増えるたびに面白くしなきゃというプレッシャーがかかるのですが中々むずかしいです。頑張ります。
今回説明会です。
独自解釈の設定とか入ってます。
原作設定ガン無視という程では無いですが一応気をつけてお読みください。
「ファイアーボール!」
ゆんゆんが巨大カエルことジャイアント・トード相手に火球を放つ。
一瞬で炎に包まれたカエルは既に瀕死らしく、俺が安物のショートソードを振り下ろすだけで簡単にとどめをさせた。
冒険者カードを見ると、またしてもレベルが上がっていた。
上級職はレベルが上がりづらいらしいが、湧き出てくるカエルをゆんゆんが弱らせ俺が仕留めるという方法で早くもレベルは4になっていた。
なんでも養殖と呼ばれる紅魔族で行われている経験値稼ぎのやり方らしい。
弱ったところにとどめを刺すだけでレベルが上がるのだからすごい楽だ。いいぞもっとやれ。
「とりあえずアークプリースト用のスキルは全て習得できたぞ」
「えっ!?こ、こんなに早くですか!?」
ゆんゆんが駆け寄ってきて俺の冒険者カードを覗き見る。
「すごい……本当だ。というかプリースト用スキルの取得ポイントがタダ同然ですね。こんな人初めて見ました」
「まぁアークプリーストのスキルは支援系ばかりだけどな。これ以外のスキルはどうやってとったらいいんだ?」
「職業専門以外のスキルは他の人にスキルを教えて貰い、スキルポイントとステータスが足りてれば取得できるんです。唯一冒険者はステータス関係なしにスキルポイントだけで取得出来るんですけど。ただそういう専門外のスキルは職業補正が効かないので、威力がどうしてもスキルレベルとステータスに依存してしまうんです」
「なるほど。だから全てのスキルを覚えられる冒険者には皆なりたがらないのか」
「そうですね。スキル取得ポイントも専門外なので1.5倍くらいかかりますし。極端な例ですけど、冒険者が魔力50%を使って撃ったスキルレベル10の上級魔法よりも、アークウィザードが魔力をほぼ使わないで撃った取得したての試し打ちの方が威力出たりとかもするんで、職業補正のかかる専門職を皆取るんです」
そんなに変わってしまうのか。
全てのスキルを覚えられるとはいえ、普通はパーティーを組んで足りないところを補っていくものだし、冒険者が器用貧乏の最弱職と言われるのも頷けるな。
「とりあえず上級破魔魔法も覚えたけど、この際威力が気になる所だな。あの様子だと例のアークプリーストは見つかりそうもないし、実力くらいは確認して対策練らないとなぁ」
「あ、あれ?行きたくなかったんじゃ……?」
「そりゃあ誰だって死ぬかもしれないってのに行きたくねえだろ。でも行かないで済むとも考えにくいし。そうなったら死なないために最善を尽くすしかないからな」
「後向きなのか前向きなのか分からない意見ですね……」
「命がかかってるからなぁ。嫌でも真剣にならざるを得ない」
愚痴の一つでも言いたくなるのだが、命がかかってる以上うだうだ言ってる暇があるのだったら、少しでも対策を練らねばならない。
「す、すいません。ハチマンさんは無関係なのに巻き込んでしまって……」
「いや巻き込んだのはゆんゆんじゃなくてギルド職員の連中だろ?というかゆんゆんも俺のレベル上げに巻き込まれてんだし。だから俺たちが巻き込まれたのは世界が悪いくらいに思っときゃいい。じゃないとやってられないから」
ほんと今朝までレベル1だった男に上位悪魔倒せとかどんなクソゲーだよ。
アークプリースト用のスキルは取得したとはいえ、ステータスはまだまだ貧弱だし。
一撃でも食らえば死んじゃうんじゃねえのこれ……。
うんざりしたように言う俺にゆんゆんは曖昧な表情を浮かべていた。
「ゆんゆんは破魔魔法の威力とかって見てわかるか?」
「すいません。専門外なのでちょっと……あっでも最上位の破魔魔法なら一度だけ見たことがあります!」
最上位となると『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』か。
上位悪魔戦に向けて試しておくつもりだった魔法なので丁度いいかもしれない。
「とりあえず撃ってみるから、前見たのと比べてどうだったか教えてもらえるか?……セイクリッド・ハイネス・エクソシズム!」
レーザーのような魔力光線が右手から放たれた。
特に狙いをつけていなかった魔法は草原の一画に勢いよくぶつかる。
魔法の当たった場所には青い魔法陣が浮き上がり青い炎が煌々と天高く突き上げられた。
おお……!凄いなこれ!
初めて魔法らしい魔法を撃ってみたがやはり興奮する。
「す、すごいです!高レベルのアークプリーストの破魔魔法と遜色ないですよ!」
どうやら威力の方も申し分ないみたいだ。
「だけどだいぶ疲れるなこの魔法。たぶんこれ日に三発くらいが限度だぞ」
どこの千鳥だって感じなのだが、襲って来た疲労感にはあらがえず草原に寝転がる。
ひんやりした草の感触がなんとも心地よい。
「最上位の魔法はどれも消費魔力が膨大ですからね。それでも駆け出しだと撃とうとしてもそもそも魔力量が追いつかなくて撃てなかったり、撃てても魔力と体力使い果たして動けなくなっちゃう事もあるんで、三発撃てるだけでも凄いですよ?」
なるほど撃てなくなる事もあるのか。
となると魔力値が平均ほどの俺が三発も撃てるのはチート能力のお陰だろう。
『女神の祝福』の能力もだいぶ分かってきた。
まずアークプリーストの適性及びアークプリースト用スキル消費ポイントの大幅軽減。
またアークプリースト用の魔法威力の大幅上昇に消費魔力の大幅軽減。
そして器用値の大幅上昇とついでのような宴会芸の取得。
デメリットとしてはアクシズ教への強制入信。
……改宗不可。
他にもいくつかあるかも知れないが、現状分かるものといえばこのくらいだろう。
チート能力に頼りきりなのが情けないが、駆け出しで上位悪魔の相手をしなきゃならないんだ。
唯一の武器に頼らざるを得ない。
「最上位魔法は奥の手だな。疲れて動きが鈍くなるし、低ステで当たったら終わりなんだから出来るだけ身軽に…………なぁ不意打ちとかする方法ないか?」
「えぇ!?不意打ちする気なんですか!?」
えっ?ダメなの?俺としてはかなりいい案だと思うんだけど……。
「だって俺、紙耐久だぞ?まともに相手なんかすると瞬殺される自信すらある。それなら敵が気を抜いてる所にさっきの食らわせてワンチャン狙った方がいいだろ?」
「た、確かに効率的ですけど……。わたし敵から見えなくなる光の屈折魔法なんてまだ使えませんよ?」
「それなら身を隠すスキルとか気付かれにくくなる魔法とかないか?」
「身を隠すスキルなら確か潜伏スキルっていうのがあった気がします。たしか盗賊のスキルで成功率は幸運値に依存してたかと」
「うん、そっちもダメだな。俺は幸運値低いし」
……なんとまあ不向きなスキルだった。
なぜか幸運値だけ低いんだよなぁ。
いや、他の値もほとんど平均だけどさ。俺そんな運に見放されてたっけか……?
「あの、もしかしたら魔道具店に使えるアイテムがあるかもしれないです」
「魔道具店?アイテム屋みたいなものか?」
「はい。ポーションや魔法の込められたマジックスクロールの中にそういった効果のものがあるんじゃないかなって……」
足りないところはアイテムで補うというわけか。
今まで忘れていたが、アイテムドーピングは縛りプレイでは欠かせないからな。
この世界のアイテムにどういうものがあるかは分からないが、見てみる価値はあるだろう。
「そっ、それでですね……!も、もしご迷惑じゃないようでしたら、明日よければ……一緒に……その、お店を……見て回れたらなんて……」
オドオドと小声でゆんゆんが誘ってきた。
……これはデートとかそういうのじゃなくて、誰かと買い物に行きたいっていうぼっちの潜在意識というか憧れ的なものなんだろう。
ぼっちは家族以外と出かける事が極端に少ないため、誘うのが基本的に苦手なのだ。
だから大体誘われるのを待つ事になるのだが、誘われるようならぼっちやってない。
そして念願の誰かと買い物に行く事になったとしても、だいたい一緒に来た奴の買い物にばかりつき合わされ興味のない商品棚を何度も往復し、結局一人の方が気楽に買い物を楽しめた、来るんじゃなかった、なんて悟るのだ。
ソースは俺。あの頃は俺も若かった。
俺としては変にゆんゆんに気を使わせたくもないし。逆にこっちが気を使うのもやりたくない。
普段なら何かしらの理由をつけて断るのだが……。
俺、魔道具屋の場所知らねえんだよなぁ。
それに詳しい効果や使い方だって分からない。最悪、粗悪品を買わされる可能性だってある。
やっぱり魔法に詳しい人がいる方が買い物も捗るだろう。
「そうだな。俺はそういうところ詳しくないから頼むわ」
「は、はいっ!任せてください」
ぱぁっと嬉しそうに意気込むゆんゆん。
……まぁただの買い出しだ。変に気構えることもないだろう。
かなり自己解釈加えています。
原作でもアクアが近接格闘スキル取っていたりアークウィザードで鍛冶スキル持ってる紅魔族の鍛冶屋だったりいるのですがどういうことなんですかね?
スキルによっては冒険者以外でも取得できるスキルがあるとかそういう解釈でいいんでしょうか?
専門職のメリットが語られていないのでかなり独自解釈を作り込む事になってしまいました。
冒険者が最弱職と言われる理由付けのようなものです。
カズマさんの凄いところはその最弱職の利点を活かし機転を利かせて勝ってる所ですよね。
このSSでもカズマはちゃんとカズマさんさせるつもりなのでご安心ください。
長い後書きになってしまい申し訳ありませんでした。
感想、評価お待ちしてます。