鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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一年ぶり(誤差一切無し)の投稿。
内容は皆様へのお知らせとお願い、それと未投稿の超短編を二つ、最後に書き下ろしの番外編となります。
かなり内容が濃い&長いです。
一年ぶりなんで仕方無いんです、ご了承下さい。

あ、活動報告との同日更新となっています。
手短に要件のみ知りたい方は、そちらへどうぞ。
時間に余裕の有る方は、このままお進み下さい。

活動報告リンク↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=202085&uid=169600


その他
お知らせとお願い&番外編


聞け、閲覧者(ギャラルホルン)の諸君!

今、三百(いち)年の眠りから、マクギリス・ファリド(アグニカ・カイエルの威光)の下に!

アグニ会幹部(バエル)は蘇った!!

 

 

と、言う訳で。

皆様、お久しぶりでございます。

三百年(一年間)の休暇を充分に楽しんだアグニ会幹部、NTozと申す者です。

この一年でTwitterでも遊び始めました。

基本的に下らないコトばっか呟いてますが、構ってもらえると喜びます。

また、投稿した場合の通知とかもします。

リンクはユーザーページにございますので、よろしければどうぞ。

 

 

まずは宣伝とダイマから。

現在、みっつーさんが本作の三次創作となる「機動戦士ガンダム テイワズの狙撃手」なる作品を連載中です。

より正確に言うなら「本作の設定を使用している作品」なので、三次創作とはちょっと違うかも知れませんが。

今作のif世界線、と言うべきですかな…?

本作に大量登場するガンダムの中にも在る、ガンダム・アンドラスが主人公機に据えられています(と言うか、アンドラスの案を出してくれた人がみっつーさんなんですけど)

粗削りな感じは有りますが、今後現代と三百年前をどう絡めてくるか個人的には楽しみにしていたりします。

アグスヴァがハッピーエンドを迎えた世界線なのが私的にはポイント高いです。

よろしければどうぞ。

 

後、現在公開中の「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」を一週目に観て来ました。

非常に面白かったです。

少なくとも、帰り道に主題歌CD(アニメ盤)を速攻で買ったくらいには。

まだ観ていない皆様は、是非観に行って下さい。

複製原画はシャアの再来の失敗作(ゾルタン・アッカネン)と一緒に、ユニコーンタイプ三機とネオ・ジオングが揃いました。やったぜ。

私はゾルタン好きです。かわいい(錯乱)

リタちゃんはもっとかわいい(確信)

 

 

さて。

挨拶&宣伝&ダイマはここまでにしまして、早速本題へと入りたく存じます。

 

まず、一つほど皆様へ謝罪をば。

一年前の後書きにて、私は「読み専に移ります」と発言致しましたが――

 

 

ウソでしたすいませんでしたァ!!!

 

 

終わる終わる詐欺でした。どこの銀魂だよ。

そして、この謝罪は「これ書いてるなら読み専じゃねェよな」と言うコトを意味している訳ではございません。

 

「新作、投稿します☆ テヘペロ♥」と言うコトを意味しております。

 

本当にすいません。

すまない…読み専に移るとか言っておいて、新作投稿する気満々になってて本当にすまない…

 

ちゃうねん(言い訳開始)

今なお多くの人が鉄血二次創作をやってて、それが大概面白い上にアグみを感じてバエらざるを得ない奴なのが悪いねん。

全く、何故皆様はあんな素晴らしい物を書いてしまわれるのか(いいぞもっとやれ。どうかやって下さいお願いします)

 

そんな訳で、新作を投稿したいと考え、既に様々な準備を進めております。

「何だよ宣伝かよ、前作巻き込まず勝手にやってろよ」と思われたそこのアナタ――無論、そんなコトは私も百も承知ですし、全面的に同意します。

ただ、今回に関しましては、どう足掻こうと「鉄華団のメンバーが1人増えました」――略して鉄メン(二秒で考えた略称)に触れざるを得ないのです。

 

 

新作は題して、「厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-(仮)」。略称募集中。

今作にて行いました「過去編(厄祭戦編)」を、原作設定に合わせて再構成するモノです。

 

 

これをやろうと思った理由は、二つ有ります。

前々から、「厄祭戦、単品で上げた方が良かったんじゃ…」などの意見を頂いていたコトが一つ。

もう一つは、単純に私がアグみを感じてバエりたい衝動を発散したいからです。

 

二つ目は説明を省きますが、一つ目は頂いた際、大いに共感した意見です。

ご存知の通り、本作の厄祭戦編は全話の三分の一にも及ぶ長さです。

ここまでオリジナルが長くなると、原作再構成だから~と言う前提で読むと、認識がズレて来ると思います。

そのような点から、100%オリジナル展開モノとして単品で投稿しろ、と言う意見は至極ごもっともだと思います。

しかし、これは単純に厄祭戦編を切り取って上げれば良いと言う話ではありません。

 

今作の厄祭戦は、多分な設定改変要素とオリジナル設定要素から成り立っております。

そしてその要素を支える為に、厄祭戦編に至るまでの話に含まれるオリジナルが一役買っています。

これが無くなると、独立しているオリジナル設定はともかく、原作からの設定改変部分が破綻します。

 

厄祭戦編の根底にも影響している設定改変要素が成り立たなくなると言うコトは、物語を支える設定の根幹が崩れ去ると言うコト。

これを避ける為には、原作設定に合わせて設定改変を全て無くした上で、改めて基礎から物語を組み立て直す必要が有ります。

 

こうなると、設定面を中心として、ほぼ全ての部分を作り直すコトになってしまうのです。

連載中、連載終了直後の私に、一度作ったモノをもう一度作り直すような気力は有りませんでした。

 

しかし、連載終了からそれなりの月日が経過し、私にもモチベーションと言うモノが戻って来ると同時に――本作の至らない部分が、少しずつ見えて来るようになりました。

それを良くなるように修正し、なおかつ設定全てを見直して物語を一から組み立て直す。

書き表せば大した文量では有りませんが、経験則(と言えるほどのモノではないかも知れませんが)から、これが如何に面倒臭い作業かは推し量れました。

 

原作設定の完璧な把握。

本作の設定と、原作設定との齟齬の洗い出し。

原作設定に合うような物語の展開を考え、不足しているオリジナル設定を作り出し、更にそれを物語に組み込む。

これらが、厄祭戦編の単品化には必要です。

二次創作を書いたコトの有る皆様になら、これの面倒臭さは理解頂けるかと思います。

正直、膨大な原作設定を遵守しつつオリジナル設定を加えながら作ろうなんて正気の沙汰ではない、と自覚しております。

 

 

しかし!! アグニ会幹部に()()()()()()()ッ!!!

全ては再び、アグニカ・カイエルの英雄譚を創り上げる為ッ!!!

その崇高な行為を成す為ならば、如何なる努力も苦労も時間も友情も愛情も現実も惜しんではならないッ!!!

 

 

単純に「アグニカの英雄譚」になるとは思えませんが――成し遂げる覚悟は、とうに出来上がっております。

私は別に「これに立ち向かう俺すげーだろ?」などと、自慢話を弄しようとしている訳ではございません。

全てはアグニ会幹部と言う肩書きを預かる者としての義務であり、責任である(謎の信念)

 

ただ、友情は大切にしようと思います。

非リアなんで愛情は知りませんしそもそも要りませんけど、友人と呼べる奴らがいるので。

現実はどうでも良いです。クソゲーは放棄安定。

 

まあ、物語の創りやすさを優先して、設定改変を是としたコトを良いコトに好き勝手設定を変えて創ったツケが回って来た感じですね。

もうちょっと原作を尊重して物語を創っても良かったんじゃね、と反省はしております。

後悔はしていない。反省点は有れど、私は本作で厄祭戦を書いて良かった、と心から思っている。

 

 

そんな訳で。

厄祭戦、改めて書きます。

 

本作の厄祭戦とは展開が重なる部分も有りますが、本文の引用は一切行いません。

同じシーンであっても書き直しますので、百パーセント新規でお送り致します。

 

また、今作の厄祭戦編は「アグニカが喋ってる」と言う前提条件が有った為、物語に最低限必要な部分(ガブリエルとルシフェルの会話など)を除けば、アグニカの知っている範囲内でしか描かれていませんでした。

新作ではその縛りが無くなりますので、他キャラの細かな内面描写やアグニカの介在しない話、知る由も無い話も好き勝手増やせます。

描写や表現の自由度は上がってますが、これに伴って物語が長大化する未来がありありと見えますね。

少なくとも、なかなかの長丁場になるコトは想像に難くありません。

 

とりあえず頑張りたいと思いますので、お付き合い頂けると私が大変喜びます。

どうぞよろしくお願い致しますm(__)m

 

 

 

 

お願いと言うのは、この新作に関わっています。

本作では、厄祭戦を描く為に必要な機体の案(一部キャラクター)を、有志の皆様から募集させて頂いておりました。

故に、これらの案を元に作られているオリジナル機体が、非常に多く存在しております。

 

 

お願いとは、皆様の案を元に作った設定を、新作でも使わせて頂きたいと言うコトです。

 

 

パイロットの変更、設定の見直し、所属組織の変更なども行っておりますが、どうか使用許可を頂きたく存じます。

場合によってはデザインを描き起こし、イラストとして提示するかも知れません(オリジナル機体の増加による、戦闘シーンのイメージ構築の難航を少しでも軽減出来れば…と言う目論見が有ります)

それについても、お許し願いたいです。

全部ではない、と思いますが…(と言うか全部は多分無理です死にます)

 

大変厚かましいお願いであるコトは、重々承知しています。

ですが、どうか――どうにか、皆様のご理解ご協力を頂きたく思います。

お願いします、お願いします、お願いします!

カッコ良い機体案を新たに数十機分出すとか絶対に無理なんで、どうかお許し下さい…!!(土下座)

 

 

ちなみにデザイン例↓

 

【挿絵表示】

 

次作用に作りましたが、両方とも今作にも登場している機体です。

どちらも、私が一から設定を作っている機体となります。

 

予想した方には30AP、片方の名前を当てた方には80AP、両方とも正解された正真正銘の猛者(ニュータイプ)には250APを進呈。

アグニカポイントを貯めたい方は、是非とも頑張って下さい。

ガンダム・フレームの方はともかく、ヴァルキュリア・フレームの方は凄まじく難度が高いです。

設定が変わりすぎてる(武装すら全て違う)ので…。

当てた人はニュータイプ(断定)

 

 

この厄祭戦ssの初投稿は、2019/4/3 22:45を()()しております。

あくまで予定ですので、変更される場合もございます。

とりあえず、一月六日の鉄血イベントが終わらないと何とも言えません。

現状、予定(変更の確率が高いモノ)となっていますので、ご理解下さいませ。

 

 

お知らせとお願いは以上となります。

それでは、未投稿だった「アグニ会結成まで」の原文と書き下ろしのギャグ番外編「バエルを手に入れたマクギリス」をどうぞ。

 

いつぞや挿絵(?)として描いた「アグニ会結成まで」の原文は「私が分かれば良いや」と言う精神で書いた奴なので、本編とはまた違った感じを受けますね。

大分前に書きましたが、一切の修正をせず、そのままで投稿しておきます。

 

書き下ろしの方は、完全な深夜テンションで書いたギャグ番外編です。

設定とか時間軸とかを気にしては行けません。

これと言った主題(テーマ)も有りません(オイ)

本編とは切り離して、お祭り番外編としてご覧下さいますよう、心から切実にお願い申し上げます。

 

 

   ◇

 

 

 

 

アグニ会結成まで ①

 

 

「アグニカのファンクラブが必要だと思うの」

 

と。

「四大天使」ウリエルを討伐し、火星のMAを掃討して地球へ帰っている中でスヴァハ・クニギンは言った。

それに対し、聞いた側は「は?」と返すしか無かった。

 

「――とにかくだ、スヴァハ。何故その結論に至ったかを説明してくれ、惚気無しで」

「の、惚気なんかじゃないよ!? あくまで客観的に考えた上の結果だよ!」

 

そう言った上で、スヴァハは「アグニカファンクラブを創るべき」と言う言葉について説明を始めた。

 

「ウリエルを討伐したのは、アグニカの功績が大きいじゃない?」

「――まあ、一理有るわね。ロブを説得して連合軍に参加させたり、開戦時に演説をしたり、ウリエルに隙を作るばかりかトドメまで刺したり。今回のウリエル討伐戦に於いて、アグニカが重要な立ち位置にいる事は否定しないわ」

「俺も、カロムの意見には賛成だ。あの演説は、ニュースでも取り扱われたしな。アグニカがバエルで特攻してウリエルの気を惹き付けていなければ、連合軍は全滅していた可能性も否定は出来ない」

 

カロムとフェンリスの言葉に頷いて、スヴァハはこう繋げた。

 

「アグニカが有名になった以上、ファンとかも出て来る訳じゃない? だから、敢えて公式でファンクラブを創設すべきだと思うの」

「――何故そこで、ファンクラブに行き着くんだ。そもそもスヴァハ、本人の許可は?」

「取ってないけど――まあ、大丈夫でしょ」

「彼女サマ余裕スギィ!?」

「待て。名前は?」

「『アグニ会』」

『直球!?』

 

そんな感じの会話を部屋の外から聞きつつ、アグニカはため息を付き。

 

 

「――何故こうなった」

 

 

と、頭を抱えるのだった。

 

 

   ◇

 

 

 

 

アグニ会結成まで ②

 

 

P.D.0001年。

俺がターミネーターみたくなって復活し、それから初めてのセブンスターズ会議が開かれた。

 

「――『ギャラルホルン』の組織体制については、もう仕方ないので諦めよう。とりあえず、俺は聞き手に徹しとく」

 

俺は机を挟んでイシューの椅子の反対側にふんぞり返りつつ、そう言って抹茶を飲んで顔をしかめる。

この抹茶は、カロムが用意した物だ。

 

「分かった。では、セブンスターズ会議を始めよう。最初の議題は、アグニカ・カイエルのファンクラブ。通称『アグニ会』についt」

「さっきの取り消し。ちょっと待て」

 

前言をあっさり撤回し、俺は会議に乱入した。

 

「オイアグニカ、聞き手に徹するんじゃなかったか」

「いや、乱入するだろそりゃ。聞き捨てならんセンテンスが聞こえてきたんだが。今なんつった、ドワーム」

 

眉間を押さえながら、俺はそう問う。

 

「んん? そんなにおかしい事を言ったか? ではもう一度繰り返そう。最初の議題は、アグニカ・カイエルのファンクラブ。通称『アグニ会』n」

「ちょっと待て、ちょっと待てや。マジ? マジで言ってんのそれ? そんな下らない事で最初の議題潰すん? と言うか、何『アグニ会』って」

「ほう? アグニカ、お前はあの言葉を忘れたのか?」

「どの言葉だ」

 

フェンリスの後に、カロムが続く。

 

「『アグニカのファンクラブが必要だと思うの』――スヴァハちゃんの意志を継いだだけよ」

「うん。スヴァハを大切に思ってくれるのは嬉しいんだが、それは継がなくてもよくね?」

「お前がなんと言おうと、この議題を今回最初の議題にする事は前回に決まった事だ。諦めろ」

 

至極真面目な口調でリックが言うが、クソ真面目にフザケた事言われるとシュール過ぎて逆に草がバエるんだよなあ。

 

「俺がターミネーター化手術受けてる間にどんな会議してたんだよお前ら、真面目にやってた?」

「失礼だな、前回は戦力開発を進めていた事が内部リークでバレたオセアニア連邦への対応を会議した」

「すまなかった許してくれ」

 

思ったより真面目だった。

前回の会議はほんの数日前だったので、そこまでの議題は無いと言う事か。

 

ナメててすまん。

何せ組織体制作りでコケた奴らだから、政治では信頼してなかった。

まあ、昨日まで前線で戦ってた奴らに「今日から政治しろ、世界レベルで」なんて言うのは無理難題だと分かってるし、むしろよくここまで形にしてくれたモンだが。

 

「とにかく、本日の議題はアグニ会の方針と特別グッズの内容決定だ」

「何でもう設立確定してるんだよ、方針って何する気だよ、そも特別グッズって何だよ!?」

「じゃあ、方針から詰めて行こう。アグニカのファンクラブなんだから、とりあえずアグニカを讃えて行かなきゃなんだが」

「聞けよ」

 

ダメだ、何を言ってもかき消される。

だがまだ甘いな、俺の階級を忘れたかセブンスターズ。

俺は最高幕僚長アグニカ・カイエル、ギャラルホルンの最大権力者だ。

 

いざとなればこの権力でどうにか――

 

「それでは、アグニ会の活動方針は『アグみを感じてバエる』でおkだな」

「アグみって何? バエるって何すんの? 何その活動方針、バカなの死ぬの?」

「特別グッズは、ひとまずアグニカレンダーとアグニカなりきりセットが確定か」

「流れるようにボケるのやめてくれねェか、ツッコミが間に合わないだろ。てかアグニカレンダーって何、上手く繋げたとか思ってるのか? アグニカなりきりセットって何、俺なんぞになりきってどうしようと」

「うむ、アグニカなりきりセットは必要だな。より高みを目指してバエるには、より多くアグみを感じねばならないからな」

「そんな動詞も名詞も無いと思うんですけど」

「そうね――ポスターは?」

『採用』

「ノってんなあコイツら」

 

止まらねえなこれ。

こうなったらあれだ、止まるんじゃねぇぞ… 

 

数時間後。

 

「このくらいか。会長は誰がやる?」

「私にやらせなさい。こう見えて、スヴァハちゃんとは仲が良かったのよ?」

「では、会長をカロム・イシュー。終身名誉会長をアグニカ・カイエルとし、アグニ会を結成s」

「ツッコミ切れるかああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

立ち上がり、そう叫ぶ。

 

「む、終身名誉会長殿。何かご意見がおありで?」

「誰が終身名誉会長だ、勝手に役職を増やすな! そもそも、こんなフザケた会の設立を認めるワケねェだろうが!」

「ほほーう。終身名誉会長殿は、アグニ会の偉大なる設立者にして終身名誉副会長たるスヴァハ・クニギンの意志を無碍にすると?」

「スヴァハを盾にすればどんな意見でも通せると思うなよ、セブンスターズ」

「じゃあ、投票を取ろうか。ギャラルホルン全士官に、アグニ会の是非を問おう。我らはその結果に従い、設立するか否かを決める」

 

――まあ、それなら…とか思ったが。

その数日後に投票が行われ、即日開票された。

 

「賛成97%、反対3%――得票率100%で、可決だ」

「よしその3%連れて来い、徹底抗戦だ」

「往生際が悪いぞ、アグニ会終身名誉会長アグニカ・カイエル」

 

こうして、アグニ会は結成された。

 

 

   ◇

 

 

 

 

バエルを手に入れたマクギリス

 

 

 ギャラルホルン地球本部、ヴィーンゴールヴ。その最奥に位置する「バエルの祭壇」の真上には、ガンダム・バエルが堂々と立っていた。

 小気味良い駆動音を響かせながら、バエルはその両腕を持ち上げ、堂々と広げる。自らこそが世界を統べる王だ、と言わんばかりに。

 

『聞け、ギャラルホルンの諸君! 今、三百年の眠りから、マクギリス・ファリドの下に――バエルは蘇った!!』

 

 バエルを操る者、マクギリス・ファリド。

 彼は勝利の確信の下で、革命の声明を発表する。

 

「やったぞ、アグニ会同志諸君! 作戦は成功だ! 我々の勝利だ!」

 

 革命軍を指揮するライザ・エンザもまた、右拳を振り上げる。

 アグニ会の掲げたギャラルホルン――ひいては世界の革命は、アグニ会現会長マクギリス・ファリドがガンダム・バエルを起動させたコトで、成功が確約されたも同然となった。

 

「ギャラルホルンの創設者、アグニカ・カイエルの魂が宿るモビルスーツ――ガンダム・バエル。

 マクギリスの本当の狙いは、錦の御旗だったと言う訳か」

 

 マクギリスの声明を聞くアリアンロッド艦隊司令官ラスタル・エリオンは、恐れよりもまず呆れを感じていた。

 かつて、マクギリスがイズナリオ・ファリドに養子として貰われた直後。ラスタルが「欲しい物は無いか」と問うた時の、マクギリスの回答を思い返しながら。

 

「アレは子供の戯言かと思ったが…まさか、本当に実現するとはな。どこまでも、愚かな――お前は大人になれぬ子供だよ、マクギリス・ファリド」

 

 そのようなラスタルの独り言を知る由も無く、マクギリスはバエルのコクピット内で自らも両腕を広げ、声明を続ける。

 

『ギャラルホルンを名乗る身ならば、このモビルスーツがどのような意味を持つかは、理解出来るだろう! ギャラルホルンに於いて、バエルを操る者こそが唯一絶対の力を持ち、その頂点に立つ!! 席次も思想も関係無く、従わなければならないのだ――アグニカ・カイエルの魂に!!

 私の言葉はアグニカ・カイエルの言葉であり、私こそがアグニカ・カイエルなのだから!! アグニカ・カイエルとなった私の言葉に逆らうコトは、アグニカ・カイエルに背くコトと同義であr』

「んな訳有るか」

『がはっ!?』

 

 マクギリスが、何者かの蹴りを腹に受けて横へと吹っ飛んだ。

 声明真っ最中のマクギリスを蹴り飛ばした者は、赤い髪に青い瞳を持った、マントが足元まで伸びた特注のギャラルホルン制服を纏った男である。

 

「な、何をなされるのですかアグニカ・カイエル!! ご無体な!!」

「いつお前が俺になったよ? アグニカが俺以外にいてたまるか。というかお前、バエルを手に入れたとか言ってるけどな…」

 

 アグニカは自分の横にある機械を親指で指し示して、現状をただ一言でもって説明した。

 

 

「ただ、バエルのガンプラを手に入れただけじゃねェか」

 

 

 そう、ガンプラだ。

 確かにガンダム・バエルは今、ヴィーンゴールヴの屋根の上に立っている――ガンプラバトルシステムで作られた、ヴィーンゴールヴの上に。

 

 ライザ・エンザとラスタル・エリオンは、ガンプラバトルシステムの横でその光景を見ているだけである。

 ラスタルが呆れるのも当然だ。自分でセッティングした舞台にガンプラを立たせて、いい感じのコトを言っているだけなのだから。

 

「――バエルを持つアグニカ・カイエルである私、マクギリス・ファリドの言葉に背くとは…」

「いや、アグニカ俺だし。お前がどう足掻こうとマクギリスはマクギリスで、アグニカ・カイエルにはなれねェからな?」

「もっと、もっと言って下さいアグニカ・カイエル! そのお声で、俺の名を呼んで下さいアグニカ・カイエル!!」

「怖いわ!! ああ、寄るな!! と言うか、無駄にイケボなの腹立つ!!」

 

 マクギリスに詰め寄られ、アグニカは思わず二、三歩後退する。一方、アグニ会会員の一人ライザ・エンザはノリノリだ。

 

「ズルいですよ会長、アグニカに名前を呼ばれるなどと! アグニカ、私の名も! このライザ・エンザの名をお呼び下さい!!」

「嫌だわ!! これ以上テメェらを喜ばせてたまるか!!」

「アグニカに拒否されるとは…しかし! 我らアグニ会にアグニカを信奉しないという選択肢は無い!! 貴方に拒否られようと、我々は貴方を信仰し続ける!! それがアグニ会の本懐にして、責務なのだから!!」

「何なのテメェら、俺はどうすりゃ良いの!? どうすりゃテメェらを喜ばせずに済むの!? と言うか信仰って何だよ、テメェらはいつから危険極まり無い宗教団体になった!? アグニカ教とか立ち上げるつもりか!?」

 

 アグニカは困惑するが、そもそもアグニカ・カイエルが存在しているコト自体がアグニ会至上の喜びであるので、まずはアグニカ・カイエルがいなくならなければ話にならない。

 それでもアグニ会はアグニカ・カイエルを讃え続けるので、結論としてアグニカにアグニ会をどうこうするコトは出来ない。

 

「人が此処まで愚かになれるとは!!」

「よーし良く言ったガエリオ・ボードウィン! 全文同意だ、ついでにこのアグニ会現会長を何とかしてくれ!」

「(アグニカにフルネームで呼ばれるとは羨ましいな)ガエリオォォォ!!!」

「(これ以上他人に迷惑をかけるないい加減にしろ)マクギリスゥゥゥ!!!」

 

 響く叫声。轟く銃声。飛び散る血液。鳴り響く金属音。

 ――圧倒的、カオス。

 

「ああもう、助けてスヴァハー!!」

「はいはい。全くアグニカったら、世話が焼けるね。みんな、落ち着いてー」

「「はい」」

 

 アグニ会終身名誉副会長スヴァハ・クニギンの一声で、アグニ会は平静を取り戻した。荒ぶっていたマクギリスとライザが、正座をして真顔になっている。

 鶴の一声ならぬ、スヴァハの一声だ。強い。

 

「ゼェ、ハァ――あー、助かった…」

「大変だね、アグニカも。で、問題点は――誰がアグニカか、ってコト?」

「いや、そうなのか…?」

 

 何の捻りもなく、アグニカ・カイエルはアグニカ・カイエルだと思うのだが――遂に自らとアグニカ・カイエルを同一視し始めたアグニ会現会長マクギリス・ファリドに、何とかマクギリス・ファリドがアグニカ・カイエルではないコトを認めさせなければならない。

 

「何故かは知らないけど、せっかくお(あつら)え向きにガンプラバトルシステムが有るコトだし…これで戦って、勝った方がアグニカってコトで良いんじゃない?」

「流石ですスヴァハ様!!」

「素晴らしい! それでこそ、我らアグニ会を統べるに相応しい御方!!」

「スヴァハ様万歳! スヴァハ様に栄光あれ!!」

『ジーク・スヴァハ!! ジーク・スヴァハ!! ジーク・スヴァハ!!』

 

 メチャクチャ盛り上がる、アグニ会会員達。盛り上がり過ぎて、最早スヴァハのファンクラブと化している。

 アグニカはスヴァハの意見には反対しないが、気になるコトが一つ有った。

 

「いや、スヴァハはそれで良いのか…? 俺、もしかしたらアグニカじゃなくなるぞ? 必然的にアラズって名乗り直さなきゃいけないんだぞ?」

「? 何か、私が困るコトって有る? 私はアグニカでもアラズでも関係無く、貴方が好きだよ?」

「―――分かったよ」

 

 直球の告白に、アグニカは陥落した。

 なお、これらの映像データは後に、アグニ会の三種の神器の一つとなったと言う。常日頃アグニカをストーキングし、最高画質のカメラを回し続けるアグニ会に隙など無かった。

 

 そんな訳で勃発した、アグニカ・カイエルの名を巡る戦い。

 ルールは簡単だ。アグニカ・カイエル(暫定)とマクギリス・ファリド、互いがガンダム・バエルに乗り、ガンプラバトルで戦う。

 その勝者のみが、今後はアグニカ・カイエルと名乗れる。

 

「ハァ…何故こうなった?」

「合法的にアグニカ・カイエルとなれるチャンス、逃す手など無い! 取りに行く!!」

「会長、ご武運を!!」

 

 バエルを十全に操れる者こそが、アグニカ・カイエルに相応しい。システムが起動し、プラフスキー粒子(何故有るのかとツッコんではいけない)の散布が開始される。

 

『Beginning, Plafsucir particle dispersal. Field # "Space"』

 

 舞台は宇宙。ガンダム・バエルの機動性を最大限発揮するコトが出来る、アグニカ・カイエル決定戦には持って来いの場所だ。

 

『Please set your Gun-Pla』

 

 アグニカとマクギリス、それぞれがバエルのガンプラをセットする。

システムによるスキャンが行われ、互いのバエルの双眼が桃色に輝き、両者の手の前には操作の為のアームレイカーが出現した。

 そして、それぞれがそれを握る。

 

『Battle Start』

 

 ビー、という音と共に、システム音声が終了した。ガンプラがカタパルトに移動し、出撃準備が全て整った。

 

「マクギリス・ファリド、ガンダム・バエル。出るぞ」

「ガンダム・バエル。アグニカ・カイエルで出撃する!」

 

 カタパルトが滑り、機体がフィールドに出る。

 

「ライザが戦死したって…!?」

「どうなるんだ、俺たちは…」

「オイ、勝手に殺すな」

 

 勝手にライザ・エンザ戦死の報を受け(死んでない)、唐突にアグニ会会員達は途方にくれていた。

 すると、マクギリスが戦場全体に届くよう通信回線を開き、アグニ会会員らに声を掛ける。

 

『革命は終わっていない!』

 

 アグニ会会員達が顔を上げ、そのスラスターの青い光に注目する。

 

『諸君らの気高い理想は、決して絶やしてはならない! アグニカ・カイエルの意志は、常に我々と共に在る!』

 

 その通信の発信源たるガンダム・バエルのコクピットで、マクギリスは左手首の調子を確認した後、操縦桿を握って口を開く。

 

『――ギャラルホルンの真理は此処だ!! 皆、バエルの下に集え!!!』

 

 マクギリスのバエルは双眼を光らせ、黄金の剣を右手で高々と天に掲げた。太陽の光を浴びた剣が光を弾いて、黄金の輝きを見せる。

 

「バエルだ!」

「アグニカ・カイエルの魂!」

「そうだ…! ギャラルホルンの正義は我々に有る!!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

 

 アグニ会のテンションは、最高潮に達していた。

 その頃には、アグニ会会長とアグニカがガンプラバトルをしていると言う噂を聞きつけたヴィーンゴールヴ中の兵士達が、ガンプラバトルシステムの周囲に集まって来ていた。仕事しろ。

 

「そうだ、それで良い」

「―――」

 

 マクギリスの激励を受けて、対するアグニカもバエルの剣を腰から引き抜く。

 

『革命はここからだ。貴様らの理想は、必ずや正しきモノ。ここで、人類の希望を失わせてはならない。

 貴様らが真実を貫き通し続ける限り、俺と俺のバエルは、人類の矛となろう』

 

 かくして、アグニカのバエルは双眸を赤く輝かせ、黄金の剣で天を突き上げた。

 

『――ギャラルホルンの真理は此処だ! 全員、俺に続け!!』

 

 その、自信に満ちた激励は。

 集ったギャラルホルン兵士の心を、例外無く高揚させた。

 

「ガンダム・バエルだ!!」

「アグニカ・カイエルだ!!」

「そうだ…!! ギャラルホルンの正義はアグニカに在る!!!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

 

 マクギリスの時の数倍にも及ぶ歓声が、場に響き渡る。

 腐敗しきったセブンスターズの老人達やラスタルなども、魂からの高揚を感じた。初代から続くセブンスターズの血が、アグニカと共に戦うコトを望んでいる。

 

「らしくないなぁ、アグニカ。俺に付いて来い、とかはあんまり好きじゃないのに」

 

 一方、スヴァハは呆れつつも、その光景を見守っていた。呆れているとは言え、その眼は優しげだ。

 

「さて――前奏はもう充分だろう。行くぞ」

「受けて立つ!!」

 

 アグニカのバエルが、飛翔する。

 対するマクギリスも、バエルを上昇させる。

 

「はぁッ!」

 

 マクギリス機がアグニカ機に接近し、右手の黄金の剣を振り下ろす。その剣を、アグニカ機は側面を軽く左の剣で叩いて逸らした。

 

「よっ!」

 

 続いてスラスターを吹かし、マクギリス機の背後を取る。振り上げていた右の剣を振りかぶり、マクギリス機の右ウィングを根本から切断した。

 

「な…!?」

 

 アグニカ機はウィングを少し動かし、内蔵される電磁砲を発射する。如何に射撃が下手でも、この距離ならば当てられる。

 弾丸がマクギリス機の切断面に直撃し、爆発した。

 

「く…!」

 

 マクギリス機は残された左ウィングのスラスターを吹かせて、その場から離脱する。マクギリスが機体を反転させる前に、アグニカ機は左の剣を逆手に持ち替え、マクギリス機に投擲した。

 マクギリス機がアグニカ機の方に向く瞬間、アグニカ機の投げた剣はマクギリス機の下に届いた。左肩の真横を通り、剣はマクギリス機のコクピット横に突き刺さる。

 

「…ッ!」

 

 間髪入れず、接近して来たアグニカ機が右の剣を振り下ろす。

 マクギリス機はそれを右手の剣で辛くも防ぐが、アグニカ機は接近した際にマクギリス機に刺さった剣を左手で逆手に掴み、思い切り引いた。リアクターの隙間を完璧に切断しながら、剣はマクギリス機の胴体を深々と傷付ける。

 更にアグニカ機は右の剣を突き出し、マクギリス機の左肩を貫く。マクギリス機が振り下ろした右手の剣を、アグニカ機は全身のバーニアを吹かせてかわし、右の剣を引き抜くやいなや、マクギリス機を蹴り飛ばした。

 

「これは――!」

 

 まさに、圧倒的な蹂躙だ。

 技量に於いて、ギャラルホルントップクラスの実力を持つパイロットであるマクギリス・ファリドが、為す術無く達磨にされて行く。阿頼耶識が無い以上、二人の操縦技術に大差は無いハズだが――如何せん、パイロットとしての経験値が違い過ぎる。

 厄祭戦の英雄の力に、観衆は圧倒されていた。

 

「流石はアグニカ・カイエル! ご覧あれ! 純粋な力のみが輝きを放つ舞台に、奴らは圧倒されている! 貴方が力を見せるコトで、私の正しさは更に証明される!!」

「あの、早く終わりたいんだが…バエルをボコすとか、気分が良いモンじゃねェし…」

「そんな! もっと俺に力をお見せを!!」

 

 マクギリス機は全身のバーニアでバランスを取りつつも、剣を構えてアグニカ機に吶喊する。

 アグニカ機は少しスラスターを吹かせて上昇し、吶喊して来るマクギリス機が突き出す二本の剣の側面を右足で踏んで剣を逸らしつつ一回転して、マクギリス機の残った左のウィングを切断した。

 

「がはぁ!?」

 

 アグニカ機が翼の電磁砲を放ち、マクギリス機のバックパックを完全に破壊する。メインの推力を失ったマクギリス機に、アグニカ機を捉えるコトは出来ない。

 

「最後だ」

 

 アグニカ機はマクギリス機から離れ、剣を振って突撃する。黄金の剣が、狂い無くマクギリス機を両断する――直前。

 

「!」

 

 ダインスレイヴ弾頭が、アグニカ機に襲いかかった。不意打ちであったにも関わらず、アグニカはこれをあっさりとかわす。

 

「――この機体は…キマリス、ヴィダールか」

「うおおおお!!」

 

 ガエリオが、突如として乱入したのだ。ドリルランスを突き出して、キマリスヴィダールは最高速度でアグニカのバエルに突撃した。

 

「速い――が!」

 

 アグニカ機はすんでの所で突撃して来るキマリスヴィダールを避け、通りすがりざまに回転し、右の剣で盾を繋げるアームの一つを切断してのけた。

 

「何!?」

「クリウス程ではない。あらかた、マクギリスがただやられるのを見ていられなかったのだろうが――まだ足りん」

 

 化け物。そう表現すべきと言わざるを得ない程、アグニカ・カイエルの力は圧倒的だ。

 

「そうか、じゃあ――」

「!?」

 

 アグニカのバエルに、何者かが突撃した。その速度は、先程ガエリオが行ったモノとは比較にならないほど、速い。

 バエルはギリギリの所でこれをかわしたが、反撃など望むべくも無い。

 

「私たちが相手なら、貴方にも余裕が無いわよね!!」

 

 続いて、バエルに違う機体が斬りかかる。バエルは黄金の剣を交差させて、黄金の刀を受け止めた。

 

「ぐ…! テメェら、何で来た!?」

「あら、ここはギャグ時空兼ご都合時空よ? 私たちが来ちゃ行けないのかしら?」

「息を吐くようなメタ発言、ご苦労様!」

 

 バエルは眼前のガンダム――ガンダム・パイモンを押し返し、上へと全速で飛翔する。そこに狙撃が有り、バエルは左肩に直撃を食らう。

 

「アモンの狙撃か…!」

「それだけでは」

「無い!!」

 

 大剣を持つガンダム・ベリアルと、ハンマーを握り締めたガンダム・プルソンが、バエルの両側から攻撃する。大剣ハンマーを、両手の黄金の剣で防ぐ。

 バエルは機体を回転させ、この拮抗から離脱するが、アモンの狙撃を右足の裏に受けた。

 

「そらッ!」

 

 続いて大鎌をギリギリでかわすが、そこに槍が来る。これも弾いてバエルを飛ばしつつ、呆然とその光景を見守るガエリオのキマリスヴィダールを盾としてアモンの狙撃を防ぎ、アグニカは叫ぶ。

 

「何のつもりだ、テメェら!!」

 

 アグニカの前に現れた機体は、七機。

 

 セブンスターズ第一席イシュー家初代当主カロム・イシューの操る、ガンダム・パイモン。

 セブンスターズ第二席ファリド家初代当主フェンリス・ファリドの操る、ガンダム・アスモデウス。

 セブンスターズ第三席ボードウィン家初代当主クリウス・ボードウィンの操る、ガンダム・キマリス。

 セブンスターズ第四席エリオン家初代当主ドワーム・エリオンの操る、ガンダム・ベリアル。

 セブンスターズ第五席クジャン家初代当主ケニング・クジャンの操る、ガンダム・プルソン。

 セブンスターズ第六席バクラザン家初代当主リック・バクラザンの操る、ガンダム・ヴィネ。

 セブンスターズ第七席ファルク家初代当主ミズガルズ・ファルクの操る、ガンダム・アモン。

 

 アグニカ・カイエルの操るガンダム・バエルと共に厄祭の戦場を駆けた、伝説のガンダム・フレームとそのパイロット達である。

 

「何、って…楽しそうだったから遊びに来た――だよな?」

「おう。アグニカと拳を交える機会なんて、そうそう無いしな」

「軽いわ、動機が」

 

 ツッコミつつ、アグニカは冷や汗を拭う。一対一なら勝機は有るかも知れないが、流石のアグニカでも七対一はキツい。

 セブンスターズの初代どもは、揃いも揃ってアグニカと肩を並べる化け物なのだ。

 

「がッ!?」

 

 バエルに再度の突撃をかけようとして高速機動するキマリスの頭が、端からの銃撃で揺れる。それからすぐ、スヴァハの乗るガンダム・アガレスがバエルの側に来た。

 

「手伝うよ、アグニカ」

「――あの、ここで止めとくって案は?」

『無い』

「ですよねー…」

 

 アグニカがうなだれるが、こうなっては仕方が無い。この大人げない初代セブンスターズのバカどもと戦わねば、勝つか負けるかはともかくとして、ガンプラバトルを終われないらしい。

 

「本気で行くしか無い、ってコトか…」

「うん。頑張ろう!」

 

 戦場に集った九機のガンダムが、その瞳を赤く輝かせた――




ついでに。
今更ながら、オリジナル機体であるテルギア・グレイズとグリム・パウリナの作者イメージを置いておきます。
問題の背中が分かり辛い上にメカ絵に慣れていない…orz。
と言うか、この二機をアルファベット表記するのは初めてな気が(ほとんどの機体でしてない)

EB-06tg THEURGIA GRAZE

【挿絵表示】


V08-1228p GRIM PAULINA

【挿絵表示】




次回作の投稿と併せて、こちらもまた更新出来たら良いなと思います。
今度も書き下ろしの短編を付けたいと思いますが、次はシリアスにしようかなと考えていたり。
本作オリジナルキャラなのに掘り下げがそんなに無く、厄祭戦ssに出る予定が一切無いディジェ・バクラザンくんとトリク・ファルクくんの短編とか――どうですかね?


再びお会い出来る時を楽しみにして、今回はこれにて失礼致します。
それではまた。

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