劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel] Ⅱ. lost butterfly」を観ました。
何かもう凄かったです(語彙力消失)
なので劇場で観ろ(命令形)
そして、投稿が一ヶ月以上開いてしまい、申し訳有りませんでした…次回もいつになるか分からず、大変情けない限りです…m(__)m
自戒の為、プロシュート兄貴の言葉を刻みつけておきます。
オレたち
そこら辺の
仲よし
「
大口叩いて仲間と心を
なぐさめあってるような
負け犬どもとはわけが
違うんだからな
「
心の中で思った
ならッ!
その時スデに
行動は終わっているんだッ!
「さあ――奪わせて貰おうか、ギャラルホルン」
宇宙海賊「夜明けの地平線団」の首領、ゾレイ・サルガタナス。
真紅のモビルスーツ、ガンダム・レラージェを駆り、月と火星の間で散らばって活動していた全ての宇宙海賊を圧倒的なカリスマ性と戦闘能力を以て束ね上げ、一つの巨大宇宙海賊組織「夜明けの地平線団」を結成せしめた「朝陽の男」である。
その出自、力の理由、動機などは一切不明。
ただし、月外縁軌道統制統合艦隊「アリアンロッド」司令官アビド・クジャンは、この男をこそ「私の命の全てを賭けてでも打倒すべき者」と称している。
そんなゾレイ・サルガタナスは、パイロットスーツすら着けずにガンダム・レラージェのコクピットに乗り込み、後続のガルム・ロディの三倍の速度を出してギャラルホルン監査団のハーフビーク級に急速接近をかけて来ていた。一撃離脱の為に背部にブースターユニットを装備する、ガンダム・レラージェの大出力、その本領発揮である。
『夜明けの地平線団首領、ゾレイ・サルガタナス――「朝陽の男」が来るぞ…!』
『全艦砲撃用意! MS隊は、ガンダム・レラージェを取り囲め!』
MS部隊は残存した敵の第二波を無視し、接近するガンダム・レラージェに対して艦の防備を固める為に機動する。
そんな中、それぞれシュヴァルベ・グレイズを操るディジェ・バクラザンとトリク・ファルクは、いささか出遅れていた。
「ガンダム・フレームが出て来やがるとは――まずくねぇか、これ?」
「ああ、まずいな。夜明けの地平線団の艦総数三十隻に対し、たった三隻だったから油断した。まさかあの三隻が、首領の率いる艦隊だったとは」
あの機動を見た時、ディジェとトリクには分かった――とてもじゃないが、シュヴァルベ・グレイズで対抗出来る敵ではない。
アビド・クジャンが精鋭部隊を貸し出し、ネモ・バクラザンとエレク・ファルクがガンダム・フレームを持たせようとした理由――それがアレだ。アビド・クジャンは、あの「朝陽の男」ゾレイ・サルガタナスをこそ、恐れていたのだ。
「ともかく、対応するしかねぇな…やるぞ。母艦を沈められる訳に行くかよ」
「無論だ。今ある最善を尽くさねば、あの敵は退くまい」
ディジェとトリクのシュヴァルベ・グレイズがスラスターを吹かし、母艦の直衛に当たるべく機動する。
だが、少しばかり行動が遅かった。
『避けろ御曹司!』
「何だt――がッ!?」
ディジェのシュヴァルベが、背中からガンダム・レラージェの猛烈な蹴りを受けた。音速で突っ込んで来たレラージェに蹴られたコトで、ディジェのシュヴァルベは彼方へと吹き飛ばされ、小惑星に激突する。
「貴様――ッ!?」
ディジェのシュヴァルベを蹴ったコトで停止したレラージェに、トリクのシュヴァルベがスナイパーライフルを向ける。
だが、レラージェが放出していたワイヤーブレードがスナイパーライフルの銃身を切断した為、トリクのシュヴァルベはスナイパーライフルを手放す。同時に腰背部のバトルハンマーを握り、レラージェに向かって突撃する。
「遅いな」
振り下ろされたバトルハンマーを華麗に避け、レラージェはワイヤーブレードで、トリクのシュヴァルベのバックパックを斬り裂いた。バックパックが暴発し、トリクのシュヴァルベはそれに乗じて退避する。
「…ん?」
続いて右腕に保持したロングライフルを二機のシュヴァルベに向けようとしたレラージェだったが、ハーフビーク級宇宙戦艦からの砲撃を受けて、再び高速機動を開始した。当然のように艦砲射撃とミサイル、MSからの射撃を避けながら、レラージェはハーフビーク級との距離を詰める。
『撃ちまくれ、接近させるな!』
『MS部隊、迎撃! 迎撃しなさいよ!』
『ディジェ機とトリク機は何処だ!?』
『回収は後でする! 今はガンダムを迎撃しろ!』
レラージェの接近に伴い、MS部隊が近接武装を持って格闘戦を仕掛ける。
まず、グレイズの一機がバトルアックスを振り下ろすが、これはワイヤーブレードで一蹴。次の機体をロングライフルで牽制し、背後の三機目にはブースターを吹かせて攪乱し、再び加速。
これによりMS部隊の包囲網を突破したレラージェは、ハーフビーク級の底部に回り込み、ロングライフルをMSカタパルトに向ける。
「やらせねぇよ!」
ロングライフルを構えたレラージェの右腕に、ディジェのシュヴァルベが放ったワイヤークローが組み付いた。
「ほう――」
「おらァァ!!」
そしてワイヤーを巻き取りながら、バトルスピアーを両手で保持したディジェのシュヴァルベが突撃する。この槍による一撃を、レラージェは左腕の袖からせり出させて左手に持った、ハンドナイフで受け止めた。
「テメェ、何の用でオレ達を襲いやがった!?」
「ふ――他愛も無い個人的な理由だよ。それをキミに教える義理は無いな」
「ああ、そうかい!!」
ディジェのシュヴァルベは槍を振り切り、レラージェにハンドナイフを取りこぼさせる。続いて槍を引いて突き出そうとした所で、ディジェのシュヴァルベは横からワイヤーブレードの一撃を受け、レラージェの右腕に取り付いていたワイヤークローも、同時に切断された。
「クソがァ…ッ!」
レラージェが右腕のロングライフルを、ディジェのシュヴァルベのコクピットに照準する。ディジェはシュヴァルベを後退させて避けようとするが、間に合うタイミングではない。
レラージェのコクピットに座すゾレイが、レラージェに引き金を引かせようとした――その時。
漆黒の大質量物体が、レラージェの横側から衝突した。
「チ――!」
吹き飛ばされたレラージェのコクピットで、ゾレイは初めて舌打ちした。しかし流石の反応速度で瞬時に体勢を立て直し、ロングライフルを撃つ。
「効かん!」
だが、たかが口径三百ミリのライフルでは、その塊が纏うナノラミネートアーマーを破壊するコトは出来ない。レラージェの放った弾は装甲の表面に軽く火花を上げて終わり、
「アレは…!」
レラージェから離れるシュヴァルベ・グレイズのコクピットで、ディジェは本日二度目の驚愕を覚える。漆黒の装甲の塊は、ただの大質量ではなく――一機のMSだったのだ。
漆黒のカウルとも言える鎧を全身に纏った、重量感に満ち溢れた力強い姿。攻防一体で隙が一切存在しない装甲の隙間で、ツインアイを輝かせる機体。
ASW-G-71 ガンダム・ダンタリオン。
ギャラルホルンの名家にして月、火星間の往還航路の管理を担う「ザルムフォート家」が保有する、ガンダム・フレームのMSである。
「アビド・クジャン公からの要請を受け、参上しました。ジルト・ザルムフォートと申します。
お下がりを、ディジェ・バクラザン特務三佐。ガンダム・フレームの相手は、ガンダム・フレームが受け持ちます」
「――!」
新たなるガンダム・フレームの介入。これを受けて、いよいよゾレイには余裕が無くなった。
ガンダム・フレーム十四番機のガンダム・レラージェでは、ガンダム・フレーム七十一番機のガンダム・ダンタリオンに対して有利とは言い難い。加えて、これまでの戦いでかなり推進剤を消耗してしまっている。
「此処までだな――動ける者は撤退しろ」
ブースターを吹かせてレラージェは上昇し、そこから方向を転換して、高速で戦闘宙域を離脱して行った。MS部隊と交戦に入っていた夜明けの地平線団の第三波も、首領であるゾレイ・サルガタナスの撤退に合わせて、次々と戦闘宙域を離れて母艦へと帰投して行く。
『敵であろうと、遭難者は救出しろ。同時に損傷した味方機を回収し次第、速やかに火星に向けて出航する』
ハーフビーク級宇宙戦艦艦長のキュル・ミュンヘンは、そう指示してから通信を切った。
出航から五日にして、夜明けの地平線団首領の襲撃を受けた監査団。これからも難が続くかと考えると、ディジェとトリクは溜め息を吐かざるを得なかった。
◇
戦闘の後始末は滞り無く済み、ディジェとトリクが率いる監査団のハーフビーク級宇宙戦艦は、ジルト・ザルムフォートが連れるザルムフォート家直属の精鋭部隊が乗るハーフビーク級と合流。二隻に増えて最低数の艦隊になった監査団は、変わらず火星への進路を取っていた。
「――と言うのが、戦闘の顛末となります。襲撃して来た『朝陽の男』ゾレイ・サルガタナスの率いる『夜明けの地平線団』により、MS隊にも被害が出てしまいました。全ては、私の判断の誤りによるモノ。
誠に申し訳ございません、アビド様」
惑星間レーザー通信網「アリアドネ」を用いた通信で、艦長のキュル・ミュンヘン一佐は、アリアンロッド艦隊司令官アビド・クジャンに謝罪を行っていた。アビドより預かった部隊に損害を出してしまったコトを、キュルは誰よりも恥じていた。
しかし、アビドがキュルを責めるコトは無い。
『悔いるコトは無い、キュル。むしろ、よくぞこの程度の被害で抑えてくれた。あの男と艦艇一隻のみで戦り合って、生き残ったコトこそを誇るが良い』
「は、温情ありがたく」
再び、深々とキュルはアビドに頭を下げた。そんな中、アビドは顎に手を当てて思案する。
『しかし、そうか――ただ「夜明けの地平線団」に捕捉されるだけでなく、ゾレイ・サルガタナス自らが出て来るとはな。流石に、ここまでの事態になるのは予想外だ。
ザルムフォート家に連絡したのは功を奏したようだが、奴が本気で攻めに来たのでは、今度こそ沈められるだろう。――こちらでも対抗措置を取る。今は監査の為、予定通り火星に向かってくれ』
「は」
そこで、アビドとの通信は切れた。しかし、それを端から見守っていたジルト・ザルムフォートは、少し納得が行かない様子だ。
「この状況で任務を遂行しろとは、クジャン公は随分と薄情ですな」
「いえ。アビド様が対抗措置をお取りになると仰られた以上、我々が夜明けの地平線団を警戒する必要は無い」
キュル・ミュンヘンは、アビド・クジャンに全幅の信頼を置いている。それはもう、一種の信仰とさえ言えるほどに。
(火星まで後十日、監査に一週間として――ディジェ・バクラザンとトリク・ファルクが地球に戻るまで、一ヶ月弱。それまで、何も無ければ良いのだがな…)
◇
ディジェ・バクラザンとトリク・ファルクは、MSデッキに集められた捕虜達を見に来ていた。
戦闘後の始末で保護した夜明けの地平線団のパイロットは、全部で五人。しかし、その全員が年端も行かぬ子供だった。
縛られて座り込む子供達にディジェは歩み寄り、しゃがんで視線を合わせ、問う。
「お前ら、何で海賊なんかやってやがった? 家族はどうしたんだ?」
「――!」
その問いは、そこに集った子供達の神経を的確に逆撫でる、最低の煽り文句とさえ言えるモノだ。だが、ディジェにそのつもりは無い。
子供達の一人が歯を食いしばり、ディジェに向かって叫ぶ。
「家族なんかいねぇよ! 俺たちは『ヒューマンデブリ』なんだからな!!」
「――ヒューマン、デブリ…?」
その言葉に、ディジェは聞き覚えが無かった。思わず「?」を浮かべたディジェの態度が気に食わなかったのか、その子は怒りを孕んだ声でディジェに噛み付く。
「ああ、そうだよ!! 人間のゴミさ!! クソみてぇな値段で売り買いされて、阿頼耶識とか言うのを植え付けられた、使い捨ての道具だよ!!」
「なん――だと…?」
ディジェはその言葉で、大きな衝撃を受けた。その様子を見ていたトリクは、心の中でこう思う――
(ディジェの奴、大丈夫か?)
――と。
口調こそ粗暴だが、ディジェ・バクラザンと言う男は心優しい男だ。子供の頃から捨てられた子猫がいれば家に連れて帰り、自分で世話をしようと思うも次期当主は多忙の為、結局は使用人に任せるコトになると「自分で世話しきれず、使用人の仕事を増やしてしまった」と悔いるような男である。
次期当主にして一人息子であるディジェは幼い頃から学業と訓練で過密スケジュールを送っており、いつもディジェの拾ったペットを世話する使用人は大の動物好きである為、ディジェに感謝までしていると言うのに――ディジェは昔から、後悔から自分を責める気概が有る。
だから、最低限優し過ぎる故のヘタレにはならないよう、ディジェの父親であるネモ・バクラザンは一計を案じ――とりあえず戦闘の時は切り替えて、相手の機体を落とすコトが出来るような性格になるよう、ディジェを育て上げたのである。
そんなディジェがヒューマンデブリの存在を知れば、間違い無くそれまでヒューマンデブリを知らずにのうのうと生きていた自分を責め、セブンスターズと言う立場を使って現行体制を改革しようとするだろう。
だが、基本的に「ヒューマンデブリ」などと言うのは、セブンスターズ――ひいてはギャラルホルンによる支配体制には、一切関係の無い存在だ。当主となってセブンスターズ会議で「ヒューマンデブリを禁止すべきだ」と提案した所で、三百年の間に腐敗し、自らの利権のみで動くようになったセブンスターズが取り合う訳も無い。それは、トリクが当主となった際に共に提案しても変わらない。
現状、ディジェ・バクラザンがヒューマンデブリについて出来るコトは無い。ディジェがヒューマンデブリに対し、何かしらの働きかけが出来るようになるとしたら、それはギャラルホルンと言う組織――否。
世界をひっくり返せるほどの何かが起き、現行の支配体制が崩壊した時だけだろう。
そして、ディジェはバカではないし、アホでもない。そんなコトは、ディジェ自身が良く理解している。
「――トリク。テメェは知ってたのか、ヒューマンデブリを」
結局捕虜達に何も言えず終わり、逃げ出すように離れて見ていたトリクの側まで戻って来たディジェは、すれ違い様にそう聞いた。対するトリクは、素直に答えた。
「知っていたよ。だが、それを知ればお前は、悪戯に自分を責めるコトになるだろう」
「…そうか」
力無く、ディジェはその場を立ち去った。残されたトリクは、ヒューマンデブリ達を見据える。
(――彼らのコトを知り、それで何も思わなかった私も私だろうがな)
トリク・ファルクは、基本的に無慈悲な男だ。その点、ディジェ・バクラザンとは真反対と言える。ヒューマンデブリについて知った時も、自分に関係無いから、と感情は揺れ動かなかった。
そんなトリクが、何故ディジェ・バクラザンをここまで気に留めるのか――それは、トリク自身も含めて、誰にも分からないコトだった。
◇
月外縁軌道統制統合艦隊こと「アリアンロッド」のアビド・クジャン司令は、腹心であるキュル・ミュンヘン一佐に述べた通り、本格的に「夜明けの地平線団」に対する対抗措置を打ち出した。
書き並べれば、以下の通りである。
自らが指揮するクジャン家の戦艦にしてアリアンロッドの旗艦たるハーフビーク級宇宙戦艦「フギンムニン」と、ラスタル・エリオン准将の指揮するエリオン家のスキップジャック級大型戦艦「ファフニール」を用いた、五個艦隊、艦艇三十二隻から成る討伐艦隊の組織。
ギャラルホルン本部「ヴィーンゴールヴ」内の第四格納庫に保管されていた兵器「ダインスレイヴ」の、セブンスターズ会議で使用を可決させた上での持ち出し。
同時にクジャン家とエリオン家のガンダム・フレームの、ギャラルホルン本部「ヴィーンゴールヴ」内にある「バエルの祭壇」からの持ち出し。
それら全てを擁し、討伐艦隊を出航させたコト。
以上の四つである。
たかが宇宙海賊の一組織を撃破するには過剰戦力ではないか、と思われたが、アビド・クジャンの無駄を嫌う果断に富んだ性格は周知の事実であった為、大っぴらに異議を唱える者は無かったと言う。
この報を受けた「夜明けの地平線団」首領のゾレイ・サルガタナスは、月、火星間のデブリ帯、暗礁宙域に広く分布した夜明けの地平線団所属の艦隊を全て集結させた。集結した艦艇の数、およそ三十隻以上。
月外縁軌道統制統合艦隊と夜明けの地平線団は、まさしく一触即発の対決姿勢を顕在化させた。
このコトから、夜明けの地平線団にはたかだかハーフビーク級二隻の監査団を相手にしている暇と余裕が無くなり――ディジェ・バクラザン特務三佐、トリク・ファルク特務三佐の率いる火星支部監査団は、無事火星支部本部となる衛星基地「アーレス」に到着した。
――おかしい、何故ここまで大規模な話に…?
ここまで長大化するとは思っても見ませんでした。
後二話くらいはかかりそうですね、これ。
そんな訳で、今回は月鋼キャラと機体の解説。
ジルト・ザルムフォート
男性
月、火星間の往還航路を管理するギャラルホルンの名家「ザルムフォート家」の当主。
初出は外伝となる「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 月鋼」。
ASW-G-71 ガンダム・ダンタリオン
ギャラルホルンの名家「ザルムフォート家」が所有する、ガンダム・フレームのMS。
シンプルな本体の他に「ハーフカウル」なる追加装備が二種類有り、それらを組み換えるコトであらゆる環境、戦局に対応するコトが可能。
本作での初登場時は、二つのハーフカウルと「アイギス」と呼ばれる盾を全て装備した「パーフェクトカウル」形態になっている。
初出は「ガンダムトライエイジ」で、後に「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 月鋼」に登場した際、ハーフカウルなどの追加設定が明かされた。
ついでに。
なんかノリで作った奴を貼っておきます。
模範解答、並びに解説は活動報告にリンクを置きます。
【挿絵表示】
【挿絵表示】
次回「開戦」