太陽のような君へ   作:こやひで

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メリークリスマス

「これも買う?」

「そうね。買っておきましょうか」

「はーい」

「ケーキは帰りに取りに行けばいいんだよな?」

「ええ、予約しているから」

「ケーキ楽しみだなあ」

 

 胡桃はずっとルンルンだ。

 それもそのはず今日はクリスマスで、今はクリスマスパーティーのための食材を買いに来たのだ。

 

「あんまり買いすぎても持って帰れないから考えて買えよ」

「分かった~」

 

 本当に分かっているのか分からない能天気な返事を聞き苦笑いする。

 俺は荷物持ちのために来たようなものなのであまり荷物を増やされるのは嬉しくないのだ。

 その途中、食材を選んでいる二人を後ろから眺めていると後ろから嫌な気配を感じ、後ろを振り返る。

 

「どうしたの?」

「い、いや。なんか変な視線を感じたような……」

「えっ?本当?」

 

 花園の時もそうだが、俺の嫌な気配は結構当たる。

 しかし、今回も怪しい人は目に付かない。

 

「勘違いかな」

「そう……。これくらいにしておきましょうか」

「うん」

 

 買い物を済ませ、ケーキをお店で受け取ってから家に帰る。

                   ・

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                   ・

 最後にツリーをイルミネーションで飾り出来上がりだ。

 

「できた」

「わ~い!!」

「お疲れ様、二人共」

 

 気が付くとあっという間に夜になっていた。

 昼間から俺の家に集まり、俺と胡桃は飾り付け、維織は料理作りと役割を分担しパーティーの準備を進めていた。

 

「ご飯もできたから食べましょう」

 

 テーブルの上にはクリスマスらしく少し豪華な料理が並んでいる。

 

「凄いね。いーちゃん一人でこんなおいしそうなの作れちゃうなんて」

「本当にそうだな」

 

 これには俺も脱帽するしかない。

 

「ありがとうな、維織」

「いいのよ。二人も飾り付け頑張ってくれたじゃない」

 

 こうして三人でクリスマスを迎えるのは二年ぶりだ。

 二年前までは胡桃の家にお呼ばれしてクリスマスパーティーをしていた。

 

「いただきま~す!!」

 

 三人で手を合わせる。

 

「おいしい!!」

「うん。おいしいな」

「ありがとう」

 

 こうして三人で食卓を囲んでいると少し感慨深くなってくる。

 

「でも、こうして三人でクリスマスを迎えるなんて去年は思ってもなかったよ」

 

 その言葉を聞いて維織は優しく微笑む。

 

「それは私もよ。まさか二人と再会できるなんて思ってもいなかったもの」

「私は分からないなあ」

「……胡桃はそうだろうな。でも俺にしたら維織に会うのは二年ぶりだからな」

「そうね。……生まれた時からずっと一緒にいたから、二年離れるだけでも……」

「……俺もだよ」

 

 もう経験したくない体験だった。

 すると、胡桃がポツリと呟く。

 

「いつまでこうして一緒にいられるんだろう……」

 

 胡桃の顔を見る。

 俺と目が合うと少し慌てたように眼を反らした後、俯く。

 変な態度だなと思ったが一応自分の意見を言う。

 

「まあ、何があるかは分からないけれどこうやって三人で過ごせるのはあと……十年くらいかな」

「十年……。短いわね」

「予想だよ。祐子さんと先生みたいにずっといられるかもしれないけど、恋人ができたり結婚したりしたらそうそう一緒にはいられないだろ?」

「恋人……ね」

 

 維織は小さく笑って見せる。

 

「できるかしら……私に」

「できるよ。俺は分からないけど、維織と胡桃は可愛いからな」

「……あなたは本当に」

 

 維織は照れて下を向く。

 昔からこの手の言葉に弱い。

 そこでさっきから全然反応のない胡桃が気になり、そっちの方を見る。

 

「胡桃?」

「……えっ?ご、ごめん。何?」

「どうかしたのか?ぼーっとして」

「う、ううん。なんでもないよ」

「……そうか?」

 

 やはり、胡桃の反応には違和感を拭えない。

 そこで照れて俯いていた維織がさっと立ち上がる。

 

「さ、さあ、ケーキを食べましょう。あと、せっかくのクリスマスなのだからもっと楽しい話をしましょうよ」

 

「わ~い、ケーキだ~」と言って胡桃は維織を手伝いに行く。

 そのいつも通りの態度に俺の考えすぎかと思い、二人を手伝う。

 その後はケーキを食べる。

 ふと外を見ると雪が降り始めて来た。

 

「わあ~!!ホワイトクリスマスだ~」

 

 胡桃も外を見て眼を輝かせる。

 

「ひーくん、いーちゃん、メリークリスマス!!」

 

 その笑顔を見ながら、来年もこうして三人で過ごせればいいなとしみじみと思った。


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