最近、唐揚げがやたらと美味しい雪希絵です
ごめんなさい、やはり短編を書き上げることはできませんでした
ただ、今週いっぱいで忙しい期間が終わるので、そこで時間を見つけていきたいと思います
楽しみにしてくださった方には大変申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください
それでは、ごゆっくりどうぞ
「我々に歯向かうのか?先程も言った通り、立派な反逆罪が成立するぞ」
「構うかよ。ルミアに危害を加えるなら、お前ら親衛隊が相手だろうが、神が相手だろうが剣を握る。それが俺の信念だ」
左右の双剣を構え、ルイスはそう言う。
「─────やれ」
隊長格の騎士が、短く命令する。
直後、騎士全員が一斉に動き出す。
気味が悪いほど揃ったコンビネーションで、レイピアが振り下ろされる。
「しっ────」
だが、ルイスにそんなものは通用しない。
右脚を軸に一回転し、左右の剣を振るう。
三本のレイピアを的確に弾き飛ばす。
「なに!?」
「こいつ……!」
魔術師で、しかも学生でしかないはずのルイスに攻撃を弾かれ、騎士達に動揺が広がる。
その隙をわざわざ見逃すルイスではない。
比較的立ち直りの早い騎士を一瞬で見分け、そちらの方に飛び込む。
右手の剣を捻りを加えながら突きこみ、レイピアに直接叩きつける。
回転まで加わった高威力の一撃に、思わずレイピアを落としそうになる。
握力の弱まったそのタイミングに、ルイスはもう片腕の剣を、跳ねあげるようにぶつける。
上空高くに舞い上がり、くるくると回って落下するレイピア。
それを尻目に、ルイスは残る二人に向き直る。
片方はすでに体勢を整え、攻撃を仕掛けて来た。
目にも留まらぬ速さで繰り出される、連続突き攻撃。
ルイスは右へ左へと体を逸らし、攻撃を回避。
最後の一撃のタイミングでその腕に膝蹴りを放ち、鈍い音を鳴らして膝が直撃。
不意をつかれ、騎士の動きが止まる。
(いってぇ……)
予想外の鎧の強度に顔をしかめるが、体は動かし続ける。
剣の峰部分で顔を殴打し、騎士の意識を刈り取る。
直後、背後に気配を感じる。
咄嗟の判断で、振り返りもせずに剣を背後に回す。
かろうじて剣を弾くが、起動が逸れただけのため、ルイスの身体を少しだけ掠めていく。
「────っ」
しかし、体勢は多少乱しても、すぐに立て直す。
大上段の切り下ろしに対して、ルイスは双剣をクロスさせて受ける。
僅かな時間の鍔迫り合い。
だが、レイピアは特性上、両手で持つことが出来ない。
双剣のルイスの方が有利なのは、当然だった。
「ふっ……!」
鋭く息を吐き、ルイスは双剣に力を込める。
騎士のレイピアが大きく弾かれ、胴体に隙が出来る。
右手の双剣を腰を捻りながら投げ飛ばし、その胴体に直撃させる。
ついでにルミアを抱えあげ、一目散に逃げ出した。
「きゃあっ!」
「させるかっ!」
すかさず隊長騎士が剣を抜き、素早い踏み込みで一気に距離を詰める。
やはり隊長を任されるだけあり、技量は相当高い。
その上、ルイスはルミアを抱えているのだ。
遅くなるのも無理はない。
「ばーか」
しかし、ルイスは一言そう言うと、残った右手で何かを放った。
それは、いくつかの赤い宝石。
「……?」
怪訝そうな顔をする騎士達。
その表情が変わったのは、宝石が発光し始めてからだった。
「爆晶石──────!?」
その声は、爆音と閃光に遮られた。
「行くぞルミア!」
「で、でも、私を庇ったりなんかしたら、ルイス君が……」
「そんなもの関係あるか!」
ルミアをお姫様抱っこし、黒魔【フィジカル・ブースト】を発動しながら、ルイスは叫ぶ。
「さっき言っただろ!俺はルミアを守るためなら、神にだって剣を向ける!こんな騎士団に追われるくらいなんでもねぇよ!」
そして、ルイスは続ける。
「わかったら、早く逃げるぞ!そのためにまず、俺のネックレスを取り出してくれ」
「う、うん……」
ルイスに抱えられながら、ルミアはルイスの胸元を探る。
「見つけたら、俺の耳に当ててくれ」
赤い宝石を見つけ出し、ルミアは言われた通りにする。
しばらく、甲高い音がペンダントから鳴り響き、
「なんだ?どうかしたのか?ルイス」
唐突にグレンの声が聞こえてきた。
「えっ、せ、先生!?」
「って、ルミア?なんだよ、ルイスと一緒にいたのか。ったく、白猫に言われて探してたってのに……」
「そんことはいい!一大事だ、グレン!」
グレンの言葉を途中で切り、ルイスは通信の魔道具に向かってまくし立てる。
「落ち着いて聞け、グレン。王室親衛隊がルミアの捜索を始めた」
「ルミアを?なんで急に」
「反逆罪で処刑だとよ。冗談じゃないぜ……!」
「はあっ!?どういうことだ!?」
「ルミアが女王陛下に反旗を翻そうとした。だから、その罪で見つけ次第処刑する。向こうはそう言うつもりらしい」
「裁判所は?証拠もあるのか?」
「あがっている……とは言っていたが、十中八九嘘だろう。恐らく、後から偽装でもする気だ」
「……すぐに行く。今どこだ?」
「学校の端だ。校内にいるのは危険だから、このまま街に出る!」
「わかった。そのまま噴水のある広場まで迎え。その途中で合流する」
「おう」
会話が終わると、ルミアがペンダントをルイスの制服の中に戻した。
「もう大丈夫だ。グレンと俺が居れば、大体のことはどうにかなる。セリカ姉にも連絡取れるしな」
「…………うん」
状況はマシにはなったが、先は見えない。
沈む気分を何とか奮い立たせ、ルイスは足を動かし続けた。
お読みいただきありがとうございました
今回短めですみません
ちょっと疲れが溜まってまして……
それでは、また来週お会いしましょう!