普段話す時とメールやLINEではキャラが違うねとよく言われる雪希絵です
おそらく顔文字を乱用しながら、アニメキャラのような口調になるからだと思います
ここで、突然ですがお知らせです
閲覧件数58000突破&お気に入り件数711件!
ありがとうございますーーー!
というわけで、またやりたいと思います読み切り短編!
今度はどんな内容がいいのか、皆様にお聞きしたいと思います
詳細はあとがきに書きますので、ぜひ目を通していただけると幸いです
では、ごゆっくりどうぞ!
「はぁ……はぁ……!
肩で息をしながら、ルイスは銃を呼び出す。
すでに、これで五回目の投影。
かなりの数のゴーレムを倒し、周囲にはその残骸である岩が多数転がっている。
そのほとんどが、ルイスがペネトレイターで撃ち抜いたものだ。
ゴーレムの数もかなり減り、永久に続くかと思った攻撃にも勢いが減った。
「それでも多いけどよっ!?」
右から迫るゴーレムに弾丸を叩き込み、バラバラにする。
しかし、倒したことによる達成感など感じる暇もなく、猛烈な勢いで体当たりを繰り出してくるゴーレム。
サイドステップで回避しつつ、両手で握り込んだ拳銃の引き金を引く。
爆音と共に、放出される弾丸。
上半身部分丸々を吹き飛ばしながら、ゴーレムを叩き壊す。
「くっそ……!」
そこで、ルイスは舌打ちしながら膝をつく。
その顔色は悪く、青白くなってきている。
身体は倦怠感で動かし辛く、立ち上がろうとしてもどうにも力が入らない。
「マナ欠乏症か……」
これ以上戦闘を続けるのは、あまりにも危険過ぎる。
下手をすれば、戦闘中に魔力が尽きて動けなくなる。
その先に待っているのは、100%の死だ。
「……潮時か」
残る三発を周囲にばら撒く。
大量に土埃が舞い、ゴーレムの視界を遮る。
(今だっ、全力で逃げろ脱兎の如く……!)
その間に塔の中に飛び込み、入り口から高速で離れる。
風が土埃を払ったころには、もうルイスの影も形もない。
ターゲットを失い、ゴーレム達は再び塔の周りを見回り始めた。
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「げほっ……げほっ……おぇ……!」
吐きそうな程むせ返りながら、ルイスは塔の階段を登る。
マナ欠乏症のせいで、身体はいくら力を入れても自由に動かない。
切れそうになる意識をギリギリで繋ぎ、フラフラになりながら階段を登り続ける。
グレンを信用していないわけではないが、ひょっとすれば上にはまだ敵がいるかもしれない。
マナ欠乏症手前のルイスが行ったところで状況は変わらないかもしれないが、それでも行かないという選択肢はない。
最上階が近づくにつれ、話し声が大きくなっていく。
ようやく階段を登りきり、大広間の前までたどり着く。
よろよろとその入り口に立つと、中の様子が見えた。
グレンと、あと一人誰かが立って話している。
奥には、ルミアが拘束された状態で座っていた。
それ以外に、人影はない。
(ってことは、あいつが黒幕……)
暗闇に目が慣れ、ルイスはグレンと話している男の方を見る。
二十代前半くらいの、柔らかい金髪に深い青色に目をした美青年。
目を凝らし、そしてルイスは目を疑った。
(ヒューイ……先生……!?)
一身上の都合により退職したと聞いていた、元この学院の講師だった人物だったからだ。
(いや、落ち着いて考えれば、怪しかったのはたしかか……)
実際、学院内の裏切り者を疑ったグレンは、セリカに頼んで講師や関係者の中で、不自然に姿を消した者がいないか探った。
その時、とっくに学院からいなくなっていたヒューイの事を、二人は疑わなかったのだ。
(けど、解決したっぽいな)
そう判断し、安堵の息をつく。
「そうかい。歯ぁ食いしばれ」
直後、グレンは言いながら腕をしなるように振るわせて、ヒューイの顔を殴った。
その威力で吹き飛んだヒューイが、床を派手に転がり、昏倒する。
「やれやれ、だ」
そして、グレンもまた、もう限界だと言わんばかりに倒れた。
「……ったく」
仕方なく、ルイスも部屋に入ろうとするが。
「あなたの夢は無意味じゃありませんよ」
ルミアがグレンに近づいて口を開いた。
何となく、本当に何となくだが。
ルイスは、ここで部屋に入ってはいけない気がした。
扉の真横の壁に背を預け、動きを止める。
ルミアが語ったのは、グレンに対する胸の内だった。
「確かに……かつてあなたが恋焦がれるようには思い描いていた夢の形とは違ったかもしれません。でも、あなたの夢は確かに多くの人を救ったんです」
(うん……知ってる)
「私はかつてあなたが救った大勢の内の一人。とても寂しいことですが……あなたが私のことを覚えていないのも無理はありません」
(ああ、だろうな)
「でも、私は……三年前、あなたに救われたあの時から……あなたのことをお慕い申し上げていました」
「……うん。知ってる。……知ってたよ」
部屋の中は見ていない。
だが、何が起きたかは、何故かわかった。
「先生……ありがとう」
そこでルイスは、その場を去った。
不自然に、胸が傷んだ。
怪我のせいでも、戦闘のせいでもないのは分かっていた。
ルイスはその正体を知らない。
気がついていない、ことにした。
─────────────────────
アルザーノ帝国魔術学院自爆テロ未遂事件。
一人の非常勤講師と、一人の男子生徒の活躍により、最悪な結末の憂き目を逃れたこの事件は、関わった組織『天の知恵研究会』のこともあり、社会的不安に対する影響を考慮されて内密に処理された。
徹底した情報統制の効果で、今回の真相を知るのは、一部講師と教授と生徒だけだ。
それでも、妙な噂が立ったりもしたが、一ヶ月も経てば誰も話題にしなくなった。
事件に巻き込まれた生徒の一人、ルミア=ティンジェルがなぜかしばらくの間、休学していたが、やがて普通に復学した。
朝早くに起きれば、今日も銀髪の少女と黒髪の少年と一緒に元気に学院に通うルミアの姿が見られるだろう。
学院には、以前となんら変わらない、平和で退屈な日常が戻って来たのだ。
「しかし、まぁ、ルミアが三年前病死したはずの、あのエルミアナ王女とはね……」
「生憎俺は知ってたがな」
「本当なんで知ってたんだよ……」
「セリカ姉の話を盗み聞きした」
「マジかよおい……」
ある晴れた日の午後、正式な魔術講師となったグレンは、ルイスと一緒に廊下を歩きながら、事件のことを振り返っていた。
あの事件のあと、グレンとシスティーナとルイスの三人は、事件の功労者として帝国政府に呼び出され、ルミアの素性を聞かされた。
異能者だったルミアが様々な事情によって王室から追い出されたこと。
帝国の未来のために、ルミアの素性は隠し通さなければならないということ。
そして、三人には事情を知る側として、ルミアの秘密を守るために協力することを要請された。
「まったく……まーた、面倒事を押し付けられたもんだ」
「まあ、そう言うなよ」
「そうだな」
なんとかなるだろうと、二人して楽観的に考えていると、
「しかし、意外だな。先の一件でお前が魔術に関わることはこれから先、もう二度とないと思ったんだがな」
どこか機嫌よさそうなセリカがそう言った。
そんなセリカに不貞腐れたように頭をかきながら、
「うるせえよ」
と言い、嬉しそうに駆け寄ってくる、いつもの二人の女子生徒を流し見ながら、続ける。
「……見てみたくなったんだよ。あいつらが、ルイスが将来、何をやってくれるのかをな。講師続けるにゃ充分な理由さ。暇つぶしにはちょうどいいだろ?」
それを聞いて、セリカは微笑を浮かべ、
「そうか、頑張れよ?」
と短く言った。
「おう」
グレンも短く答え、二人の方に歩み寄る。
少しすれば、いつも通りシスティーナとグレンがぎゃあぎゃあと騒ぎ出し、ルミアはそれを苦笑いで見つめる。
「お前は行かないのか?ルイス」
「大方、さっきの金がどうのこうの授業で説教食らってるんだろ。自業自得だ」
「ははっ。それは間違いない」
ルイスの予想が的中し、グレンが年下の少女に平謝りを始める。
そんな光景に、二人はついつい吹き出してしまった。
「……そうか。これが、あのルミア=ティンジェルの真実を聞いても、お前が必死に守ろうとしたものか」
「ああ。システィとルミア、今はグレンも合わせて、ここにいる。クラスのみんながいる。それを守るためなら、俺は何だってする」
「そうか、頑張れよ?」
「おう」
グレンと同じように答え、ルイスは収集がつかなくなった二人の喧嘩に割って入った。
これにて、一巻編終了となります!
応援して下さった皆様のおかけで、ここまで続けてこれました!
本当にありがとうございます!
以下、お知らせになります!
前書きにも書きました通り、読み切りについてのアンケートを行いたいと思います
題材に関しては活動報告に書きますので、そちらで投票をお願い致します!
締切は二週間後の水曜日23時59分とさせていただきます
あなたの一票をお待ちしております!
それでは、また来週お会いしましょう!