原因不明の肩こりに悶絶中の雪希絵です_:(´ω`」 ∠):_ ...
というより、もはや肩こりに収まるレベルの痛さでは無いですこれ_(:3 」∠)_
さて、やって参りました更新日
先週はおやすみして申し訳ありません
すっかり体調は良くなりましたので、今週から復帰していこうと思います
これからも、よろしくお願いします!
アルザーノ帝国魔術学院には、遠征学修というものがある。
その行き先を決めるため、グレンはホームルーム中に教壇に立ったわけだが……。
「これから、今度お前らが受講する『遠征学修』についてのガイダンスをするわけだが……ったく、なーにが『遠征学修』だよ?……どう考えてもこれ、クラスの皆で一緒に遊びに行く『お出かけ旅行』だろ……」
「もう、先生ったら!真面目にやってください!」
グレンのやる気なさげな態度に、システィーナが立ち上がって喚き立てる。
「落ち着け、システィ。グレンがやる気ないのはいつものことだろ。というか、こういうことにやる気満々のグレンとかキモい」
「それはそうだけど、それとこれとは話が別!」
「おいこら、誰がキモいって?」
「だいたい、『遠征学修』は遊びでも旅行でもありません!アルザーノ学院が運営する各地の魔導研究所に赴き、研究所見学と最新の魔術研究に関する講義を受講することを目的とした、れっきとした必修講座の一つなわけで……」
「はいはい、そうでしたそうでした。ご丁寧な解説ありがとうございます。ってか、無視かよ……」
さっそく説教モードに入ったシスティーナに、グレンがうんざりしたように頭を掻い項垂れた。
システィーナの言うとおり『遠征学修』とはそういう目的で学院が開設している講座あり、システィーナ達二年次生の必修単位の1つとなっている。
だが、グレンの言うとおり、講義と研究所見学以外には自由時間も多く、旅行という性質が見え隠れしているのも否定できない。
とはいえ普段、学院とフェジテに引きこもりがちな生徒達をフェジテの外へ強制的に出して見聞を深めさせる意味合いもある。
ちなみに『遠征学修』講座は、各クラスごとに開設され、その時期も行き先も各クラスごとにバラバラである。
これは各クラスごとの授業進行状況や、受け入れ先となる魔導研究所予定、受け入れ先の受け入れなどの調整も考えれば当然の二年次生全員が、一斉に1つの研究所に押しかけるわけにはいかないのである。
とはいえ、学院側も生徒達の希望を全て聞いている余裕はない。
ある程度の大雑把な希望調査はするが、結局自分達がどこに行くかは運次第だ。
今回、二組の生徒達が行くのは、『白金魔導研究所』。
しかし、そこに行くことに不満があるものもいる。
必然的に、あっちがよかった、こっちがよかったという声があがりはじめたころ。
「ふっ……甘いな、そこの男子生徒諸君」
行く先に関する不満を耳ざとく聞きつけたグレンが、不敵な笑みを浮かべて言った。
「お前らは運が悪い、とか......別の所の方が良かった、とか……そんなことを思っている......だが、俺に言わせれば、お前らは幸運だ。間違いなく、絶対的に、圧倒的に幸運の女神の寵愛を受けている……ッ!」
「えー……?」
「冷静になってよく考えてみろ、白金魔導研究所が一体、どこにあるのかを……」
白金魔導研究所はその名の通り、白金術を研究する施設である。
白金術とは、白魔術と錬金術を利用して生命神秘に関する研究を行う複合術のことでその研究実験の展開には、大量の綺麗で上質な水が欠かせない。
よって、地脈の関係で上質の水が容易に手に入るサイネリア島にその白金魔導研究所は構えられているのだが……。
「……はっ!サイネリア島はリゾートビーチとしても有名な……ッ!」
「ま、まさか……ッ!?」
ルイスは『ああ、どうせそんなことだろうと思った……』と大きくため息、セシルは苦笑いをしているが、その他の大部分の男子生徒は色めき立つ。
「ふっ……ようやく気づいたか、お前達。そして、この『遠征学修』は自由時間が結構多めに取られており、まだ少々シーズンには早いが、サイネリア島周辺は霊脈の関係で年中通して気温が高く、海水浴は充分可能……さらに、うちのクラスにはやたらレベルの高い美少女が多い……あとはわかるな?」
「「「「せ、先生……ッ!」」」」
「みなまで言うな。黙って俺についてこい」
「「「「はい!」」」」
今、グレンと生徒達(一部男子生徒のみ)の間に、奇妙な友情が芽生えていた。
「馬鹿の巣か、このクラスは」
「あはは……」
「に、賑やかなクラスですね……?」
「ジャンヌ、はっきり言っていいぞ。馬鹿ばっかだってな」
「…………?」
システィーナとルイスは呆れてため息をつき、ルミアとジャンヌは苦笑い。
リィエルは不思議そうに首を傾げていた。
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そんなこんなで、遠征学修当日。
制服に身を包み旅行鞄を背負った生徒達は魔術学院の中庭に集合していた。
「いよいよだぜ……なんかテンション上がってきた!ッ!」
「ふん。君は相変わらずだね、カッシュ。僕らは遊びに行くわけじゃないんだけど?」
「ったく、お前も相変わらずつまんねーヤローだな、ギイブル......」「白金魔導研究所って……どんなところ……なのかな?」
「生命関連の魔術研究を行っている、ということくらいはわかりますけど……こればかりは実際に行ってみないことにはなんとも言えませんわね」
「なあ、俺、今回の遠征学修中に憧れのウェンディ様に告白するんだ……」
「止めとけよアルフ。お前にゃ高嶺花過ぎる盛大に爆死する未来しか見えん」
「ルイス君、腰のポーチまであるなんて、随分大荷物だね?」
「母さんに薬持たされたんだよ。『何があるか分からんから持ってけ。というか飲め』って。大方、試験薬だろうな」
「相変わらず個性的なお母様ね……」
早朝だというのに、ほとんどの生徒達は熱気と活力に満ち溢れ、浮き足立っている。
グレンは生徒達と自分との温度差に眩暈を覚えながら事務的に点呼を取った。
「全員いるかー?いるなー?じゃ、出発するぞー?」
グレンによる引率の元、生徒達は都市間移動用の大型コーチ馬車数台に、いくつかの班に分かれて乗り、フェジテを出発した。
フェジテの西市壁門から出発した馬車は、やがて緩やかな起伏を描きながら広がる牧草地に辿り着いた。
午前という時間もあって、気温は低いが空気は澄んでおり、天気も良い。
なんとも牧歌的で平和な光景が、そこには広がっていた。
「いい景色ですね……」
風に揺れる髪を抑え、ジャンヌがそう言う。
「そうだな。ジャンヌの出身の村も、こんな感じだったかな?」
「もう少し、田畑が多かったですけれど」
「あー……もっとド田舎って感じだったか」
「ド田舎はちょっと傷つきます……」
「ご、ごめん……」
しょんぼりとするジャンヌに、ルイスは必死で謝る。
あわあわとらしくもなく慌て、どうしたものかと首を捻っている。
しかし、ジャンヌは顔を上げると、
「冗談です♪」
と言って、軽く舌を出した。
それに対し、ルイスは面食らって、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。
「……心臓に悪いからやめてくれ」
「あはは……ごめんなさい」
「いや、いいよ」
心底驚かされたが、ひとまず傷ついた訳ではないようで、ルイスは安堵した。
そうして、前々から考えていたことを切り出す。
「ジャンヌ」
「はい?」
「大事な話がある。二日目の夜、宿泊所の屋上で待ってる」
「……はい」
神妙な顔で頷くジャンヌ。
ルイスはとうとう、初日に踏み込んだタブーに、もう一度踏み込む覚悟を決めたのだった。
お読み頂きありがとうございました!
今回あまり進行出来なかったですね(^_^;
もう少しペースを上げられるように頑張ります!
それでは、また来週お会いしましょう!