私が思っていたよりたくさんの案を頂き、驚くとともに感謝感激です。
ありがとうございます…!!m(__)m
タイトルは「
そこから察する事が出来る通り、遂に「四大天使」ウリエルの討伐作戦が始まります。
「The Dignity of Lords」(ダインスレイヴのテーマ)を聴きながら書きました。
流すと絶望感半端無いですね、あのBGM。
フヴェズルングよりアーレスを奪還して、4日。
改めて、火星基地にいるガンダムパイロット達と互いに自己紹介をする。
「ガンダム・ダンタリオンのパイロット、シプリアノ・ザルムフォートだ」
「アイトル・サックウィル。ガンダム・ウヴァルのパイロットをやっている」
「私はイシュメル・ナディラ。ガンダム・デカラビアのパイロットを担当する」
「レグロ・サッチと言う。ガンダム・エリゴールのパイロットだ」
「ガンダム・ナベリウスのパイロットをしてる、レスリー・ホルブルックってんだ」
「アーヴィング・リーコック、ガンダム・アンドレアルフスのパイロットだ。一応、『バルドル』って言う元テロ組織の傭兵団の団長をしてる」
…なんか今、元テロ組織の傭兵団とか聞こえたけどとりあえず聞き流しておこう。
追及は後だ後、今は自己紹介をしてもらわねば。
「レオナルド・マクティア! ガンダム・イポスのパイロットさ! ――しかし、今は我が愛しの女神が彼氏持ちになったと聞いて失意中である」
「お前、まさかのガンダムパイロットかよ!? 言っとくが、スヴァハはやらんからな」
「勿論だとも。手に入らぬからこそ、美しいモノも有る。ただまあ、絵を描く事くらいは許してくれ。私は元々、芸術家志望でね」
変人、ガンダムパイロットだった。
何かもう、人類ってダメかも知れない。
「今いる火星基地のパイロットは、この7人じゃ。後1人、サミュエルと言う子がガンダム・アムドゥスキアスに乗って地球に行っておる」
「ガンダム・アムドゥスキアス――もしかして、アブダビにいた…」
「ほほう、出会っておったか。珍しいの、彼が自ら他人の面倒事に突っ込むとは」
あのロマン機体が、ガンダム・アムドゥスキアスだったのか。
また、会えそうな気がするな。
「――待ーて、ウィリアム。8人だーけか? ガンダムの製ー造数は18ー機のハーズだが」
「うむ――今有るのは、8機だけじゃ。フヴェズルングの奴らに奪われたガンダム・アンドロマリウス、ガンダム・レラージェ、ガンダム・カイムを含めても11機しか残っておらぬ。残りの7機は、生存確認が取れていない…撃墜されたと考えるべきじゃろうて」
圏外圏である火星では、戦闘が激化している事の予想はしていたが…いや、ミカエルの襲撃を受けた日本基地よりはマシな被害か。
「もう1人の科学者も、火星に下りたきり連絡が付かぬしな。コロニーにも何機かのガンダムを派遣したが、悉くが連絡不能。何が起きたかも把握出来ておらぬ」
…敵の姿が全く見えない、か。
有る意味、壊滅理由が判明した日本基地よりタチが悪い。
と、その時。
『センサーが、機影を捉えました。リアクターの固有周波数からして、フヴェズルングに強奪されたハーフビーク級かと思われます』
「――奴ら、何故戻って来た?」
「報復でもしに来たのか?」
「いや、奴らはあくまで煽動屋。ヤクザじゃないんだから、俺達に報復しても何のメリットも無いハズだ」
しかし、それなら尚更何故戻って来たのか?
『フヴェズルングのハーフビーク級より、救難信号を受信! こちらへの入港許可を求めています!』
『映像、捉えました。損傷しているようです!』
「――入港を許可すべきかと。しかし、一応は第二戦闘配置を出しましょう。こちらから更なる物資を奪いに来た可能性も捨て切れません」
ドワームの言葉を受け、全員が動き出す。
その数十分後、フヴェズルングのハーフビーク級はアーレスに再び入港した。
ハーフビーク級から、フヴェズルングのリーダーであるロブ・ダリモアが血相を変えて出て来る。
そして。
「――今すぐ、かき集められる全ての戦力を集めてくれ!!」
などと懇願して来た。
「待て、ロブ・ダリモア。まずは状況を説明しろ」
「そんなヒマは無い、今すぐ集めろ! じゃねェと、アイツが…!」
取り乱して正気を失っているロブを、カロムが鞘に納めたままの刀で叩く。
「落ち着きなさい、そして状況を説明なさい。状況を説明されて納得しなければ、私達も動けないわ。加えて、ほんの数日前に私達からガンダムと戦艦、多くの物資を奪った貴方達の言葉なら尚更よ」
その言葉を受けて、ロブは少し落ち着いた。
「…とりあえず、簡潔に言おう。――
―――は? と、ヘイムダルの全員が首を傾げた。
「ウソじゃねェ、マジだ。オレ達は、バカ強ェMAの襲撃を受けた。初手のビームで戦艦のエンジンの片方をやられて、次手のダインスレイヴで戦艦をボコボコにされた。必死で積まれてた全部のナノミラーチャフをバラまいて、ガンダムで艦を押しつつ全速力で戻って来た」
確かに、フヴェズルングのハーフビーク級はエンジンの片方が溶解し側面にはダインスレイヴの特殊弾頭が突き刺さっている。
「信じらンねェってンなら、この画像を見ろ。オレ達が撮影した、敵MAだ」
俺はロブからタブレットを受け取り、全員で覗き込む。
そこには、4枚の翼と2本の腕に尻尾を5本持つ巨大で異形のMAが写っていた。
「…確かに、これは――私達の日本基地を襲撃しに来た、『四大天使』ミカエルに似ているわ。戦艦の装甲を難無く溶かしてエンジンを破壊する程のビーム、通常のダインスレイヴより巨大なダインスレイヴもね」
「『四大天使』ミカエルにも引けを取らないMA、か…アグニカ、何か思い当たる所は有るか?」
フェンリスの質問を受け、俺はある結論に達した。
「四大天使」たるミカエルにも劣らない機体など、同じ「四大天使」しか有り得ない。
しかし、形状が違う上に今は地球にいるハズなのでミカエルではない。
「四大天使」の一角と目されるラファエルは存在自体が確認されておらず、ガブリエルは月面にいる。
となれば、消去法からして―――
「―――『四大天使』ウリエル。破壊を司り、月面都市や多くのコロニーを完膚なきまでに蹂躙したMAだ」
俺の出した結論に、全員が固まった。
このタイミングで現れた、有象無象のMAとは一線を画す機体である「四大天使」の一角たるMA「ウリエル」。
確かに、これを討伐するには現在ヘイムダルの火星基地に在る戦力にフヴェズルングの戦力を加えても圧倒的に足りない。
それこそ、火星圏に存在する全てのMSや戦艦を総動員して足りるかどうかと言う所だ。
『デブリ帯の付近に設置した、コクーンの反応が消失! 破壊されたと思われます!』
そんな時に流れた通信で、俺達は危機が目前だと実感せざるを得なかった。
アリアドネのコクーンはとにかく硬く、カラドボルグをぶち込んでも破壊する事は出来ない。
それが破壊された――つまり、敵はカラドボルグを上回る攻撃力を持つと言う事に他ならない。
「アーヴィング、バルドルの全戦力をかき集めてアーレスに集結させろ!」
「ッ、おうよ!」
「ウィリアム博士、火星の軍事基地全てと連絡を取って全ての戦力を宇宙に上げさせて下さい! ザコMAは放置です、そんな有象無象はウリエルに比べれば脅威に値しない!」
「了解じゃ。シプリアノ、悪いが手伝って」
「全員、第一戦闘配置! 敵はMA、ウリエル! 火星圏全ての戦力を動員し、ここで『四大天使』の一角を叩き潰す! ゲーティアを始めとした戦艦も全て発進させ、ガンダムも全機出撃!!」
ドワームが次々と指示を出し、全員が目まぐるしく動き始める。
俺はその最中、ロブ・ダリモアに言う。
「お前らも働けよ? この状況だ、少しでも多くの戦力が必要となる。遺恨は一度全部取っ払って、協力しろ」
「――何故だ? オレ達は、テメェらから多くを奪った。今回も、テメェらが戦っている間に逃げ出すかも知れねェぞ」
「ああ、そうかもな。と言うか、お前らのような自己中ならそうするだろうと俺は思ってる。だが、これだけは言っとくぞ? ――人類が滅びれば、必然的にお前らも滅びる。何せ、依頼主がいなくなればお前らの仕事は無くなるからな。ここで俺達がウリエルに敗北した場合、火星から文明が消える。その次は地球だ。ウリエルとミカエル、この2機の『四大天使』によって地球の文明は滅ぼされるだろう」
結局の所。
「お前らは、俺達と共闘すべきだ。自らの依頼主を守って自分の仕事を守る為には、な。そうすりゃ、ついでに火星に住む全ての人類も守れる。まさしく一石二鳥。俺達を無視してウリエルが火星に向かった場合、お前達に誘導してもらわねばならんし。ウリエルを倒せば、様々な事を達成出来て名誉も手に入る――悪くはないと思うが」
「――クッ、クハハハハハハハハ!! 暴論だが…良いだろう、気に入った! フヴェズルングの全戦力、テメェらに預けてやるよ! 20基のダインスレイヴに、43機のMS! それがオレ達の全てだ!」
「そりゃ頼もしい。背中を預けるぞ、ロブ・ダリモア。俺はアグニカ・カイエル。ガンダム・バエルのパイロットにして――このバカげた戦いに、終止符を打つ者だ」
これで、MAを煽動するには過剰過ぎる戦力を持つフヴェズルングの全面協力を取り付けた。
火星圏全ての戦力を宇宙に上げさせてアーレスに集結させるなど、簡単な事ではないだろうが…アイツらなら、必ず成し遂げてくれるだろう。
◇
ゲーティアに有る自分の部屋に戻ると、その部屋の前にはスヴァハがいた。
パイロットスーツに着替えず、俺を見るなり笑顔を向けて来る。
「――何してるんだ、スヴァハ。今は緊急時だぞ」
「うん、分かってる。でも――アグニカにお願いが有ってね」
「何だそりゃ」
すると、スヴァハはこんな事を言ってきた。
「私と一緒に、写真を撮ってくれない? アグニカが写真とか嫌いなのは分かってるけど、どうしても一緒に撮りたいの」
「――いきなりだな、オイ。まあ、スヴァハからのお願いなら断る訳にも行かないけど…何でだ?」
そう聞くと、スヴァハは唇を噛み締める。
「―――もしかしたら、この戦いで死んじゃうかも知れない。その前に、記念の物を残しておきたいんだ」
「…分かった。だがな」
そして、俺はスヴァハを抱き締める。
「死なせはしない。スヴァハは必ず、俺が守る」
「――うん、ありがとう。私も、絶対にアグニカを守るよ」
その後、そっと口付けする。
しばらくして離れ、スヴァハは三脚を取り付けられたカメラをどこからか取り出した。
―interlude―
――これで良かったのか ルシフェルよ
『勿論。これで良い――これで、人類の意地がいかほどのモノか見る事が出来るだろう』
確かに そうかも知れない
だが ワタシには分からない
そのような事の為に 我が子の中でも別格の強さを持つウリエルを動員して良かったのか
『ああ。むしろ、ウリエルのような強さでなければならない。自分達を遥かに上回る強さを持つ者を相手にした人類が、どのような戦い振りを見せるのか――君は、それを知る必要が有る』
…そうか
では 見せてもらおう
ワタシが滅ぼすべき人類が どのような者かをな
―interlude out―
フヴェズルングがアーレスに来てから、約2時間。
アーレスの周囲には、100機を優に超える数のMSと20隻以上の戦艦が集結していた。
火星は地球の四大経済圏の植民地である為、存在する戦力も各経済圏のモノである。
アフリカンユニオン、SAU、アーブラウ、オセアニア連邦。
本来ならば殺し合いになって然るべき、共闘など絶対に有り得ない者達が――今はたった1つ、されど火星を滅ぼしうる圧倒的な脅威を取り除く為に肩を並べている。
『まさか、こんな形で4つの経済圏が共闘する景色を見られるとは。報告したら、即クビだろう?』
『ああ、全く持ってその通り。だが、それも仕方無かろう。クビになれるよう、ウリエルを討伐して事後報告してやるぜザマーミロ!』
『おーおー、頼もしい限りで』
――この光景こそ、プラージャ・カイエルの望みし光景だった。
これが世界の各地で行われていたならば、人類はここまで追い込まれていなかっただろうが。
『ダインスレイヴ隊、弾頭装填完了。ゲーティアのカラドボルグを始め、各艦の兵装も発射準備を完了しました。各MS、ガンダムも配置完了です』
『よし。センサー圏内に入り次第、ダインスレイヴとカラドボルグによる先制攻撃を開始。その後、各艦に積んだ核ミサイルを発射しつつダインスレイヴの第二破攻撃を仕掛ける。それで撃墜出来なかった場合、MSで近接戦闘を行う。――アグニカ、全軍へ激励頼む』
「オイ待て、何で俺!?」
ドワームにいきなり振られて困惑しつつも、アグニカは出来る限りで全軍に激励の演説を始める。
「敵は『四大天使』ウリエル。月面都市や多くのコロニーを蹂躙して来た、破壊を司る最悪のMAだ。我々がウリエルに敗れたならば、火星に住む何十億もの人々の命が喪われる! それは、決して看過して良い事態ではない! ゆめ忘れるな! 我々は、多くの人々の命を背負っていると言う事を!!」
バエルが右手で左腰から剣を抜き、黄金にして折れぬ剣を高く掲げる。
「何としてもウリエルを撃破する!! 怯むな、怖じ気付くな!! 最期の0.00001秒まで戦い、ウリエルが持つ武器を1つでも多く破壊せよ!! 我々に、『敗北』と言う二文字は絶対に赦されない!! 火星に於いてウリエルに抗う力を持つのは、今この場に集った我々だけだ!! 必ずやウリエルを破壊し、人類の力と生き汚さと諦めの悪さと格上に挑むバカさと揺るがぬ信念をここに示す!! 世界よとくと知れ、天使よとくと知れ!! 我々こそが、人類の希望であると!!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
士気は充分。
ウリエルがセンサー圏内に入った事を確認し、バエルは演説の〆として黄金の剣を振ってウリエルに突き付け。
「全軍、攻撃開始!!!!」
アグニカがそう叫ぶやいなや、ダインスレイヴとカラドボルグが放たれた。
その全弾がウリエルに直撃し、大爆発を引き起こした。
『やったか!?』
「――いや…」
煙が晴れるより早く、その中から赤い破壊の光と細長い弾頭が飛び出して来た。
赤い光に呑まれ、端の1隻のハーフビーク級のブリッジが消滅。
細長い弾頭は、正確無比にダインスレイヴを構える2機のユーゴーの頭部を貫いた。
「無傷だ」
煙の中から、原形を保ったウリエルが現れる。
その装甲は凹んだり傷ついたりこそしているが、際立った損傷を確認する事は出来ない。
『第二破、核ミサイル攻撃開始! 惜しまず、全弾を叩き込め!!』
ドワームの指示で、各艦が核ミサイルを発射した。
対するウリエルは4枚の翼を大きく広げ、その先端に取り付けられた拡散ビーム砲を放つ。
核ミサイルの90%はその攻撃で破壊され、残された10%がウリエルに直撃。
視界が白く染まる程の大爆発が起きるが、今度は「やったか!?」などと言う者はいなかった。
今度は数秒と経たず、ウリエルはプルーマを大量射出して来た。
ウリエル自身も頭部を展開しつつも翼を畳み、頭部ビーム砲と4発のダインスレイヴを撃ち出す。
ハーフビーク級2隻がダインスレイヴを2発ずつ受けて沈黙し、ビーム砲によってダインスレイヴ隊の15%が消滅させられた。
「怯むな! MS隊、戦闘開始! ウリエル本体はガンダムで叩く、グレイヴ・ロディやフラム・ロディなどの機体はプルーマの撃破に回ってくれ! 油断はするなよ、『四大天使』のプルーマは普通のプルーマとは違う!」
用意していたダインスレイヴ&カラドボルグ、核ミサイルの必殺攻撃を一蹴された以上、ここからはガンダムによる近接戦闘に全てが掛かっている。
「全機、吶喊せよ!!」
先陣を切って突撃するバエルに続き、多くのガンダムがウリエルに吶喊して行く。
途中にはプルーマが立ちはだかるが、ダインスレイヴ隊の援護射撃に加えてバエルの双剣によって道が拓かれる。
「ふっ!」
「そこ!」
「死になさい!」
「ここか!」
「はあっ!」
「それっ!」
「おらっ!」
「ふん!」
「そこか!」
「吹っ飛べ!」
各々が武器を構え、一斉にウリエルへ振り下ろす。
それらは全てがウリエルに当たり、ウリエルが一瞬揺らぐ。
『 !!』
ウリエルが吼えると、その背中から5本のワイヤーブレードが飛び出す。
それらは巧みに操られ、飛びかかったガンダムを余さず吹き飛ばした。
『チィ…!』
「甘いな、ウリエル…! この程度でくたばるようじゃ、ガンダムになんざ乗ってないんだよ!」
「ハッ! バラしてやンよ!」
ガンダムの何機かが目を赤く輝かせ、再びウリエルに挑み掛かる。
『 !』
不快そうに吼え、ウリエルは拡散ビーム砲を放ちつつもワイヤーブレードでリミッターを解除したガンダムを迎撃。
同時にダインスレイヴを撃ち、ハーフビーク級のブリッジを正確に射撃する。
「させるか…!」
『 !』
ウリエルは高速回転しながら拡散ビームを吐き、全てのガンダムを引き離した上で戦艦に向かって突撃する。
「速い…!」
『これじゃ、狙いが追い付かない!』
「なら、あの足を止める!」
バエルは剣を払ってプルーマを斬り捨て、ウリエルに追随する。
それに、アスモデウスやキマリス、ベリアル、アンドロマリウス、レラージェなどが続く。
『 !』
ウリエルはハーフビーク級に突撃し、巨大な腕でブリッジを掴む。
そのまま腕に取り付けられたパイルバンカーでブリッジを貫きながら、拡散ビーム砲とダインスレイヴでダインスレイヴ隊とMS、ゲーティアのエンジンを破壊した。
『ゲーティアが…!』
「止めろ!」
何とか生き残ったダインスレイヴ隊がダインスレイヴを放つも、ウリエルの強靭な装甲を貫く事は出来ない。
続く2発目の拡散ビームでMSを一蹴し、頭部ビーム砲を放ってフヴェズルングのハーフビーク級に風穴を開ける。
『テンメェ…!!!』
『Kill!』
『フザケるんじゃないわよ!!』
アンドロマリウスとレラージェ、カイムがウリエルに肉薄するが、ウリエルはワイヤーブレードで3機のガンダムを容易く退ける。
『 』
そして、ウリエルはゲーティアの左側面に取り付いた。
腕を差し込んでパイルバンカーを使い、カラドボルグを粉砕。
頭部ビーム砲を露わにし、それをゲーティアのブリッジに向ける。
「クソ!!」
バエルが斬り掛かるが、ウリエルは一瞥もくれずワイヤーブレードで弾き返す。
「ウリエルに取り付かれました! カラドボルグ損壊、このブリッジを焼くつもりです!」
「見れば分かる! 火器管制、弾幕を厚くしろ! このままやられる訳には行かん! 船体回頭、クラウ・ソラスで敵をk」
艦長の指示は、そこで途絶えた。
ウリエルがビームを放ち、ゲーティアのブリッジを焼き払ったからだ。
「―――ッ!?」
『そんな、ゲーティアが…!』
しかし、ブリッジを焼かれてなおゲーティアは動いた。
主砲が放たれ、ウリエルの頭部に一撃した。
『まーだまだだ! 我ーが友スリーヤの設計しーた最ー新鋭戦ー艦であーるこのバージニア級ー戦艦ゲーティアは、ブリッジが消ーえた程ー度では沈まーぬ!』
『 !?』
クラウ・ソラスを直接操作するビーム砲管制室にいるマッドサイエンティストことヴィヴァト・クニギンは、まだ諦めていなかった。
クラウ・ソラスを上側に向けて駆動させ、ウリエルの喉元に叩き付ける。
『そんな、無茶だよ! 脱出して、お父さん!!』
『だーが断る』
『バカな事言ってないで、早く…!』
最大出力でクラウ・ソラスが放たれ、ウリエルの喉元を正確に撃つ。
ウリエルの背後に回ったダインスレイヴ隊と戦艦はウリエルを射撃し、クラウ・ソラスに吹き飛ばされかけたウリエルを押し留める。
『 !!』
数十秒もクラウ・ソラスの照射を受け続けたウリエルの喉が煙を上げ、溶けて行く。
ウリエルは苦しみながらもダインスレイヴを構え、弾を装填する。
『すまなかったな、スヴァハ…私は、お前に何もする事が出来なかった。ただのバカなマッドサイエンティストでしかなかった私に、こんな事を言う資格は無いだろうが――スヴァハを頼むぞ、アグn』
マッドサイエンティストが、台詞を言い切るより早く。
ウリエルのダインスレイヴが放たれ、クラウ・ソラスを貫いた。
破損したクラウ・ソラスはエネルギーを収束させられなくなり、溜め込んだビームを四方に撒き散らしながら爆発した。
その爆発に巻き込まれ、ゲーティアが誘爆。
ビーム砲管制室も劫火に包まれ、ヴィヴァト・クニギンと共に灰も残さず消滅した。
『あ、ああ―――そん、な…』
「―――」
煙の中から、喉を焼き切られながらも未だに拡散ビームを撃ち続けるウリエルが現れた。
呆気に取られるバエルとアガレスを追い越し、ガンダム達がウリエルに飛びかかる。
ウリエルはガンダム達をワイヤーブレードで蹴散らし、拡散ビームとダインスレイヴを撃ち続けて自ら生み出したプルーマごと戦艦とダインスレイヴ隊、MSを落として行く。
「――オイ、バエル」
アグニカが、自らの操るガンダムに宿る悪魔に話し掛ける。
「お前、ソロモンの悪魔の中でも屈指の実力者らしいな。俺をどうしてくれても良い―――あの
請け負った、と言うかのように。
オリジナル設定解説のコーナー。
何故こんなに多いのか(爆)
アイトル・サックウィル
「ヘイムダル」火星基地メンバーで、「ガンダム・ウヴァル」のパイロット。
ASW-G-47 ガンダム・ウヴァル
全高:18.7m
本体重量:34.2t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:γエイハブビームソード×1
ショットガン×2
可変型ブレードシールド×4
概要
アイトル・サックウィルの専用機。
かつて「ヘイムダル」で運用されたが、現在はアスタロトの装甲を装備して宇宙のどこかにいるとか。
当時は専用武器として「γエイハブビームソード」が有り、汎用武器の「ショットガン」と「可変型ブレードシールド」を装備していた。
主武装であるγエイハブビームソードは大型剣で、側面にはエイハブ粒子の活動抑制機能が備えられている。
その為、敵のビームを通常のエイハブ粒子に戻す事で無効化する事が可能である。
この剣は普段、折り畳まれて背部バックパックに取り付けられている。
無論、大型剣は強力な武装なので、ビームを弾きながら敵に接近して叩き斬るのが主な戦法となる。
ビームを弾く際はビームが跳ねる場合が有る為、普段は対ビームコーティングを施したマントを羽織っている。
また、可変型ブレードシールドをバックパックと両肩に2つずつ装備しているのが特徴の1つ。
機体全体はどこか角張った印象を受け、黒く染め上げられている。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第四十七位の悪魔「ウヴァル(ヴアル、ヴォヴァルとも)」から。
ウヴァルは、37の軍団を率いる大いなる公爵だとされる。
イシュメル・ナディラ
「ヘイムダル」火星基地メンバーで、「ガンダム・デカラビア」のパイロット。
後のギャラルホルンで名家となる「ナディラ家」の初代当主。
ASW-G-69 ガンダム・デカラビア
全高:17.8m
本体重量:32.9t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:アサルトナイフ×2
マシンガン×2
レーヴァテイン×2
概要
イシュメル・ナディラの専用機。
ガンダム・フラウロスの同型機だが、背部のダインスレイヴが「レーヴァテイン」に変えられている。
レーヴァテインは、言わば「散弾型ダインスレイヴ」となる。
大量のレアアロイ製フレシェット弾をダインスレイヴの速度で発射してバラまく事で、高機動MAやプルーマの一掃に役立つ。
ただし、精密射撃には向かない。
砲身が太くなっていて口径もダインスレイヴの数倍になった為、アグニカに「土管」と言われる始末。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第六十九位の悪魔「デカラビア」から。
デカラビアは30の軍団を率いる、侯爵だとされる。
トラクシオンさんより頂いた案を元に、設定しました。
レグロ・サッチ
「ヘイムダル」火星基地メンバーで、「ガンダム・エリゴール」のパイロット。
ASW-G-15 ガンダム・エリゴール
全高:18.3m
本体重量:36.5t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:マシンガン×1
アビゴル・ランス×1
腰部ブレードコンテナ×2
概要
レグロ・サッチの専用機。
後方支援とヴァッサゴとの連携を前提として開発された機体で、高性能量子コンピューターと予測演算を行って対応する「ノルンシステム」を搭載している。
アビゴル・ランスはヴィダールのランスと同じであり、腰部ブレードコンテナに2本ずつ予備の刀身が用意されている。
高性能量子コンピューターは、背部に3基装備。
冷却の為に展開される極薄の金属板が靡く光景は、さながら旗を掲げる者のようでありマントを羽織る者のようでもある。
この高性能量子コンピューターによる予測演算システムこそが、ノルンシステム。
パイロットの脳とリンクさせる事で体感を1000倍にまで跳ね上げる「ヴェルダンディ・モード」と観測データから未来の戦局を予測する「スグルド・モード」の2つが有る。
これにはかなりのエネルギーを使う為、戦闘に回せるエネルギーは少ない。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第十五位の悪魔「エリゴール(エリゴス、アビゴルとも)」から。
エリゴールは60の軍団を率いる、地獄の公爵だとされる。
音無紫聖さんから頂いた案を元に、設定しました。
レスリー・ホルブルック
「ヘイムダル」火星基地メンバーで、「ガンダム・ナベリウス」のパイロット。
ASW-G-24 ガンダム・ナベリウス
全高:18.5m
本体重量:31.0t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ライトヘッド×1
レフトヘッド×1
センターヘッド×1
概要
レスリー・ホルブルックの専用機。
機体色は濃い碧を基調とし、関節は赤色。
両肩は、頭部のような形を取っている。
ライトヘッドとレフトヘッドはジュッテが付いた小型のハンドガンで、それぞれ手に装備する。
センターヘッドは背部に備えられている大型ライフルで、股下や肩上から前方に構えて使用する。
弾速は遅めだが、炸裂弾となっているので威力は高い。
機動力は高いが装甲が薄く、相手の攻撃はかわす事が前提となっている。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第二十四位の悪魔「ナベリウス(ケルベロス、ナベルスとも)」から。
ナベリウスは19の軍団を率い、地獄の侯爵だとされる。
ドラゴンノーツさんより頂いた案を参考に、設定しました。
アーヴィング・リーコック
傭兵団「バルドル」の団長だが、現在はアーレスにいる。
「ガンダム・アンドレアルフス」のパイロット。
ASW-G-65 ガンダム・アンドレアルフス
全高:19.0m
本体重量:32.5t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ライフル×1
オオデンタミツヨ(太刀)×1
アトミック・バズーカ×1
ハイパー・バズーカ×1
ハイパー・ジャマー×1
概要
アーヴィング・リーコックの専用機。
奇襲、強襲を想定して調整された、隠密用機体。
武装は汎用武器のライフル、レアアロイで錬成された太刀(アーヴィは「オオデンタミツヨ」と呼ぶ)、隠密用のハイパー・ジャマー、5発の弾頭を装填するバズーカ。
バズーカには通常弾頭は勿論、核弾頭も搭載可能。
ただ、継戦と正面戦闘には向かない。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第六十五位の悪魔「アンドレアルフス」から。
アンドレアルフスは30の軍団を率いる、地獄の侯爵だとされる。
一風の陣さんより頂いた案を元に、設定しました。
ASW-G-22 ガンダム・イポス
全高:18.2m
本体重量:36.4t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:アルマーズ×1
アイポロス・ソード×2
ダインスレイヴ×2
クロー×4
概要
レオナルド・マクティアの専用機。
超大型のレアアロイ製ハルバード「アルマーズ」、超大型のレアアロイ製大剣「アイポロス・ソード」、超大型のクローを両脚に持った近接型機体。
背部にはダインスレイヴも有り、遠距離火力も確保している。
武装の巨大さ故に扱い辛い機体であり、それを補助する為に過去や未来が視えるとされるシステムが搭載されているとか。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第二十二位の悪魔「イポス(イペス、アイポロス、アイペロスとも)」から。
イポスはネビロスの支配下にあり、36の軍団を率いる伯爵にして君主だとされる。
一風の陣さんより頂いた案を元に、設定しました。
ゲーティア
階級:バージニア級汎用戦艦
全長:624m
動力源:エイハブ・リアクター×5
武装:2連装主砲×4
ミサイルランチャー×8
対空砲×20
クラウ・ソラス×1
カラドボルグ×1
艦載可能数:20機
艦載機:ガンダム・フレームなど
艦長:ルベルト・ノア
概要
「ヘイムダル」のスリーヤ・カイエルが開発した、バージニア級汎用戦艦の1隻。
600mと言う、スキップジャック級には届かないもののハーフビーク級を上回る巨大な船体を持つ。
スリーヤ曰く、宇宙世紀時代のとあるラー・カイラム級汎用戦艦を形状の参考にしたとか。
ハーフビーク級やスキップジャック級に比べて装甲は少し薄いが、武装はバージニア級の方が充実している。
特に、右舷側面に取り付けられた「カラドボルグ」と左舷側面に取り付けられた「クラウ・ソラス」が強力である。
カラドボルグはダインスレイヴの強化発展版で、命中しなければ威力を発揮しないダインスレイヴとは異なり、命中せずとも絶大な破壊力を発揮する。
大型化してしまった為ガンダムに載せられず、バージニア級に搭載されている。
クラウ・ソラスは高出力のビーム砲で、その威力は宇宙世紀時代のハイパーメガ粒子砲に匹敵する。
エイハブ粒子の使用量が膨大な為、連発は不可能である。
MSの艦載可能数は20機であり、主な艦載機はガンダム・フレーム。
ウリエルと量産機のデータは、また次回に載せます。
次回「新たな脅威」(予定)。