太陽のような君へ   作:こやひで

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修学旅行~懐かしの砂浜~

「胡桃、これ喜ぶかな?」

「そうね。でもあの子ならなんでも喜びそうだけど」

「……確かに」 

 

 今は国際通りに来ている。

 ここには沢山のお土産屋さんや飲食店があり、今はここで自由行動の時間だ。

 

「やっぱり置物とかの方が良いのかな?消耗品じゃないし」

「そうね……。とりあえず一通り見てから決めれば良いんじゃないかしら。まだ時間はあることだし」

「そうだな。色々見回ってみるか」

 

 焦らなくても時間はまだまだある。

 だからまずは周ってみようと思い、色んな店を見てみることにする。

 

「綺麗……」

「ん?」

 

 しばらく歩いた後、維織が足を止めたのはとあるアクセサリーショップの前だった。

 

「ああ、確かに。ちょっと中覗いてみようか」

「そうしましょう」

 

 確かに女の子が好きそうなアクセサリーが沢山並んでいる。

 でも……

 

「維織がこんなのに興味あるなんてなんか意外だな」

「どういう意味よ……。そりゃあ私だって綺麗なものは好きよ」

「そうだよな。女の子だもんな。……これ胡桃に買って帰ろうかな」

「そうしたら?私は外で待ってるわ」

「維織は買わないのか?」

「胡桃へのお土産であなたと同じものを買っていっても意味ないでしょ」

 

 そう言って維織は外に歩いて行く。

 俺も迷った挙句、一つだけ買って店を出た。

 

「お待たせ」

「かかったわね」

「ちょっと迷ってな。ほらっ」

 

 維織に紙袋を渡す。

 驚いた顔の維織を促し、袋を開けさせる。

 

「これ、さっき私が見ていた。それに一つだけ?」

「欲しそうだったから。それにいつも胡桃と揃いだからたまにはいいだろ」

 

 少し照れながら言うと、維織は満面の笑みで

 

「ありがとう。大事にするわ」

 

 そう言って早速鞄に付ける。

 

「喜んでもらえて嬉しいよ。じゃあ、お土産探しに行こうか」

 

 昼ご飯を挟みながら胡桃へのお土産を買う。

 その後、時間が来てバスに乗り込んだ俺達は、多分この修学旅行でみんなが一番楽しみにしているであろう海に向かう。

 と言ってもまだ二月なので海に入ることは出来ないが。

 それでもバスの中のクラスメイトのテンションは上がりっぱなしだ。

 そして海に辿り着く。

 バスのドアが開き、降りたクラスメイト達が一斉に海に走り出す。

 俺達はゆっくり歩きながら視界一杯に広がっている青色を眺めた。

                   ・

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                   ・

「ふう、これで二日目も終わりだな」

 

 バーベキューも終わり、二人で少し辺りを歩く。

 みんなはキャンプファイヤーを囲み、はしゃいでいる。

 

「早かったわね。思ってたより……」

「楽しかったか?」

 

 そう言うと維織は頷く。

 静かに揺れる水面を眺めながら、静かに呟く。

 

「……あの時と変わらないわね。次来るときは胡桃も一緒に来たいと思っていたけれど」

「しょうがない。それはまたの機会だよ。来年は……胡桃が受験だから、再来年かな」

「遠いわね……」

 

 二年。

 胡桃が起きるのを待っていた時間と同じだ。

 でも今回違うのは、二人が近くに居るということ。

 

「いつもみたいに三人でわいわいしてればすぐだ」

「そうね。三人で過ごす日々はとても充実しているから。一人の時に比べたらずっと早いんでしょうね」

「きっとそうだよ」

 

 そうだと思い出し胡桃に電話を掛けることにした。

 

「胡桃に?」

「ああ、一回は電話してあげないとな」

「出たら代わって頂戴」

「分かったよ」

 

 しかし、しばらく経っても電話がつながる様子はない。

 

「……出ないの?」

「もう寝たのかな?」

「もう?まだ九時だけど」

「駄目だな。……明日またかけてみるか」

 

 そう言って、電話を切る。

 この時は何も知らなかった。

 こんな当たり前の幸せな生活がずっと続くと俺達は餓鬼みたいに思っていた。

 知らないうちに物語が終わりに近づいていることも知らず……。


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