鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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連日投稿です。
更新が遅れた謝罪込みで頑張りますので、ご了承下さいm(__)m


【注意】
最初のシーンはオリジナルです。
アラズさんのスペシャルアイテムの1つに、サイレンサー付き拳銃(特注)が有るのですが(初出設定)、それが早速活躍します。

もっと早く出しておけば良かった、と猛省中。

アラズクン。
キミ、さては悪党の資格が有るネ?


ブルワーズ編
#12 宇宙海賊


「ふふふふ~ふふ、ふふふふ~ふふ、ふふふふふ~ふふふ~ふふ~ん」

 

機嫌良く鼻歌を歌いながら、アラズはトイレ中である。

ちなみにこの鼻歌、大昔に頭が狼なバンドが歌ってた奴らしい。

 

「ほう、良いじゃねえか」

「…?」

 

と、そんなアラズに話しかける男が。

黄土色のジャンパーを羽織っており、やけに趣味の悪そうだ。

 

「アンタは?」

 

アラズは、その男に問う。

 

「ジャスレイ・ドノミコルスだ。テイワズのNo.2をやってる。テメェ、あの『鉄華団』の奴だろ?」

「ああ。--」

 

ズボンを履き直しつつ、アラズはジャスレイと言うらしい男の目を見据える。

 

「…んん? 何だ、俺の顔に何か付いてるか?」

「--いや、何でもない」

 

用を足し始めたジャスレイの後ろを通り過ぎながら、アラズは。

 

 

「ただ、ゲロ以下の匂いがプンプンしたのでな」

 

 

「--!?」

 

ジャスレイが振り向くより速くアラズは腰のホルスターから拳銃を抜き、銃口をジャスレイの頭に向けて躊躇い無く引き金を二度引く。

 

特殊なサイレンサーを付けられた特注の拳銃は、銃声を響かせる事無く僅かな空気音と共に銃弾を吐き出し、ジャスレイの眉間を後ろから貫いた。

 

断末魔を上げる事すら許されず、ジャスレイ・ドノミコルスは暗殺されたのだ。

 

ジャスレイの動かなくなった身体は、下半身を晒したままその場に転がった。

 

「悪いな、とは言わんぞ? こちとら、相手がクズかクズじゃないかを瞬時に見分けられなきゃ死ぬだけの世界を必死こいて生きて来たモンでな」

 

ホルスターに銃をしまい、アラズはジャスレイを個室に放り込む。

そしてトイレを出て、アラズは改修中のバルバトスの下へ向かうのだった。

 

ジャスレイの死体が発見されたのは、それから30分後の事。

いくら何でもウ●コ長すぎだろう、と思ったジャスレイの部下が様子を見るべくトイレに入ったら、血痕を発見したのだ。

 

ジャスレイが元々恨みを買うようなやり方をしていた事から組織内でも良くは思われていなかった為、暗殺された事に驚いた者は多くない。

問題は、歳星の中でどうやってジャスレイを暗殺したかと言う事だったが。

 

捜査はされたものの、結局理由は分からずじまい。

ジャスレイ暗殺事件は、迷宮入りになってしまったのだった。

 

 

 

 

『よし三日月、準備は良いか?』

『うん。操縦はよろしくね』

『この野郎、退屈な事を俺に押し付けやがった…まあ良いけど。それじゃあ、出発するぞ。クタン参型&ガンダム・バルバトス、出る!』

 

ブースターが火を噴き、バルバトスを載せたMS輸送機「クタン参型」が出発する。

先行するイサリビとハンマーヘッドに合流すべく、宇宙を駆けて行く。

 

『後数時間もすれば、追い付けるハズだ。そっちのセンサーはどうだ? イサリビとハンマーヘッド、捕捉出来てるか?』

『うん、大丈夫。--待って。これ…』

 

三日月が正面モニターに目を凝らす。

読み書きが出来なくとも、図形を見るのに問題は無い。

 

『どうした?』

『イサリビとハンマーヘッドの周りに、MSの反応が有るよ』

『…! ちょっと、そのデータこっちに送れ』

『分かった…けど、どうやるの?』

 

戸惑う三日月に説明する事、約5分。

ようやく、三日月はデータ送信に成功した。

 

『エイハブ・ウェーブの反応…これは、敵襲だぞ』

『…! 教官、突っ込んで』

『勿論、そのつもりだ。イサリビの隣に付けたら、バルバトスをパージする。ちゃんと武器は持ってけよ』

 

クタン参型は加速し、最大戦速へ。

戦闘中であるイサリビとハンマーヘッドの下へ、小惑星をスレスレでかわしながら向かって行った。

 

 

 

 

「クソ!」

 

宇宙海賊の襲撃。

鉄華団は事前にタービンズから存在を聞かされていたが、まさか本当に遭遇するとは思わなかった。

 

敵は安価のMSマン・ロディを多く使用している。

操縦には「阿頼耶織」が必要なのだが、今の所5機程が出て来ているようだ。

 

明弘はグレイズ改に乗って出撃し、これを抑えているが。

 

「ッ、速え!」

 

阿頼耶織の付いていないグレイズ改と付いているマン・ロディでは、反応速度が段違いだ。

じわじわと、明弘は追い詰められている。

 

「おおおッ!!」

 

マン・ロディの1機がハンマーチョッパーを構え、明弘のグレイズ改に迫る。

 

『明弘さん!!?』

「ぐうううう!!」

 

グレイズ改もバトルアックスを構えようとするが、間に合わない。

ハンマーチョップが、グレイズ改に振り下ろされ--

 

る直前。

 

 

一条の光が、マン・ロディのコクピットに突き刺さった。

 

 

「!?」

『明弘、大丈夫?』

 

それは、合流した三日月が駆るガンダム・バルバトス。

歳星にて新たに鋳造された専用武器「太刀」は、マン・ロディのコクピットを貫いていた。

 

『クッソ、ペドロが!』

『行くぞ、囲んでぶっ殺す!』

「明弘とタカキは下がって。後は、教官と俺がやるから」

 

グレイズ改の撤退を確認し、三日月は突撃して来るマン・ロディ部隊に突撃する。

 

マン・ロディは煙幕を展開し、バルバトスの後ろに回り込む。

 

「へえ、こう言う武器も有るんだ」

『背中が、がら空きだぜえええ!!』

 

後ろから振り下ろされたハンマーチョッパーを、三日月は難なくかわす。

 

『な!?』

「よっと」

 

バルバトスは近距離から滑空砲を構えて引き金を引き、マン・ロディのスラスターを吹き飛ばす。

 

『あの動き、アイツも阿頼耶織かよ!?』

『下がりなさい役立たず共! アンタ達は逃げた方をくびり殺しなさい、こっちは俺がやってやるからねェ!!』

 

緑色の分厚い装甲に包まれ、背中に巨大なハンマーを持ったMSがバルバトスに迫る。

 

 

 

 

「クソ、しつこい!」

 

明弘もまた、マン・ロディ2機の追撃を受けている。

 

『人質を取れ! それから仕留める!』

『了解』

 

近くにいたタカキの乗るMWを捕獲し、マン・ロディ部隊は明弘を殺しにかかる。

 

「させねェよ!」

 

そこに、1機のMSが飛来する。

それは両手にバトルアックスを構えており、右手のバトルアックスをMWを捕獲したマン・ロディの腕に振り下ろす。

 

『ッ!? どこから…!!』

 

マン・ロディの腕は吹き飛び、明弘はMWを回収する。

 

「よっ!」

 

MSは明弘を狙うマン・ロディに左のバトルアックスを投げ、そのメインカメラを吹き飛ばす。

すぐさまそのマン・ロディに近寄り、バトルアックスを回収して右のバトルアックスでマン・ロディのコクピットを破壊する。

 

「アンタ…」

「明弘、タカキ。無事か? どうだ、俺の専用機…名付けて『テルギア・グレイズ』は」

 

その機体は、異形だった。

白と青の鮮やかな色で塗られていながら、背中には全高の半分も有るスラスターが突き出ている。

全身には姿勢制御用のバーニアが増設され、三日月のバルバトスと同等の機動力を獲得した。

 

テルギア・グレイズ。

 

パイロットのアラズ・アフトルは、自分の専用機をそのように命名した。

 

「か、カッコ良いと思います!」

「そうだろうそうだろう、誉めろ誉めろ。さて、三日月の方は…! あれは、ガンダムか」

 

アラズは腕を奪われたマン・ロディを一瞥した後、バルバトスと敵の巨大MS…ガンダムが戦闘する宙域へ飛んで行った。

 

『うおおお!』

 

その直後、敵のマン・ロディは明弘のグレイズ改に突撃して来た。

明弘はそれを受け止めつつ、叫ぶ。

 

「テメェ、いい加減にしやがれえ!!!」

『…!? その声…』

 

その次のマン・ロディのパイロットの言葉に、明弘の身体は固まる事になる。

 

 

『兄貴…?』

 

 

「--まさ、か……お前、昌弘…?」

 

 

 

 

「オラオラオラオラァ!」

 

その海賊の親玉と思われるMSは、保持する巨大なハンマーを振り回す。

直撃すれば問答無用で相手を粉砕する一撃を何とかかわし、バルバトスは太刀を振り下ろすが。

 

「! 効かない!」

「このクダル・カデル様と、グシオンを嘗めるんじゃないよ!!」

 

MS…グシオンの頭部装甲に難なく弾かれる。

グシオンはハンマーを振り、バルバトスを引き離させる。

 

「使い辛いな、この武器…!」

「ぶっ潰れて、しまいなさい!!」

『甘いぞ三日月、装甲の隙間を狙え!』

 

ハンマーを持って回転を始めたグシオンに、アラズのテルギア・グレイズが襲い掛かる。

 

「ッ!?」

 

いきなり現れたテルギアに驚きながらも、グシオンはハンマーをテルギアに振り下ろす。

 

「そーれッ!」

 

グシオンのハンマーをかわしたアラズは、右のバトルアックスをグシオンの右腕の肘に向かって振る。

それは直撃したが、逆に弾かれてしまう。

 

「なあッ!?」

「あ。そう言えば、普通はMSのフレームを斬るなんて無理か。しくった」

 

クダルはハンマーをかわされ接近された事に狼狽し、アラズは腕を吹き飛ばせなかった事に舌打ちする。

そこへ。

 

『大丈夫かい?』

『三日月!』

「チ、タービンズの奴らか! 流石にコイツらとアイツらを相手にするのは分が悪い!!」

 

グシオンはテルギアから離れ、胸部に備えられた400ミリ口径火砲「バスターアンカー」を撃つ。

アラズのテルギアにはあっさり回避されたが、それは背後のデブリを粉砕して破片を撒き散らす。

 

「逃がす訳無いd」

『待て三日月。深追いは厳禁だ』

 

グシオンは頭部バルカンから信号弾を発射し、マン・ロディを随伴してデブリ帯へと消えて行った。

 

 

 

 

「どうアジー、何か分かった?」

 

ハンマーヘッドに帰還した後、敵の戦闘データを解析していたアジーにラフタが話し掛ける。

 

「あの丸い方はね。フレーム構造からして、『ロディ・フレーム』だと思う」

「? ロディって、あんな丸くて可愛い奴だったっけ?」

「丸くて…可愛い?」

 

アジーは首を傾げる。

確かに全身に丸みを帯びているが、可愛いかと言われればそうは思えない。

 

「じゃあ、三日月が戦ったあのデカい奴は?」

「そっちはデータが少なくて良く分からないんだけど…フレーム構造からすると、『ガンダム・フレーム』の可能性がある」

「ウソ、あれが三日月のバルバトスと同型機って言うの?」

「ああ。鉄華団にもデータを送って確認したが、向こう…アラズは『まず間違い無く、ガンダム・フレームのMSだ。形状はともかく、エイハブ・リアクターの固有周波数からして「ガンダム・グシオン」じゃないか?』って言ってる」

 

ガンダム・グシオン。

アラズ曰く、ガンダム・フレーム11番目の機体。

形式番号は「ASW-G-11」だとか。

 

「だとしたら、めちゃくちゃレアな機体よねあれ。てか、そんな事知ってるアイツは何者なの? 姐さんが敵わないなんて、相当よ?」

「私に言われても困る。大方、MSマニアとかじゃないのか? とにかく、問題なのはそこじゃない。アタシらが喧嘩を売られた、ってのが問題さ」

 

 

 

 

オルガとビスケットがハンマーヘッドのブリッジに入ると、アミダは人差し指を立てて唇に当てる。

現在、名瀬は宇宙海賊の首領と通信中だ。

 

「ほう。そんじゃあ、テメェらは本気で俺達にケンカを売ろうってんだな? なあ、ブルック・カバヤンさんよ」

『ケツがテイワズだからって、いつまでもデケェツラしてんじゃねえよ』

 

宇宙海賊の首領ブルック・カバヤンが、モニターには映っていた。

鼻は潰れているが、身体は肥え太っている。

 

その姿は異形としか言えず、人間と言うよりもオークに似た印象を受ける。

 

『何も、テイワズだけが力を持ってる訳じゃねえんだぜ? タービンズの大将さんよ』

「後で吠えヅラかいても知らねえぞ、ブタ野郎」

『その言葉、死に際に後悔しやがれ』

 

そう残し、通信は一方的に途切れた。

 

「ったく…血の気の多いバカがいたもんだよ。なあ?」

「そうですね…連中、何者なんですか?」

「ブルワーズ。主に火星から地球にかけての航路で活躍している、宇宙海賊だ」

 

宇宙海賊自体は、そう珍しい存在では無い。

厄祭戦時代にすら好き勝手していた、有る意味ではこの世界で最もフリーダムな奴らである。

ブルワーズはその中でも強い力を持っており、活発に活動している。

 

そして、ブルワーズの目的はクーデリア・藍那・バーンスタインであると想像出来る。

だが、いくらブルワーズが活発で強力とは言え、テイワズを敵に回してまともに戦える程の戦力は無いハズだ。

 

「--どうにも、面倒臭い裏が有りそうだなあ」




アグニカポイント新規取得
三日月・オーガス 90AP
クダル・カデル 60AP
ブルワーズのパイロットの皆様 40AP
アラズ・アフトル 10AP
明弘・アルトランド 10AP
ラフタ・フランクランド 10AP
アジー・グルミン 10AP


初のアラズ専用機「テルギア・グレイズ」、初御披露目。
グレイズで有りながらバルバトスと同等の機動力を持つと言う、魔改造オリジナル機体です。
魔改造って良いよね、男のロマンだね。
略称は「テルギア」で行きますので、よろしくお願いします。

機体データは以下の通りに。
見辛い? すみませんm(__)m


機体データ
形式番号:EB-06tg
機体名:テルギア・グレイズ
全高:18.0m
本体重量:35.2t
動力源:エイハブ・リアクター×1
使用フレーム:グレイズ・フレーム
武装:ライフル×1
   バトルアックス×2

概要
コーラル機を強奪し、塗り替えた機体。
2本のバトルアックスを装備する他、百里のスラスターを流用した追加スラスターを取り付けられた。
百里の肩にくっついてる部分を取り外し、百里の背中についてる部分をそのまま持って来たような外観を持つが、裏側にバーニアが増設されている。
更には縦に3分割され、それぞれが独立して動く。
このスラスターはエイハブ・リアクターに直結されており、バルバトスと同等の機動力を誇る。
また、全身に姿勢制御用バーニアを搭載する。
名前はアラズが考えたモノで、ソロモン王の執筆した魔術書である「レメゲトン」第二部の題名「テルギア・ゲーティカ」より取られている。

武装
ライフル
武装型式番号はGR-W01。 
左右に配する方式のマガジンが特徴的な、120mmの口径砲。 
非使用時には、リアスカートにマウントされる。 
常にマウントされてはいるものの、アラズが「撃つより斬る方が速い」と言う脳筋思考である為、使われる事は殆ど無い。

バトルアックス
武装型式番号はGR-H01。
全長9.8mの専用斧型格闘兵装。 
非使用時には、サイドスカート部のマウントラッチに懸架可能。 
テルギア・グレイズはこれを2本装備しており、高機動と併せてテルギアが強力な近接戦闘力を持つ理由の一端となっている。
ただ、アラズは「斧より剣の方が良い」とボヤいているが。


厄祭戦での宇宙海賊については、オリジナル設定です。
海賊=自由のイメージが拭い切れない…。

ジャスレイの扱いが雑だって?
--あの怪しい服装なら警戒するかと。
殺すまでは行かないって?
--勘弁して下さいm(__)m

次回、ブルワーズ戦2回目です。

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