鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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地球降下編、これにて終了。
短いなあ。

アラズに異変が…!?


#19 大気圏突入

地球外縁軌道統制統合艦隊は、敵艦を捕捉した。

 

「来ました、奴らです!」

「停船信号、発信!」

 

旗艦から停船信号が発信されるが、鉄華団側の応答は無い。

 

「応答有りません!」

「鉄槌を下してやりなさい! 砲撃開始!」

 

カルタの命の下、戦艦7隻が一斉射撃を開始する。

それは向かって来る鉄華団の船に直撃し、爆発して煙が周囲にまき散らされた。

 

「やったか!?」

「--いいえ、まだよ! 砲撃、続けなさい!! 撃沈するのよ、撃沈撃沈撃沈!!!」

「エイハブ・ウェーブの反応が2つ…カルタ様、敵は2隻です! 1隻が盾となっています!」

「何!? い、いいえ! まとめて撃沈なさい!」

 

鉄華団はブルワーズより没収した船を使って、イサリビの盾としている。

カルタはそのデタラメな戦術に一瞬驚くが、すぐ立て直して迅速に指示を出す。

 

「クッソ、攻撃が止まない! ユージン、このままじゃブルワーズの船が保たねえぞ!」

「んな事ァ見りゃ分かる! 前の船のコントロールも寄越せ! オルガに任された仕事だ、ここでカッコ付けなくてどうする!?」

「ああもう、知らねえぞ!!」

 

ユージンは阿頼耶織で2隻を制御し、ブルワーズの船の陰にイサリビを隠しながら地球外縁軌道統制統合艦隊に突撃する。

 

「今だ!」

「あいよ! 起爆!!」

 

ブルワーズの船が起爆し、細かな金属片が宙域にばらまかれる。

 

「各艦とのリンク、途絶!」

「センサー類、機能停止! ナノミラーチャフです!」

 

ナノミラーチャフ。

ナノラミネートアーマーに用いられる粉末状の素材を利用した対レーダー用デコイである。

エイハブ・ウェーブの影響下で、レーザー通信や光学探知を妨害する事が出来る。

 

「あれは、実戦で使えるような代物ではなかったハズなのですが…!」

「今、有効に使われているじゃない! 良いから撃って、古めかしいチャフを焼き払いなさい!!」

 

カルタの迅速な命令で行われる射撃で、チャフは延焼して焼き払われて行く。

 

「センサー類、回復!」

「捕捉をし直しなs」

「敵艦の残骸がこちらに--熱源反応、起爆します!」

 

ブルワーズ艦の残骸が爆発し、周囲が煙に覆われる。

 

「ぐ--捕捉、やり直しなさい!」

「発見しました--が、これは!? 敵艦、グラズヘイムⅠに特攻して行きます!!!」

「はあ!!?」

 

チャフが展開された間に防衛線を突破したイサリビは、その後ろで衛星軌道に乗っているグラズヘイムⅠに特攻を仕掛けていた。

 

「総員、対ショック姿勢!!」

「おらあああああああああ!!!」

 

 

そして、イサリビはグラズヘイムⅠに突撃した。

 

 

そのまま表面をえぐるようにグラズヘイムを回転させ、即刻宙域を離脱して行った。

 

「グラズヘイムⅠ、軌道からズラされました! 重力に捕まっています!」

「グラズヘイムⅠからの救難信号、受信!」

「ッ、やってくれたわね…! MS隊発進後、全艦はグラズヘイムⅠの救援に向かいなさい!」

 

戦闘の様子をモニターで確認しつつ、オルガ達降下隊は行動を開始する。

 

「最ッ高にイカしてたぜ、ユージン! 俺らも負けてらんねえぞ!」

『敵MSが2機、こちらに来てる。エイハブ・ウェーブからして、キマリスとシュヴァルベだ。三日月、シノ』

『うん』

『おうよ!!』

 

三日月のバルバトスとシノの流星号が、敵の迎撃に向かう。

 

『…オイ、ほっといて良いのか?』

「大丈夫だって。おやっさんと一緒に考えたキマリス対策の追加アーマーも有るし、シノの方は何となく根性で」

『シノの方、適当過ぎない…?』

 

ヤマギの言葉を聞き流しつつ、アラズは一口水を飲んでから観測に戻った。

 

「この反応…突撃態勢の編隊か。行くぞ、昭弘!」

『まあ、行くしかねえからな!』

 

グシオンを引き連れて、テルギアも迎撃に出る。

 

「オラオラ!」

『ちょっと、数が多s--減ってね?』

 

テルギアが一度斧を振るうごとに、敵の数が減って行く。

グシオンも射撃で援護し、3機のMSを撃ち落とす。

 

「んん? 別のエイハブ・ウェーブ? これは…」

『何だい、もうほとんど残ってないじゃないか』

『ちぇっ、少しは出番くれても良いじゃん』

 

現れた2機のMSが、残った部隊を一掃する。

 

『アンタらは…!』

『やっほー、昭弘。コイツは百練改め「漏影」。よろしく~』

 

操縦するのは、タービンズのラフタとアジーだ。

テイワズである事をバラさないべく、偽装してやって来たのだ。

 

「悪いな、助かった」

『一瞬で敵の陣形を崩したのは、アンタだろう』

「ああ、あの陣形は左から3番目をつつくと崩れるぞ」

『…す、すげえ……』

 

 

 

 

キマリスは追加ブースターを全開にし、バルバトスを貫くべく襲い掛かる。

 

「チ、前より速い…!」

「さあ、引導を渡してやる!」

 

正面から突撃し、キマリスはバルバトスのコクピットを貫こうとする。

そして、バルバトスの胸部装甲にキマリスのグングニールが深々と突き刺さった。

 

「よし、チャンス」

「!?」

 

バルバトスの胸部装甲がパージされ、バルバトスは左手でグングニールを掴む。

 

「まさか、反応装甲(リアクティブアーマー)だと!?」

「じゃあ、こっちの番だ。ブッ潰す!」

 

右手のメイスでキマリスにグングニールを手放させ、続けてキマリスのブースターにメイスを突き出してパイルバンカーで破壊する。

 

「が!?」

 

爆発で怯んだ所に両腕の迫撃砲を撃って更に追撃し、トドメとして奪ったグングニールを投げ返す。

 

「しまっ…」

 

避ける暇さえ無く、キマリスに向かってグングニールが突き進み--

 

 

「特務三佐あああああああああ!!!」

 

 

そのコクピットを貫く直前。

シノの流星号を圧倒していたハズのシュヴァルベが滑り込み、キマリスを突き飛ばした。

 

「…!?」

「ぐはああああ!!」

 

身代わりとなったシュヴァルベの腰にグングニールが突き刺さり、シュヴァルベは停止する。

 

「アイン!!」

 

キマリスはシュヴァルベからコクピットブロックをえぐり出し、そのまま撤退して行った。

 

「チッ、ガリガリが…!」

『よう三日月、大活躍じゃねェか』

 

バルバトスの側に、テルギアが寄って来る。

 

「? 教官、そんなの掴んでどうするの?」

『いや、持ち帰ろうかなーと。何かな、シュヴァルベって大気圏内でも飛べるって小耳に挟んだんだ』

 

シュヴァルベ・グレイズには、高出力のフライト・ユニットが背中に搭載されている。

ただし推進力のみで機体を浮かせている為にパイロットの負担が大きく、コントロールにも高い練度が必要となるが。

 

アラズならまあ、問題無いだろう。

 

『ミカ、アラズさん。敵の増援だ』

「分かった、オルガ」

『増援? 地球外縁軌道統制統合艦隊か?』

 

と、アラズはエイハブ・ウェーブの反応が有る方を見る。

そちらには。

 

 

『長蛇の陣にて、敵を殲滅する! 全機、吶喊せよ!!』

『獅子奮迅、疾風怒濤!!』

 

 

腰のアタッチメントからナイトブレードを引き抜きながら、吶喊して来るグレイズ・リッターの部隊がいた。

 

『ッ、数が多いn--え? 教官?』

 

それを見るなり、アラズは突撃を開始する。

 

 

『ひゃっはー!! その剣寄越せェえええええええええええええええ!!!』

 

 

などと叫びながら。

左手で、シュヴァルベを持ったままで。

 

『な、何だあのシュヴァルベを持った白と青のグレイズは!?』

『狼狽えるな、カルタ様の空で好き勝手をさせる訳には行かん!!』

『勇猛果敢、疾風迅雷!!』

石頭(バカ)どもめ、そんな対MA用戦術で何が出来る!? 300年前の戦術では、俺は倒せん! その剣寄越せ、もっと有効活用してやらァ!!!』

 

テルギアは一番手前のリッターの右腕を斬り飛ばし、右手のバトルアックスを放して飛んだ右腕から零れたナイトブレードを掴む。

そのまま右腕を失ったリッターに剣を叩き込み、スラスターを潰されたリッターを蹴って接近し、次のリッターの腕をナイトブレードで吹き飛ばした。

手に持つナイトブレードを背中のブースターに有るアタッチメントにくっつけ、また飛んだ腕からナイトブレードを強奪して目の前のリッターに剣を叩き込む。

 

そんな感じで片手だけで凄腕の親衛隊機から剣を強奪し続ける事、実に4回。

追加ブースターのアタッチメント2つと腰のアタッチメント2つに1本ずつナイトブレードを懸架してホクホクなアラズは、グングニールが突き刺さったままのシュヴァルベを持って降下用のランチに合流した。

 

「よーし、行くぞ地球へ」

『逃がすなああああ!!』

『うおおおおッがあ!?』

 

ナイトブレードを奪われなかった機体の1機が、別方向からの射撃によって撃破される。

 

『上からだと!?』

 

上から来たのは、深紅のMS。

手に持つライフルを腰にマウントし、両手に付けられたシールドにマウントされた2本の黄金の剣を構える。

 

『あの機体は…ぐはッ!?』

 

その剣を巧みに操り、深紅のMSはリッターの1機を撃破する。

 

『あの機体--グリムゲルデか。クソ、相変わらず良い剣持ってんなあチクショウ!!』

 

心底悔しそうに、アラズは叫ぶ。

グリムゲルデは三日月のバルバトスを援護し、背中合わせとなる。

 

「チョコレートの人?」

『ほう、分かるのか。凄まじいなその感覚、アグニカを感じるぞ』

『アグニカを感じるって、何? それはともかく、そろそろ限界高度だぞ』

 

大気圏に突入を開始し、大気との摩擦熱が機体を赤く染め上げる。

 

『ここまでだ、下がれ! 地球に殺されるぞ!』

 

地球外縁軌道統制統合艦隊の親衛隊も、限界高度と有って撤退を開始した。

 

『チョコレートの人も、もう良いよ』

『そうか。では、お言葉に甘えさせて頂こう。それではまた』

 

グリムゲルデは剣をしまい、全身のバーニアを吹かして上昇して行った。

 

『ここから軌道上に戻れるとは…相変わらず、バカげた推進力だな』

『教官、機体は大丈夫?』

『大丈夫だ、問題無い』

 

フラグとも取れる台詞を返しているが、テルギアはしっかり固定されている。

バルバトスもランチに合流した、その時。

 

『オイ、何してるんだ!?』

『手ぶらでは帰れん! ここはカルタ様の空だ!』

『よせ、止めろ!!』

 

親衛隊の1機が、ナイトブレードを構えてランチに吶喊して来る。

 

『ッ、根性の有る奴! だが甘いな、三日月』

『うん』

 

バルバトスはシュヴァルベからグングニールを引き抜き、接近するリッターにブン投げる。

 

『うおおおお!!』

 

リッターはグングニールを腹に受けたが、速度は落ちない。

そのまま、ランチに向かって来る。

 

『落ちろおおおおおおおおお!!』

『させない…!』

 

バルバトスはランチへの機体固定を中断し、リッターのナイトブレードを左腕で受け止める。

ナイトブレードはバルバトスの装甲に深くめり込み、固定されてしまう。

 

『しm…!?』

『教官!』

『ほっと』

 

テルギアは強奪したナイトブレードを引き抜いて右手で突き出し、リッターのコクピットの操縦席に座るパイロットの心臓を寸分違わず貫いた。

 

バルバトスは左腕にナイトブレードがめり込んだ事を気にせず、リッターを蹴り飛ばす。

リッターの手はナイトブレードを放し、機体は大気圏のどこかへ消えて行った。

 

バルバトスは無事ランチに掴まり、機体を固定する。

 

『教官、剣がもう1本増えたよ』

『ナイス。全く、危機一髪だったぜ。地球外縁軌道統制統合艦隊、侮れんな』

 

やがて大気圏を抜け、地球に入った。

鉄華団が初めて見る地球の風景は、美しい夜の海だった。

 

『っしゃあ! 地球だあ!』

『--久し振りだな、この感じ。三日月、あっちを見てみろ。あれが、「三日月」って奴だ』

 

アラズは、モニター越しにそれを指差す。

 

 

その先には、夜空に輝き海にも映る煌々とした三日月が有った。

 

 

『--へえ。あれが…「三日月」』

『ああ。厄祭戦の影響で霞んじまったが--綺麗だろ?』

『うん…凄い、綺麗だ』




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マクギリス・ファリd…モンターク 500AP
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アグニカポイント特別報酬
アラズ・アフトル 200AP
※剣を収集。それにより、妖怪剣置いてけ(ソードハンター)の称号を獲得。


マクギリス、アグニカを決める。
剣の二刀流とか、確実にアグニカ決めてますわ。

次回、いよいよ地球編。
カルタ様の大暴れは終わらない!!

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