ロクでなし魔術講師と無限の剣製   作:雪希絵

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どうも皆様

Gを撃退する時は、父親と一緒にエアガンで戦う雪希絵です

大抵は父のガスガンで木っ端微塵になります

さて、やって来ました更新日!

競技祭本編、ルイスの活躍の場ですね!

短編の方は、もう少しお待ちください……

テストが近くて、なかなか時間ができなくて……申し訳ありません

それでは、ごゆっくりどうぞ!


圧勝

一週間の練習期間はあっという間に過ぎていった。

 

初日に一組と何やら騒動はあったらしいが、ルミアの膝枕のせいでルイスは認識していない。

 

その後の練習では、最初こそ戸惑っていた生徒達も、段々とコツを掴み、好成績を出せるようにもなっていた。

 

そして迎えた競技祭当日。

 

「……すげぇな、おい」

 

クラスメイト達の活躍を見ながら、ルイスはそう呟いた。

 

「おおーっと、ここで二組が大逆転!今年の魔術競技祭、誰がこの展開を予想出来たでしょうか!!グレン先生率いる、二組の快進撃が止まらないーーー!!」

 

実況担当の生徒の声が、魔術によって闘技場中に響き渡る。

 

今行われているのは、『飛行競走』。

 

ルイス達二組では、ロッドとカイが出場している競技だ。

 

今年の飛行競走は、例年より距離が長い。

 

それに対し、二人はグレンの指示通り、速度よりもペースに重きを置いてレースに挑んだ。

 

結果、速度に固執する他クラスの生徒より終盤を一気に駆け抜けることが出来た。

 

この他の競技でも、必ずといっていいほど二位か三位、少なくとも四位には食いこむなど、好成績を収めている。

 

それもそのはず、二組には使い回されている生徒が一人もいない。

 

そのため、全員が自分の競技に全力で打ち込めるのだ。

 

しかし、一位の数はそう多くなく、どうしてもトップの一組には追いつけていない。

 

そんな中、

 

「頼むぞ!ルイスー!」

「ルイス君、頑張って!」

「ルイスならいけるはずよ!」

「頑張れよ!」

 

クラスメイトの声を受け、ルイスの出番がやって来た。

 

闘技場に入場する際も、背中には多くの声がかけられる。

 

その中には、何故か他クラスの声も含まれている。

 

おそらく、グレンの授業を受けた生徒達だ。

 

出れもしない自分のクラスよりも、色々と教えてもらったルイスを応援しているのだろうか。

 

それに対しルイスは、

 

「……任せな。負ける気なんざしねえよ」

 

と言って、不敵に笑う。

 

ルイスが入場し、出場選手が出揃った。

 

「さぁ!各クラス選手が揃いました!やはり注目は、ダークホースグレン先生率いる二組のルイス・ハルズベルト選手と、現在トップの一組のハワード・フレイド選手でしょうか!」

 

実況がそんな風に、会場を盛り上げていく。

 

「毎年数多くの生徒が、クリアすら出来ずに絶望する難攻不落の競技『読み取り』!いよいよスタートです!!!」

 

開始の合図が鳴り響き、生徒達は円形に配置された宝箱に飛びつく。

 

片手を当て、黒魔【ファンクション・アナライズ】の呪文を唱え、宝箱の解析にかかる。

 

まずはその機能を理解し、それを実行する。

 

時に焦りの表情を浮かべ、時に疑問に首を捻り、時に苛立ちに眉を顰めながら、選手達は解析に没頭する。

 

一組でも優秀な生徒である、ハワードも焦りに脂汗をかいている。

 

「やはりこの競技は難しいのか!?なかなか解析が進まないようだ!」

 

静止画のように変化しない会場に、生徒達の応援の声も大きくなっていく。

 

その声援すら焦りに感じるのか、応援席を睨む生徒すらいる程だ。

 

だが、

 

「……ああ、なるほどね。これはめんどくさいわ」

 

一人、冷静にルイスが呟いた。

 

そして手を離し、宝箱のあちこちを触り始める。

 

「おおーっと!ルイス選手、他のクラスの生徒を差し置いて、早くも動き出した!まさかまさか、もうわかってしまったのかーーー!!」

 

一際大きな実況と応援席の声が、闘技場全体を揺らす。

 

そんな声も聞こえないかのように、ルイスは目の前の宝箱に集中する。

 

(まずは宝箱の両端の曲線に魔力を流す。そうすると、宝箱の両側が開く)

 

指でなぞりながら魔力を流すと、両側が引き出しのように開いて中から何か出てきた。

 

それは、厚めの小さな円盤と、細長い棒だった。

 

(これを右に捻りながら押し込んで、左側には引っ張りながら捻る。あとは、【ショック・ボルト】を流すと……)

 

手順通り組み合わせ、微弱に【ショック・ボルト】を使う。

 

すると、棒の先が鍵のような形に固まった。

 

「よし」

 

普通ならここで終了しそうなものだが、そこまで甘くはない。

 

(目の前にある南京錠は無視。ここに鍵を差したら壊れるようになってる)

 

ルイスは宝箱の底に手を伸ばすと、真ん中の辺りを押し込む。

 

現れた鍵穴に鍵を差し、回す。

 

南京錠が崩れ落ち、その下から数字の描かれたプレートが出てくる。

 

0、0、0、0の四つの0が並ぶそれは、魔力を流せば操作できるようになっている。

 

(1、4、6、5。次に出てくるプレートは、4、4、3、9)

 

二つのプレートに、解析の中でさり気なく織り交ぜてあったナンバーを当てはめると、宝箱が勢い良く開いた。

 

膨大な光が溢れ、会場中の観客が目を細める中、

 

「よし、これで終わりっと」

 

軽く手を払いながら、ルイスは立ち上がった。

 

一瞬の静寂。

 

そして、

 

「な、な、な、なんとぉぉぉぉぉ!なんという早業!ルイス・ハルズベルト選手!!ぶっちぎりの一位だぁぁぁぁぁぁ!!」

「「「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

大歓声。

 

ルイスはそんな歓声に、恥ずかしそうに髪をポリポリと掻きながら、宝箱の中身を流し見た。

 

「てっきり何も入ってないと思ってたんだがな……」

 

そこにあったのは、一振りの剣。

 

ルイスには、一目見ただけで業物だとわかった。

 

おそらく、空の宝箱を開けるのも面白くないと判断し、入っているものだろう。

 

(それでも、こいつは凄いな。下手をすれば、国が管理しててもおかしくない品だ)

 

青色の柄に、黄金に輝く刀身。

 

パッと見ただけでも、それが神話クラスの業物であることがわかる。

 

実はこの剣は、学院が編成した遺跡調査隊が発見して以降、研究のために厳重に保管されていたものだ。

 

とはいえ、結局ほとんど何も分からず、倉庫の中で眠っていたのが、今回久しぶり引き出されたのだ。

 

「どんなものかはわからないが、いただいていくぜ?」

 

ルイスはそれを可能な限り凝視し、自身の記憶の中に焼き付ける。

 

「さて、一位が決定しましたので、競技はこれで終了となります!それでは皆さん、改めて、勝利したルイス選手に盛大な拍手を!」

 

ルイスが他のことに没頭している間に、競技は進行していく。

 

大きな拍手と大歓声。

 

ハワードなど他クラスの生徒は、悔しそうにルイスを睨みつけている。

 

「貴様……一体どんな不正を使った!」

 

胸元に掴みかかろうとしながら、ハワードはそう言った。

 

それをひらりと回避し、ルイスは一言。

 

「不正なんざ働いてないさ。ただ単に、俺が得意な競技だったってだけだ。自分が負けたからって、何でもかんでも不正扱いするなよ。かっこ悪い」

「なっ………!」

 

プライドが傷ついたのか、ハワードはわなわなと肩を震わせている。

 

「……これで終わると思うな、ルイス・ハルズベルト!」

 

捨て台詞を吐き、さっさと会場を出ていった。

 

それを尻目に、ルイスは宝箱の中身をもう一度見ながら、名残惜しそうに会場を出た。




お読みいただきありがとうございました!

いかがでしたでしょう、ルイスの活躍ぶりは

【ファンクション・アナライズ】でそこまで分かるの?とかは少し寛容に考えていただけると助かります……

それでは、また来週お会いしましょう!

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