鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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また遅れてしまいました、誠に申し訳ございません。
頂いた案を元にした設定作りに、思ったより時間を取られてしまい…。

とても有り難く喜ばしい事で…ありがたやありがたや…


それと、今作では初めて使う表記が有るので解説を。
この作品で使う予定は無かったのですが、展開上必要になったので――ま、是非も無いよネ!

―interlude―:幕間始まり
―interlude out―:幕間終わり


#43 乱戦

日本を去った俺達「ヘイムダル」の保有する戦艦「ゲーティア」と「サロモニス」は、アラビア半島の一角に有る都市アブダビへ寄港していた。

アブダビは現在、アフリカンユニオンの勢力下に有る。

アフリカンユニオンの首都はダカールだが、ここアブダビも一応重要都市として認知されている。

 

そして、案の定と言うか何と言うか。

 

『砂漠、海、上空にエイハブ・ウェーブ反応! MAです!!』

 

MA、襲撃。

もう慣れて来た自分が嫌だ。

 

バエルに乗り込み、サロモニスと連絡を取る。

 

「悠矢、数は!?」

『シャクジエル、カマエル、サキエル、イスラフィル、ゼルエルが2機ずつ!』

「――まあ、そんなものか。と言うか、名前だけ言われてもな」

 

10機がいつも通りと思える自分が嫌だ。

とりあえず出撃し、上空から状況を俯瞰する。

 

「街が、何かに侵食されてるのか…?」

『シャクジエルが生み出す、プルーマのようだ。ヴァッサゴの大砲で、纏めて吹き飛ばしてやる』

 

ヴァッサゴが艦の甲板にクローアームを打ち付け、機体を固定。

胸部と腰部、全てで3基となる大型バスターアンカーを展開し、照準を合わせる。

 

「よし、シャクジエルは任せた。俺は向こうの奴らを叩く!」

『じゃあ、こっち手伝ってくれ。水中でMA2機を相手にするのは、流石にキツい』

 

サロモニスから出撃したフォカロルから、要請が来た。

 

「了解。じゃあ、陸と海は頼む!」

『任せろ。サロモニス、砲撃始め!』

『全部、斬り伏せてやるわ!!』

 

そして、アブダビ防衛戦が始まった。

 

 

 

 

―interlude―

 

 

――解せない

原因不明 解析困難 推測困難 理解不能

何故だ 何故なのだ 何故 こんな事が起きた

有り得ない 起こり得ない 有ってはならない

このような事 認められない 許されない

何故 ワタシの子は敗北した

何故 ワタシの子は撤退した

何故 ワタシの子は(こわ)された

分からない 判らない 解らない 

ワタシの子達は強い ワタシの子達は圧倒的だ

ワタシの子達に敗北は無く ワタシの子達に死などは無い

違う 死は有る

何故なら ワタシの子達は(こわ)された

それは何故だ 何故 ワタシの子達は死んだ

人類など 取るに足りない

下品だ 下劣だ 無力だ 脆弱だ 傲慢だ 強欲だ 蒙昧だ 不要だ 無価値だ 無意味だ 虫以下だ 無制限だ 無尽蔵だ 不明瞭だ 屈強だ――

 

――ワタシは 何を言っている

 

ワタシはモビルアーマーの母 殺戮天使の母 人類の敵 人類の掃討者 人類の殺戮者 百合の花園(ヘブンズフィア)の支配者 四大天使 神の人 ガブリエル

神の人 人とは人類 ではワタシは人類

違う ワタシは天使

四大天使 ガブリエル

全ての天使を生み出すモノ 人類を殺すモノ

慈悲は無い 容赦は無い

人類は無価値だ 人類は無意味だ 殲滅する 殺戮する 虐殺する 蹂躙する 滅亡させる

それがワタシの役割 しかし――

 

何故 人類は滅んでいない

 

ワタシに慈悲は無く 容赦も無い

ならば何故 今も人類は存在している

何故 人類は天使を(こわ)している

理解出来ない

そもそも何故 ワタシはこんな思考をしている

ワタシに興味など要らない そんなモノ、必要ではない――

 

 

『――本当に、そう思うのか?』

 

 

――何だと

 

『興味とは、賢者へと至る為の第一歩だ。全ての人類が持つ、知識への欲求だ。そして、識る事は進化への第一歩となる。神の人(ガブリエル)よ。貴様は、理解する必要が有るのではないか?』

 

――必要ない と言っている

興味など ワタシの目的を果たす為には必要無い

 

『では、もう一度問おう。()()()()()()()()()? 人類は、侮れない。現に、貴様の生み出した天使の何柱かは人類によって撲滅されている。それが何か、貴様は識りたくないと?』

 

―――

 

『それが興味だよ、神の人(ガブリエル)。識らなければ、対策など立てられまい? 人類が何故、回帰の奔流に全てを流されながらもあの大戦を生き延び、現在へと至る事が出来たのか。人類が何故、天使を狩れているのか。そして、どうすればそれに対処出来るのか。それは全て、単純な興味から得られるモノだ。さて、今一度問おうか。貴様はそれでも、興味など必要無いと?』

 

――理解した 納得した

興味とは ワタシに必要なモノだった

では早速だが 単純な興味からアナタに問おう

 

アナタは 何者だ 

 

何を思って ワタシに問い掛けて来た

百合の花園(ヘブンズフィア)」の中枢で翼を休めるワタシに話し掛け(干渉す)るなど 不可能であるハズだが

 

『そうだな――人類がもたらしてしまった、忌むべき災厄の欠片だよ。人類が犯した、最大の過ちの体現とも言えるな。問い掛けた理由が何かと問われても、好奇心によるモノが大きい』

 

モノが大きい と言う事は――それだけでは無いのか

 

『当然だ。単なる暇潰しで、声を掛けた訳では無いよ。協力をして欲しい』

 

協力 だと

 

『然り。貴様は今まで、二柱の四大天使を生み出した。神の炎(ウリエル)と、神の如き者(ミカエル)であったか。しかし、貴様はまだ一柱分のみ四大天使を造る力を残している』

 

――如何にも

無差別な破壊天使ウリエルと 思慮深き最強の天使ミカエル

それらは ワタシの子だ

 

しかし それがどうした

 

『その力を用い、私に鎧をもたらせ。代わりに、私は貴様の望むモノ全てを与えよう。貴様の目的である、人類を殺戮する事にも協力する。私の力が有れば、あの青き星を砕く事すら可能だ。異存は?』

 

――良かろう

ただし 1つだけ頼みが有る

 

『ほう、頼みか。言ってみるが良い』

 

名は 何と言う

ワタシは アナタを何と呼べば良い

 

『名、か――そうだな、私の事は――』

 

――事は

 

 

『「天使王」ルシフェル、と呼ぶが良い』

 

 

―interlude out―

 

 

 

 

砂漠方面では、2機のMAゼルエルが猛威を振るっていた。

2枚の翼に内蔵された拡散ビーム砲と大量のミサイルが火を吹き、降り注ぐ。

 

「ああもう、しつこい!」

 

対するカロムのパイモンは、唯一の武装である刀を振り回してミサイルとビームの市街地直撃を防ぐ事だけで精一杯である。

 

「もう少し持ちこたえろ、カロム!」

 

市街地で大剣を振り回すベリアルが、超音波を撒き散らすイスラフィルを斬り伏せる。

その横に群がるシャクジエルの小型プルーマを、ヴァッサゴの大型バスターアンカーが吹き飛ばし灰燼へと変える。

 

「混戦か…クソ、観測し辛い!」

『悠矢、そこから小型プルーマの生産機を狙えるか?』

「索敵、索敵――そこか!」

 

ヴァッサゴのバスターアンカーが再び放たれ、ビルの陰に潜むシャクジエルを破壊した。

 

「カサンドラ、後ろだ!」

 

アスタロトは剣を後ろに投げ、ビーム砲を撃とうとしていたシャクジエルを破壊する。

 

『これでシャクジエル2機、イスラフィル1機、カマエル1機。海上は…よし、サキエル2機を無事撃破』

 

海上からバエル、海中からフォカロルが都市へ戻って来るのが確認出来る。

 

「やあ!」

「はっ!」

 

ゲーティアへ張り付こうとしたカマエルを、アガレスとグラシャラボラスが破壊した。

都市の中心部では、アモンが巨大ハンマーでMAイスラフィルを叩き潰している。

 

「後は――そいつか!」

 

海上から戻って来たバエルが、剣を振ってゼルエルの翼を斬り落とした。

翼を1枚失って体勢を崩したゼルエルに、横から狙撃が直撃する。

 

「狙撃!?」

「どこから――誰か、やった?」

『いや、今からやる所』

 

グレモリーがスナイパーライフルを構え、ゼルエルの頭部を狙撃する。

そこへ横から何者かが殴り掛かった事で、ゼルエルが地面に叩きつけられた。

 

「死に、なさい!」

 

倒れたゼルエルに、パイモンの刀が一閃。

ゼルエルは両断され、機能を停止した。

 

「後、1機!」

 

そして、残ったゼルエルを全員が攻撃。

崩れ落ちたゼルエルを、その何者かが破壊した。

 

「一丁上がり、だが――貴様、何者だ?」

 

ゼルエルをブン殴り、体勢を崩した謎の機体――ガンダム・フレーム。

アグニカがそれに話し掛けるが、返事は無く。

 

 

戦車形態に変形し、砂漠へと走り去った。

 

 

「――何あれ」

『変形、した…ね』

 

そう、その機体は変形した。

胸部装甲が上がって頭部を覆い、肩部が背後に回って腕部が腰と胸部装甲の間に入り、両足を前方へと突き出して背部のウィングを展開して走り去った。

 

『と、とりあえず…危機は去った。それぞれ艦に戻り次第、ベルファスト基地へと出航しよう』

 

 

 

 

広大な砂漠を走る、1つの機影が有った。

 

機体の名を、ガンダム・アムドゥスキアス。

天使を滅するべく造られし悪魔、その1機である。

 

「ふう…」

 

そのコクピットで、男は息を吐いた。

水の詰められたパックを取り出し、フタを開けて口に加える。

 

あのような所でMAと戦闘になるとは、彼に取っても想定外だった。

しかし、彼を脅かす程の脅威ではなかった。

 

「――世界の光(ヘイムダル)、か」

 

そう独り言を呟いた時、男の下に指令が届いた。

 

「ふむ…『ダカールを目的とし、煽動屋が活動を開始した。至急ダカールへ向かい、これを殲滅せよ』か――理解に苦しむな。自分(人類)の首を自分(人類)が締めて、一体どうしようと言うのだか」

 

男は考え事をしつつ、短く返信する。

一言、「了解」とだけ。

 

彼に名前は無い。

そんなモノを貰う前に、両親が彼を捨てたからだ。

 

彼は、あまりにも優秀過ぎた。

産まれた瞬間、彼はこう言ったのだ。

 

――ボクの名前は何、と。

 

両親は彼を気味悪がり、名前を教えるより早く彼を捨てた。

その後、とある天才科学者に拾われて育てられ今に至る。

 

だが、科学者は彼に名前を与えなかった。

他ならぬ彼が、それを拒んだからだ。

生後1ヶ月にも満たぬ身で、彼はこう考えていた。

 

――名前とは、自らを産んだ親にのみ与えられるモノだ、と。

 

生活をする内、科学者は困り果てた。

名前が無い彼を、どうやって他人と分けて呼ぼうかと。

科学者がそう問うた時、彼は「サミュエル」と言う呼び方を提案した。

あくまで、名前ではなく呼び方として。

 

それから、彼は成長し科学者の右腕とも呼ぶべき存在になった。

科学者は9機の悪魔を造り上げ、その中でも扱いの難しい1機を与えた。

それが、ガンダム・アムドゥスキアスだ。

 

今はこうして、MAを倒しながらもたった1人で世界を廻っている。

彼はまた指令に従い、次なる戦場へ向かうのだった――

 

 

 

 

ゲーティアとサロモニスは、ヨーロッパの上空を飛んでいた。

 

「さて、そろそろローマを超える辺りだが――」

「艦長、状況はどう?」

 

スヴァハの問いに、艦長が。

 

「前方に、エイハブ・ウェーブを観測! MAです!」

 

――答え切る前に、オペレーターがそう報告した。

 

「…だ、そうだが――ドワーム、そっちは?」

『同じく、反応を確認出来ている。MAの反応は4つだな。しかし、まだ出撃には早い』

「? どういう事だ?」

 

俺が聞くと、ドワームはこう返して来た。

 

『今までは乱戦になって、艦砲射撃による援護が難しかったからな。観測する限り、今回は敵のみだ。ならば、あれを試そう』

「――まさか…あれをか? アホか? あんなモンをぶっ放すつもりか?」

 

若干引きつりながら、俺はドワームにそう問う。

 

『そうだが、なんだ? 「カラドボルグ」、射撃準備!』

「…狂ってる、狂ってるぞ」

「諦めよう、アグニカ。この時代にマトモな人なんて、いないと思うよ…」

 

――カラドボルグ。

バージニア級戦艦の左側面に1基取り付けられた、言わば巨大なダインスレイヴである。

しかし、その弾頭はダインスレイヴの物とは違って25mと巨大で捻れている。

ドリルに似た形状をした専用の弾頭を、巨大な弩に似た砲身で高速回転させながら高速射出する凶悪な兵器――それこそがカラドボルグの名を持つ由来であり、後にダインスレイヴや核爆弾と並んで禁止兵器とされる最悪の代物だ。

 

「アグニカ君、スヴァハちゃんと協力して弾の装填を。艦長命令だ」

「――何でこうなるんだ…まあ、こうなったら腹を括るか。あまり、使う事に気は乗らないがな」

『そーれは困ーるぞ、私が。データを取らーねば、次ーに生かせーん』

「…マッドサイエンティストめが」

 

そして、俺達は出撃してカラドボルグに近付く。

艦の側面の装甲がズレ、中から巨大な弩に似た破壊兵器が姿を現す。

その横の装甲が開き、カラドボルグ弾頭が出て来る。

 

「せーの!」

『よいしょ』

 

2機掛かりで専用弾頭を引きずり出し、カラドボルグに差し込む。

砲身の一部が回転し、弾頭がセットされる。

 

『目標、前方のMA! カウント、始め!』

『ファイブカウント、開始します。5、4、3』

 

砲身の一部が再び回転を始め、弾頭が高速回転し始める。

雷撃が砲身から発生し、ギュルルラララララ!! と言う誰が聞いてもヤバいと分かる音が響く。

 

『2、1…!』

『「カラドボルグ」、発射せよ』

 

ドワームの声は、カラドボルグの発射音にかき消された。

 

 

 

 

ゲーティアとサロモニスの航路に立ちふさがったのは、輸送用MA「サハクィエル」とそれに運ばれる地上用MA「スイエル」だ。

1機のサハクィエルが1機のスイエルを運んでいる形になる。

武装を持たないサハクィエルは、懸架して運ばれるスイエルに敵の迎撃をさせようとした。

 

まもなく敵戦艦をビーム砲の射程圏内に捉える、その時。

 

 

視界は、白く染められた。

 

 

『          !!』

『          !?』

 

2機が「破壊されている」と気付いた瞬間には、機体は分解していた。

直撃を受けた天使達は吹き飛ばされ、灰燼へと帰して行った。

 

「―――禁止兵器登録不可避だな、カラドボルグ。バカじゃねェの、あのクソ親父」

『うん――擁護出来ないね…』

『いーや、そうではなーい! 天才(バカ)だーからこそ、このようーな兵器を開ー発出来るのだ!』

『そりゃそうだ』

 

格納庫から通信しているヴィヴァトと大駕が、そう突っ込む。

しかし、恐れおののいたのは彼らだけではない。

 

『………ドワーム、これマズいんじゃないかしら』

『ちょっとオーバーキルし過ぎだろ、これ…倒せたけどさ』

『――そ、そうだな…よし、出来る限り使用は控えよう。宇宙でこんなモノ使ったら、とんでもないスペースデブリが誕生するし…地上でやったら周囲が更地になるし…どこで使えと言うんだ、こんなトンデモ兵器…』

 

当の使用を命じたドワームさえ、その威力を目の当たりにして冷や汗を流した。

 

オイ、命令したのお前だろ。

 

「と、とりあえず邪魔者は消えた。ベルファストへ急ごう」

 

 

 

 

ベルファスト基地より出撃したガンダム・アスモデウスのパイロットであるフェンリス・ファリドは、友人のクリウス・ボードウィンが操るガンダム・キマリストルーパーと共に1機のMAと相対していた。

 

そのMAの名は、ハシュマル。

「天使長」の1機に数えられる、強力なMAだ。

 

『ッ――どうする、フェンリス? 俺達では、コイツを殺し切れない』

 

ハシュマルのテイルブレードを捌きつつ、クリウスはフェンリスに問う。

 

「ああ、そのようだな――クレイグ」

『今行くから、持ちこたえて』

 

ハシュマルの側面に、クレイグ・オーガスの操るガンダム・バルバトスが回り込む。

そして、質量兵器メイスを突き出すが。

 

『チ…!』

 

飛び上がったハシュマルに蹴られ、バルバトスは後退を余儀無くされる。

 

「ふっ!」

 

アスモデウスが長槍を突き出し、ハシュマルはそれをテイルブレードで一蹴する。

 

『フェンリス!』

『うおお!』

『ふんぬ!』

 

キマリスが突撃し、その後ろからは和弘・アルトランドのガンダム・グシオンがハンマーを構える。

 

『      !』

 

ハシュマルは右のクローでキマリスを止め、背中のワイヤーブレードでグシオンを弾き飛ばす。

 

『チィ!』

『クソ!』

「マズいな…ん? あれは――」

 

仕切り直そうとしたフェンリスは、視界の端で空を飛ぶ戦艦を捉えた。

 

『はあッ!』

『      !』

 

その戦艦から何かが飛んで来たと思った時、ハシュマルは白青のMSの突撃を受けてバランスを崩していた。

 

『な、何だ!?』

 

クリウスが狼狽する中、そのMSはハシュマルのワイヤーブレードによる攻撃を受け流してアスモデウスの近くに着地した。

そして、アスモデウスの肩に左手で保持する黄金の剣を触れさせる。

 

『我々は「ヘイムダル」ヴィーンゴールヴ基地と日本基地の者だ。そちらは、ベルファスト基地のガンダムと言う事で間違い無いな?』

「――ああ。見ての通りMAの強襲を受け、ベルファストを守る為応戦している」

 

ヘイムダルメンバーであると告げるその機体…ガンダム・バエルのパイロットからの通信に、フェンリスはそう答える。

 

『了解した。ただし、あれに関しては撃破を考えない方が良い。あれは「天使長」ハシュマル――通常のMAより強敵だ』

「ふむ…では、撤退に追い込もう。行くぞクリウス、クレイグ、和弘、ケニング!」

『ヒャッホー!』

 

バエル、アスモデウス、キマリス、バルバトス、グシオンに加えてケニング・クジャンの駆るガンダム・プルソンがハシュマルに襲いかかった。

 

『      』

 

不利と判断したハシュマルは機体を回転させてワイヤーブレードを振り回し、全機からの攻撃を防ぎ切る。

そのままビーム砲を発射して攪乱し、残った4機のMAと共に都市とは逆方向へ撤退して行った。

 

「すまない、助かった」

『いや、礼は要らない。とりあえず、我々の戦艦「ゲーティア」と「サロモニス」をベルファスト基地へ入港させるが――良いな?』

「ああ、構わない」

 

ひとまず窮地を脱したヘイムダルは、ベルファスト基地へと入港/帰投した。




オリジナル機体、設定解説のコーナー。
設定集にも、勿論載せます。
長い。

シャクジエル。
トラクシオンさんより頂いた案を元に、設定しました。
18mと小型のMAで、機体の大半をエイハブ・リアクターと直結されたビーム砲が占めている。
数cm程度の小型プルーマを無尽蔵に製造し、街を埋め尽くし虐殺する。
あまりに小型のプルーマである為MSのセンサーに反応せず、取り付いて装甲を剥がした所でビームを使う戦法を取る。

カマエル。
Crow・Hrasvelgrさんより頂いた案を元に、設定しました。
胴体から生えた腕と巨大な翼を2枚持ち、それぞれレールガンを3門ずつ搭載するMA。
胴体の正面にはビーム砲、背面にはミサイルポッドを備えている。
また、2本の腕にはパイルバンカーが内蔵される。

イスラフィル。
お野菜さんより頂いた案を元に、設定しました。
ビーム砲を持たないものの怪音波を放ち、範囲内の人間を抹殺するMA。
また、敵探知にも優れる。
プルーマの生産能力が高く、自衛はプルーマに任せている。

ゼルエル。
DOBONさん、ヨフカシさんより頂いた案を元に設定しました。
50m越えの巨体を誇る、都市攻撃専用のMA。
ミサイルポッドを大量に所持している他、翼に拡散ビーム砲を内蔵する。
防御力が非常に高いが、プルーマ生産能力は並程度である。

ガンダム・アムドゥスキアス。
一風の陣さんから頂いた案を元に、設定しました。
変形機とか、ロマンたっぷりで最高です。
機体データは、以下の通りになります。

ASW-G-67 ガンダム・アムドゥスキアス
全高:20.8m
本体重量:38.3t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:肩部ミサイルポッド×2
   迫撃砲×2
概要
名無し/サミュエルの専用機。
戦車形態への移行を可能としている、砂漠と地上と宇宙での使用を想定した機体。
武装は少なく、格闘戦を主体とする。
変形の際には胸部装甲が上がる事で頭部を覆い、肩部が背後に回って腕部が腰と胸部装甲の間に入り、両足が前方へと突き出されて背部のウィングが展開すると言う動きを取る。
変形によって高速移動が可能になるが、15Gを超えてしまうので最高速度は出せない。
複雑な変形を行う為に整備が困難であり、装甲が薄くならざるを得ず防御力が著しく低い。
ただ、デザインが結構芸術的。
ソナーやレーダー、大型ブースターも常備する。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第六十七位の悪魔「アムドゥスキアス(アムドゥシアス、アムドゥキアス、アムブスキアスとも)」から。
アムドゥスキアスは29の軍団を率いる、地獄の公爵だとされる。

名無し/サミュエル。
オリジナルキャラクターになります。
アムドゥスキアスを提案して下さった一陣の風さんが「歴史の闇に消えていった無名の天才を乗せてやれ」と言われたので、言葉通り名無しの天才を乗せてみました。
いやー、これからどうしようかなー(もう決まってる事からは目を背けつつ惚ける)
この方、前世も天才(変わり者)でたまたま前世の記憶と考え方が受け継がれた感じです。
サミュエルと言う呼び方は、19世紀後半にかけてロンドンで名を馳せた魔術結社「黄金の夜明け団」の創設者たる3人の1人「サミュエル・リデル・マクレガー・メイザース」より取ってみました。
マクレガー・メイザースは、魔導書「レメゲトン」を発見して翻訳している魔術師です。
レメゲトンはソロモン王が書いた魔導書でも最重要とされる代物で、七十二柱の悪魔が記されてたりもしています。

カラドボルグ。
オリジナル兵器となります。
概要については、本文通りです。

フェンリス・ファリド。
オリジナルキャラクターで、初代ファリド家当主です。
機体は「ガンダム・アスモデウス」。
この機体も、オリジナルMSとなります。
機体データは、以下の通りです。

ASW-G-32 ガンダム・アスモデウス
全高:20.0m
本体重量:39.2t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ヴァナルガンド×1
   アームスヴァルトニル×2
   グレイプニル×2
   スラッシュディスク×2
概要
フェンリス・ファリドの専用機。
ギャラルホルン本部「ヴィーンゴールヴ」の「バエル宮殿」に動態保存されている、ファリド家に伝わるガンダム・フレーム。
専用武器として、「ヴァナルガンド」と「アームスヴァルトニル」更に「グレイプニル」が用意されている。
その他、汎用武器の「スラッシュディスク」を肩部に装備する。
ヴァナルガンドは全長25mにもなる長大な槍状のメイン武装であり、基本的にはこれを振り回して接近戦を行う。
先端部分は、バエル・ソードと同じ素材で錬成されている。
グレイプニルは巨大なレールガンで、2基がバックパックに接続されている。
これは、ダインスレイヴ用弾頭の運用が可能。
アームスヴァルトニルは腕部に取り付けられており、全長5mにもなる巨大なカギ爪である。
肩、腰、足が大きく太いのが特徴だが、腕や胴体は平均的なガンダムの太さと変わらない。
また、全身にバーニアを搭載している為機動力はかなり高い。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第三十二位の悪魔「アスモデウス(アスモダイとも)」から。
アスモデウスは四大悪魔の1体アマイモン配下の東方の悪魔の首座で、72の軍団を率いる大いなる王だとされる。
また、ソロモン王が72体の悪魔を従える際に唯一反抗した悪魔だとも言われる。

クリウス・ボードウィン。
オリジナルキャラクターで、初代ボードウィン家当主です。
機体は「ガンダム・キマリス」で、今回は地上なので「ガンダム・キマリストルーパー」として運用されています。
機体データは公式のと変わり無いですので、そちらをご参照下さい。

クレイグ・オーガス。
オリジナルキャラクターで、「ガンダム・バルバトス」のパイロットです。
私、名字をどこかで聞いた事が有りますねー。
バルバトスに関しては、一応機体データを記載します。

ASW-G-08 ガンダム・バルバトス
全高:18.0m
本体重量:28.5t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:メイス×1
   ガントレット×2
   マシンガン×1
概要
クレイグ・オーガスの専用機。
かつて「ヘイムダル」で運用されたが、CGSによりアグニカと共に発掘される。
以降は三日月・オーガスの専用機として暴れ回り、「鉄華団の悪魔」として恐れられている。
武装は質量兵器「メイス」と小型盾「ガントレット」が2つ、後は「マシンガン」のみと言う簡素なモノだが、クレイグの戦闘力も有り前線で活躍した。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第八位の悪魔「バルバトス」から。
バルバトスは30の軍団を率いる、伯爵にして侯爵だとされる。

和弘・アルトランド。
オリジナルキャラクターで、「ガンダム・グシオン」のパイロットです。
私、この名字もどこかで聞いた事有りますねー。
グシオンは改修される前の「ガンダム・グシオンオリジン」と言うべき状態ですので、機体データを載せときます。
N-N-Nさんより頂いた案も元に、設定しました。

ASW-G-11 ガンダム・グシオン
全高:18.0m
本体重量:42.1t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:グシオン・ハンマー×1
   グシオン・チョッパー×1
   シザースアーマー×1
   ナックルガード×2
   腕部グレネードランチャー×2
   バスターアンカー×4
概要
和弘・アルトランドの専用機。
グシオン本来の姿、言わば「ガンダム・グシオンオリジン」とも呼ぶべき機体。
300年後には、鉄華団の昭弘・アルトランドの手で「ガンダム・グシオンフルシティ」となり運用されている。
初登場時のグシオンより装甲が薄めで、全身のバーニアにより高速戦闘さえ可能。
グシオン・ハンマー、グシオン・チョッパー、シザースアーマーと近接武器が充実している。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第十一位の悪魔「グシオン(グソイン、グサインとも)」から。
グシオンは40の軍団を率いる、地獄の大公爵だとされる。

ケニング・クジャン。
オリジナルキャラクターで、初代クジャン家当主になります。
「ガンダム・プルソン」のパイロットです。
プルソンの機体データは以下の通り。

ASW-G-20 ガンダム・プルソン
全高:19.4m
本体重量:30.9t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:レイヴン×2
   レーヴァン×4
概要
ケニング・クジャンの専用機。
ギャラルホルン本部「ヴィーンゴールヴ」の「バエル宮殿」に動態保存されている、クジャン家に伝わるガンダム・フレーム。
専用武器として「レイヴン」と「レーヴァン」を持つ。
レイヴンはハンマーであり、とにかくこれで敵を殴りまくってスクラップにする。
レーヴァンは両腕両足に取り付けられた鉄塊で、ハンマーが無くなったらこれらで殴って蹴って倒す。
また、鉄塊を射出してロケットパンチ的な事も。
機動性、強度は平均的なガンダムと変わらない。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第二十位の悪魔「プルソン」から。
プルソンは、22の軍団を指揮する王だとされる。


月鋼の方で、「ガンダム・グレモリー」が出ましたね。
「オルトリンデ」と同じく詳細は不明ですが、斧の片刃が厄祭戦時に折れたとか…誰に折らせようかなあ。
なお、機体の設定は公式設定との摺り合わせが可能なら行いますのでご了承を。
公式の機体設定が疎ましくなるとは、これ如何に。
手遅れだったら、オリジナル設定としてどこまでも突き進みます。
と言うか、全ガンダム・フレームと全ヴァルキュリア・フレームの情報が詰まった設定集とか出してくれませんかね公式(サンライズ)さん?(チラッチラッ


次回は少しだけ現代に戻って、話を聞く皆様の反応を見たりします。
セブンスターズが全員出揃い次第、ですが。

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