ロクでなし魔術講師と無限の剣製   作:雪希絵

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どうも皆様

ようやくスマホの修理が終わって喜びに浸っている雪希絵です

引き継ぎ作業などは面倒ですが、これくらい何ともありません

それはさておき、今回のお話ですが

今回は伏線回です

一応、個人的には重要な情報も散りばめてるつもりですが、友人から前に『伏線の作り方が下手』とも言われたことがあるので、分かりにくいところもあると思います

それでもよろしければ、ごゆっくりどうぞ!


あんまりじゃないですか

「ジャンヌ……お前、なんで……?」

 

周りの視線にも気づかず、ルイスは一人そう呟く。

 

その顔は、今まで見たことのないほど驚愕に染まっていた。

 

「なんだ?お前ら知り合いかよ。んじゃあ、席はルイスの隣にするとして、自己紹介頼むわ」

「はい。先生」

 

そんなルイスを一旦置いておき、ジャンヌはグレンの指示に従う。

 

「皆さん、はじめまして。『ジャンヌ・ダルク』と申します。至らないところは多々あると思いますが、よろしくお願いします」

 

ぺこり、と頭を下げる。

 

それを見てようやく、生徒達は我に帰った。

 

パチパチパチとまばらに拍手をし、編入生を歓迎する。

 

「先生、質問いいですか!」

「あー……ジャンヌ、どうだ?」

「もちろん、構いませんよ」

 

勢いよく手を挙げたカッシュに対し、ジャンヌは快く了承する。

 

「ジャンヌちゃんさ、どこ出身なの?」

 

先程のウェンディと似たような質問だ。

 

「辺境の村です。名前を言っても、恐らく知らないような場所ですね」

「じゃあ、結構遠いんだ」

「そうですね。馬車で数日かかりました」

 

ほー、と全員が声を上げる。

 

遠くから来たことに関しては、誰も不思議に思ったりはしない。

 

アルザーノ帝国魔術学院には、遠方から通いにくる価値がある。

 

「次、質問してもいいかな?」

 

今度はまるで少女のような外見をした男子生徒、セシルが手を挙げた。

 

「ジャンヌさんの家族とかはどうしてるの?」

 

先程のウェンディと同じような質問だ。

 

それを聞くと、ルイスはビクっと肩を震わせ、ジャンヌは少し悲しそうな表情をする。

 

そして、やや躊躇いがちに口を開いた。

 

「……幼い頃に、両親ともに亡くしました。小さな教会で、孤児として育てられたんです」

「……えっ?あ、ごめん……なさい……」

「いえ。大丈夫です。ほとんど顔も覚えていませんし、教会のシスター達は、みんな優しかったので」

 

慌てて謝るセシルに、優しく微笑むジャンヌ。

 

その笑顔だけで、教室の空気が変わってしまうほどだった。

 

その後、いくつか当たり障りのない質問を受け、ジャンヌの顔合わせは終わった。

 

「さて、そろそろいいか?時間若干過ぎてるし、さっさと授業始めんぞ。ジャンヌ、ルイスの隣に座ってくれ。リィエルもどっか適当に座れ」

「はい」

「うん」

 

ジャンヌは一礼し、リィエルはこくりと頷いてからそれぞれ席につく。

 

「……よろしくお願いしますね?ルイスさん」

「………ああ」

 

腑に落ちない顔で頷き、ジャンヌに黙って教本を見せる。

 

「……後で板書も見せる」

「……はい!ありがとうございます」

 

ぶっきらぼうながらもそう言うルイスに、ジャンヌは満面の笑みでお礼を言った。

 

もちろん、その後の授業の内容は、頭に入ってなど来なかった。

 

(なんで……どうしてここにいるんだ……?)

 

ただそれだけが、ルイスの頭の中を支配していた。

 

─────────────────────

 

二限目の授業が終わり、昼休みの時間。

 

いつもならシスティーナとルミアと共に食事に行く所だが、ルイスは席に座ったままだった。

 

そんなルイスの正面に、ウェンディが髪をくるくると弄りながら立つ。

 

「る、ルイス。その、よろしかったらで構いませんが……今日は私も食堂で食事を取る予定でして……あの……一緒に、いかがですか?」

 

微かに頬を染め、そっぽを向きながらそう言う。

 

しかし、ルイスは渋い顔をしながら、

 

「……悪い。少し用があるんだ。後で、食堂には行くよ」

 

と言って、立ち上がった。

 

そして、そのまま歩き去ってしまった。

 

「あ……ちょ、ルイス!……もう!リン!行きますわよ!」

「え!?あ、う、うん……」

 

突然の剣幕に驚きながら、リンはウェンディに着いて行った。

 

ルイスが向かった先は、ジャンヌの元。

 

教室を出る直前に、その手を掴んだ。

 

「え?あ、ルイスさん……」

「話がある。ちょっと来い」

 

手を引きながら、半ば強引に連れ出す。

 

廊下を行き交う生徒達が振り返るが、ルイスはそんなものお構いなしだ。

 

迷うことなく歩を進め、辿り着いたのは人気のない廊下の角。

 

元々人が来るような場所ではない上に、今は昼休み中。

 

生徒も教員も、校外の高級料亭か食堂、もしくは中庭辺りで食事中である。

 

そんな誰もいない廊下で、ルイスは不意に手を離した。

 

「あの、ルイスさん?急にどうしたんですか?」

 

わけがわからず困惑するジャンヌに対し、ルイスおもむろに顔を向け。

 

ドンッ!

 

と音を立てながら、ジャンヌの背後の壁に手をついた。

 

「えっ?あ、あの?」

 

咄嗟に反対側へ逃げようとするジャンヌ。

 

しかし、その方向にも、ルイスの手が伸びて同じように壁を叩く。

 

「あ…………」

 

身動きが取れず、至近距離で見つめ合う。

 

微かにジャンヌの頬に朱が差すが、ルイスの表情は真剣……というより、見方によっては苦痛に歪んでいるかのようだった。

 

「……ジャンヌ。……お前は、ジャンヌ……なんだよな?」

「……はい。その通りです」

 

普段より少し低くなったルイスの声に、ジャンヌも表情を引き締めて応じる。

 

「……じゃあ、なんでここにいる」

「それは……」

「お前はッ────!」

 

何か言うのを遮り、ルイスは声を荒らげる。

 

思わず、ジャンヌも肩をビクリと震わせてしまった。

 

「お前は……あの時……!あの時に、俺がッ────!」

「やめてください」

 

今度は、ジャンヌがルイスの言葉を遮った。

 

あの時(・・・)の事は、貴方のせいではありません。貴方のせいだと思ったことなんて、一度もないんです」

「けど……」

 

なおも続けようとするルイスの口を、ジャンヌは片手で強引に塞ぐ。

 

「それ以上自分を責めないでください。私も、きっとみんなも、貴方の事を恨んでなんかいないんです。現に、こうして私も生きてるんですから」

 

それに、とジャンヌは手を離して、悲しそうに続ける。

 

「せっかく、また会えたのに……。ルイスさんが自分を責めてばかりなんて、あんまりじゃないですか。───少しは、喜んでくださいよ」

 

そう、懇願するような目をして、微笑む。

 

ルイスは知っている。

 

ジャンヌは悲しさを隠す時、こうやって笑う時があるのだ。

 

「……ごめん、ジャンヌ」

 

壁から手を離し、その両手をジャンヌの肩へ置く。

 

「───生きてて、良かった。また会えて嬉しいよ」

 

うっすら涙を浮かべ、ルイスはそう言った。

 

隠しきれない程に、その声は震えていた。

 

「───私もです。また会えて、本当に嬉しいですよ」

 

ジャンヌも、うっすら涙を浮かべて、震えた声で答えた。




壁ドン役が反転した( ゚д゚)

書いてるうちになんかこんなことになってしまいました

もちろん、今回の逆もやりたいと思っています

どこで、とかは秘密ですが、そんなに遠くはないです!

………たぶん!

それでは、また来週お会いしましょう!

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