鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

5 / 72
うろ覚えで書いたので、原作と違う所が有ると思います。
どうか、ご了承をm(__)m


#02 夜明け

P.D.323年。

10年間CGSに勤め、最近では最古参の1人に数えられるようになった俺は、変わらず子供達の訓練を担当していた。

 

阿頼耶織システムの手術を生き延び、参番組に配属された子供達の訓練…それが、俺の仕事である。

 

元から3回も受けていた俺の言う事でも無いだろうが、いつからCGSはこんな非道を行うようになったのだろうか。

反対はしたのだが、社長に押し切られてしまったしなあ。

 

ともかく、今日は中でも優秀な三日月・オーガスと昭弘・アルトランドの模擬戦が行われている。

2人への通信によるアドバイスは勿論、見ている奴らにも色々教えるのだ。

まあ、見ている奴らは上から地雷の設置訓練を下されてしまったが。

 

「昭弘! 旋回がいちいち大きすぎる、隙だらけだぞ!」

『マジかよ…って、うおおおお!?』

 

これまた、旋回中に三日月の攻撃。

カラーボールが、昭弘のMWに直撃する。

 

「被弾数、三日月3発に昭弘4発! 旋回と攻撃、旋回と攻撃だといずれ見切られるぞ! バリエーション持たせろ!」

『バリエーション…了解』

『クッソ、やってやらァ!!』

 

早速実践に移す2人。

やはり、操縦技術はあの2人が特に秀でている。

 

逆に頭はビスケット・グリフォンが優秀だし、統率力で言うならオルガ・イツカとユージン・セブンスタークか。

 

この参番組は、なかなか優秀な奴が揃っているようだ。

 

『うおおおお!』

 

言ってる側から、昭弘のMWがまた被弾。

 

「ふむ…ビスケット、これをどう見る?」

「そうですね……三日月の俊敏さに、昭弘が付いて行けてない感じが有ります。昭弘はパワー型なので、こう言う模擬戦だと不利かも」

「それ、単純に昭弘がパワーバカって言ってるモンじゃねェか?」

「そ、そんな事無いよ!」

 

ユージンのツッコミを、ビスケットは否定する。

 

「パワーバカって所はまあ、正しいかもな…今度やる時は、単純なぶつかり合いだけの模擬戦にしよっかな」

「おやっさんに怒られますよ?」

「はは、違い無い」

 

んな事したら、MWがボッコボコになるのは目に見えて明らかだからなあ。

参番組はともかく、俺がどやされる。

 

『ぬうううう!!』

 

昭弘のMWが、三日月のMWに急接近する。

 

『よっと』

『うおおおお!?』

 

三日月はヒラリとかわしたが、昭弘のMWは地表の段差に引っかかって横転した。

 

「そこまで! 勝者、三日月・オーガス!」

 

子供達の歓声が、火星の空に響き渡る。

俺は昭弘のMWを助けるべく、MWに飛び乗るのだった。

 

 

 

 

昼になり、一時休憩で食事の時間。

昼飯でも落ち着きの無い参番組は、騒がしく暴れ回っている。

 

まあ、それくらい元気が無いと子供らしく無いので微笑ましく見守っているのだが。

 

「そう言えば教官。アンタ、何で毎回こんな騒がしい所で飯食ってんだ? 俺らは行けないような、静かな食堂とかもあるんだろ?」

 

と、話しかけて来たのはオルガ・イツカ。

参番組のリーダーに抜擢されている。

 

「ああ、有るな。でも、俺はあそこが嫌いでね。静かな所で食うより、騒がしい所でバカやりながら飯食う方が楽しいだろう?」

「そりゃまあ、そうかも知れねえが…」

「ねえ教官」

「ん?」

 

今度話しかけて来たのは、三日月・オーガスだ。

 

「珍しいなミカ、お前が自分から話しかけるなんてな」

「オルガこそ、大人に自分から話しかけるのは珍しいんじゃない?」

「いや三日月、それは仕方無いだろ。余程の事が無けりゃ、社長に話しかけようなんて思わないだろうし」

 

そも、基本的に社長と話す事が無いと思うのだ。

 

「あの、昭弘を助けた時。あれ、どうやって戻したの?」

 

三日月が聞いているのは、横転した昭弘のMWを元に戻した所だろう。

 

「あれか? 単に、上に取り付けられたマシンガンを俺のMWの前足で勢い良く跳ね上げただけさ」

「宙に浮いてたんだけど」

「その勢いで昭弘のMWを飛び越えて、着地すれば問題無し」

 

わざわざ回収するより、自分で走らせた方が断然楽だしな。

曲芸に近い、こんな時くらいしか使えない荒技である。

 

「アンタ、あの技で金稼げるんじゃねえか?」

「生憎、金なら間に合ってます」

 

と、雑談をする内に昼飯を食べ終えた。

 

「オイお前ら、20分後に集合するからな! それまでに飯食って、広場に来い! 遅れたらソイツだけ基地10周!」

 

ヤジが飛んで来るが、異論は認めないとだけ返して食器を置きに行く。

 

さて、遅れる奴がいるのかいないのか。

俺はいない事を祈るぜ…。

 

 

 

 

で、何故広場に参番組を集合させたのか。

それは仕事の依頼人が来るにあたり、社長から説明が有るからだ。

 

今回の依頼人は、一部で「革命の乙女」と言われるクーデリア・藍那・バーンスタイン。

火星の独立自治都市「クリュセ」の代表首相ノーマン・バーンスタインの娘だ。 

富裕層の出身ではあるが、思想家アリウム・ギョウジャンの影響を受けてクリュセ独立運動の先頭に立ち、16歳という若さで独立運動家をまとめた「ノアキスの七月会議」を成功させた。

 

その事から、現在火星で注目されている。

 

そんなクーデリア・藍那・バーンスタインは、独立運動の一環として火星のハーフメタルの貿易自由化を求めてアーブラウ首長蒔苗東護ノ介氏との交渉に赴くべく地球に行きたいらしい。

その道中の護衛を、CGS参番組に依頼して来たらしいのだ。

 

参番組を護衛に指名したのは、社長の弁によると「貧困の象徴である彼らと行動する事によって運動の意義を高めようというロジックに従ったモノ」らしい。

 

随分と上から目線の見下した物言いである。

 

社長の言い方がクーデリア・藍那・バーンスタインと全く同じだったかは分からないが、とりあえずその上から目線を直さないと革命は出来ない…成功しないと俺は思う。

 

しかし、未だ世間知らずの箱入りお嬢様な感じが見られるものの、あの一癖も二癖もある革命家共をまとめた手腕は大したモノだ。

これから、存分に化ける可能性がある。

 

「アラズ、お前はお守り役だ。きっちりコイツらを監督して、仕事を達成しろ」

「了解ですよ、社長。とりあえず、参番組全体の指揮は今まで通りオルガ・イツカに一任する。俺はあくまでそのサポート…問題無いですね?」

「構わん、好きにやれ。それで、仕事が達成されるならな」

 

去って行く社長に軽く礼をして、参番組に一通り指示を出す。

 

ただ、仕事に対する不安はどうしても消えなかったのだが。

 

 

 

 

夜。

CGSに、ギャラルホルン火星支部の部隊が襲撃して来た。

大方、クーデリアの活動を良く思っていなかった父ノーマンがギャラルホルンに密告した事が原因だと思われる。

 

参番組は正面から迎撃にあたり、社長達の本隊は回り込んで挟撃する…ハズだったのだが。

 

「!? どうした、教官!?」

「…あのクソ社長、逃げやがったわ」

『はあ!?』

 

クソ社長マルバ・アーケイとその仲間達、逃亡。

挟撃作戦、大失敗である。

 

「どーすんだオルガ!? このままじゃ全滅だぞ!?」

「クソ…!!」

 

こちら側のMWは、既に10機は潰されている。

最初はまあまあ善戦していたのだが、ギャラルホルン側がMSを投入してからと言うもの、不利に追い込まれていた。

 

「いや、これからだよ。予め動いておいて良かった。アラズさん、例の物は?」

「安心しろ、きっちりたっぷり仕掛けたぜ」

「ありがとうございます。スイッチオン!」

 

ビスケットが、スイッチを押す。

すると、社長達の逃げた方向から信号弾が上がる。

 

「あれは…!?」

「ビスケットの機転で、クソ社長共の乗ってる奴に仕掛けたんだよ。これで時間が稼げる」

 

直後。

ズドドドン、と言う音と巨大な煙が巻き上がる。

 

「地雷訓練で埋めた地雷!?」

「ありがとうクソ社長。囮ご苦労様でした」

 

恩知らずじゃないよ、これが合理的だったんだよ。

 

「オルガ、通信機貸せ。手が有る」

「お、おう…?」

 

MWをよじ登ってオルガから通信機をブン取り、三日月に通信する。

 

「三日月、一旦戻って来い。今おやっさんに、バルバトスの準備をして貰ってる」

『バルバトス?』

「あのMSを潰せる戦力だよ。とりあえず、MWに乗ったまま基地の中心部に乗り付けろ!」

『…うん、了解』

 

三日月のMW、後退を開始。

 

「昭弘、後MW隊! 三日月が抜けた穴は俺が埋める、後少し持ちこたえろ!!」

『了解!』

 

各MWからの返事を確認し、オルガに通信機を投げ返す。

 

「そう言う事だ、後の指揮とかは全部任せるぞ!」

「おう、分かった!」

 

MWから飛び降り、自分のMWへと走る。

 

 

 

 

それから持ちこたえる事、実に20分。

 

『クッソ、三日月はまだかよ!?』

「後少しで終わるハズだ! 昭弘、MSの後ろ側に回り込んで関節を狙え!」

 

指揮官機と思われるMS「グレイズ」の後ろに昭弘と俺は回り込み、右足の関節に弾をぶち込む。

関節の隙間に上手く入ったのか、関節が爆発する。

 

『おのれ!』

 

部下の機体が振り下ろして来たバトルアックスを間一髪でかわし、露わになった左手の関節に弾をぶち込む。

爆発はしなかったものの、機能不全くらいには陥るハズだ。

 

『クソ、MW風情があ!!』

「…! しまった!!」

 

激昂した指揮官が、基地の方に吶喊する。

部下の機体に背を向けて昭弘機と共に追走するが、MWではMSに追い付けない。

 

『死ねえええ!!』

 

指揮官機が、バトルアックスを振り上げる。

その真下には、オルガの乗るMWがある。

 

『…まだだ……このままじゃ、終われねえ!!』

 

オルガの叫びが、通信機を通して戦場に響く。

 

 

『そうだろ、ミカアアア!!!!』

 

 

その声を待っていたかのように、オルガの真後ろの地面がめくれ上がり、そこから1機のMSが現れる。

 

『貴様h』

 

MSの持つメイスと言う大型武器が、グレイズの指揮官機を上から潰す。

断末魔を上げる事も無く、指揮官は機体と共に潰された。

 

それは、たった1機のMS。

黒きフレームを純白の装甲で覆い隠した、悪魔の名を冠するには余りにも美しい機体。

 

輝く太陽が地平線から昇り、その機体を輝かせる。

 

その光景に、誰もが言葉を失った。

 

 

美しいそれは、悪魔からは程遠い。

まるで祝福される天使のようだと、その場にいる誰もが思った程に。

 

 

ASW-G-08「ガンダム・バルバトス」。

伝説の「ガンダム・フレーム」の1機だ。

 

300年の時を経て、伝説は蘇ったのだ。




アグニカポイント新規取得
三日月・オーガス 90AP
オーリス・ステンジャ 10AP
クランク・ゼント 10AP
アイン・ダルトン 10AP


と言う事で、バルバトス起動回&オーリスさんさようなら回でした。

アラズはパイロットだけで無く、政治とかにも見聞が有ります。
彼が何故こんなに強かったり、阿頼耶織を付けているような境遇にあるにも関わらず政治に詳しかったりするのかは、これから明かされて行きます。

後、アラズは阿頼耶織を3つ付けています。
最低でも操縦技術はミカレベルです。
何故そんな感じなのかも、これから明かされますとも。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。