ぬよ?てか、相模の制服のサイズ聞いてねぇや。まぁ月曜でいいか。

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

 

...忘れてたなぁ〜、そっか〜相模のインパクト強すぎるもんなぁ〜しかもバイトだもんなぁ〜そうだよなぁ〜

 

 

 

 

 

「でさでさ!ゆきのん!ゆきのんの言ってたイケメンって誰?!」

 

 

 

 

 

「ちょっと由比ヶ浜さん声大きい...」

 

 

 

 

 

「あっ、ごめん...それで?どこにいるの?」

 

 

 

 

 

「呼べば来るんじゃないかしら?」

 

 

 

 

 

「すみません」

 

 

 

 

 

「店長。お呼びでっせ?」ニヤニヤ

 

 

 

 

 

はぁ行きたくねぇ。てか奥でニヤついてんじゃねぇよ。てめえが行けよ。給料下げるぞ?コラ?まぁここで意地張っててもな。ダメだよな。はぁ...

 

 

 

 

 

「はい?ご注文ですか?」

 

 

 

 

 

「え、ええ。コーヒーのおかわり。あと由比ヶ浜さんは?」

 

 

 

 

 

「...ジ-」

 

 

 

 

 

「由比ヶ浜さん?」

 

 

 

 

 

「あの。そんなに見られると照れますので...」

 

 

 

 

 

「ハッ! ごめんなさい!えーと!私もコーヒーのおかわりとオススメのデザートで!」

 

 

 

 

 

「はぁ...かしこまりました。」トテトテ

 

 

 

 

 

「ゆきのん。あの人ヒッキーに似てなかった?」

 

 

 

 

 

「確かに似てるといえば似てると思うけれど、あの人は目が腐ってないじゃない。」

 

 

 

 

 

「うーん。確かにそうだね。ヒッキーなら目が腐ってるしね」

 

 

 

 

 

「ええ。それにあんなに仕事熱心なわけないじゃない。」

 

 

 

 

 

「そうだね!確かにそうかも!」

 

 

 

 

 

聞こえてますよ、お二人様。そんなに目が腐ってるのが特徴なんですか?悲しいね。もう僕泣いちゃう!てか仕事熱心ってだけで疑いが晴れるとかなんなの?泣いたわ。くっそ。腹立つ。あのアホの子のデザートに細工してやる。

 

 

 

 

 

「お待たせいたしました。」

 

 

 

 

 

「これは?」

 

 

 

 

 

「一口シュークリームになっております。ちなみにこの中の1つは中身が違うので言う所のロシアンルーレットって奴です」

 

 

 

 

 

「え?ハズレってどんな味なの?」

 

 

 

 

 

「秘密です。(言うわけねぇだろ..)」

 

 

 

 

 

「では。」トテトテ

 

 

 

 

 

クックック。配置に気を使えばアホの子にハズレを引かせるなど造作もない。まず、雪ノ下は手前から食べる。ならアホの子は自分の手前か中心部。その可能性を潰すために真ん中のシュークリームだけ細工した後に見せかけるために形を少し崩し、そして明らかに中身を抜いたかのようにアホの子に見える角度で穴とクリームをつけておいた。我ながら完璧だ。ハズレの中身?決まってんだろ、超超超激甘クリームだ。アホの子なら好んで食べそうだがカロリーが半端無いんだ...くくく。女子にはちとキツイロシアンルーレットだったかな?

 

 

 

 

その頃雪ノ下卓

 

 

 

 

 

「最後の一個ね」

 

 

 

 

 

「じゃあゆきのんじゃんけんで決めよっか!」

 

 

 

 

 

アホの子は天性の感でラストまで食べなかった。そして雪乃は普通に手前側を食べ進めていた。

 

 

 

 

 

「じゃーんけーんぽん!」チョキ!

 

 

 

 

 

「ぽん」グ-

 

 

 

 

 

「たはは〜。ゆきのんじゃんけん強いよね〜」

 

 

 

 

 

「当然よ。姉さんに鍛えられたのよ。」

 

 

 

 

 

「じゃんけんの練習ってなんだし!」

 

 

 

 

 

「由比ヶ浜さん?お食べになりなさい?」ニコッ

 

 

 

 

 

「うわ!めっちゃいい笑顔!じゃなくて...やっぱ食べなきゃダメかな?...」

 

 

 

 

 

「ニコッ!」ハイライトオフ

 

 

 

 

 

「怖!目の光が消えてるよ!わかったよ!食べるよ!」ヒョイ

 

 

 

 

 

「むむむ〜。えい!」パクッ!

 

 

 

 

 

「どうかしら?美味しい?」

 

 

 

 

 

「...モグモグゴックン」

 

 

 

 

 

「なんかすんごく甘かった。なんかもう。甘かった。」

 

 

 

 

 

「由比ヶ浜さんのただでさえ少ない語彙力がもっと少なくなるなんて...恐ろしい甘さね...」

 

 

 

 

 

「いや、美味しかったけどね?このコーヒーと一緒なら食べられないことはないけどね?ただ、甘すぎるよ...」

 

 

 

 

 

「もしかして...ハズレって私達が女子だからって手を抜いたんじゃ...」

 

 

 

 

 

「やっぱり?!普通、こういうのって辛いとか苦いとかだよね!なんか...ムカつく!」グヌヌ

 

 

 

 

 

「言ってやりましょう。すみませーん」

 

 

 

 

 

「はい?どうなさいました?」ニコニコ

 

 

 

 

 

「これ...ハズレがハズレ感ないんですけど?」

 

 

 

 

 

「あなた、私達が女子だからってハズレでも手を抜いたんじゃないかしら?」

 

 

 

 

 

「お二人様?何を勘違いなされてますか?お味はどうでした?」

 

 

 

 

 

「うーん。ただただすんごく甘かっただけだよ?」

 

 

 

 

 

「そうですか。すごく甘かったんですね?」ニヤッ!

 

 

 

 

 

その時雪乃に電流走る!いつも爽やかな笑顔をしている彼が少し闇のある笑顔を作ったことによりすべてを考え直す。

 

 

 

 

 

(...最初からハズレを入れる気がなかった?...いや、それだと最初にハズレがあるという必要がなくなる。ならば何故?鍵となるのは『甘さ』わね。...こういう時彼なら?...ハッ!彼のいつも飲んでるコーヒー。あれはあの見た目でコカコーラよりカロリーが高い。つまり甘いほどカロリーが高くなっている?つまりこのシュークリームも同じ事。もともとコーヒーに合わせて甘さ控えめなのにこれだけは甘すぎた。つまり、女子にとってのハズレは高カロリーだった?...やられたわ。)

 

 

 

 

 

「...カロリー」ボソ

 

 

 

 

 

「ピクッ お気付きになられました?」

 

 

 

 

 

「ええ。たった今ね。成る程。あなた、なかなかゲスいのね。ちなみに言うとカロリーはどれ位なのかしら?」

 

 

 

 

 

「失礼。ボソボソ」

 

 

 

 

 

「...あなた。人をなんだと思ってるの?内心ホッとしているけどそんなの2つも食べたら一日中断食モノじゃない。」

 

 

 

 

 

「いえ。最初の一口で吐き出すレベルの甘さのはずなんですが...彼女が異常なだけでは?」

 

 

 

 

 

「すみません店長さん!今の何個か持って帰りたいんですけど!」

 

 

 

 

 

「「やめなさい(といた方がいいですよ)」」

 

 

 

 

 

「え?なんで?美味しかったけど?」

 

 

 

 

 

2人は彼女の味覚が正常ではないことを改めて思い知らされた。そもそも料理に桃缶を入れようとするのだ。そんなことをしているのに味覚がおかしいと思わなかったのが謎である。

 

 

 

 

 

「今日は帰るわ。後、由比ヶ浜さん。この後ラウワン行くわよ。」

 

 

 

 

 

「ゆきのんが誘ってくるなんて珍しい!行こ行こ!」

 

 

 

 

 

「それでは。」

 

 

 

 

 

「バイバイ!また来るね!」

 

 

 

 

 

カランカラン

 

 

 

 

 

八幡はその日以来その甘すぎるシュークリームを作るのをやめたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方由比ヶ浜

 

 

 

 

 

(ゆきのんの言う通りすごくイケメンだったなぁ〜。しかも料理もできるなんて羨ましい!けど私にはヒッキーが...って!///何言ってるんだろ!///でも...あの店長...ヒッキーと同じ匂いがした気が...)


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