遊戯王advance   作:さんま(北海道産)

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turn3 因縁

「きりさめ...まりさ?」

 

目の前の金髪少女はそう名乗った。

 

「あんた見慣れない格好だな、もしかして外来人か?...って聞いてもわからないか」

 

「外来人?お前何言ってるんだ?」

 

話をこちらに合わせてくれない。言葉が一方通行するのみだ。夢だというのに妙にイライラする。

 

「外来人は外から来たやつのことを言うんだ。んでここは幻想郷ていうお前がいた場所とは別の空間。」

 

「幻想郷?外から来た?」

 

多分金髪少女の説明を理解しようとするにはもっと順序立てた話じゃないと無理そうだ。

 

「あー、とりあえずさ、一つずつ話してくれないか?こう質問に答えてもらうだけじゃ俺の頭でも理解できない」

 

「あぁ、かまわんよ。それじゃ話すぜ...ってこれ霊夢の仕事じゃないのか?」

 

「あぁ?霊夢?」

 

知らない単語がポンポンと出てくる。霊夢なんて人名じゃないのか?理解できるわけがない。

 

「すまん、とりあえず博麗神社にいこう」

 

「博麗神社?」

 

次は地名。なんだよ神社かよ、その時ふと思い出したがあの時チルノがそれらしきことを言っていたような、博麗?

 

「おい、お前。さっきペンデュラムどうたらこうたらって言ってなかっ...っていない」

 

後ろを振り返ったがチルノの姿はどこにもなかった。走って行ったのなら足音くらいするし、まるで消えたようだ。

 

「氷の妖精なら飛んで行ったぜ」

 

「あぁ?飛んで行った?」

 

飛ぶように走って行ったってことか?比喩表現なのか。なんて早いやつ。仕方ないので金髪少女の方に向かい直って話を進める。

 

「んで、とりあえずどうすればいいの?」

 

「博麗神社に行くんだぜ」

 

「そう、それじゃ早いとこ案内してくれ。」

 

「了解って、お前飛べるか?」

 

耳を疑うような質問。空を飛ぶ?

 

「..飛べる?何言ってるんだ、飛べるわけないだろ」

 

すると金髪少女は予想通りといった反応で溜息をついた。

 

「...じゃあなんだ、お前は飛べるのか」

 

「もちろんだぜ」

 

そう言って右手に持った箒に跨ると軽くジャンプした。普通なら重力に引かれて同じ場所に着地するのだが、金髪少女がジャンプした後その場所に着地することはなかった。ジャンプの最高地点で浮いていた。30センチほどだったが浮いていることに変わりない。

 

「うそ、だろ」

 

「別に空飛ぶなんて普通だぞ」

 

地面に降りながらあっけらかんと言い放った。普通?何言ってんだ。生身で魔法使いのように飛べるやつが普通でたまるか。...いや待てよ、これは夢だ。もしかしたら。

 

「ウルトラスーパーハイパーな俺なら、きっと飛べるはずだぜ。」

 

「ん?飛べないんじゃなかったのか?」

 

夢なんだから驚く必要なんてなかったんだよ!金髪少女の持っている箒を奪い取り跨る。

 

「おっしゃ!見てろよー!」

 

勢いよく上に高くジャンプ...しかし何事もなく着地。クソ、もう一度だ。

 

「魔法使いでもないんだし、お前には無理だよ」

 

もう一度っておわ!着地に失敗して左に崩れる。一回転した後仰向きに空を見上げる形となった。背中に小石がめり込んだのか所々痛い。

 

「リアルで夢のない夢だ...」

 

上半身だけ起き上がって服についた土を払う。払いながらふと気づく。痛み?夢の中って痛みはなかったはずだ。試しに頬を抓る。...痛い。

 

「夢...だよな」

 

「夢?何言ってんだ。そんなわけないだろ」

 

夢じゃない?ならここは本当に。そうだ、痛みがあった。夢じゃない!慌てて金髪少女に詰め寄る。

 

「おい!ここがどこだか知らないが早く俺を元の世界に返せ!とっとと!」

 

「待て待て、それを含めて博麗神社に行かなくちゃいけないんだ」

 

「なら早く連れて行け!」

 

「そんな無茶苦茶な」

 

無茶苦茶もなんでも早く帰らなねぇと武者修行の意味がなくなっちまう!こうしてる間にもあいつはどんどんとプロの世界で活躍する。

 

「飛べなきゃ、歩いていくしかないかな。結構時間かかるぞ」

 

「くそ、仕方ねぇ」

 

時間かかるのかよ....ん?待てよ、さっきデュエルディスクで普通にデュエルした。ならデュエルディスクが使えるということだ。

 

「なんだ、空を飛べるじゃないか」

 

「え?本当なのか?」

 

デュエルディスクのデッキからカードを引く、よし。

 

「んじゃ早く案内してくれ、ファンキーコメディアン召喚」

 

目の前に現れたのはファンキーコメディアン。うちの劇団のコメディー担当だ。背中に掴まると金髪少女に合図をした、しかし目を丸くしてこちらを見ていた。

 

「驚いた。外の世界はそんなデュエルディスク使ってるんだな」

 

「あ?お前らのデュエルディスクにはリアルソリッドビジョンねぇのかよ?」

 

「映像は出るが触れることはできない、だから驚いてるんだぜ」

 

さっきのチルノとかいうやつとは、よく違うデュエルディスクのタイプだったのにデュエルできたものだ。金髪少女は箒に跨り完全に浮いていた。

 

「ついて来いよ、行くぞ」

 

「おう!ついていけ!ファンキーコメディアン!」

 

箒を追いかけて、青い空を横切った。

 

 

 

 

 

「ついたぜ...って大丈夫か?」

 

「はぁはぁ、落ちるかと思った...テメェ!もう少しスピード落せよ!」

 

神社の境内、本堂の前でへばる俺を尻目に箒を眺める金髪少女、こいつの箒での移動は予想以上に早かった。ファンキーコメディアンでのスピードには限界がある、その限界ギリギリで飛んだものだから何度か落ちそうになった。

 

「へへ、すまないな」

 

「人の神社で何騒いでるの?」

 

本堂から出てきた巫女服の少女、特徴的な紅白の巫女服で脇が丸見えだ。

 

「お前が、博麗か?」

 

「初代面なのに名前知ってるなんて、まぁその身なりを見ればわかるわ。外来人ね」

 

「お、霊夢。当たりだぜ」

 

はぁ〜と巫女はため息をつく。こうしちゃいられない、早く元に戻してもらわねぇと。

 

「おい!お前が元の世界に戻してくれると聞いたぜ、なんなら今すぐ戻してもらおうか」

 

「....ねぇ、その前に少し見て欲しいものがあるんだけど」

 

「あぁ?なんだよ」

 

巫女が取り出した一枚のカード。それは忘れもしない、因縁のカード。絶対に倒したいと思っているあいつのエースモンスター。

 

「オッドアイズ...ペンデュラムドラゴン?」

 

そこにあったのは、紛れもないペンデュラムドラゴンだった。


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