スーパーロボット大戦V~次元を渡る者達~   作:ジンオウガ

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今回は木星へと向かっている間の話です。


第2話~木星へ~

二人がヤマトの一員になった後、竜牙はヤマトの乗員達と共にバルバトスとバエルがあった地下施設から予備パーツや武器に二機の装甲に使われているとされる塗料や弾薬等の資財をヤマトに積み込みトビア達と共に木星へと向かっていた。三日月はヤマトの戦闘員とシュミレーターで訓練し、竜牙はヤマトの格納庫でバエルとは違うモビルスーツのOSを調整していた。

 

「……よし、こいつで大丈夫だな。しかし、まさかあの二機以外にももう一つあるなんてな」

 

そう言って竜牙はコックピットから降りて調整し終えたモビルスーツ《シュヴァルベグレイズ》を見る。このシュヴァルベグレイズもあの施設にあった機体で左腕にワイヤークローが装備されており、肩や脚等にスラスターが増設された機体だった。

 

「お疲れ様竜牙君」

 

「ん?あぁ、チトセか」

 

そう言って竜牙は無重力により浮遊して飛んできた女性《如月千歳》を受け止める。千歳はヤマトの一員で特殊な機体《ヴァングレイ》のパイロットである。

 

「それでどうなのこのモビルスーツ?」

 

「OSは調整が終わったから誰でも使えるぜ。後、このモビルスーツ達の機関部に使われているエイハブ・リアクターって奴の改良も施しておいた」

 

「改良?」

 

「あの施設から抜き取ったデータにコイツらの機関部から精製させるエイハブ粒子によるエイハブ・ウェーブの影響で有線やレーザー通信以外の電気利用器具が使えなくなるみたいなんでな、だから資財の中にあった火星ハーフメタルって奴を加工して三機の機関部の周りに取り付けてみた。これでもし市街地何かで戦闘しても影響がない筈だ」

 

そう言って竜牙はチトセに端末機に写された図面を見せる。チトセは竜牙の手際に驚く。

 

「凄い……竜牙君って機体とかも弄れるんだ」

 

「研究所じゃテストパイロットと整備士をしていたからな。こうした機関部問題もある程度は何とか出来る。まぁ俺が使っていた機体とは扱いが違うがな」

 

「そうなんだ」

 

「てか、バルバトスはともかくバエルを造った奴バカだろ。武器がバエル・ソードと電磁砲だけってないだろ。それにバエルのリアクターの調整が全く出来てなかったみたいだし次の出撃はシュヴァルベグレイズを使うしかない」

 

「確かにそれだけじゃ厳しいわねυ」

 

そう言ってチトセは苦笑いをする。バエルは機動力こそバルバトスと同等だが武装が圧倒的に少ないという欠点があるのだ。

 

「まぁ幸いあの施設に大量の武装があったから助かったんだがな」

 

「もしかしてあの可変式ランチャーも?」

 

チトセはヤマトの整備員達が整備している大型のビーム砲を見ながら竜牙に聞く。

 

「ストライクカノンか?一応はバエルとバルバトスで使う事にしてる。データによると実弾とビームの2モードに切り替えが出来て、最大出力で戦艦クラスの威力が出るらしくてな」

 

「そうなんだ」

 

「そういえば、チトセは確か三日月達とシュミレーターやってなかったか?」

 

「そうなんだけど、私……三日月と戦って3分で負けちゃったんだよね……」

 

「あぁ……御愁傷様としか言えんわυ」

 

竜牙も三日月の強さを見に染みているのでチトセの心境を理解していた。

 

「前にシュミレーターで戦ったけどあの強さはヤバイな。ギリギリ引き分けだったよ」

 

「竜牙君でギリギリかぁ……三日月君って本当に強いよね」

 

「聞いたら元の世界じゃ少年兵だったらしくて、生きていくためにずっと戦っていたみたいだ」

 

「少年兵か……やっぱりどの世界でも変わらないんだね……」

 

チトセはそう言って悲しい顔をして俯く。それを見た竜牙はチトセの頭に手を置き撫で始める。

 

「り、竜牙君……?」

 

「だったらさ、少しずつでもいいから三日月に教えていこうぜ。戦い以外の事とかさ」

 

「……うん!」

 

「さてと、んじゃこのシュヴァルベグレイズ、シュミレーターで使ってみるか?」

 

「使ってみる!」

 

そう言って竜牙はチトセと共にシュミレーターでシュヴァルベグレイズのテストをするのだった。

 

 

 

 

~ヤマト・食堂~

 

シュミレーターでの訓練を終えた三日月はトビアと古代と共に食堂で食事をしていた。

 

「それにしても、凄いな三日月は、シュミレーターであれだけの数値を出す人はでもそうそういないよ」

 

「そう?」

 

(竜牙君があの地下施設から抜き取ったデータによると、あの施設では人体強化によるモビルスーツをナノマシンによる制御をするための研究所で、三日月君は元の世界で阿頼耶識システムという適合手術を三回受けたって言ってたが……正直あまり良い思いはしないな)

 

古代は三日月の背中にある阿頼耶識のピアスを見ながらそう思っていた。三日月の話を聞いた古代達からすれば阿頼耶識システムははっきりいえば禁忌の技術であり、十代前半の子供にしかナノマシンが定着しない上に適合する確率がかなり低いのだ。その事を知ったヤマトの技術長の真田志郎と技術科仕官で情報長の新見薫はこんな技術は存在してはいけないと強調するくらいであった。幸いにもその施設はガミラスの進行に伴い中止になっていたのだ。

 

(まさかガミラスが攻めてくる前に火星にこんな非人道的研究が行われていたなんてな)

 

「ん?どうしたの?」

 

「いや、何でもない」

 

「?」

 

(もう、三日月君のような子供は増えない事を祈りたい……)

 

そう思いながら食事を再開する古代だった……

 

 

次回に続く!




古代達からすれば、三日月の世界の阿頼耶識システムは本当に許しがたい技術な筈ですよね。
因みに、話に出てきたストライクカノンのイメージは魔法戦記リリカルなのはForceの奴です。
では、次回もお楽しみ!

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