鉄血絶無オルフェンズ   作:東雲兎

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すいません、1日で書いたので雑かも……それでもよければどうぞ。


目覚め

「うぇぇああ!ミカ!こっちくるよ!」

「チッ、めんどくさいなぁ」

 

そして彼らは逃走していた。背後に迫るノイズという存在から。

ノイズとは人類を脅かす特異災害の総称であり、人間だけを襲い、接触した人間を自身ごと炭素の塊に変えて分解してしまう存在であった。しかしそんな事は三日月にはどうでもいい事だ。重要なのはそれが今襲ってくるという事だ。

三日月も武器があって、勝ち目が少しでもあるなら挑むけれど、今は響がいる。そして武器もない。そして響からのわかりやすく噛み砕いた説明を聞いて拳銃とかが効かない相手だと三日月でも理解できた。

 

「ミカ!この先川だよ!」

「気にしない。ヒビキはそれをあやしといて」

 

それとは、三日月が俵のように担いでいる響が抱きしめている少女の事である。先ほどから泣きじゃくってばかりでうるさいったらありゃしないと三日月はうんざりしていたのだ。

 

けれど、「ヒビキが捨てないなら俺も捨てない」とも考えていた。

 

響がそれを死なせたくない。だから三日月も少女を抱える事を容認しているのだ。

 

川を飛び越えながら、三日月は後方の追っ手をチラ見する。

結構な数が三日月たちを目標と狙い定めていた。

 

着地したところで一息つく。そして響たちの様子を見てからまた走り出した。

 

死ぬつもりは毛頭ない。オルガの命令を絶対に果たさなければならないと。生きて、生きて生きて、生き抜いて、そして死ぬまでずっと命令を守るのだと疾走を続ける。

 

「でも、このままじゃ逃げ切れないな」

 

一人ならともかく、響と足かせを抱えた状態だと逃げ切れない事を三日月は悟っていた。

だから、

 

「ヒビキ」

「な、なに!?」

 

少女をあやしていた響はいきなりの呼びかけに驚いた。そしてその次の言葉に更に驚いた。

 

「俺が囮になるから、その間に逃げて」

「え!?ちょ、ミカ!?」

 

先ほどの川で十分にノイズを引き離し、路地に差し掛かったところで、響を下ろす。そしてさっさと行くように手で押し出す。

 

「早く行って、じゃないと俺も逃げられない」

「う……絶対に無事でいてね!」

 

自分の事なのに他人事のようにいう三日月に、こうなったら言っても聞かない事を知っていた響は少女を連れて走り出した。

そして、それを見送った後、ノイズがこちらを認識したのを確認してから全力で逃げ出した。

 

ちらりと後ろを見やればやはりデフォルメされた形状の異形が追いかけてきていた。

 

前方に障害物があり、それを三日月は壁を走って越える。だがノイズはその障害物をすり抜けて追ってきていた。

それを見て三日月はなんとなく

 

「銃あれば少しは時間を稼げるんだけどな」

 

と走りながら呑気にぼやく。その言葉に三日月の中……いや、背中の部分で何かが鼓動した。

 

「……?」

 

それに三日月は少し首を傾げた。鼓動したのは阿頼耶識のある部分だ。

 

「……」

 

それに意識をとられ、無意識の間に結構な距離を走っていたようだ。気がつけば行き止まりに入り込んでいた。そこで三日月は立ち止まった。

 

しかし三日月は決して壁があるから、諦めたから止まったのではない。

 

そもそも既に三日月の中にそんな考えは微塵もなかった。

 

「……ああ、そうか。そこにいたのか」

 

三日月はそうつぶやいて、今来た道へと振り返る。

そこには大量のノイズが所狭しと押し合いながら追いかけてきていた。

それに三日月は少し笑った。

 

 

そしてそれに対して三日月は呼びかける。

 

 

 

「おい、起きろよ。オルガの命令を果たすぞ」

 

《GUNDAM FRAME TYPE》

 

 

 

その直後

 

 

 

バルバトス(・・・・・)

 

《BARBATOS》

 

 

 

三日月は再び悪魔となった。

 

 

 

 

 

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「ガングニールだとぅ!?」

 

とある場所、とあるところで、とある大人が叫んでいた。しかしその場にいた女性がその驚きを遮るようにまた叫んだ。

 

「え、なにこれ。アウフヴァッヘン……いや何か違う……!弦十郎くん!アウフヴァッヘン反応に似た……いいえ、もっと禍々しい反応が現れたわ!」

「なんだと!?一体何が!」

「わからないわ、反応、なおも増大中……」

「周囲のノイズの反応が消し飛びました!」

 

悲鳴のような声で状況の中継をする女性を引き継ぐようにオペレーターの一人が起こったことを逐一報告する。

 

「反応、移動を開始!この方角は……」

「ガングニールの場所だと!」

 

その場は混乱を極めていた。そんな中で、一人の少女がその場を離れていくことに誰も気がつかなかった。

 

 

 

 

 

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「え、えぇっっ!!??!?!」

 

響は三日月と別れた後、少女を抱えて必死に走っていた。のだが、逃げ場のない場所に追い込まれて、そして、そして……

 

特撮ヒーローのような姿をして、ノイズの前に立っていた。

なぜこうなったのかさっぱりわからない。

 

「お姉ちゃんカッコいい!」

「!」

 

だが響は少女の声でハッとした。

 

「そうだよね。色々わかんないけど、今はこの子を守らなきゃいけないよね」

 

そう響は呟くことで自分に認識させる。少女を自身の懐に招き入れて、しっかりと抱え込む。

 

「行くよ?」

「うん!」

 

ギュッと握られた小さな手に自身の手を添えて、走り出す響。目指すは隣のビル。溝の幅は普通に跳べる距離だ。勢いをつけて全力で跳ぶ。そんなイメージを固めてから身体にある力の限り跳んだ。

 

「うぇっ!?」

 

しかしその跳躍は予想の上をいった。なぜなら跳ぶはずの溝は遥か後ろ、隣のビルを飛び越す勢いでの跳躍を響は見せた。

 

そして当然、着地点は遥か下の地上となるわけで……

 

「おち、落ちるぅぅっっ!!」

 

響はふつうに落下を始めた。

 

その間にもノイズの襲撃は収まらない。突撃形態となったノイズは響に殺到する。

 

「っ!」

 

咄嗟に響は自身を盾にして少女だけでも助けようとする。

 

その刹那、背中に衝撃が奔った。それだけだった。

 

「へ?」

 

てっきり殺されてしまうと考えていた響にとってそれは拍子抜けな結果となっていた。

それだけでない。着地だってたやすくしてしまった。

 

かなりの高さだったというのに、響の身体には何の変調もない。

 

「え?え?」

 

戸惑う響の前に一際大きなノイズが現れた。そのノイズが大きな腕を振りかぶって響に迫る。先ほどの感じから響は自分の無事は予想できた。

けれども、腕の中の少女の無事は予測できない。庇ったとしてもあの質量の一撃を受ければそれなりの衝撃が来る。そして、それは柔らかい少女の命をたやすく奪うことができるだろう。

しかし、飛び退くことが出来る時間はない。

最悪を予想して、あっけなく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔」

 

そのノイズは吹き飛ばされた。

 




いつまで続くんだろうか?この作品。

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