ロクでなし魔術講師と無限の剣製   作:雪希絵

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どうも皆様

ふと思い至ってゴッドイーターバーストをやり始めた雪希絵です

テスト前なのに何やってるんでしょうね

さて、やって来ました更新日

そろそろ事態が動き出す……かもです!


お昼時

魔術競技祭、午前の部が終了した。

 

ルイスの後、ウェンディが『暗号早解き』、そしてルミアが『精神防御』で一位を獲得。

 

これにより、二組は三位から二位に浮上することが出来た。

 

その他の競技でも二組は好成績を残し、競技祭は午前だけでもかなりの盛り上がりを見せた。

 

余談だが、精神防御で自分の性癖を暴露した『ツェスト=ル=ノワール』教授は、どこかから飛来してきた白い湾曲した剣にぶち当たり、気絶して医務室に運ばれて行ったらしい。

 

不思議なことに、まるで消えたかのように、その場に白い剣は残っていなかったそうだ。

 

そして、小一時間の昼休み。

 

生徒達はそれぞれ分かれ、食堂や学院外の飲食店、または敷地内で弁当を広げる等して、思い思いに食事をとり始めた。

 

「ルイスー!」

「ん、システィか。どこで食べる?」

「そうね。天気もいいし、外で食べない?」

「いいな。そうするか」

 

ルイスもシスティーナと合流し、昼食をとるために中庭に出た。

 

「そういえばシスティ。今日は何作って来たんだ?」

「サンドイッチよ。ルイスの好きな卵のサンドイッチもあるわよ?」

「お、それは楽しみだな。俺も一応、色々作って来たよ」

「本当に?楽しみにしてるわ」

 

競技祭前、弁当を持って来て食べることにしたルイス達は、システィーナが主食担当、ルイスがおかず担当と役割分担したのだ。

 

ちなみに、ルミアは意外に不器用なので、料理は出来ない。

 

「それはそうと、ルミアどこ行ったのかしら?さっきから探してるのに……」

「そうだなぁ。元から予定してた事なんだし、どっか行ったってことも考えてにくいしなー」

「それにあいつもいないし……」

 

最後の部分だけボソボソと言うが、ルイスにはしっかりと聞こえている。

 

システィーナが昼食にグレンを誘うつもりなのも、そのためにサンドイッチを多く用意して来たことも知っている。

 

だからこそ、ルイスもかなり多めにおかずを作って来たのだ。

 

(まったく、普通に言えばいいものを……。どうせ誘う時も『作り過ぎちゃって、余るの勿体無いから……食べれば?』とか言うんだろうな)

 

目に浮かぶようなその光景に、ルイスはついつい苦笑いした。

 

その後しばらく周囲を見渡すと、遠くの方にルミアの姿が見えた。

 

どうやら、誰かと話しているようだ。

 

「おい、システィ。あれルミアじゃないか?」

「ん?……あ、本当だ。行きましょう!」

「おうよ」

 

やや急ぎ足でルミアの方まで歩いて行く時、ルイスは違和感に気がついた。

 

(あれ本当にルミアか?)

 

遠目からでは分からなかったが、ルミアの雰囲気がいつもと違う気がするのだ。

 

しかも、その雰囲気が、ルイスのよく知っている誰かさんに似ている。

 

「ルミアったら、こんな所にいたんだ。探したわよ?」

「あ、システィ。どうしたの?」

 

いつの間にか近くに来ていたシスティーナに、ルミアと話していた少女……リンが尋ねた。

 

「あはは、私、ちょっとルミアに用があってさ」

「あ、いや、俺は……」

 

(ああこれやっぱグレンだわ)

 

一言で即座に気がついた。

 

リンは運動とエネルギーを操る黒魔【セルフ・イリュージョン】で『変身』の競技に出る。

 

その相談をしている中でルミアに変身し、そこへシスティーナがやって来た……という予想を立てたのだ。

 

「おい、システィ……」

 

ルイスがシスティーナを止めようとするが、それより早くシスティーナは、ルミアの姿をしたグレンに笑いかける。

 

「早くお弁当食べよう?ルミア。言ったでしょ?今日のお昼はルミアの分まで私とルイスが作って来たって。ルミアの好きなトマトのサンドイッチもあるわよ?」

「え……?弁当……?」

 

(あ、これ掠め取る気だな)

 

本当に取ろうとしたら鉄拳制裁……と考えていると、背後に近づいて来る気配。

 

少し遠くを見ると、ルミアが歩いて来るのが分かった。

 

「……なるほど。黙ってた方が面白そうだな」

 

そう呟き、ルイスは黒い笑みを浮かべる。

 

前では、困惑するシスティーナの前で、事情を把握しているリンとグレンがゴニョゴニョと話している。

 

そこへ、ルミア到着。

 

「待たせちゃって、ごめんね。私、ちょっと用事があって……あれ?」

 

ルミアは自分の前にいる同じ姿の人物に気がつくと、小首をかしげる。

 

圧倒的に気まずい雰囲気。

 

「な、なんてことなの……俺……あ、私が二人!?ま、まさかどっちかがニセモノ……困ったわ!ここまでそっくりじゃ、どっちが本物かなんてわから……」

「《力よ無に帰せ》」

 

悪あがきの弁解をしようとしたグレンに、システィーナが【ディスペル・フォース】を使う。

 

あっさりと変身魔術が解除され、化けの皮が剥がれた。

 

「……まあ、そういうわけで」

 

ふっ、と。

 

正体を暴かれたグレンが不敵に笑い、髪をかきあげ、くるりと踵を返す。

 

「グレン先生はクールに去るぜ」

 

そのまま何事もなく、歩き去って行こうとする背中に……、

 

「ルイス」

「へいへい。滅せい────!」

 

えげつない音を鳴らして、【フィジカル・ブースト】付きのルイスの蹴りが炸裂する。

 

「ぎゃあああああああああああ────!?」

 

情けない悲鳴を上げ、ゴロゴロとグレンは吹き飛んでいった。

 

「信じられない!最低!教師が生徒のお弁当を掠め取ろうとするとか、ありえないでしょ!?せっかく私が朝早く起きて……ふんっ!もう、知らない!」

 

顔を真っ赤にして、喚き立てるシスティーナ。

 

ため息をつくリン。

 

笑いを堪えきれず、肩を震わせるルイス。

 

そんな状況を上手く飲み込めず、ルミアは目をパチパチとさせていた。

 

─────────────────────

 

三人での昼食が終わり、ルミアとルイスは中庭に留まっていた。

 

「ま、ルミアならそうすると思ったよ」

「だって、先生もわざとじゃないんだし……。それに、せっかくシスティが作ったお弁当が勿体無いよ」

「そうだな」

 

もちろん、グレンに弁当を渡すためだ。

 

捨てられそうになっていた弁当をルミアが貰い、実は別に用意してあったルイスのおかずと一緒に渡そうと考えたのだ。

 

「お、グレンいたぞ」

 

目的のグレンは、ベンチで枝を咥えながらぐったりしていた。

 

(シロッテの木か……どんだけ金ないんだよ)

 

そんなグレンの元へトコトコ近づき、

 

「先生〜」

 

と話しかける。

 

「……ルミアか。どうした?」

「あの……先生に差し入れ持ってきました」

「差し入れ?」

 

怪訝そうな顔をするグレンに、ルミアが布包みを差し出す。

 

「これ、サンドイッチの包みです。先生、最近、ずっとお腹が空いてるみたいだったから、もし良かったらと思────」

「ありがとうございます天使様!喜んで謹んで頂戴致しますぅー!」

 

狂喜と共にグレンはそれをひったくり、サンドイッチに噛み付いた。

 

その様子から、この数日間の強制ダイエットの辛さが分かる。

 

「ほら、もっと落ち着いて食え、グレン。誰も取らねぇよ。あと、俺からも」

「!? マジでか!ルイス様!マジ神!」

「おうよ。セリカ姉には禁止されてるが、まあ、今日はいいだろう」

「ありがとうございますぅぅぅ!」

 

グレンはルイスの作ったおかずもひったくり、夢中で食べ進める。

 

しばらく、それを苦笑いで見つめていると、二つの包みはすっかり空になった。

 

「ふー、食った食った。さて、そろそろ競技場に戻るか……」

「ふふ……お粗末様です。って、私が言うべき言葉じゃないですけど」

「これに懲りたら、しばらくギャンブルは控えるんだな」

 

とグレン達が立ち上がると、横から声がかかった。

 

「そこの貴方はグレン、ですよね?あの……少し、よろしいですか?」

 

グレンは、それに面倒くさそうに振り返る。

 

「はいはい、全然よろしくありませーん、俺達、今すっごく忙し──────」

「!? おい、バカグレン!?何言ってやがる!?」

 

大慌てなルイスの言葉に、声の主を見ると、そこに居たのは一人の女性。

 

「って、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?じょ、じょ、女王陛下!?」

 

そこには、アルザーノ帝国女王、アリシア七世がいた。




全然動かなかった……

次から動き出すはずです!

お読みいただき、ありがとうございました!

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