自分の書くペースの遅さに絶望中の雪希絵です
時間過ぎて本当に申し訳ありません
色々とこだわっていたら、こんな時間になってしまいました
また、後書きにお知らせがありますので、目を通していただければ幸いです
それでは、ごゆっくりどうぞ!
「監督を代わるって……そして、優勝してくれって……なんで?」
システィーナが戸惑いながら問い返す。
周りのクラスメイト達も、動揺を隠せない。
そもそも、どこの誰かもわからない人をいきなり信じるのは無理だ。
どうしたものかと考えていると、そのアルベルトの隣にいた、リィエルという少女がシスティーナに歩み寄る。
そして、その手を握った。
「……お願い。信じて」
お互いの吐息が感じられる程の近くで、リィエルがそう言う。
「───貴女達は……」
システィーナはしばらく黙り、そして頷いた。
「……わかったわ。うちのクラスの指揮監督をお願いするわ、アルベルトさん」
そんなシスティーナに、困惑の視線が集まる。
「大丈夫よ。この人達はきっと信頼できる。それに誰が指揮を取ろうと、私達のやることは変わらない。皆で優勝するんでしょ?」
しかし、生徒達は不安そうな表情をする。
だが、
「あのさ……先生がいない時に私達が勝手に負けたらアイツ、『ぎゃははは!お前らって俺がついてないと全っ然ダメなんだなぁ!』あっ、ごめんねぇ、キミ達ぃ、途中でボク抜けちゃって〜、てへぺろっ!』って言うわよ、絶対」
というシスティーナの一言に全員が想像する。
いつもの通り憎たらしい表情で、いつものように皮肉たっぷりの口調で、システィーナの言った通りのセリフを言うグレンを。
むかっ!いらっ!かちん!
あまりにも有り得るその状況に、二組の生徒達は全員がむかっとした表情をする。
その様子に、黒髪の少女がついつい吹き出す。
小さな声でようやく気がついたシスティーナが、
(……あんな子、居たかしら)
そう思いながら首を傾げる。
だが、沈みかけていた生徒達の心に、もう一度火がついたようだ。
「う、うざいですわ……それは、とてつもなくうざいですわ……」
「あの馬鹿講師にそんなこと言われたら、我慢ならないな……」
「ああ、もう、くそ!考えただけで腹立つ!わかったよ、やってやるよ!」
冷えかけていた熱気が戻ってきた。
「……こんなものかしらね」
生徒達を焚きつけることに成功し、システィーナがうんうんと頷く。
「さて、お手並み拝見させて貰うわ。ア・ル・ベ・ル・トさん?」
挑発するようなシスティーナの口調に、アルベルトはしかめっ面をしながら髪をかいた。
─────────────────────
その後、『変身』『使い魔操作』『探査&解除』『グランツィア』でもそれぞれ結果を残した二組。
特に、『変身』と『グランツィア』では一位を獲得し、優勝はすぐ間近まで迫っていた。
そうして迎えた運命の最終戦。
種目は、競技祭の目玉競技『決闘戦』。
これに勝利すれば、優勝だ。
───。
──────。
決闘戦、第五回戦。
カードは、二組対四組。
「《大いなる風よ》───ッ!」
システィーナの黒魔【ゲイル・ブロウ】が炸裂する。
相手が唱えようとした
「う、うわぁああああ───!」
ただの魔術師の筋力では当然耐えきれず、相手の選手は場外に吹き飛ばされた。
『ああっと!?リドリー選手、【エア・スクリーン】の呪文、間に合わなかったぁあああ───ッ!場外負け!二組、三タテ勝利で四組を下したぁ───ッ!強い!先鋒のカッシュ君がややネックかと思われたが、普通に強いぞこのチーム!』
上がる歓声の中、システィーナとカッシュがハイタッチする。
「さすがシスティーナ、圧勝だな!泥仕合でなんとか勝たせてもらった俺とは違うや」
「何言ってるの、カッシュ。勝ちは勝ち。貴方も見事なものだったわ」
笑いながら健闘を讃え合うシスティーナとカッシュ。
「ふん。まぁまぁだね、システィーナ。だが、ぬるいんじゃない?相手の怪我とか気にしなければ、君ならもっと楽に勝てたんじゃないか?」
「アンタは本当にブレないわね、ギイブル……」
「お喋りしている暇はないぞ。次の決闘戦が始まる」
浮き足だった生徒達に、アルベルトが鋭く水を差す。
そうして、次々に三人に指示をする。
それは恐ろしい程に正確で、三人の実力も伴い、二組は素晴らしい戦果を上げていった。
順調に勝ち進み、迎えた決闘戦、決勝。
一組対二組。
それは、決勝にふさわしい戦いだった。
先鋒戦、互いの死力を尽くした戦いの後、カッシュが敗北。
中堅戦、長期戦の後、地力の差でギイブルが勝利。
最後、大将戦は───。
「《大いなる風よ》───!」
「くっ!《天秤は右舷に傾く》!」
お互いの全力を賭けた、魔術の応酬。
一進一退の攻防を、観客は固唾を飲んで見守っていた。
長引く戦い。
ギリギリの攻防を続ける精神力の摩耗。
それによる、魔力の消耗。
もはや、二人とも魔力はギリギリだ。
しかし、お互い学院の一生徒として変わらないはずの二人には、決定的な差があった。
先の事件で、魔術戦を目にしたシスティーナに、少しばかり一日の長があった。
「《拒み阻めよ・嵐の壁よ・その下肢に安らぎを》!」
「な、なんだこの呪文は……!」
見たこともない呪文に対処法が分からず、相手の選手は動きを止める。
「そこっ!《大いなる風よ》!」
「うわぁぁああ!」
そこへ【ゲイル・ブロウ】が炸裂し、相手の選手は場外にはね飛ばされた。
一瞬の静寂。
『き、決まった───!場外だぁああああああああああああ──ッ!なんと、なんとぉ!二組が、あの二組が優勝だぁああああああああ!!』
次の瞬間、会場はスタンディング・オベーションで湧きに湧いた。
もはや、敵も味方も、学年もクラスも関係ない。
ただただ、素晴らしい戦いをした二人に対する、賛美の拍手だった。
「か、勝った───!」
「やったぁああああああああ!」
「よっしゃぁああああああああ!」
二組の生徒は喜びのあまり、観客席から飛び出した。
「え、その、きゃあ!?」
わけもわからないまま、胴上げされるシスティーナ。
空中で目を白黒させるシスティーナを、アルベルトは頷きながら、
「よくやった」
そう言いながら見つめていた。
─────────────────────
競技祭終了式。
粛々と進んだその式の最後、女王陛下から直接賞を頂くという栄誉には、各クラスの担任と代表の生徒一名が選ばれる。
その表彰台に立ったのは、
「あら……貴方達は……」
アルベルトとリィエルの二人だった。
「アルベルト……リィエル……?」
「……来たか」
首を傾げるアリシアを他所に、セリカは一人呟く。
「陛下、こやつが担任のグレン=レーダスというやつなのですか?」
「いえ、違います……けど……」
「なぁ、そこのおっさん」
不信に思い、耳打ちするゼーロスに、明らかにアルベルトではない声で話しかける。
「いい加減、バカ騒ぎも終わりにしようぜ」
その瞬間、アルベルトとリィエルの焦点がぐにゃりと歪み、そこに全く別の人物が現れる。
黒髪の青年と、金髪の少女。
「き、貴様らは───!」
突然現れたグレンとルミアに、ゼーロスは戸惑う。
「馬鹿な!?ルミア、貴女は今、魔術師達と共に街中にいるはず───!」
「入れ替わったんだよ、【セルフ・イリュージョン】でな」
黒魔【セルフ・イリュージョン】。
光を操り、視覚を変化させることで、相手に事実と全く違うものを見せる魔術。
「くっ!親衛隊、賊を捕まえろ!」
「セリカ、頼む!」
「……邪魔だ」
グレンが叫んだ瞬間、セリカの一言と共に、無数の光の線が地面を走る。
それは表彰台を中心に、アリシア、セリカ、グレン、ルミア、ゼーロスの五人を囲み、結界となる。
断絶結界。
音すらも遮断する、強固な結界だ。
中の様子は、全く持って見えない。
「───くそ!なんて強度だ!」
親衛隊の一人が剣を叩きつけるが、結界はびくともしない。
「誰か、札を持ってこい!」
だが、手はある。
国の正式部隊の中でも、極限られた部隊にしか配布されない、結界殺しの割符。
それを使えば、いかにセリカの結界といえど破壊されてしまうかもしれない。
「こちらに!」
親衛隊の一人が、割符を手渡す。
すでに準備していたらしい。
「よし、これなら───」
その割符を結界に押し当て───ようとした時。
「───無粋な真似はしないで貰える?」
横から何かが突撃し、その腕を弾き飛ばした。
「!?」
親衛隊十数人が注目する先にいたのは、一人の女子生徒。
肩までの黒髪、空色の瞳。
長めの睫毛が特徴的な、ハッとする程の美少女。
そして両手には、白と黒の双剣。
「この中では、
双剣を構え、親衛隊を睨む。
「私の大事な人に、手を出してんじゃないわよ。まとめてかかって来なさい!」
お読みいただき、ありがとうございました!
それでは、前書きに書いたお知らせです
突然ですが、この作品にFateキャラクターを追加したいと思います
いよいよ第二巻編も終了ということで、リィエルの転入に合わせて新キャラを加えていく予定です
そこで、ぜひ皆様にその追加キャラクターを投票して頂きたいのです
男性キャラクター、女性キャラクター、マスター、サーヴァントは問いません
男性キャラクターだとルイスの親友ポジション、女性キャラクターだとヒロインの一人ということになるかと思います
活動報告を作りますので、そちらで投票をお願いします
長文になりましたが、皆様の一票をお待ちしております
それでは、また来週お会いしましょう!