ロクでなし魔術講師と無限の剣製   作:雪希絵

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どうも皆様

大変……大変申し訳ございませんでした……画面の前で土下座させて頂きます雪希絵です

寝落ちして朝を迎え……更新しようにも学校があり……結局こんな時間になってしまいました

あ、今回は体調不良というわけではないので平気です……

本当にすみませんでした

Twitterで連絡出来れば良いかなとも思っておりますので……よろしければフォローお願いします

100パーセントフォロバさせて頂きますので、そちらでも気軽に絡んで頂けたら幸いです

それでは、今回もごゆっくりどうぞ


悔いのないように

東の空も白む頃。

 

「……うっ。……っ」

 

ルイスはゆっくりと目を開き、光に目を細める。

 

「おお、起きたかルイス」

「グレン……。お前、重傷の癖に無茶すんなよ……」

「背負って貰ってそれはねぇだろ」

 

言いながら、ルイスはグレンの背中からいそいそと降りる。

 

若干ふらっとしたが、ある程度はマシになったようだ。

 

「ルイス君」

「……ルイス」

 

前方では、ルミアとリィエルが振り返ってこちらを見ていた。

 

二人に頷きかけ、並んでシスティーナの方に向かう。

 

「……悪いな、お前ら。取り敢えず、あの四人きりにしてくれや」

 

グレンに促され、渋々システィーナと距離を空けるクラスメイト一同。

 

旅籠の前庭の隅で、クラスメイト一同が見守る中、ルミアに手を引かれていたリィエルが一歩前に出る。

 

「……あ、の……その」

 

しどろもどろにボソボソと呟くリィエル。

 

そんなリィエルの背中をルイスがバシンッ、と叩く。

 

「……言いたいことは素直に言え。何を言うべきか分からないじゃない。何を伝えたいか、だ」

 

しばしの沈黙。

 

やがて、何度も躊躇いがちに開閉されるリィエルの口から、とうとう声が絞り出される。

 

「……あの、システィ……ご、ごめん、なさい。それで、その」

 

恐る恐る、言葉を紡ぐ。

 

「あ、あの……よ、良かったら、また……お昼ご飯、い、一緒に……」

 

直後。

 

パァンッ!

 

と、甲高い音が静かな朝に響く。

 

思わず、身を震わせるクラスメイト一同。

 

しかし、次の瞬間、システィーナはリィエルの小柄な体を抱き締めた。

 

「バカ……バカバカバカッ!貴女がルミアを連れて行った時、私がどれだけ不安だったか分かる!?どれだけ、どれだけ怖かったか……!」

 

でも、と掠れた声で続ける。

 

システィーナの瞳は、大粒の涙で濡れていた。

 

「全部、全部許すから……!また、一緒にご飯食べましょう?また……海を見に、行きましょうよ」

「……うん。……うん……うんっ……!」

 

抱き締められるままだったリィエルは、何度も頷きながら、ポロポロと涙を流す。

 

ルミアとルイスは、そんな二人の様子を、微笑みながら見守っている。

 

ルミアの瞳には、やはり大粒の涙が溜まっていて。

 

ルイスはリィエルの頭を、後ろからくしゃくしゃと荒々しく撫でる。

 

「ほらな?伝えたいこと伝えて、良かっただろ?」

 

そうして、ルイスはにっこりと微笑んだ。

 

いつの間にか、クラスメイト達はその場にいなかった。

 

気になることも、不満に思うことも、聞きたいことも山ほどある。

 

だがそれでも、クラスメイト達は、この四人を無条件で肯定することを、選んでくれたのだ。

 

「……ったく。お前ら……」

 

そんな生徒達の様子、グレンは思わず微笑みがこぼれた。

 

───────────────────────

 

「盛り上がってるなぁ……」

 

翌日、一同は海にいた。

 

結局、遠征学修は中止せざるを得なかった。

 

所長パークス・ブラウモンの謎の失踪。

 

島にいる観光客は全員退去が命じられ、研究所はしばらくの運営停止を勧告された。

 

だが、流石に多数の観光客が全員一斉に帰ることは出来ない。

 

ひっきりなしに船が往復してはいるが、それでも順番待ちが発生している。

 

生徒達は、それによって丸一日の自由時間を得たのだ。

 

となれば早速、彼らは海で遊び始めた。

 

今はビーチバレーで、リィエル、システィーナ、ルミアのチームに対して、クラスの男子生徒達が代わる代わる相手をしているところだ。

 

何よりもリィエルが強すぎるため、先程から勝負になっていないゲームもある。

 

そんなクラスメイト達の様子を、ルイスは仰向けに寝そべりながら眺めていた。

 

胸から腹部にかけての切り傷に、大小様々な裂傷。

 

殴られた時に生じた肋骨の骨折。

 

とてもではないが、動けるような状態ではなかった。

 

そんなルイスをここまで運び、今現在も膝枕でそばにいるのが、

 

「参加したいですか?ルイスさん」

 

ほかのクラスメイト達と同じく、水着姿のジャンヌだ。

 

「……うん、まあ」

 

生脚での膝枕に加え、今のジャンヌはビキニである。

 

ジャンヌの優しさがルイスには少々毒となってしまっているのだろう。

 

目のやり場に困ってしどろもどろになっている。

 

「そういや、あいつら何話してるんだろうな」

 

言いながら、ルイスは少し離れた位置にいるグレンとアルベルトを流し見る。

 

「皮肉でも言い合っていそうです」

「あー……想像出来るわ」

 

実際その予想は当たってはいる。

 

だが、ルイスには別の答えが見えていた。

 

「……まあ、今回の件で天の知恵研究会の尻尾を掴めるか……とかだろうな」

「なるほど。で、実際に掴めそうなんでしょうか」

「無理だな」

「ですよね……」

 

即答するルイスに、ジャンヌはため息をつく。

 

所詮、ライネルは末端構成員でしかなく、バークスなど入会してすらいない。

 

組織の深奥に迫る情報など、見つかるわけがないだろう。

 

「でも、みんな無事だったからそれでいい」

 

ぽそりと、ルイスが呟いた。

 

結局、ルイスにとって大事なのはそこなのだ。

 

ルミアとリィエルを取り返した。

 

システィーナに怪我はなかった。

 

ジャンヌがそばにいて、力を貸してくれた。

 

あの女の子も救い出せた。

 

ルイスはそれだけで、満足だった。

 

「そういえば、あの子はどうなさるおつもりですか?」

 

思い出したように、ジャンヌが尋ねる。

 

研究所でルイスが救った少女は、今はルイスの部屋のベッドで休んでいる。

 

未だに目は覚まさないが、顔色も良好で体調も良さそうだ。

 

間違いなく、もう心配はいらないだろう。

 

「あー……俺が引き取るよ。で、親とか身寄りがいるなら探して、送り出すことが出来たらって思ってる」

「……そうですね。私も協力します。なんでも言ってくださいね」

「ああ、ありがとう」

 

にっこりと微笑むジャンヌ。

 

海風が吹き、二人の間を流れていく。

 

そんな二人に、聞き慣れた声が届く。

 

「おーい!ジャンヌ、ルイス君!」

「スイカ割り……しよう」

 

体を起こしてそちらを見ると、ルミアとリィエルが手を振って二人を呼んでいた。

 

「……行きますか、ルイスさん。でも、無理は禁物ですよ?」

「スイカ割りで無理なんかしないよ。目つぶってても割れるぜ」

「スイカ割りは普通目を塞ぐものでは……」

 

苦笑いするジャンヌは、先を行くルイスの背中を見つめる。

 

(今こうして、ルイスさんの近くにいられるのも……あの時助けて貰ったおかげですね。ありがとうございます、別の世界の私。あなたの分も……私は、彼を助けて、共に……悔いのないように、生きます)

 

「ジャンヌ、早く行こうぜ。誘導任せた」

「……はい。任せてください」

 

そうして、ジャンヌはルイスの、友人達の元へ駆けていった。




というわけで、第三巻&第四巻編完結です!

お読みいただきありがとうございました!

次回からは第五巻編、アニメでは最終章だった辺りですね

それでは、また来週お会いしましょう!

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