ロクでなし魔術講師と無限の剣製   作:雪希絵

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どうも皆様

最近OPにルイスがいたらどうなるかなとか妄想してたらニヤニヤしてたらしく、家族にドン引きされた雪希絵です

ここで皆様にお礼の言葉を述べさせてください

祝・お気に入り件数597件&UA36000突破!!!!

ありがとうございます!!!

こんなに沢山の方に呼んで頂けて、本当に嬉しいです!

というわけで、感謝の気持ちを込めて、一話読み切りの短編などを思案中です

番外編の章を作り、そこに上げていきますので、完成しましたらご覧になっていただけると幸いです

もちろん本編の投稿はいつも通り行いますので、そちらもよろしくお願い致します!

では、今回もごゆっくりどうぞ!


全力戦闘

「くそっ、キリないな!」

 

休みなく矢を放ち、投影した剣を叩きつけるが、敵の数が多すぎる。

 

じりじりと距離が詰まり、とうとうボーンゴーレムの間合いになってしまう。

 

「ちっ……!投影開始(トレースオン)!」

 

仕方なくルイスは弓を消し、白と黒の双剣を呼び出す。

 

正面のボーンゴーレムが斬りかかってくる。

 

ルイスはそれを右手の剣で受け、左手の剣で払い上げる。

 

大きく空いたその胴体に、ルイスは引き戻した右手の剣を突き込む。

 

【ウェポン・エンチャント】の付与された双剣は、ボーンゴーレムの肋骨を盛大に抉り、伝播した威力で全身を砕く。

 

相変わらずの威力に感嘆しつつ、その場で一回転。

 

両手に握った剣が閃き、ゴーレムを斬り裂いていく。

 

投影開始(トレースオン)!」

 

同時、周囲に複数の剣を投影。

 

自分の前半分を囲うように呼び出したそれを、一斉に射出。

 

次々に砕けるボーンゴーレム。

 

だが、それでも数が減らない。

 

(どうする……!?)

 

なおも果敢に挑みながら、ルイスは考える。

 

確実に仕留めてはいるが、それでも全体の進行が止まるわけではない。

 

じりじりと、ウェンディの方に向かいつつある。

 

さらに言えば、

 

「いっ……!?」

 

ルイスは、少しずつダメージを受けていた。

 

相手の数が多すぎるため、どうしても避けきれない攻撃があるのだ。

 

飛び散る赤い血と、深くはないが数を増やし続ける傷。

 

これでは、ボーンゴーレムを全滅させる前にルイスが倒れる。

 

「……やるしかないな」

 

それでも、手はある。

 

とっくに思いついていたが、生憎痛いのは御免なのでやらなかった手だ。

 

「ウェンディ!」

「は、はい!」

 

背後のウェンディに、肩越しに振り返りながら叫ぶ。

 

その間も、腕は双剣を振るい続けている。

 

「……なんでもいいから、爆風を吹き飛ばせる魔術を使ってくれ。いいな?」

「え……?」

 

戸惑うウェンディ。

 

そんなウェンディの返事も聞かず、ルイスは双剣を解除して、

 

投影開始(トレースオン)

 

再び呪文をつぶやく。

 

近づくボーンゴーレムの攻撃をギリギリで回避し、グレンに教わった得意ではない格闘術も利用しつつ、左手に意識を集中する。

 

やがて、少しずつ青い光が強くなっていく。

 

そして、一際強く輝いた瞬間。

 

「…………ぐっ……!」

 

少なくない魔力が持っていかれる感覚。

 

(やっぱ……武器以外の投影はキツイか……)

 

だが、成功はした。

 

その手に握られていたのは、大量の宝石。

 

まるで燃えているかのように赤く輝くその宝石は、『爆晶石』という。

 

爆発を封じる『封爆のルーン』でも刻まない限り、いとも簡単に爆発する。

 

それを、

 

「しっ……!」

 

目の前のボーンゴーレムに、思い切り投げつける。

 

カツンッ、と小さな音が鳴り衝突。

 

重力に乗って宝石が落下する、その途中。

 

赤い閃光を放ちながら、

 

ドガァァァァァァンッッッ!!

 

大爆発。

 

「なっ───!?お、【大いなる風よ】!」

 

爆晶石が赤い閃光を放った瞬間、ウェンディは半ば本能的に【ゲイル・ブロウ】を発動。

 

向かってくる爆風をどうにか相殺し、熱が過ぎ去るまで顔を手で覆う。

 

数秒後、ようやく視界が晴れる。

 

熱の余韻を感じながら、ウェンディはその爆心地へと駆ける。

 

そこには、

 

「ルイス!?ルイス、しっかりしてくださいませ!」

 

制服の至るところが焼け焦げた、ルイスが倒れていた。

 

「ルイス……ルイス!」

 

肩を掴み、必死で揺する。

 

その目には、再び涙が浮かんでいる。

 

腕に力を込め、ルイスを仰向けにして呼びかけ続ける。

 

すると、ほんの少し身じろぎしながら、ルイスが目を開けた。

 

「いっててて……。あー、どうにか生きてるか……」

「ルイス……!」

 

ほっと胸をなでおろし、ウェンディは大慌てで【ライフ・アップ】の呪文を唱える。

 

淡い光が両手から放たれ、ルイスの傷を癒していく。

 

「ウェンディ……気持ちは嬉しいが、やってる場合じゃない」

「えっ……?」

 

ウェンディの腕を掴み、半ば無理やり魔術を中断させる。

 

「傷なら平気だ。どうにか魔術で爆風の直撃は免れたし、制服には耐爆の魔術が付呪(エンチャント)してある。薬でも飲んでおけば、どうにかなるさ」

「で、ですが……!」

「平気だって。それより、早いとこグレンとシスティと合流しよう」

 

ふらつく足を踏み込み、ルイスはどうにか立ち上がる。

 

(魔力は……まだあるな。余ってるわけじゃないが、無駄遣いしなければどうにかなるだろう)

 

自分の身体の状態を確認し、制服の胸ポケットから治療薬を取り出し、飲み干す。

 

(にっが……)

 

いつも通りものすごく苦いが、その効き目は折り紙つきだ。

 

「さて、行こうか」

 

言いながらルイスが振り返ると、ウェンディがわなわなと肩を震わせていた。

 

「ど、どうした?」

 

首を傾げて尋ねる。

 

そんな彼をウェンディは睨みつけ、

 

「ああ、もう!わかりましたわ!くれぐれも、無理はしないでくださいませ!」

 

半分怒鳴るかのようにそう言って、つかつかと先に歩いていく。

 

「ああ、わかったよ」

 

なんだかんだ心配してくれていることを嬉しく思い、微笑みながら頷く。

 

「だけどウェンディ、そっち行き止まりだぞ」

「……!?わ、わかってますわ!」

 

顔を真っ赤にして踵を返す。

 

そんなウェンディに思わず微笑んでいた時だった。

 

突如、轟音とともに眩い閃光が窓から入り込んできた。

 

「きゃっ!?」

「…………」

 

驚くウェンディと黙ってそれを見つめるルイス。

 

ほんの一瞬で光は収まったが、それが終わってからも目がチカチカとする。

 

「い、今のは一体……?」

「【イクスティンクション・レイ】だ。グレンのな」

 

独り言のように呟いたウェンディに、ルイスが答える。

 

「【イクスティンクション・レイ】……!?ですが、あれはアルフォネア教授が作り出した限りなく固有魔術に近い魔術では……?」

「ああ。けど、グレンは使える。さんざん長ったらしい呪文を移動することすら出来ずに唱えて、特別な魔力触媒を使わないといけないが、グレンにはあれが使えるんだ」

 

言いながらルイスは駆け出す。

 

「ちょ、ルイス!いきなりどうしたんですの!?」

 

慌てて、ウェンディも着いていく。

 

「【イクスティンクション・レイ】は、その威力と引き換えに並みの魔術師なら即座に枯渇するレベルの魔力を消費する。それをやったグレンは今頃……」

「マナ欠乏症、というわけですの?」

「そうだ。二人が危ない。急ごう!」

 

─────────────────────

 

グレンは追い詰められていた。

 

ボーンゴーレムを一掃するのに、裏技で無理やり魔力を絞り出して【イクスティンクション・レイ】などという大魔術を使い、魔力は空っぽ。

 

そこに、その大量のボーンゴーレムの主が現れた。

 

名を『レイク』というらしいその魔術師は、五本の浮遊剣を用意してグレンの前に立ちふさがったのだ。

 

「あー、もう、浮いてる剣ってだけで嫌な予感するよなぁ……あれって絶対、術者の意思で自由に動かせるとか、手練の剣士の技を記憶していて自動で動くとか、そういうやつだよ……」

「せ、先生……」

 

うんざりとするグレンの隣で、システィーナが不安そうにグレンを見上げる。

 

「グレン=レーダス。前調査では第三階梯(トレデ)にしか過ぎない三流魔術師と聞いていたが……誤算だな」

「ざけんな。一人を完全に殺したのはお前だろうが。人のせいにすんな」

「命令違反だ。任務を放棄し、勝手なことをした報いだ。聞き分けのない犬に慈悲を掛けてやるほど、私は聖人じゃない」

「ああ、そうかい。そりゃ厳しいことで。で、なんだ?その露骨な剣の魔導器は俺対策か?

「知れたこと。貴様は魔術の起動を封殺できる────そんな術があるのだろう?」

「あら……やっぱりバレてます?」

「魔術の起動のみを封じるのであれば、最初から術を起動しておけば問題はない……行くぞ」

 

そうしてレイクが指を鳴らすと、剣の魔導器は一斉にグレンに襲いかかった。

 

「ですよね───!?」

 

左から、右から、正面から迫る刃。

 

「はぁ───ッ!」

 

グレンはそれを左拳で受け流し、右拳で撃ち落とし、体捌きでかわす。

 

五本のうち三本の剣は明らかに達人の動きで、されど自動化された機械のような動きでグレンに襲いかかる。

 

残る二本は、まるでその先を埋めるように首や心臓など、グレンの急所を狙っている。

 

「厄介な……てめぇ、まさか、両方か」

 

そう、レイクの魔導器は達人の記憶を持つ剣三本と、術者が操作する剣二本の合わせ技。

 

グレンはその先の読めない攻撃に、ひたすら受けに徹するしかなかった。

 

「だが、その満身創痍の身体でよく受ける。このまま消耗戦でもいいが、時間の無駄になるのも面倒だ」

 

言いながらレイクは右手を振るう。

 

途端、二本の手動剣のうちの一本がグレンへの攻撃を中断。

 

そして、

 

「えっ……?」

 

システィーナの方へ向かった。

 

「!?てめぇ!まさか……!」

 

グレンがレイクの思惑に気がつき、叫ぶ。

 

ここでシスティーナを攻撃し、グレンがそれを庇えば計画通り。

 

その隙に全ての剣戟を叩き込めば終わりだ。

 

例えシスティーナを助けなかったとしても、ショックから一時的に動きが鈍る。

 

そんな状態で防ぎきれるほど、レイクの攻撃は甘くない。

 

「さあ、どうする魔術講師!」

 

空を切る音とともに、どんどんシスティーナに迫る剣。

 

向かってくる凶器に、システィーナは指先を動かすこともできない。

 

一秒もすれば、その剣は自分を貫き、死にいたらしめるだろう。

 

そんな嫌な想像が、いま形になろうとしている。

 

走馬灯のようにゆっくりと見える視界。

 

叫ぶグレン。

 

勝利を確信した、レイクの表情。

 

目と鼻の先に迫った剣。

 

それら全てがを認識した、直後。

 

「やらせるわけ……!」

 

ダンッ!と強烈な踏み込み音。

 

そして聞こえる、誰よりも聞き慣れた声。

 

「ないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

システィーナの横から飛び込む、人影。

 

白と黒の双剣を握り、低姿勢による最短距離の移動。

 

レイクの手動剣がシスティーナの顔に触れる寸前。

 

「おおおおおおおおお!!」

 

咆哮を上げながら、すくい上げるような斬撃。

 

右手の白い剣がレイクの剣と衝突し、天井にはね上げた。

 

速さを取り戻すシスティーナの視界。

 

目の前に立っているるのは、

 

「良かった……!間に合った……!」

 

自らの幼なじみ、ルイスだった。

 

─────────────────────

 

「あ……ルイ……ス」

「システィ、無事か?」

「え、ええ……」

「良かった……」

 

生返事をするシスティーナに、ルイスは安堵の息をつく。

 

そして、唖然とするレイクの方に歩き出し、グレンの隣に並ぶ。

 

「……よう、ルイス。えらくボロボロじゃねえか。制服に切れ目なんか入れちゃって。ワイルド系にイメチェンか?」

「こっちのセリフだ、グレン。お前こそ肌の色が死人みたいだぞ。とうとう目だけじゃなくて、肌まで死なせたか?」

 

皮肉に皮肉で返すやり取り。

 

いつものやり取りにどちらとも無く鼻で笑い、

 

「うるせえ。黙って俺の背中でも守ってろ」

「お前が黙れよ。首を落とされないようにせいぜい見といてやる」

 

グレンとルイスは並び立つ。

 

セリカの一番弟子と二番弟子。

 

兄弟弟子同士の共同戦線の開始だった。




お気づきの方もいるかも知れませんが、タグにヒロインの名前を追加致しました

ただ、私のヒロインの定義としては『主人公に通常以上の好意を抱いている』というだけですので、最終的に交際することが確定しているわけではないので、ご了承くださいませ

タグ以外のヒロインについては、随時検討していきます

では、今回もお読みいただきありがとうございました!

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