ボスの贅沢微糖にハマった雪希絵です
コーヒーって結構美味しいんですね……
さて、やって参りました更新日
今回もあんまり動きないです……
それでは、ごゆっくりどうぞ!
「ど、ど、どうしてアナタのような高貴なお方が、下々の者のたむろするこのような場所に、護衛もなしで────ッ!?あ、いえ、その、さっきは無礼なことを言って申し訳ございませんでした───ッ!」
「本当にこの馬鹿が申し訳ありません、女王陛下。私の方からよく言っておきますので、どうかご容赦を」
そこにいるのが女王陛下だと分かると、グレンはひたすら恐縮しながら謝罪し、片膝をつく。
ルイスもそれに習って、その場に平伏する。
「そんな、お顔を上げてくださいな、二人とも。今日の私は帝国王女アリシア七世ではありません。帝国の一市民、アリシアなんですから。さぁ、ほら、立って」
「いや、そうは言ってもその……し、失礼します……」
「……し、失礼致します」
グレンとルイスは恐る恐る立ち上がり、恐縮する。
アリシアはグレンの方に向き直り、その整った形の唇を開く。
「ふふっ。一年ぶりですね、グレン。お元気でしたか?」
「あ、はい、そりゃもう。へ、陛下はお変わりないようで……」
「……貴方にはずっと謝りたいと思っていました」
ふと、アリシアは目を伏せる。
細められたその目は、申し訳なさに満ちていた。
「あ、謝る……って、そんな……」
「貴方は私のために、そして、この国のために必死に尽くしてくださったのに……あのような不名誉な形で宮廷魔導師団を除隊させることになってしまって……本当に我が身の不甲斐なさと申し訳なさには言葉もありません……」
「いえいえ、全然気にしてませんって!いや、ホントです!ていうか、俺ってぶっちゃけ仕事が嫌になったから辞めただけの単なるヘタレですから!マジで!」
ぶんぶんと頭と手のひらを左右に振りながら、グレンは必死に否定する。
「そうですね……私は貴方に頼るばかりで、貴方の辛さや苦しさを分かってあげられなかった……女王失格ですね。思えば三年前のあの時も……」
「いやいやいやいや!?俺みたいな社会不適合者に女王たるあなたが頭下げちゃダメですって!?誰かに見られたらどうするんですか!?」
幸い、周囲に人はいないが、ここは特別人通りが少ないというわけではない。
グレンは気が気でなかった。
「る、ルイス!お前からも陛下に何か……」
「ルイス……?ひょっとして、貴方がルイス=ハルズベルトですか?」
ルイスの方を困り果てた顔で振り返って言ったグレンの言葉を遮り、アリシアが呟いた。
「はい。私がルイス=ハルズベルトです」
それに対し、ルイスは礼儀正しく答える。
家業の道具屋の規模が大きいため、ルイスと両親はしばしば貴族などに食事に誘われる。
そのため、ルイスは言葉遣いや態度等のマナーは、一通り心得ている。
面倒くさいので、普段は欠片も出さないが。
「そうでしたか。貴方の話も聞いていますよ。何でも、先日学院で起きた事件の際に、身を呈して戦ったそうですね」
「いえ。私は当然のことをしただけです。学院の生徒として、この国の一市民として、私は戦う義務がありました」
「立派な心がけですね。帝国を代表して、お礼を言わせて貰います。ありがとうございました」
「勿体ないお言葉です」
頭を下げ、微笑むアリシアに、ルイスは一礼する。
「貴方も
「過分な評価、痛み入ります。私だけの努力で出来たわけではありませんが」
「それでも、素晴らしいですよ」
「ありがとうございます。それより陛下、本日はどういった御用向きで?」
女王陛下直々に話しかけられ、実は内心緊張しまくりのルイスが、話題を逸らした。
アリシアはふと考える仕草をすると、口元に手を当てて微笑む。
「ふふ、そうですね。今日は……」
アリシアは視線を横にずらす。
その視線の先には、呆然と立ち尽くすルミアがいた。
「……お久しぶりですね、エルミアナ」
そんなルミアに、アリシアは優しく語りかける。
「………………」
ルミアは無言で、アリシアの首元を見る。
そこに翠緑の宝石のネックレスがかけられているのを確認すると、なぜかルミアは目を伏せた。
「元気でしたか?あらあら、久方見ないうちに、ずいぶんと背が伸びましたね。ふふ、それに凄く綺麗になったわ。まるで若い頃の私みたい、なぁんて♪」
「……ぁ……ぅ」
「フィーベル家の皆様との生活はどうですか?何か不自由はありませんか?食事はちゃんと食べていますか?育ち盛りなんだから、無理な減量とかしちゃだめですよ?それと、いくら忙しくても、お風呂にはきちんと毎日入らないとだめよ?」
「…………ぁ……そ、その……」
硬直するルミアをよそに、アリシアは本当に嬉しそうに言葉を重ねていく。
「あぁ、夢みたい。またこうして貴女と言葉を交わすことが出来るなんて……」
感極まったアリシアは、ルミアに触れようと手を伸ばす。
「エルミアナ……」
その顔は、幸せに満ちていた。
帝国を背負う女王としではなく、一人の母親としての表情で、愛娘を見つめる。
しかし、
「……お言葉ですが、陛下」
ルミアはアリシアの手から逃げるように、片膝をついて平伏した。
それは、ルミアの明確な拒絶の現れだった。
テスト前なので、ちょっとキリがよくないですがここで切ります!
来週辺りには、戦闘シーンに入れると思います
また、短編の方も仕上げてしまおうと考えているので、そちらもよろしくお願い致します
それでは、また来週お会いしましょう!